コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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ほんへ。

ついに最終決戦…………と思いきやまさかの。

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その『負の連鎖』を断ち切るために

noside

 

 

ユーロブリタニア、ユーロピア双方問わず乱雑してKMFだったモノの鉄塊が無数に並ぶ。

 

穴の穿たれた要塞からは火の手が見える、しかして、ユーロブリタニア騎士団の移動拠点、及び主力は壊滅状態で、ようやく一個分隊が組める程度しか残っていない。

 

一個分隊、と言っても、それはKMFでの話ではなく、防弾チョッキもライフルも無しに拳銃一丁しか持たぬKMF乗りの兵士が3、4人程度……………詰まる所、歩兵一個分隊であった。

 

ユーロブリタニア騎士団の大半は数時間前に攻撃を受けすでに瀕死の状態であった、当然、士気は下がったが、騎士団もまとめ役たるシン・ヒュウガの強行と、それを認めたうえで激励を送ったツキト・カーライルによって、現代戦において機動兵器によるバンザイチャージを敢行する羽目になった。

 

結果として玉砕、やけくそ気味に攻め、命を散らしながら戦い続け、じつに90%以上の損失を出して獲得したのが……………ユーロピア軍の要塞にKMF一個分の穴を開けただけ。

 

苛烈を極めた戦闘行動、そしてその結果得たものは━━━━この犠牲の数とは、あまりにも、あまりにも釣り合わない。

 

ユーロブリタニア騎士団は事実上壊滅して不利になったように見える、だが、戦闘によって備蓄してあった大量の弾薬が底をつきかけたユーロピア軍側のほうが圧倒的に不利なのは揺るぎようがない。

 

だが文字通り死ぬほど悩んでいたのはユーロブリタニア軍側であるシン・ヒュウガであった。

 

シン・ヒュウガは騎士団の長として、皇帝陛下直轄騎士たるラウンズ・オブ・サーティーンの言葉には従う必要がある。

 

つまるところ…………『果敢に突撃し、突破口を開き本隊到着まで各員の奮戦に期待する』という、激励に見せかけた『てめえらさっさと戦って死ねや』という死刑宣告を実行せねばならないのである。

 

シン・ヒュウガの自前のKMFは破壊されたが、幸いにも、いや、『不幸にも』、KMFが数機健在の状態、かつ森の中に潜んでいるため奇襲ができる可能性がある。

 

そう、できるかもしれないのだ。

 

ツキト・カーライルの言葉を意訳すれば、早い話が『戦える限り戦え』という暴論そのものであるが、それでも従わなくては人生終了待った無し。

 

では、隠れて逃げればどうか?無理である。

 

ツキト・カーライルの情報網は多岐にわたる、各所に念入りに間諜を放っているのだ、逃げ切れない。

 

かくして、シン・ヒュウガの運命はユーロピア軍、ユーロピア共和国連合と、はからずして同じ道を歩み始めたのである。

 

歪でトゲだらけの岩石を敷き詰めた一本道を、荊で覆い、そこを裸足で歩かされている。

 

地獄へ通ずる道だ。

 

しかし、シン・ヒュウガにはまだ勝機があった。

 

残った数名の部下を踏み台に、己の持つ超常の力…………ギアスを使えば良い、それで生き残れる、と。

 

覚悟を決めて立ち上がる、もう迷いはない。

 

残ったKMFの準備を進めるため、隠し倉庫に歩く男たちに、天から恵が授けられた。

 

流星群のように降り注ぐそれは、そこにいた誰もが見知ったものだ。

 

そう━━━━━━コンポジションBが充填された、155mm榴弾砲用榴弾だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

ドドーン…………………

 

おお、遠いのに結構聞こえるものだな。

 

うむ、良い音だ、やはり155mmは良いな。

 

「『伯爵』より入電、17、18発目射撃終わり」

 

しごく単純な話だが、動けない敵、トーチカや要塞に対して突撃を行う前には、念入りな準備砲撃が必要である。

 

とりわけ、我がブリタニアの砲兵隊は非常に優秀である、機動、展開、射撃、高い練度と高水準で信頼性の高い装備、ブリタニアが最強の国家たる所以はKMFにもあるが、装甲の貧弱なKMFの快進撃を支える砲兵隊こそナンバーワンであろう。

 

「よろしい、『伯爵』に射撃準備を行うように送ってくれ…………それで、砲兵隊は?」

 

「展開準備を完了し、現在目標に向けて照準中です」

 

「よろしい、伯爵は続けて撃て、砲兵隊は照準できしだい中隊規模にて順次斉射を行え、各砲ごと30発だ」

 

ここから2時間ほどかけて『耕して』やる。

 

「KMF連隊は各小隊ごと作戦位置へ、砲撃終了後に突撃する、用意をしておけ」

 

『はっ!突撃こそ我がKMF部隊の誉れ!』

 

「装甲戦車大隊は各大隊ごと所定の位置まで前進、歩兵連隊と共に前進、歩兵の盾となりその役目を果たせ」

 

『歩兵の盾となるは、我ら鋼の部隊の誉れ!』

 

お前ら騎士ってのは誉れしかねえのか……。

 

「歩兵連隊、聞いていたな?諸君の命は戦車大隊に預け、共同前進を行え」

 

『お任せを!KMF連隊にも劣らぬ戦果をご期待あれ!』

 

これだこれ、こういう反応が欲しかったんだ。

 

「マルドゥック大佐、空はどうだ?」

 

「各方面より戦闘ヘリが敵対空兵器を警戒しつつ包囲陣を縮小中、戦闘爆撃機は各機離陸完了、編隊を組み要塞へ向けて進行中、3時間後に目標投下予定です」

 

「3時間後か………よろしい、砲兵隊に連絡、3時間後の戦闘爆撃機の爆弾投下ギリギリまで撃つように伝えろ」

 

「はっ!」

 

「続いてKMF連隊に連絡、3時間と10分後に突撃開始、生け捕りは考えず殲滅で行け」

 

「了解しました」

 

『こちら、砲兵隊、照準良し、射撃開始します』

 

無線が聞こえるや否や、砲声が聞こえてきた。

 

中隊規模での155mm榴弾砲の連続斉射、それはまるで、聖歌隊と軍楽隊による混成音楽・混声合唱のようだ。

 

バス、テノールしかいない聖歌隊というのも、なんとも面白おかしいものだが。

 

「砲撃の効果を確認したいな…………弾着観測員はあるか?」

 

「通信装置の設営に戸惑っている様子、じきに繋がります」

 

なんてだらしのない…………いや、この規模の弾着観測はまずない、士気高しと言えど無茶が過ぎたか。

 

「そうか………なるべく急ぐように伝えろ、それとマルドゥック大佐、我々の目標地点まであといくつだ?」

 

「3kmきりました、この速度ならあと数十分ほどかと」

 

「……………よし、整備班に連絡、本国から(なぜか)送られて来た私のKMFの準備だ」

 

「はっ……………はっ!?あれをですか!?あの殺人ブースターをですか!?」

 

「そこまで驚くことは無いだろう………」

 

「さすがにあれは危険すぎます!データを拝見いたしましたが、人が乗っていいものではありません!どうか考え直してください!」

 

「マルドゥック大佐、これは、総力戦、総力戦だぞ?旗頭たる私が先頭に立たずして、何が『戦』か………たとえ戦場の激しい弾雨の中であろうと、指揮官は前線に立ってこそだ」

 

「カーライル様!今はもう古き良き騎士の時代ではないのです!大砲の榴弾と、機関銃の弾雨、そして高機動のKMFが跋扈する戦場なのです!剣や槍を持って名乗りを交わすようなことはもうないのです!」

 

「君の言う通り、私の野郎としていることは、時代錯誤も甚だしい老害の言葉のようなものなのだろう……………だが勘違いしないでくれたまえよマルドゥック大佐、私がわざわざあんなKMFで飛び込んで見せるのは、二次元的な動きしかできない地上のKMF部隊の援護のためだ」

 

明らかに重装備かつ飛行できる私のテンペストと、地上から迫る数千以上のKMF、敵にすればどちらも脅威、だが弱点を狙い易い

 

「た、確かに、カーライル様のKMFならば上空から圧力をかけることで地上のKMF部隊への攻撃が分散するかもしれません…………しかしその分のしわ寄せがカーライル様に向かうのですよ!?良くても撃墜、最悪は………そんなことになってしまっては、士気にも関わります!」

 

「そう、士気だ、突き詰めれば火事場の馬鹿力や、只の意地の張り合いでしかないんだ、この戦争は敵も味方も、誰もかれもが意地で戦っている、それで人が死に過ぎて、今更やめられない……………『同胞がたくさん死んだのに今更和平など!』とな」

 

「それは…………カーライル様、それは正しい見方です、意地の張り合いで戦いを止めることが、武器を捨てることができない、確かにそうです、ですが我々は兵士である前に人間です!たくさん死んで行った仲間を思うと、思ってしまうと、武器を捨てるなんて考えは消えて、頭の中で『殺せ、殺せ!』と叫ぶ声が聞こえてくる!」

 

マルドゥック大佐は怒りに震えながら、鬼すら裸足で逃げ出すような形相で私を睨みつけた。

 

「あなたにはわからないでしょう!たったの数年で、200万以上の仲間を失った私の気持ちは!」

 

「……………この戦争は、かの100年戦争の再現だ、奴らが勝っても我々が勝っても、あの時と同じ━━━━荒廃した土地しか残らない、ユーロピアを破滅させ、仇を打った後、残るものは灰のみだぞ」

 

「それでも!それでも奴らを殺さなければ………殺し尽くさなければ……………報われない、報われないんだ………」

 

「君も、私も、誰もかれもがきっと、戦争に取り憑かれた愚者なのだろう…………君の気持ちはよくわかる、だが、人類がこれ以上の愚を重ねないためにも、ここで講和を申し込みたい、後々の子供達のためにも」

 

「………………わかりました」

 

「ありがとう、ここで反対してくれなくてよかった……………通信入れろ………こほん……」

 

「全域のユーロブリタニア、及びブリタニア軍に告げる!これより私、ツキト・カーライルは、ユーロピア共和国連合との講和を申し込みに単独行動を行う!各員は現時刻をもって別命あるまでは待機!」

 

『了解しました、砲兵隊は射撃中止!射撃中止!』

 

『KMF隊了解、現在地にて待機します』

 

『戦車隊、歩兵部隊も了解!』

 

「苦渋の決断を呑み、私に機会を与えてくれた諸君に感謝を、 同志のためにも、必ずや戦争を終わらせてみせる!」

 

停車した指揮車から降り、トレーラーのテンペストへ向かう。

 

「カーライル様!」

 

指揮車からマルドゥック大佐が降りて私の前に立った。

 

「必ず、必ず戦争を、終わらせてください!」

 

決意した表情でそう言い放つマルドゥック大佐、次いで綺麗な動作で敬礼をしてきた。

 

私は、彼にしっかりと正対すると、久しく被っていなかった軍帽を被り、新しいラウンズの正装を揃え、気をつけの姿勢をとって敬礼を返した。

 

「まかせろ」

 

それだけ言って、トレーラーへと歩く、テンペストはすでにブリタニア軍整備班によって発進準備が完了しているようだ。

 

さて、柄では無いんだが……………。

 

「あの方々の望み、叶えずして何が騎士か」

 

少しは忠義者らしく、人間らしくいかせてもらおうか。




『人がいくら死のうが関係ない』

⬇︎

『犠牲は少なく、誰も傷つかないで良いように』

と感情の変化?……………と思わせといて理由はナナリーちゃんですはい、当たり前だよなぁ?

行動原理が独善的過ぎるって、それ一番言われてるから。
まあ結果的に好感度上がるんですけどね。

しかしユーロブリタニア、ブリタニアともによく調教されてらっしゃる……………やっぱりカリスマ性と洗脳技術は大事だよね!(ゲス)

次回、講和なるか?

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