コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

54 / 96
幼女戦記面白いですね

あと亡国のアキト、正直戦闘シーン以外はそんなに……あとKMFの性能もどう考えてもおかしい………。




『民間人』の『保護』は半ば『義務』

ツキトside

 

 

ユーロピア共和国連合国内でなぜか過激な反戦運動やテロが起こりつつあるなか、私はあの前線キャンプを離れ、1人と棺桶を連れてアシュレイ・アシュラ率いる騎士団員と共にとある地方の都市に来ていた。

 

もちろん観光ではなく、制圧のために。

 

グロースターソードマン、両脇にヒートソードを一本ずつで二本標準装備するユーロ・ブリタニア軍の中でもエースに分類されるグロースターの近接特化カスタムのKMF。

 

これを先日3機受領し、搭乗して街中を悠々と移動中だ。

 

『アシュレイ・アシュラだ、よろしく頼むぜぇ、ラウンズさんよ!』

 

「ツキト・カーライル、私の部下共々よろしく頼む」

 

赤いグロースターソードマンに乗るのはアシュレイ・アシュラ、アシュレイ隊の隊長でKMFの操縦もかなりのものと聞く。

 

好戦的過ぎる面を除けば、なかなか扱い易い奴なのだが、一度キレたら言うこと聞かなそうだし、なるほど近づかないのが吉か。

 

『おうよ!………しかしその部下、なぁんも喋らねえな』

 

「申し訳ないが、彼女たちは喋れないのだ、腕は確かで私の命令には忠実だから心配せずとも良い」

 

『へえ〜?んでも見た目はかーなーりー良かったし、どこで見つけたんだぁ?あんなとびっきりの上玉』

 

『アシュレイ様、下品ですよ』

 

『いいじゃねえかよ、お前らも気になるだろ?無口でとびっきりの美人が2人、どこかしらんがいきなり降って湧いて来やがったんだ………どうなんだ?カーライルさんよ』

 

意外と頭は回るんだな………。

 

「ふむ………正直に話そうか」

 

よし、正直に嘘つくか。

 

『おぉ!?そうこなくっちゃぁな!』

 

やけに元気な奴だな。

 

「彼女たちは人間ではない、顔だけ人間そっくりの戦闘用ドローンだ」

 

『あれでか!?マジモンの女だと思ってたんだが………』

 

意外とあっさり信じたな、まあ実際はそんなに安っぽいもんじゃないが。

 

「今はまだ無表情だが、いずれは表情を変えられるようにし、体つきもより女性的にした戦闘用アンドロイドを作り、世界中にばら撒いて要人暗殺などの任務に就かせるのだ」

 

『やべえもん作ってんだな…………ドローンっつってたが、大丈夫なのか?足引っ張りやしねえよな?』

 

「戦闘データをシコタマ詰め込んである、最新の学習装置もつけてある、KMFの操作はそこらの兵よりうまい、もしかしたら、そっちの部下よりも強いかも………な」

 

これは本当だ、ある程度の自律行動にはパターン化した行動が必要だからな。

 

『大したもんだぜ、戦力としては期待して良いわけだな?』

 

「あぁ、だがベッドの相手は期待するな、まだ穴はないんだ」

 

『人形とヤル趣味はねえよ!』

 

面白いやつだな、アシュレイという男は、近づいたら危ないと警鐘がなってるから迂闊に接触はしないがな。

 

「それを聞いて安心した…………むっ」

 

何か………くる。

 

『どうしたんだカーライル?』

 

「…………敵だ、KMFが15機ほど」

 

『………マジみてえだな』

 

しかし熱源反応がおかしい………もしや!

 

「………訂正する、KMFは4機、残りはドローンだ、近いぞ!全機全周警戒!」

 

『ちっ、面倒なことしてくれやがる…………だがまあ敵がいんならそれでいい!みんなまとめてぶった切ってやらあ!』

 

好戦的だなぁ…………まあ、楽できるから良いか。

 

「アシュラ卿とアシュレイ隊は先行してくれ、私たちは他に反応が無いか周囲を索敵する」

 

『急がねえと食っちまうからなあ!』

 

「そうか?4機程度、私なら3分もかからんぞ?急いで向かったほうがいいんじゃないか?」

 

『言ってくれるぜ…………お前らしっかり着いて来いよ!』ギャリリリリ!

 

『アシュレイ様!?………皆いくぞ!』ギャリリリリ!

 

『『了解!』』ギャリリリリ!

 

アシュレイ隊が先行するのを見送り、近くの路地で停止し、通信を遮断してKMFを降りる。

 

「ヘンゼル、グレーテル、準備はいいな?」

 

ヘンゼル、グレーテルと呼ばれた2人の少女、その見た目はほとんど同じ、蒼い目と銀髪の私と同じくらいの背丈の女の子を想定した造形だ。

 

「「はい」」

 

しっかりと返事を返すヘンゼルとグレーテル、うむ、感度は良好のようだ。

 

「戦闘は私とリンクして行う、学習装置を起動させておけ」

 

「「はい」」

 

「ではリンクする、来い」

 

2人と手を重ねる、リンクすると言っても難しいわけではない。

 

ガウェイン・アンジェラのインコムと同じ感応波でヘンゼルとグレーテルは私とリンクできる。

 

リンクするとしないとでは単独行動時に差が出る、リンクしない場合は無口無表情で機械的であるが、リンクした場合は表情豊かでよく喋るし戦闘能力も上がる。

 

基本はコンピュータによる計算で戦闘は行われるが、私とリンクした場合にのみ限って、私と完全に同期させられる。

 

つまり、私と同じ思考、実力を持った者が3人に増えるということ、加えて同期中ならば行動にも介入出来る、理論上コンビネーションは完璧だ。

 

「………ん、ん〜〜……リンク成功よ」

 

「ふぅ………やっぱりちょっとだるいわ……」

 

まあ弱点が無いわけがなく、私の特性がそのまま引き継がれるため、悪い部分も引き継いでしまうことだ。

 

「さーてと、さっさと掃除しちゃいましょ?」

 

「そうだが、学習装置の起動はいいか?」

 

「ん〜〜………問題、なーし!」

 

ヘンゼルは私のおちゃらけたキャラを少し強調されてしまう、まあ碧眼銀髪で付き合いやすいキャラクター性は嫌いじゃ無いから別にいい。

 

「早く寝たいんですけど………ってかまた寝てないでしょ?オリジナルはナナリーちゃんがいないとまともに睡眠も………」

 

「学習装置の起動は?」食い気味

 

「無視っすか………起動よし……ふぁぁ………」

 

しかしグレーテルは問題児だった、私のやる気のない部分と寝不足(基本的にナナリーの膝でしか熟睡できない)の部分が強調される、常にだるいだるい言ってて少しウザい。

 

しかしどちらもKMFの腕は腐っても私と理論上ほぼ同等である、それになんだかんだ言いつつ指示はちゃんと聞くし、同期中の行動への介入も抵抗が無い。

 

これだけのスペックを確保するためにコストが馬鹿にならないこと、私以外ではリンクや思考の同調が出来ないという、欠点しかないドローン(アンドロイドと呼ぶべきだが、戦闘用のためドローンと呼ぶ)ではあるが、物は使いようだろう。

 

貴重だから、と言って使わずに誇りをかぶせるようではいけない、ブリタニアにそんな余裕はないのだ。

 

「よし、ヘンゼルとグレーテルはKMFに乗り込んで広域索敵だ」

 

「はいはーい、じゃああたしこっちの方から回るね」

 

「んじゃあたしはこっちからグルっていくわ……あー腰痛」

 

「あぁそうだ、共感覚で情報共有を忘れるなよ…………あとグレーテル、腰痛の感覚を共有させるなよ」

 

「わーってますぅー」

 

面倒臭そうに顔を歪めて返事を返すグレーテル。

 

………………ナナリーもこんな風に反抗期になる日が来るのだろうか?

 

「日本エリアに帰ったらロイドに部品交換してもらうことになるから、それまで我慢しろ」

 

「ちょっと待ってオリジナル!あたし達に男に裸見せろっていうの!?」

 

「別にいいじゃんヘンゼル、あのオッサンって女に興味無さそうだし」

 

そういえば、ヘンゼルはグレーテルよりも女の子らしい感性になるんだったか。

 

ここだけ見ると身持ちの固い女子大生と娼婦みたいだな。

 

「オリジナルはいいの!?仮にもリンクしてる状態であんなところやそんなところを触られちゃうのよ!?」

 

「リンク切って同期やめれば私は無関係だしな、というかお前たちの体って顔以外はのっぺらぼうだろうに」

 

「そういう問題じゃない!羞恥心の問題!」

 

「だからリンク切って同期やめれば何も感じないだろうに」

 

「記録が残るの!で!次のリンクの時物凄い恥ずかしくなるの!」

 

お前本当にロボットかよ………まるでナナリーに迫られて処女の乙女のように恥ずかしがる私みたいじゃないか。

 

…………自分で言ってて死にたくなるなこれ。

 

「実際さー、あたし達、処女じゃん」

 

「グレーテル!そういうこと言わない!」

 

はぁー、面倒くさ…………って、こういうところがグレーテルに引き継がれているんだった

 

「じゃあヘンゼル、誰に部品交換してもらうならいいんだ?」

 

「オリジナルか、あの研究員の男のそばにいる………」

 

「セシルか、彼女の技術者としての腕は確かだ、期待していいぞ」

 

「そう、じゃあ安心ねー、あっでも、あたしはオリジナルでもよかったんだけどねー」

 

「まあ私はお前たちを意識してないからな」

 

自分の分身だしな、ナルシストでもない限り自分に欲情なんてとても出来ん。

 

「というか早くKMFに乗って索敵してこい、まだ接敵していないが、近くに敵が確かにいる、いつ戦闘になるかわからん」

 

「横暴だーオリジナルの横暴はガンとして許s」

 

「部品交換はロイドにやらせたほうがいいか………」

 

「はい乗りまーす!乗りますよー!もうね、住んじゃうくらいだね!」

 

「じゃあ棺桶は廃棄で」

 

「ごめんなさい、あっちの方が落ち着くので捨てないでください………」

 

ヘンゼルのやつは本当に反応が面白いな。

 

…………面白いと思うということは、私は自分の分身をいじめて喜んでいるドMになるんだよな………。

 

狭いところが落ち着くのは私もそうだが……………棺桶が落ち着くのか?

 

『索敵いってきまーす!』

 

そそくさと、しかしアクロバティックにKMFに乗り込んだヘンゼルはスラッシュハーケンをビルの屋上付近に打ち込み、それを巻き取ってウィンチがわりにして屋上まで上がった、ビルの屋上を伝いながら索敵するようだ。

 

「さて………グレーテル、お前も寝てないで行け」

 

「むにゃむにゃ…………ふぁーい……」

 

「はぁ………終わったらリンクしたまま寝てもいいから」

 

「!!…………グレーテル、グロースターソードマンで索敵行動に入ります!」キリッ

 

グレーテルてめえ………リンクしたままの睡眠を許可した途端に無駄にかっこいい表情で素早く出て行きやがった。

 

ったく、ヘンゼルもグレーテルもめんどくさい性格してやがる………………まあ原因の半分は私なんだが。

 

行動に介入すれば早かったかもしれんが、リンク状態での独立行動がどの程度できるのか、その検証も必要だからだ。

 

私もKMFに乗り込み、街道を走り始めた。

 

(オリジナル?オリジナルー?聞こえてる?)

 

「(むっ………これが共感覚か)」

 

頭の中で響くヘンゼルの声に少し驚く。

 

(そそ、どう?気持ち悪いとかない?)

 

「(ないな、いきなり頭の中で声がしたから驚いたが)」

 

(あたしのほうもそんな感じ)

 

「(そっちの方は?ノイズとかないのか?)」

 

(全然、むしろベンチとかで隣合って座って駄弁ってる感覚かな?)

 

「(そういうものか、しかし中々これはラクでいい、伝えたいことが瞬時に伝わる、頭の中でイメージするだけで共有できる。)」

 

(こんな便利な機能が、たった1人と2隊でしか出来ないなんてもったいないよねー)

 

「(仮に出来ても、私以外の人間では耐えられんだろう)」

 

どこにいても相手に自分のことが筒抜けなんて気味悪いしな。

 

(………あー、いつでもどこでも考えてること筒抜けだし、人間にとってはすごいストレスかもね)

 

「(だな……………ところでグレーテルは?)」

 

(よんだ?)

 

(また居眠りしてたの?)

 

「(器用なやつだな)」

 

居眠り運転で事故らないのか、テクニックと勘は確かなようだ。

 

「(新しい敵を発見次第、もしくは異変があった場合はすぐに共感覚で私に知らせろ)」

 

(はいはーい)

 

(ふぁーい………)

 

さて、戦闘能力データをたっぷり取らせてもらおうか。

 

「こちらツキト・カーライル、無線機にトラブル、ただいま音信途絶より復帰、状況知らせ」

 

『こちら3番機!亡霊だ!ハンニバルの亡霊が出た!』

 

ハンニバルの亡霊?…………ユーロピアのエース部隊か?だがそんなやつらデータベースには無かった………最近出てきた秘蔵っ子部隊なのだろう。

 

「ただちにそちらに向かう、持ちこたえろ(ヘンゼル、グレーテル、戦闘に参加、実戦データを取ってこい)」

 

(りょうか〜い、華麗に勝ってくるよー、あっ、終わったらゲームやらして!ゲーム!)

 

(終わったら寝かせてよねぇ……)

 

「(わかったわかった、どちらも撃墜1につき1時間許す、さっさとしないと私が全部狩るぞ?)

 

(4機全部狩るぞ〜!)

 

(4時間睡眠はあたしがもらう!)

 

……………まあ、やる気さえ出ればいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

noside

 

 

「ちくしょう!ちくしょおおお!!」

 

ガァァアギィン!

 

甲高い音が響いて3番機のヒートソードが弾き飛ばされる。

 

ゴォン!

 

「ガッ………ハッ……」

 

続いて蹴り飛ばされ民家に背中から激突して埋め込まれてしまうグロースターソードマン。

 

モニターに映し出される光景を見て3番機パイロットは絶望した。

 

目の前には1機のユーロピア軍KMF『アレクサンダ』、しかし通常のパイロットとは一線を画す戦闘能力を持つ『ハンニバルの亡霊』、とまことしやかに囁かれる都市伝説のような部隊。

 

その都市伝説の正体は、ユーロピア軍wZERO部隊のKMFパイロット、日向アキトによるユーロ・ブリタニア軍へのその異常ともいえる戦闘能力からそう呼ばれてきた。

 

それが目の前にいる、そして追い詰められている、恐怖は凄まじいものだろう、人間が感じることができる最大限の恐怖を、彼は感じているはずだ。

 

「う、うおおおおおおお!!」

 

そんな中で彼が立ち向かえたのは騎士としての意地であろう、効かないとわかっていながら動かぬ機体で対人用マシンガンを乱射する。

 

いかに装甲が薄いアレクサンダでも対人用マシンガンは無意味であり、右手のトンファーが掲げられる。

 

その時であった、アレクサンダにとっての側面からの突然に銃撃、57mmアサルトライフルの徹甲榴弾が襲いかかる。

 

アレクサンダは軽量さを生かした跳躍で回避を試みる、しかし回避機動の先を読まれて被弾、右腕が吹き飛んだ。

 

アレクサンダと3番機の間にグロースターソードマンが割り込む、57mmアサルトライフルを構えている。

 

アレクサンダーは不利と思ったのか、撤退していった。

 

「た、助かった………」

 

『3番機の人ー、大丈夫ー?』

 

「あ、あぁ、君が助けてくれたのか?」

 

無線から流れ込む陽気な女性の声、

3番機パイロットは軽そうな雰囲気を感じ取った。

 

『そーだよー』

 

「ところで君はどこの部隊の者なんだ?」

 

『あたし?オリジナル…………ツキト・カーライルの直属だけど?』

 

「そうか……感謝する、引き続き戦闘を………」

 

『こちらカーライル、貴官は一時戦線を離脱せよ』

 

突如かかってくるツキトからの無線通信、まるでタイミングを読んでいたかのような物言いだった。

 

「カーライル様!ですが私はまだ!」

 

『損害状況はモニターしている、下がれ』

 

「しかし!」

 

『無理して死傷者リストの行を増やすようであれば、今すぐにでも反逆者として処刑してやろうか?』

 

「ぐっ…………イエス、マイロード」

 

『賢明な判断だな』

 

一方的に切れたカーライルの通信に、行き場のない怒りを燃やす3番機パイロット。

 

『まーしょうがないよ、護衛しようか?』

 

「…………いや、いい、君は戦闘に戻ってくれ」

 

『はーい、気をつけてねー』

 

軽い様子の無線通信を切って3番機のグロースターソードマンは後方へ向かう。

 

「…………あれが、新型の戦闘ドローン、なのか?」

 

自分を助けた戦闘ドローンのあまりの人間らしい雰囲気や話し方に、嫌な汗を流す3番機パイロットだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

(下がらせたよー)

 

「(よくやった、そのまま損傷が酷いやつを下がらせろ)」

 

(りょーかい、さっきのはスコア1って数えていい?)

 

「(撃墜してないから0だ)」

 

(ケチー………次は仕留めてゲームプレイ1時間にしてやる!)

 

扱いやすいんだか、扱い辛いんだか………。

 

まあ、そこらの兵士よりは役には立つ、共感覚で視界も共有できるから戦闘の状況は見えるし、掌握が楽だ。

 

見ていたところでは射撃の腕は良いようだ、変態機動の敵を相手に当てられるとは。

 

私も出来ないことはないが…………しかし銃は得意ではないのに戦闘ドローンは普通に当てているな、戦闘データや私とのリンクによってある程度は均一化されるのだろうか?

 

近接特化にはならず、バランス寄りになるわけか。

 

おっと、見えてきたな。

 

アシュレイのグロースターソードマンとユーロピアのアレクサンダの銃撃と剣撃の豪雨の中に突っ込む。

 

「加勢するぞ、アシュラ」

 

アレクサンダに57mmアサルトライフルで牽制弾をばら撒きつつアシュレイの赤いグロースターソードマンに並ぶ。

 

『っ!カーライル!こいつはおれの!』

 

「すでにアシュレイ隊の半数が重大な損傷で戦闘不能、死人はまだ出てはいないが、残った奴らも損傷が激しい、長くは持たんぞ」

 

『退けってのか!?このアシュレイ様に!?』

 

「部下を無駄死にさせたいなら残ればいい」

 

(オリジナル、こっちは終わった………あーねむ)

 

(こっちの方も損傷酷いの下がらせたよー)

 

よし、これで周囲には私とアシュラ、ヘンゼルとグレーテルしかいなくなったわけだな。

 

一気にこいつを沈めて、帰ったら甘いココアでも…………なっ!?子供が瓦礫の側に!?

 

『逃げんなよハンニバルぅ!』

 

この脳筋バーサーカー!民間人を巻き添えにする気か!?

 

「くそがっ!」

 

子供の近くまで動き正面を盾にするように膝立ちの状態にし、コックピットから降りて子供のそばによる。

 

子供は8歳かそこらのいたって普通の健康そうな女の子だ、埃で服が汚れているが見た所怪我はなさそうだ。

 

「ここは危険だ、逃げるぞ」

 

「待って!お母さんが!お母さんが!」

 

子供泣きながら指差したのは瓦礫の一角、その隙間からは指輪をした左手が出ている。

 

戦闘で崩れた瓦礫の下敷きになったのか…………クソッタレが。

 

「オリジナル………なに?ナンパでもしてた?」

 

「この状況で………さすがだわ………」

 

ヘンゼルとグレーテルがグロースターで来た、運が味方してやがる!

 

「ヘンゼル!この子を連れて下がれ!グレーテル!瓦礫を掘るぞ、手伝え!」

 

「なーによ?一体何が……」

 

「この子の母親が瓦礫の下敷きになっている!早くしろ!」

 

思わず檄が飛ぶ、しまったと一瞬思う、が……。

 

「っ!了解したわ!グレーテル!しっかりやりなさいよ!」

 

「あたしを誰だと思ってんの?それでオリジナル、どこ掘ればいいの?」

 

こいつら…………私とリンクしてるからなのか、こういう時はしっかりしてやがる。

 

「あそこだ、慎重に頼むぞ」

 

「任せてよ」

 

跪いてマニピュレータを器用に動かして瓦礫を退かしていくグレーテル、精密動作もいける………って今はそんな状況ではない!

 

「お母さん………」

 

「さっ、あとは任せて、ここは危ないから安全なところに行こう」

 

「でも、お母さんが………」

 

「大丈夫、あたしたちが絶対助けるから」

 

女の子を励ましながら自分のグロースターに乗せるヘンゼル、それを確認してからグロースターに乗り込む。

 

「敵は私が引き付ける、お前たちは命令通りにやれ」

 

『傷ひとつつけさせやしないよ!』

 

『同じく、期待以上の行動ってやつを見せてあげる』

 

共感覚を知らない女の子が困惑しないように無線通信で会話を行った後、少し離れた場所で出力を絞り広域索敵の準備を行った。

 

「周囲の索敵を始める、データをリンクさせる」

 

曲がり角に一機、移動速度は低速……………そこかぁ!!

 

曲がり角から飛び出しながら57mmアサルトライフルをばら撒き、接近しつつ空いている左手でヒートソードを抜剣。

 

虚を突かれた敵KMF、アレクサンダは被弾して腕も脚もボロボロになりその場に崩れ落ちる。

 

反撃能力を失っているように見えるが、念のためだ、すれ違いざまに頭部を切断、これでカメラは死んだはず、通り過ぎたところで切り返して無防備なアレクサンダの背中に蹴りをかまし、壁面に叩きつける。

 

もう動けないか?これ以上壊せば解析は困難になる、コックピットブロックは出来る限り無傷で鹵獲したい。

 

コックピットブロックは情報の宝庫、作戦地図とかあれば最高だが………果たして。

 

周囲に敵影無し、脳筋バーサーカーは戦闘中か。

 

(あの子の母親確保、右脚はミンチだけどそれ以外に損傷はないわ)

 

「(よくやった、ヘンゼルを追って後方へ下がれ)」

 

ふぅ、上手く行ってよかった。

 

あとはこのKMFのコックピットブロックを回収して、機体の方は後で回収して貰えばいいか。

 

「抵抗せずに降りろ、殺しはせん」

 

スピーカーで降りてくるように促すと、ハッチが開いて金髪の女が出て来た。

 

「目的は、なんなのですか?」

 

ほう、なかなか気の強そうな女だ。

 

座席をスライドしてコックピットから出てグロースターソードマンの肩の上に立つ。

 

「あなたは……」

 

「ここで機体と一緒に捕まるか、機体を捨てて逃げるか、それとも機体と一緒に木っ端微塵になるか…………選べ」

 

仁王立ちで一方的に告げる、武器を構えたほうがいいかもしれんが、女のほうもホルスターの銃を抜いていないため、抜かないでも良いと考えた。

 

「選択肢を…………与えてくださるのですね」

 

「私の持論だが、こんな意味のない戦争にとって最も重要なのは、何人の敵を殺し被害をどれだけ抑えられたということではなく、どういう風に動けば終戦に近づくかを考えることのできる情報だと思っている、今ここで一兵士の貴様を殺すことは可能だが、それで終戦に近づくわけでもないだろうしな」

 

(要するに、いちいち殺すのめんどくさいんでしょ?)

 

「(うるさいヘンゼル…………で、着いたのか?女の子は無事か?)」

 

(とっくに着いたよ、女の子は疲れて寝ちゃってる、あと運ぶのに姿見られちゃったけどいいよね?)

 

「(お前たちはの正体がバレるよりも、民間人を助けられる位置にいながら見殺しにしたと非難されるほうが世間の目が痛いから構わん)」

 

(清々しいほどの悪代官っぷりどーも、あーそうだ、さっきグレーテルも着いたよ、女の子のお母さんを野戦病院に運んでる)

 

「(野戦病院の設備で大丈夫なのか?)」

 

(消毒と止血は完璧だったから、野戦病院の少ない物資でも大丈夫そう、ただ一応保護された難民ってことだから、義足の購入にお金がかかるって………)

 

「(軍人じゃないからだろうな………私名義で手続きをやっておけ)」

 

(はいはーい、グレーテル聞いてた?)

 

(聞いてたわ………あー重かった、腰痛いわ………)

 

「(ま、とりあえずお前たちはよくやった、手続きが終わったらそのままKMFを格納して好きなことしてていいぞ)」

 

((マジ!?))

 

「(マジだ、ゲームしててもいいし寝ててもいいぞ)」

 

(さっすがオリジナル!愛してる〜!)

 

(……………zzzZZZ……)

 

寝るの早いなグレーテルのやつ………。

 

さて、リンクはそのままに共感覚を切って、と。

 

これで余計な情報が回ってくることもない…………ないのだが、やはりリンクの弊害か疲れがな………。

 

リンクとは言うなれば、常にインコムを操作してるようなもので、精神力をすり減らし続けることと同義だ。

 

私の精神力がきれるとリンクは解除されてしまう、ゆえに、万全の状態でのリンクが望ましいわけだ。

 

ま、今はそんなことどうでもいいか。

 

「…………決まったか?」

 

「その前に、名乗らせてくださりませんか?」

 

本当に、気の強い女だ………ふふふ、面白い、面白いな。

 

「…………いや、ここは私が先に言うべきだろう………私の名はツキト・カーライル、神聖ブリタニア帝国のナイトオブラウンズが1人、13番の称号を授与された騎士だ」

 

「E.U.軍中佐、レイラ・マルカルです」

 

レイラ・マルカルか…………雰囲気は貴族然としているのに、名前は普通?引っかかるな。

 

「………貴族出身では無いのか?」

 

「貴族のマルカル家の、養子………です」

 

複雑な事情、か………。

 

「そうか…………私はアールストレイム家の人間だったが、少し前に縁を切ってな、今はただの騎士さ」

 

「知っています、あなたは有名ですから、貴族としての地位よりも名誉を選んだ騎士、サー・ツキト・カーライル」

 

「なるほどな……」

 

ユーロピアにもそういう名誉大好き人間がいるものなんだな………とは言っても、そのほとんどはフランス生まれの貴族くらいのものだろう。

 

名誉と誇りに凝り固まって、100年戦争では大損害出したんだがな………。

 

当時は騎士達のフルプレートアーマーによる劣悪な機動性が原因で、ブリタニア………当時のイングランドに遠距離からのロングボウ攻撃で一方的にやられたのだったか。

 

今の時代の騎士はフルプレートアーマーを捨ててKMFに乗り込んだが、機動性はユーロピアに逆転された形になってしまった。

 

結局は機動性と火力がモノを言うのだと100年戦争後の数回の戦争で結論づけられたが、脈々と続く重装甲の歴史は途絶えることなく現代まで継承されている。

 

話が脱線し過ぎた………。

 

「さて、答えは出たか?」

 

毅然とした態度で私を見上げるレイラ・マルカルに再度問い直した。

 




展開考えるの苦労したぁー………。

便利な戦闘要員のスザクがいないしJKもいないからどうやったものか………で、結局はツキト兄貴無双になるっていうね。

キャラごとの活躍考えるの難しいって、改めて思いました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。