コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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注意!時間の移り変わりが激しいです。

戦闘がないと描くペース落ちるなぁ……


『出立』の『準備』

ツキトside

 

 

ごきげんよう、神聖ブリタニア帝国の旗の元、陛下に忠義を誓う者たちよ、ツキト・アールストレイム卿改め、ツキト・カーライルだ。

 

貴族を辞めたらそれまで避けられていた庶民出身の人々にも話しかけられたり…………ということはなかった。

 

シャルルが王としての絶対の存在感を、ルルーシュが魔王が如く威圧感を持つのなら、さしずめ私はどこぞの覇王が如く覇気でもまとってしまっているのだろうか。

 

今までと変わらず、避けられている、近づいただけで向こうから逃げていってしまうようで、もう泣きたいくらいだ。

 

私が覇気を纏ってるとかは神格を別の方向に置き換えた結果であるため、この際どうでも良いしこれ以上どうにもできないから良いとして。

 

「…………これは夢か?」

 

日本エリア総督府へと戻った私を待ち構えていたのは、皇帝陛下の勅命の手紙。

 

内容は『2週間後にユーロに飛べ』だった。

 

どうやら陛下は、私に大規模作戦の陣頭指揮をやれと仰せのようだ。

 

戦わせてくれたほうが楽だというのに、指揮なんぞ…………ちっ。

 

「味な真似を………」

 

大方、私がKMFくらいしか取り柄のないガキだといって反発する派閥を鬱陶しく思った陛下が投げた牽制球、といったところか。

 

私に戦場で指揮をとらせ、能力を認めさせて派閥を黙らせるわけか。

 

良い性格をしている、KMFを持っていきたいところだが……………この手紙の内容では持っていっても乗れないか。

 

必要なものをいくつか見繕って、入らない分はあとで送ってもら…………戦地の直送便なんてないか、なら仕方ない。

 

「着替えと剣、あとは適当なサバイバルキットがあればなんとかなるだろう」

 

あとは…………あっ、そういえば移動手段が書かれてた気が。

 

「『皇帝専用列車へ搭乗……』………」

 

ジュリアス・キングスレイのポジションだったか…………。

 

そうだよなぁ、本来ならゼロが捕まってシャルルに記憶操作されてブリタニア軍の軍師としてユーロへ、っていう流れだしなあ。

 

全部ぶった切ったらこうなるわけか…………人物の性格が変わりすぎていることもあるのだろうな。

 

だがこれで少なくともルルーシュとスザク、あとユーフェミアもか、その3人への危険は減ったと考えて良いか。

 

あとは…………ジェレミアのほうか、どれくらいの進歩状況なのか気になるところだが、万全を期すために情報を遮断しているから動向がつかめない。

 

しかし、一度ジェレミアが攻勢を仕掛けたなら、その時点でマオは負けが決まる、キャンセラー持ちのジェレミアの思考は読むことができないからだ。

 

加えて、この件に関しては私とC.C.とジェレミアしか知らない、転生者であるクレアや本来狙われるはずのルルーシュたちには伝えていない。

 

ジェレミアがマオを街中で派手に殺そうが構わない、ただ、できればルルーシュとナナリーの記憶に気がつく前に始末してくれよ。

 

アッシュフォード学園で殺人事件なんざ面倒で嫌だしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラブハウスの一室、防音対策のされた部屋で私とC.C.の2人っきりになった。

 

「資料の方は?」

 

「選定しておいた、饗団のはこっち、それ以外はこっちだ」

 

C.C.の指差した方向には数枚の資料、もう一方には山積みの資料があった。

 

「……………饗団のはこれだけか?」

 

「あぁ、紙媒体ではそれだけだ」

 

「内容は?」

 

「人工ギアス実験の最新の記録、おそらく電子化する直前だったのだろう」

 

「ふぅん………」

 

数枚の資料を手に取って読んでみる。

 

「ほー……ふーん……結構色々やってるんだな」

 

資料には投薬や洗脳による刷り込みや、特殊な精神操作によってギアスを人工的に発現させ、そのギアスの効果、有効範囲、持続時間などを環境の違い毎にマメに書き連ねてあった。

 

「『試験体103:投薬により死亡、試験体104:投薬により死亡、試験体105:投薬により死亡………………………』ほとんど投薬で死んでるんだな」

 

「投与しているのは薬ではなく私の血液の模造品だからだろうな」

 

「なぜC.C.の血を?」

 

「偶然にも私の血で試験体に人工ギアスが発現したから、私の血がキーだとでも思ったんだろう、本当はただ契約しただけなんだが……………で、血液を元に構造が同じなだけの模造品を作って投与してるんだろう、効果なんて塵ほどもないのにな」

 

「なるほど………となるとわからない、どうやって人工ギアスを発現させているんだ?」

 

「人工ギアス…………と言うだけで実際にはV.V.や私が契約して発現したものがほとんどだ、ごく稀に特定の方法で人工的に作れるそうだが………私が教主だったころはそんな方法はなかったんだが………」

 

アニメでもどう言う原理で人工ギアスユーザーを量産しているのかは不鮮明だった、となると、C.C.とV.V.が各地の素質のある子供に契約をして回り、その子らを育ててロロのような暗殺者や諜報員を作り上げるのだろう。

 

とすると、すべてのギアスユーザーの処刑を目的にする私が取るべき行動は、トウキョウの地下から保護したあの少年少女含めた年端もいかぬ子供たちを1人残らず虐殺すること。

 

元を断つためなら、虐殺ラウンズの渾名だろうがなんだろうが受けてやるさ。

 

「まあいい、V.V.がいない今、ギアスユーザーの量産は停止状態と考えて相違ないだろう、本拠地がわかり次第叩く」

 

「お前の部隊でか?」

 

「単独で、だ………部隊員に子供たちを殺させるわけにもいかんだろう」

 

「それでお前はいいのか!?」

 

「良いも何も、ギアスは危険だ、それはマオの一件で承知のはずだぞC.C.、草を刈るだけではまた生えてくる、やるなら根っこを枯らさねばならん」

 

「お前の心の話をしているんだ!」

 

「……………今日はやけに熱血君じゃないか?ピザが足りんか?」

 

何か、おかしい、C.C.はこんな喚き散らすようなやつじゃ………。

 

「虐殺を行ってもお前はそれを一切気にも留めずにナナリーと過ごせるのか!?」

 

「っ!?C.C.お前何を」

 

「計画を止めると聞いて私は正直ホッとした、私にとってその他大勢が勝手に死ぬのはどうでもいいんだ………だがお前は違うはずだ!親しい人物が危険だとわかるとすぐに態度が変わる、落ち着きがなくなる」

 

「貴様………」

 

「なあツキト、お前は私を殺せるのか?」

 

「私が授かった力は、お前のコードを消滅させることができる能力だ、そんなこと容易い」

 

「そう、お前にとってコードを消滅させることは容易い、ギアスの根源はコードだ、だから私を殺せるかと言ったんだ」

 

「そんなもの…………」

 

「無関係だとでも?神に選ばれたお前が、私がこれまで契約してきた哀れで可哀想な、『私の子供たち』を、殺せるのか?」

 

「それ、は…………」

 

「ツキト、子供たちに罪は無い、何処か静かな場所で余生を過ごさせてやればいいじゃないか………時間はかかるが、ギアスはそこで途絶える、最後に私を殺してくれれば、もう二度と悪夢は起こらない」

 

C.C.の沈痛な表情、いつもからかうような性格のC.C.の隠れていた思い、それを見て、聞いてしまった私は……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナナリーside

 

 

「また少し速くなったな」

 

「その!割に!余裕で!避けますよね!」

 

「痛いのは嫌だからな………ほれそこだ」

 

「あぃた…………うぅ」

 

うぅ…………また避けられたところに貰った………。

 

「攻めのスタイルは良い、あとは引き際だな」

 

「熱くなっちゃうと、つい攻めることしか頭に浮かばなくて」

 

「私もそうだった、だが引くことを覚えると体力の温存になる、ここばかりは感覚しかないな」

 

そして『突っ込んで消耗してやられるのはただの馬鹿だしな』なんて辛辣なことを言うツキトさんですが、たくさんの兵士さんを部下に持つ上の人らしい心配のようでした。

 

「ツキトさん、本当に行っちゃうんですか?」

 

「あぁ、仕事だからな」

 

「そう、ですか………」

 

ツキトさんは、名前を変えて、貴族位も捨てて、私とお兄様のために仕えたいと、国営放送で言ってくれました。

 

ラウンズのお仕事をしながら政庁にいるコーネリア姉様とユフィ姉様のお手伝い、同時に私とお兄様が見つからないように手を尽くしてくれている。

 

今の私とお兄様には、当然皇族としての権威はありません、それでもツキトさんは私たちのために身を粉にして頑張ってくれている。

 

私も、ツキトさんの負担を減らさなくてはいけませんね!

 

「ツキトさん!」

 

「ん?」

 

汗を拭きながらこっちに顔を向けてくれるツキトさん。

 

「私もお兄様も大丈夫ですので、何も心配せず安心してユーロへ向かってください」

 

「…………そうか」

 

ツキトさんは小さく息を吐くと。

 

「なら私は、なんの憂いなく仕事をこなし、図々しくも五体満足で帰ってくるとしよう」

 

胸に手を当てて自信満々に言い放つツキトさん。

 

「それでは、向こうに行くまではしないってことで良いな?」

 

「え!?それはダメです!します!何回でもします!」

 

「ふふふっ、そんな大声を出してはしたないぞ?」

 

「〜〜〜〜!んもう!ツキトさんのイジワル!」

 

「ははははは、もう貴族として振舞わなくていいと思うと気が楽でな?イジワルのひとつくらいしてみたくなった」

 

清々しくそう言い切ったツキトさんの横顔は、憑き物が取れたようなスッキリした顔でした。

 

そんなかっこいい顔されたら、怒れないじゃ無いですか…………もう////

 

「と、いうわけでだ…………今夜、空いてる?」

 

「は………はぃ……//////」

 

か、顔が熱ぃ………………積極的に誘ってくるツキトさん、いい、すごくいいです…………。

 

「ふふっ、かわいいよナナリー、すごくかわいいよ」ボソボソ

 

「ふわぁぁぁぁぁあん///////」ゾクゾク

 

ツキト………さん……………。

 

「今夜は寝れると思わないでね?」

 

「あっ……あぁ…………ひゃい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

「………お前ちゃんと洗ったか?臭いぞ」

 

「うるさい、ヤリ終わった後にいきなり呼ぶお前が悪い」

 

「くくく、余韻を邪魔して悪かったな」

 

ユーロに行く前にナナリーとできるのは今日くらいだし、結構本気でやったんでクタクタだというのにこのアマ………。

 

「そんな事よりも、特務士官からのビックニュースだ」

 

C.C.が投げてきたのは一枚の報告書。

 

「…………やったのか」

 

「お前の言う通り、キャンセラーが有効だったようだ」

 

「キャンセラー持ちと正面切っての戦いはギアスユーザーにとっては死刑宣告もいいところだしな」

 

報告書の内容は、いつの間にやら入国してきたマオを一度泳がせた後暗殺した、と書かれたジェレミアの直筆の報告書だった。

 

「それで、マオは本当に死んだのか?」

 

「あぁ、Cの世界を通じてマオが死んだことがわかった」

 

「なるほど………しかし予想以上の成果だ、このままユーロへ同行してもらって護衛をしてもらうのも良いかもな」

 

「仕事を探してるみたいだったし、誘ってみるといいんじゃないか?」

 

「そうだな…………さて、C.C.、これから忙しくなるぞ」

 

「私はC.C.だ、お前の忙しいなんてのは屁でも無い」

 

ふふん、と笑って返してみせるC.C.、ふっ、いい女だ。

 

「さっそくだが、明日ルルーシュ様に例の件を頼んでみよう、ルルーシュ様のことだからその日までにやるだろうから、夜にでも成否について聞いておいてくれ」

 

「お前は聞かんのか?」

 

「私は政庁で少し動くからな、それで、成功していたならアッシュフォード家のバックに私がついているという情報を広げてくれ、興味本位でネットサーフィンするガキにも見つけられる程度に、な」

 

「……………なるほど、お前の言いたいことがわかったぞ」

 

「御名答、さすがはC.C.といったところか…………私が言うのもなんだが、日本人の大半には信用されている自信がある、そんな私がアッシュフォード家を支援するという情報が入ったら…………」

 

「日本エリア中の企業はアッシュフォード家に取り入ろうとする、気を良くしたアッシュフォード家はよりお前と密接になろうとする、アールストレイム家などのデカイ貴族は邪魔しようとするだろう………」

 

C.C.が私の言葉に続けて言う。

 

「邪魔しにくるのはユーロ派遣が終わって1、2年経って安定してくる頃、頭がいい奴なら安定しきる前に潰したい、しかし私が出張れば工作は不可能になる、何故なら………」

 

「「その時にはすでに枢機卿だから」」

 

顔を見合わせて笑い合う。

 

「はははははっ、この下衆め、悪魔め」

 

「ふふふふふ、もっと言っていいぞ?気持ちがいいくらいだ………」

 

「あーー………先手を封じて意のままに操る、つくづくお前は軍人、軍師向けだな」

 

「大将じゃなくて、その軍師か、なるほどたしかに、私は使われる方が能力を発揮しやすいのかもな」

 

「事実ナナリーに尻に敷かれてるしな」

 

「今日は上だったぞ」

 

「そういうのはいい!この変態が!」

 

「はっはっは!どうだ?C.C.もヤッてみるか?」

 

「私とお前はそんな仲じゃないだろう?」

 

「違いない、私たちは共犯、死が2人を分かつまで…………罪に溺れるだけさ」

 

「………ヤッたあとのお前は気持ち悪いくらいロマンチストでキモいな」

 

「おい、今のでは意味が二重になってるぞ、というかキモくない断じてキモくない」

 

減らず口の足らないC.C.としばらく言い合った。

 

時計の針は午前2時を指していた。

 


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