パリ。
『花の都』と呼ばれた芸術と愛憎の街。
ユーロピア連合以前の旧国家、フランスの首都だった街だ。
『パリ』、と言えば『凱旋門』、というほどに巨大な凱旋門は人気だ。
フランス革命後、軍事独裁政権を確立したナポレオンによる『ナポレオン戦争』が勃発、その戦火の中で、前世ではなかったことが起きた━━━━イングランドがフランスを中心とした諸王国軍によって落とされたのだ。
100年戦争からおよそ700年程度も経っていない時期に、フランス軍による上陸作戦を阻止しきれずイングランドの首都・ロンドンは堕ちた━━━━混乱の中、多くの皇族、貴族が新大陸へと落ち延び、今のアメリカ大陸における神聖ブリタニア帝国の誕生となった。
その後、相次ぐ革命戦争によって皇帝ナポレオンは処刑され、国家同士を繋ぐ連合という形に落ち着いたのである。
ユーロピア連合の年号がブリタニアと違って200年もなく、歴史も浅いのは、このあたりが原因である。
『個人の自由』、という点において国際社会上で最も先を行くのがユーロピア連合………となるだった。
連合へと体制を変えてからたったの数年足らずで傷の舐め合いにしかならない民主主義政権がまかり通るようになり、190年余りの時間が、ユーロピア連合から当初のあり方を奪うのには十分過ぎた。
民のための軍隊を目指した200年ほど前の賢人たちは、世代交代を繰り返した結果、自己の安寧のみを求め他者を鑑みない、愚者の集団へと堕落した。
ブリタニアが常に進歩、進化を重ねる中で、ユーロピア連合は停滞し、それどころか退化してしまった。
その結果が、数年前に行われたブリタニア軍の強行上陸作戦に対する阻止部隊の大敗北、物量に飲み込まれ、あっという間に首都に手が届くまでに押し込まれたのだ。
そして今、人民のためと謳ってきた政府と軍部は━━━━民を捨て、要塞に引きこもって武装国家の真似事をし出した。
いや、国家というよりは、テロリストか、規模のでかい野盗だ。
まともな考えもできなくなった政府と正規軍もそうだが………。
「こっち(パリ)のほうもまともな組織じゃなさそうだけど……」
「お嬢ちゃん、袋詰め終わったよ」
「ありがとうございます、お代は……」
「要らないよ、うちの店は難民キャンプの支援もやってんだ、あんたキャンプの人だろう?」
「えぇ、少し前にね」
「なら、タダでいいぜ」
「本当にいいの?」
「いいっていいって、それに、あんたみてえな可愛い嬢ちゃんから金なんて取れねえよ」
「あら、お上手ねえ………それじゃあ、また、男前の店主さん」
「おうよ!まいどあり!」
ふむ、パリの有志同盟は街中の市民を味方につけているようだな。
ざっと回っただけだが…………通りは綺麗だ、ゴミはきちんと路上のゴミ箱に入れられている。
喧嘩は時たま起きて、有志同盟らしきもの達が止めに入るが、暴力や圧力で辞めさせるのではなく、互いの意見を聞いた上で仲裁で終わらせている。
さっきのパン屋のように難民支援を請け負う者もいる。
気の良い民だからというのもあるんだろうが、有志同盟の信頼は大きいようだ。
通常、このような乱世のようになってしまった国の首都というのは、どこもかしこも荒れ果てた荒野よりも悲惨な状態になると思われるが、政府関係の建造物とその周りがボロボロな以外は綺麗な状態だ。
さっきのようにパンを無料提供できるということは、どこかしらから仕入れているということだ。
付近に農家はあったが、ほとんどが空だった、となると、どこかに巨大な倉庫でもあって、定期的に運んでいるのだろう。
少なくとも、そこにはパリの難民キャンプを賄える程度の小麦があるはずだ。
食糧はいつの時代も重要な軍事物資、あるであろう巨大倉庫を見つけさえできれば、パリの掌握はたやすいはずだ。
だが、要塞に引きこもった連中は何を食ってるんだ?まさか、時代遅れの瓶詰めスープじゃあなかろうな?
さすがの瓶詰めでもそれでは腹を壊すだろう、無難にレーションの類が豊富なのか、あるいは畑でも作ったか?
そういえば、要塞の連中がパリの有志同盟に流れているんだったか、となれば、おそらく要塞の連中は味方が抜けていってしまうほどの食糧難のはず。
要塞の連中も倉庫に取りに行くと考えると、おそらく倉庫の位置は要塞とパリを直線で結んだ時、パリ側の延長線上の方向にあるはず。
パリと要塞は何十キロも離れている、それ以上離れた倉庫まで行くとなると相当な時間がかかる、それに耐えかねての離反━━━━飯は仕事をする上でかなり重要だ、その飯が食わせてもらえず組織を離れるのは、理由としてはしっくり来る。
有志同盟は要塞の連中を潰す気なのか、放置なのか、考えによっては動き方も変わるだろう。
もしくは、有志同盟はすでに倉庫を封鎖していて、食糧を独り占めしているのやもしれん。
どちらにせよ好都合か、まず第一に『どこかにある倉庫を抑える』こと、そうするには場所を特定する必要がある。
ここまで包囲網を狭めても見つからないとするならば………おそらくは地下にあるはずだ。
地下の空洞をスキャンするか…………いや、大きな空洞を作るなら地図が残るはずだ。
「(グレーテル、聞こえるか?)」
(聞こえるよ、何か用なの?こっちは寝てたんだけど)
「(隠し持って来た通信機がカバンの中にある、今からイメージを送るからそのイメージ通りに通信機で友軍に通達しろ)」
(………………………よくそんなの思いつくね?)
「(これが今の仕事だからな、さっさと送れ、短めでな)」
(特定されちゃったら嫌だしねぇ……………ほいほい、っと、送ったよ、オリジナル)
「(ご苦労、何かあったまた呼ぶ)」
動き出すまでには数時間はかかるだろう、それまでは満喫させてもらおう。
「マリアさーん!」
「あら、レイラじゃないの!」
レイラ・マルカル中佐………とその部下4人、有志同盟側だったのか。
「元気そうじゃない、そうだ!そこのパン屋さんで貰ったの、一緒に食べない?」
「有り難いのですが、今は巡回中でして………」
「そうなの?じゃあ一緒に歩きながら食べましょう?」
「いえ、そんな…………」
「いいじゃないの、貰っときなさいよ」
レイラじゃないほうの女からアシストが入る。
「ですが………」
「アヤノ、あなたいいこと言うわね、ね?いいじゃないのレイラ」
「で、では、失礼ながら」
「かしこまらなくていいのに、私たち友達でしょ?もっと気楽でいいのよ」
ソッとパンを差し出す。
「そう、ですか?じゃあ、ありがとう、マリア」
レイラはそう言って恥ずかしがりつつパンを受け取った。
初々しいな、まだ恋も知らぬか。
「俺たちの分はねえの?」
「ちゃーんとあるわよ、ほら、好きなの取りなさい」
袋を胸元で抱きかかえたまま左手で袋の口を広げて見せる。
「お!あんぱんじゃねえか!俺はこいつにするぜ」
「フランスパンばかりじゃないんだ………僕はこっちのフレンチトースト」
「私は…………うーん…………こっち!チョコのやつ」
「チョコブレッドね、レイラのはメロンパンよ」
「メロン、パン?」
メロンパンを知らな…………あぁ、たしか日本発祥だったか?お嬢様風のレイラが知らないのも納得だ。
「メロンは入ってないの、焼き目がメロンみたいに見えるから、メロンパンなのよ、フチは硬めで中はふんわりしてるの、甘くて美味しいわよ」
「なるほど…………はむっ…………!、これは!たしかにフチが硬めで、柔らかいクッキーか、タルトのようです!でも中はふわふわしてて美味しいです!」
お、おぉ…………メロンパンでここまで感動されると引くな………だが、メロンパン好きに悪者はいない、はず。
「喜んでもらえて何よりだわ、あっ、そういえばアキトがまだ取ってなかったわね、何がいい?」
「……………これ」
おっと、ピザトーストか、意外とこってりしたものが好きなのか。
「あら?ピザトーストにしたのね、コロネとか甘いものもあるのに」
「具が、美味しそうだったから」
「わかる?私も思ったのよね、のっかってる具材のソーセージがピザソースで美味しそうに見えるのよねえ」
「うっ…………ソーセージ………」
「ソーセージよ?…………あっ、もしかして、魚が苦手だったりするの?」
「えっ?意外です……アキトが魚が苦手なんて」
本当に意外だな………そういえば、川で釣った魚の料理を出した時もアキトだけ食べてなかったな。
付け合わせのサラダだけ食ってたか。
魚が苦手なアキトをからかいつつ、巡回に付き合った。
巡回を終え、彼らと別れてテントに戻る、眠っているグレーテルを尻目に横になる。
巡回中にわかったことはパリの地形の把握と巡回ルートおよび組織の本部の把握、各人が小規模ながら武装をしていつるということ、カメラ等の監視資材は無し。
武装はユーロピア軍の正式採用拳銃らしきオートマティックが一丁のみ、チラ見だがおそらく標準的な9mm口径、グリップの細さから考えて8〜10発程度と見ていいだろう。
数十人に1人の単位でアサルトライフルを持っていたな、軍にいた頃はマークスマンだったのだろうか、街中にいたのは6人、全員で10人以上いるだろう、警戒しておこう。
しかし、それでもパリという町を警戒するにはガバガバすぎる…………実戦経験の少ない将校あたりがトップなのだろう。
レイラ中佐がトップならば巡回などしてる暇はない、おそらく貴族のボンボンか脳足りんがトップにいて、警備の内容に口出しした結果、レイラ中佐は巡回に回されてしまっているわけか。
だがまあ、脳足りんがトップならばこちらもやりやすい、正直レイラ中佐との頭脳戦もやってみたいものだが、時間がかかって戦争が長引くのは本望ではない。
さて、どうしてやろうか?
ナナリーside
お久しぶり………というほどでもないですが、一応お久しぶりと言わせてもらいますね。
ツキトさんがラウンズの責務としてユーロピア連合との戦争の視察のために日本を立ってからもう2ヶ月が立ってしまいました。
テレビから流れてくる戦況報道は、ユーロブリタニアというヨーロッパのブリタニア軍の善戦と、ツキトさんについて話をしています。
ツキトさんは毎日のように保護された子供と遊んだり、兵隊さんの相談にのったり、和やかな報道が流れ、とても人気があります。
インターネットでも『人命第一』を掲げるツキトさんの在り方と行動が肯定的に見られ、もっともっと大きく評価されているみたいです。
「おっはよーナナリー、昨日の戦況報道見た?」
「おはようございますマリーさん、もちろん見ましたよ」
「ラウンズ・オブ・サーティーンの人命保護により保護市民1000万人突破!ユーロピア軍内部は分裂!戦意喪失して捕虜へ!………く〜〜っ!戦わずして相手を弱らせるなんて策士よね!」
席に座って興奮してそう言うマリーさん、たしかにツキトさんは策士ですね。
「人助けでツキトさんの評判は上がり続けてますしね、ただ…………やっぱり戦闘とかは」
「報道だと今までで2回だけみたい…………でもネットではもう数え切れないほど戦場に出てるって」
「出ないでくださいって言ったのに…………できればラウンズもやめてほしいのに」
「それ言ったら本当にラウンズやめそうね………まあ、お金いっぱい持ってるだろうから、正直ラウンズ辞めてもらって『私と』2人でランデブーしてほしいってのはあるかな」
「何言ってんですかランデブるのは私ですから」ギョロリ!
「ちょっとちょっとナナリー怖いって!もー…………でも、ラウンズを辞めた後に、2人でほっそり農業でもやって生きる……そういう未来もいいかもしれないわね」
「そうですね………」
でも、そんな未来は━━━━こない。
来るはずが、ない。
ツキトさんが私とお兄様の側にいる限り、ツキトさんに自由は無い。
ツキトさんは、私とお兄様の『従者』をやめることはない。
結婚しても、子供ができても、きっと……………。
ううん、ダメ、ダメよナナリー。
ツキトさんと幸せになるんですから!
「だから、私が頑張らないと…………」
「ほほ〜う?何考えてるのかわからないけど、無茶はダメよ無茶は、カーライルさんが悲しむもの」
「わかってます!…………でも、私がしっかりしないと、ツキトさんは安心してくれない、安心させるには、私が」
「あーはいはい、苦行スイッチなんて入れないでいいから…………まあ、ナナリーのいうことも一理あるわね、今度何かプレゼントするのはどう?」
「プレゼント…………プレゼント!いいですね!でも何を贈れば……」
「うーん、休日の日に仕事や面倒なことをさせないようにして、ゆっくり休んでもらうとか?」
「休日ですか…………いいかもしれません、ユーロピアから帰ってきたら早速やってみましょうか」
「私も………」
「ダメです」
「えーちょっとくらい、いーじゃないの〜………」
「ダメですー、ツキトさんを癒すのは私だけd………あ、すみませんメールが」
咲世子さんから?『戦況報道が大変』?
URL貼ってありますね、ビデオみたいです。
「なになに?誰から?」
「お手伝いの咲世子さんからです、動画が送られてきました」
「へー、見てみよ!まだ時間あるし」
「はい!」
URLから動画再生アプリにアクセス、再生ボタンをタップします。
noside
ツキトとグレーテルは情報を集め、小型通信器で暗号化して友軍に流しつつ、着々と有志同盟崩壊の計画を遂行させていた。
レイラたちから内部事情を少しずつ、欲張らないように気をつけて聞き出し、有志同盟の要塞に対する少量の食料・物資の定期的な搬送等の情報を掴み、地図と巡回場所を見比べつつ町にある要所などを割り当てた。
散歩や買い物に見せかけて要所に手製のマグネシウム爆弾を仕掛けていく、これは破壊目的ではなく、強烈な音と数秒間失明するレベルの閃光による、避難民の混乱誘発のためのおもちゃだ。
さらに、火種が飛び散り、かつ消えにくいようにいろいろなものを混ぜ、燃焼時間が長くて消えにくく、燃え移りやすいものとなった、ちょっとした焼夷手榴弾だ。
パニックの最中で消火活動を手伝うように見せかけ、要所のひとつである武器保管所から武器を盗み出し、パニックの群衆の中を事前に準備させておいたグレーテルが運転するバイクで見つかることなく逃走。
これにて、有志同盟のもとに集っていた避難民は各地に拡散、火事はすぐに消せてもパニックは鎮火できるまで時間がかかる、ぐちゃぐちゃの状況の中に『有志同盟に裏切り者がいる』などと噂が流れればどうだろうか?
疑心暗鬼にかられた有志同盟は空中分解、避難民は完全に離れ、パリはもぬけの殻となる、そうなればパリに無血入城、華々しい凱旋を飾り、戦争は終結。
そう、ツキトは考えた。
有志同盟の無能指揮官のおかげで、一連の流れを完璧にやり通した。
爆音と閃光、飛び火した炎が重要施設を焼いていく。
至る所で起きた火災に避難民はパニック、パリの炎から逃げる避難民たち、消火活動にあたる有志同盟。
その最中、持てるだけの武器弾薬を毛布で包んで盗んだツキトが、グレーテル駆るバイクで逃走。
100点満点、パーフェクトだった。
だが、一箇所だけ、ミスがあった。
察しの良いアキトと、指揮官として有能なレイラ、脱出の直前にこの2人に、私がツキト・カーライルであるとバレてしまったのだ。
ツキトが『これでは50点にもならない』と嘆くであろう失態である。
だがパニックを起こした犯人とは気づかず、またパニックの沈静化に向かわざる得ない状況のため、見逃すほかなかった。
その後、アキトとレイラらは有志同盟の崩壊を食い止めるべくwZERO部隊メンバーと活動するが、崩壊は止められず、多くの人が離れ、行き場を失い、ほとんどが要塞へと流れていった。
wZERO部隊メンバーは、流れの民族と出会い、生活を共にするのだが…………それはまた別の話。
かくして、ツキト・カーライルの思惑によって、ユーロピア軍の戦力ほぼ全てが要塞に集結した。
戦争の終わりは近い。
ナナリーside
ビデオはツキトさんのインタビューの様子のようです、日付をみるについ昨日の出来事みたいですね。
『カーライル様、この2週間どこにいらしたのですか?』
『パリまで散歩に行っていた』
「敵国の首都に散歩感覚で行ってたとか…………やっぱりカーライルさんは格が違うわ」
「ゴイスーです!」
『パリと言いますと、ユーロピアの首都のことでしょうか?』
『そうだ、じきに戦争も終わる━━━━相手は徹底抗戦がお望みのようだが、もう戦闘を続けるだけの余力は無い、そして包囲網は完成した━━━━勝利の女神が、何かの間違いでユーロピアに微笑みかけない限り、我らブリタニアの勝利に揺るぎはない』
「…………慢心かな?」
「慢心したように見せるパフォーマンスだと思いますよ、ほら、目が笑っていませんから」
「よく見えるわねナナリー………」
「見なくても声でわかりますけどね」
「(勝てるかな、私……)」
『勝敗は決したということですか、ではなぜ単身パリへ?危険ではなかったのですか?』
『単身では行かんよ、さすがに怖いので、部下は連れて行った………君の言う通り、危険ではあった、だがそれ以上に私にはより多くの民を救うという使命があった、そのためにパリの状況をこの目で見る必要があった』
『パリで爆発テロがあったと聞きましたが、お怪我などされませんでしたか?』
『幸いにも無傷だ、あの時は本当に焦った………パリの難民キャンプで情報収集を行なっている時、突然、雷の如く轟音と、眼球を焼くような閃光に襲われた━━━━部下に乗り物を用意させていなければ、難民たちの混乱の中で抜け出すことはできなかった』
「どう考えてもスペックおかしいわねカーライルさん」
「大抵なんでもできちゃう人ですからね…………だから頑張り過ぎて怪我をするんです」
「あー…………カーライルさんを思いっきり甘やかしたいわー」
「仕事が忙しくて帰ってくることが少ないのをどうにかしないとですね………」
「ラウンズの仕事を減らすって相当よねえ…………厳しいわね」
noside
1週間後
「悲劇は、ここで終わらせなければならない━━━━何者でもなく、どこかの誰でもなく、我々自身の手で」
「ついに我らは、かつて偉大なる大祖父達が成し得なかった夢の切れ端を掴んだ━━━待ちに待った、望みに望んだ『欧州奪還』という名の夢だ」
「それが今、現実のものとなろうとしている」
「ドイツ、イタリア、ポルトガル、オランダ、ポーランド、スイスですら、我らの欧州奪還という夢の前に潰えた━━━━残るフランスは、かつて100年戦争において、かの聖処女ジャンヌ・ダルクの旗の元に、我らの祖先、ブリテンの勇士達は敗れた」
「そして、その数百年後の祖先の前に、あの憎っくき邪智暴虐にして権力の化身、ナポレオン・ボナパルトが現れ、皇帝を名乗って我らのかつての故郷、ブリテン島が悉く蹂躙されたのだ!━━━━神はその時、我らを見放した!天上の神々は、ブリテンを恐れるあまり、フランスという駒を持って我らを滅ぼさんとしたのだ!」
「そのようなこと、なるものか!なってなるものか!ブリテンの子孫たる我らが、神聖ブリタニア帝国皇帝陛下の臣民たる我らが!いかなる理由をもってしても、自らの滅びの結末を享受できるものか!」
「見せつけてやらねば!天上の神々に!我々ブリタニアの、そして祖たるブリテンの輝かしき勝利の瞬間を!皇帝陛下という1人の元に集いし、我ら栄光の騎士達が、愚かな神々を打倒し、この欧州の地平のすべてを、皇帝陛下の旗で埋め尽くすのだ!」
「我らの勝利こそ、欧州全土の救われぬ魂への、最大の鎮魂(慰め)となる!!」
「武器を執れ!前へ進め!剣を突き立て吼えよ!ブリタニアの栄光を!」
「オール・ハイル・ブリタニア!」
ユーロブリタニア軍包囲殲滅師団4個
ユーロブリタニア遊撃KMF連隊3個
ユーロブリタニア装甲戦車大隊2個
ユーロブリタニア・ブリタニア共同歩兵連隊合計5個
ユーロブリタニア騎士団(KMF大隊規模)3個
神聖ブリタニア帝国皇帝陛下直轄【円卓の騎士(ナイト・オブ・ラウンドテーブル)】、通称【ラウンズ】、『災厄の席』の騎士、ナイト・オブ・サーティーン「ツキト・カーライル」
以上、全軍、各所より進軍開始。
目標、要塞、敵、ユーロピア連合軍、推定、1万と6000。
さーブリタニアとユーロピアの戦争の行方はどうなるのか(棒読み)