コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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処刑と授与式を一緒にやるとかブリタニア頭おかしい


『名』も!『地位』も!我が身には『不要』!

ツキトside

 

 

全ブリタニア国民が見ているのだと思うと自然と緊張が高まる、立ち上がり、一呼吸置き、不敵な笑みはそのままに。

 

「私、ツキト・アールストレイムは……………自らの名と貴族である称号を捨て、アールストレイム家との全ての縁を断絶することを宣言する!」

 

言い切ると静まり返る、数秒置いて会場は嵐に包まれた。

 

 

「ど、どういう意味なんだ?」

「アールストレイムの名と貴族位を捨てる、だと!?」

「貴族の名門と絶縁するなんて、どうかしている!」

「一体何を考えているんだ!?」

 

 

批判の声であふれかえる、まあ、予想はできたが、うるさいなぁ。

 

「静まれぃ!」

 

陛下の一声で会場は再びシンと静まり返った。

 

「貴様の発言で皆の収拾がつかぬぅ……理由を話せ、ナイトオブサーティーンよ」

 

「はい、私は、我が主の望みを叶えるために必要なのは何か?そして邪魔なものは何か?それを常々考えておりました………必要なのは何よりも権力、邪魔なものは………アールストレイム家という足枷です」

 

小さなどよめきが広がるがすぐに沈静化する、さすがは陛下、睨むだけで相手は文句もなく黙り込む。

 

「知っての通り、アールストレイム家は貴族としてはトップクラスの名門であり、そこの生まれというだけで死ぬまで衣食住に困らず、どれだけの美女を何人でも侍らせることだって容易い、辺境伯程度なら観衆の中心で殺しても罪にはならない、なぜなら…………それが最有力貴族であるアールストレイム家だからだ」

 

問題発言だなんだと叫ばれるが無視する。

 

「しかし、この家で生まれた者が成したことは全て家の成果となる、つまり、家の生まれの誰か、もしくは養子でもいい、彼らが成し遂げたことが、その誰かではなくアールストレイム家の成果となってしまうのだ」

 

ふとアーニャを見るとなかば放心したように私を見つめていた。

 

「…………そんなこと、冗談ではない、私はアールストレイム家の安寧のために生きてきたのではない、私が成し遂げたことをアールストレイム家の成果ととられてたまるものか!」

 

大振りな身振りで怒りを表し、笑みを無くし表情を固く作り、熱を込めた声で語る。

 

「私がこれまで行なってきたことは、すべて我が主が成し遂げえなかったこと!我が主の願いや望んだものだ!………エリア11を日本エリアと変えたのは我が主のためだ!名誉ブリタニア人などという制度を無くし、名誉回復に努めているのも我が主のためだ!日本人との融和政策も、日本人と親しい仲にあった我が主のためだ!黒の騎士団という逆賊を自警団として受け入れたのも、我が主が愛した『日本』を守りたいという、志を共にしたからだ!!」

 

私の熱の入った演説に会場は静まり、私に視線を向けている。

 

「どれもこれも、本来であれば今は亡き我が主の功績だったものだ!私のものではなく、アールストレイム家などのものでもなく、我が主の功績だ!!我が主の!!…………それを、アールストレイム家の功績と見るのはお門違い、勘違いも甚だしい!なのに、平然と自分の功績のように語るアールストレイム家に、私は心底嫌気がさした、これ以上我が主の功績を、名誉を、気高きその理想を踏み躙られてたまるものか………だから私はアールストレイム家と絶縁することに決めたのだ、家族としての縁も、金銭的な縁も、貴族位も、何もかもを捨てることにしたのだ」

 

完全に静まり返る会場、うるさいアナウンサーですらだんまりを決め込んでいる…………ふっ、才能が役に立ったか(演説の才能5)。

 

「待って、待ってお兄ちゃん……」

 

オロオロとアーニャが呼びかけてくる。

 

「書状のコピーもここにある、照明のサインとしてコーネリア・リ・ブリタニア様の直筆のサイン入りであり、裁判所にもすで提出済みである………それと、ナイトオブシックス、もはや私は、あなたの兄ではない」

 

「え………あ………」

 

…………事実を淡々と言うと、最愛の元妹に追い打ちをかけていく外道兄貴にしか映らないな。

 

それが目的なのだから問題はそこまで大きくはないと思うが……うぅむ。

 

「……………私の名前は本日この時を持って、ツキト・カーライルと名乗らせてもらう、異議申し立ては私の秘書、クレア・マインドか、帝国裁判所に提出するように、以上だ…………陛下、長々と時間を奪ってしまい、申し訳ございませんでした」

 

周りの唖然とした者たちやアーニャの絶望した表情を無視して時間を取ってしまったことを陛下に謝罪する。

 

そうだ、大立ち回りというのはアールストレイム家との絶縁、貴族位を捨てて新しい人間として生まれ変わり、今は亡き主人のために身を捧げる…………というのは建前で、たんにアールストレイム家という存在が邪魔だからに過ぎない。

 

アールストレイム家も真っ当な家ではない、隅々まで見れば黒い一面が存在する、近いうちに親族に闇取引等に協力するようにせがまれることは察していた、いずれは断罪するが、その時に内部事情を知ってて隠していたとみられるのは嫌だ、面倒ごとは嫌いだし。

 

「…………」

 

陛下は近くの者にタブレット端末で何かの確認を取らせ、それを確認して立ち上がった。

 

「ツキト・アールストレイム改め、ツキト・カーライルよ、貴様の忠誠に嘘偽りはないか?」

 

「これまでと変わりなく、私の信じる王への忠誠を誓います」

 

もちろんルルーシュとナナリーだが。

 

「陛下!父上!お考え直しください!」

 

「ギネヴィア・ド・ブリタニアよ、ツキト・カーライルは家を捨て名を捨て縁も切った、わしはそこに真の忠誠を見たァ………金と皇帝の椅子に目のくらんだ貴様とは、すぅべてがぁ、違うのだぁ」

 

「そ、そんな……」

 

「………そろそろぉ、時がくる」

 

言われて時計を見ると58分、残り2分もしないうちにギネヴィアの首が飛ぶ。

 

思ったより演説に時間を使ってしまったな、まあ、そこも織り込み済みなのだが。

 

陛下が手を振った、合図なのだろうか。

 

唾を飛ばし喚き散らすギネヴィア、断頭台に近づく処刑人、処刑人を罵倒し始めるギネヴィア、憐れな視線を向ける血の繋がった皇族達、13時の刻限を知らせる鐘が鳴る、鐘の音に全てかき消される、そして……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場は1時間ほどで撤収された、陛下やほとんどの皇族達はソソクサと逃げるように帰ってしまい、この場に残っているのは断頭台を清掃する者を除けば、アーニャ含む非番のラウンズが数名と断頭台の絵を描くクロヴィスだけだ。

 

クロヴィスはその目で何を見て、何を感じて筆を走らせているのだろうか?

 

そんなことは私にはわからなかった、しかしクロヴィスも感じるものがあったのだろう、その感性を大事にして欲しいと思う。

 

何も感じなくなったら異常者と変わりないのだから。

 

「おにい………ちゃん」

 

恐る恐るといった様子で私に近づき呼びかけてくるアーニャ、青ざめて絶望した表情は痛ましく、涙こそ流れてないが声は涙声だ。

 

遠くから他のラウンズの責める視線が突き刺さってくる。

 

「行かないで………お願い、1人にしないで……」

 

ついに私のそばまで来たアーニャは縋り付いて泣き出してしまった。

 

……………ちっ!私はどこまでも甘い人間でしかないのか!?

 

「はぁ、意地悪をして悪かったな、アーニャ」

 

「お兄ちゃん!」

 

「どこにも行かないさ、ただ、私とお前が兄妹ではなくなり、血の繋がりもないとして扱われるだけだ、別に今まで通り接したいなら好きにしろ」

 

アーニャはアールストレイム家当主ではないので接触は大丈夫なはず。

 

「うん………」

 

「はぁ……こっちにきなさい」

 

「!……うん!」

 

震えるアーニャを優しく抱きしめる、アーニャにとって私の存在が大きいものだと言うことはいかに鈍い私でもわかる、今のアーニャは恐怖している、私という、兄という存在が書類上だが消えることに。

 

もしくは、ギネヴィア危機一髪(物理)のほうかもしれんが。

 

「………怖かったか?」

 

「怖かった………お兄ちゃんがいなくなると思うともう生きていけない」

 

ギネヴィアの首が飛んだことじゃなくて私が兄じゃなくなることの方が怖かったのか………。

 

「それはいけない、私はもうお兄ちゃんじゃないんだ、アーニャとは無関係の、ツキト・カーライルなんだ」

 

「でも、私にとってはずっとお兄ちゃんだもん………」

 

「……………血は繋がってない扱いだぞ?まあ、アーニャの好きなように呼ぶといい」

 

「うん、お兄ちゃん」

 

泣き止んでくれたし、これでいいだろうか?

 

抱きしめた体勢を崩す、物足りなさそうなアーニャの視線に申し訳ない表情で応える、するといくらか緩和された。

 

「そろそろいいか?授与式に遅れてしまう」

 

「あっ…………えっと、私の車、使う?」

 

「自分のがあるんだが……」

 

「えっと、じゃあ………護衛、護衛する」

 

「護衛なら別でいる、わざわざ来なくても良い」

 

「えっと、えっと………うぅ……」

 

困ったように焦るアーニャ、いったいどうしたと…………あぁ(ニヤリ)

 

「すまないが、理由がないようなら行きたいんだが?」

 

「え、あ、ま、待って、もうちょっとだけ待って」

 

「そうは言ってもなぁ………遅れたら陛下が怖いしなぁ」

 

「う、うぅぅぅ………行かないで、行かないでぇ……」

 

ゾクゾクゥ!!!

 

あぁぁぁ!かわいぃ!しどろもどろなアーニャがかわいいいいいい!!!

 

でも一緒に行くのはだめだ(キッパリ)

 

「もういいでしょアールストr………カーライルさん、アーニャはついて行きたいんですよ」

 

「ほう?そうなのか?アーニャ」

 

「は、はぃ/////」

 

「だからさ、連れて行ってもいいんじゃないかなぁって、思うんですけど」

 

「なるほど、遠回しに言ったのが悪かったか…………はっきり言おう、着いてくるな」

 

「!!!」

 

「ちょっ!?カーライルさん!!」

 

「今さっきアールストレイム家との縁は全て絶った、なのに変わらずアールストレイム家の長女と親密にしていれば密命ともとられかねん、陛下に疑心を持たせたくはないのだ」

 

固まる面々をそのまま放置して待たせていた黒塗りの高級車に乗り込む。

 

「遅かったですね」

 

車の中で待っていた黒髪長髪の女が言った。

 

「妹………おっと、ナイトオブシックスの対処に手間取っただけだ」

 

ラウンズたちの冷たい視線を受けつつ、車は発進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

noside

 

 

授与式会場に向けて走る黒塗りの高級車、運転席と後ろの席は分厚い防音・防弾ガラスで仕切られ、運転手は後ろに座る赤髪長髪のラウンズと黒髪長髪の美女の会話を聞くことはできない。

 

「アールストレイム家は名門貴族、故に引きづりおろしてやろうという者は多い、絶縁直後でも関係が変わらなければ疑われてしまう、実はただのパフォーマンスだったのではないか?と」

 

「少なくとも、そう思う者は少なくないだろう、工作を考える者もいるだろうな」

 

赤髪長髪のラウンズ、ツキトの言葉に黒髪長髪の美女………染髪したC.C.が応える。

 

C.C.は変装して秘密裏に本国へ渡って来ていた、同類であるツキトの真意を知ることが許された共通認識を持つC.C.を精神安定剤のようにツキトは思っていた。

 

「それこそ冗談ではない、来るべき時、アールストレイム家という巨大な力が邪魔にならないようにするためなのだ……………今頃混乱したアールストレイム家はヴィ家への援助を切るだろう、私はそう確信している、そもそも今までの援助だって私が頼んでいたのだから、私がいなくなれば援助の必要性はないのだからな」

 

ツキトの確信した通り、現在アールストレイム家は混乱状態にあり、突然の事態に怒りも合わさって援助取り下げの書状を書いていた。

 

「アールストレイム家が如何に大規模といえど、今までがかなり無理な資金援助だったんだ、やめられるタイミングがあるならやめるだろうな、だが、今まで払った資金を返せと言われたらどうする?」

 

「手切れ金としてかなりの金をアールストレイム家に叩きつけてやったから文句は出ないだろう、むしろ大手を振ってバンザイしてるはずだ、もともと良好でもなかった親子仲、今更どうとも思わん…………今後、ヴィ家への援助の取り下げラッシュが来るだろう、最大出資者であるアールストレイム家が引くのだから、アールストレイム家の怒りを買いたくない貴族連中は引き下がるを得ない」

 

叩きつけたのは貯金の半分だぞ?と言うツキトにC.C.は苦笑した、そして小さくこの馬鹿者めと呟いた。

 

「アールストレイム家の取り巻き貴族の行動を日本なら、長いものには巻かれろ、とでも言うのだろうな」

 

「そこで私が個人としてヴィ家への援助を申し出る、そして没落気味のアッシュフォード家にも投資し、足並みを揃える形でヴィ家への援助を強め、影響力の強いマリアンヌの威光でアッシュフォード家再興を目指す」

 

「簡単ではないぞ?没落貴族を現行最有力貴族と同等以上に持ち上げるのは」

 

「アッシュフォード家がアールストレイム家に並ぶには相当な時間がかかるし面倒だからそこまではしない、やるなら勝手にやればいい、私としては、せめてかつてのあるべきころのようにある程度まで発言力を回復させ、最終的には日本エリア全土の企業トップになってもらわねばならない」

 

「それで日本エリアの企業は納得するのか?」

 

「想像すれば自ずと見えてくる………英雄であるマリアンヌに多大な援助を行い古くより懇意にしているアッシュフォード家と、突如援助を取り下げた裏切り者のアールストレイム家、しかもアッシュフォード家は没落貴族から『正規の手段』でのし上がった、傍目から見て確かな実力を持つが、アールストレイム家は名前だけで実績と言える実績はアーニャがラウンズに選考された程度…………英雄の存在に憧れる帝国国民はどのように見る?」

 

事実マリアンヌは世界的にも人気だ、庶民から一気に帝国王妃までのし上がった血塗れのシンデレラストーリーとその活躍は多くの人々を魅了してやまない。

 

「悪どい男だなお前は、さすがは【ブリタニアの悪魔】だ、そんなのアッシュフォード家に従うに決まっている、私個人としてもアールストレイム家の黒さは長い間見てきたしウンザリしてたしな、ま、主観客観問わずアッシュフォード家だろう」

 

「長々語ったが、アッシュフォード家再興の鍵はルルーシュ様が握っている」

 

「坊やがか?」

 

「正確にはルルーシュ様の交渉能力、コネ、あとはミレイの恋心もか」

 

「エグい上にかなり運頼みだな、そんなので大丈夫なのか?」

 

あまりに運頼みの計画にジト目になるC.C.、ツキトは内心心地よいゾクゾクしたよう感覚を感じた。

 

「失敗したら私自ら現当主に直談判する、権力の増強に反対する貴族なんてそういないからな、ルルーシュ様の交渉が成功したらラッキー、その程度のものだ」

 

「ふぅん…………シャーリーの恋はどうする?」

 

まるでキャットファイトが見たいかのような声色でC.C.は言った。

 

「応援はしない、かといって邪魔をするつもりもない、成功してミレイとルルーシュ様が恋仲になろうが、失敗してシャーリーとルルーシュ様が恋仲になろうが、どうでも良いことだ、ただ、ミレイと恋仲になった場合は少し円滑にことが進むというくらいのもの、その程度なら私にもできるしさしたる問題は感じていない」

 

「なるほど、やはりお前は悪魔だ」

 

「魔女にそう言われるとは、光栄だ」

 

「「………ははははは(ふふふふふ)!」」

 

揃って笑い出すツキトとC.C.に運転手はミラー越しにぼんやりと見えていた。

 

そして、目的地である宮殿に到着した。

 

ツキトとC.C.は高級車を降りて歩き出す。

 

「それじゃあな、せいぜい気張ってかっこつけていろよ、カーライル」

 

「そっちもな、おちおちお宝を取り損ねたりしないようにな、特務士官殿」

 

途中から別々の方向に歩き出すツキトとC.C.、ツキトは宮殿の授与式場に向かい、C.C.は倉庫へ向かった。

 

C.C.の向かった表向き倉庫と言われる場所は、神聖ブリタニア帝国の機密保管庫でもあった。

 

C.C.は身元が証明できるものがない、ツキトは骨を折りながら面倒な書類仕事の合間を縫ってC.C.を直属の工作員としての偽情報を作り上げた、この裏工作によって軍内部におけるC.C.の安全は確立された。

 

最大レベルのセキュリティも突破できる権限を持たせるのは簡単ではなかったが、作り上げることさえできれば工作の幅は広がる。

 

今回のように、授与式に乗じてあらゆるセキュリティを無条件で突破できるC.C.を使って情報を盗み出すこともできる、ツキトはどこまでも悪どかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

「これより、勲章授与式を………」

 

(…………どうだ?C.C.)

 

『すんなり入れた、警備は厳重には見えない、さっさと抜いて帰る』

 

長ったらしい側近の前口上をBGM代わりに、小型通信機でC.C.と話す。

 

C.C.は機密保管庫に潜入、できるだけ多くの電子情報、持ち出せるのなら紙媒体の情報も盗ってくるように言ってある。

 

無茶をするようなやつではないが、一応私も心配くらいする。

 

「………ヘルカッツェ少尉、ゴーレム少尉……………」

 

まだかかりそうだな、それなら好都合、C.C.の作業時間が延ばせる。

 

しかしまあ、楽な仕事だよ本当、それこそ心配になるくらいだ。

 

ブリタニア本国の機密保管庫、世界トップクラスのセキュリティが設けられたその場所は、実は名ばかりのザル警備であることは知っていた。

 

最大レベルの権限を持ってさえいれば容易に侵入でき、内部の情報の保護のためにセントリーガン等の防御装置もない。

 

正面の門さえ潜ればあとはスイスイ、世界トップクラス(笑)とはよく言ったものだ、まったく無能警備兵どもめ。

 

だが今回に限りそのザル警備ぶりがC.C.の行動を安全にする。

 

C.C.には全部持ってこいと言ってあるが、本当に欲しいのはギアス饗団に関する情報だ。

 

延期となってしまったが、将来的に枢機卿になる私としては、ギアス饗団などという不安要素は徹底的に潰す必要がある。

 

原作ではゼロが騎士団の者にやらせていたが、ギアスの存在を知らないのだから当然そんなことしないだろう、だから代わりに私が潰す。

 

ギアスユーザーなど、私の敵にすらならない、ギアスユーザーは皆殺しだ。

 

「…………以上、26名の勇敢な戦士達に、ブリタニア十字章を授与するものとする」

 

「(カーライル様、前へお願いします)」

 

小声でそう言われて立ち上がり、勲章が載ったワゴンのそばに寄る。

 

ワゴンから勲章を1つ取り、端の兵士から順番に胸につけていく。

 

角度に注意してよく見えるように。

 

「おめでとう、これからも帝国のために頼む」

 

「ありがとうございます!」

 

「おめでとう、これを糧に精進してくれ」

 

「ありがとうございます!」

 

「おめでとう、子供に自慢すると良い、良き父となれ」

 

「ありがとうございます!」

 

1人1人のデータは頭の中にある、勲章を渡しつつ1人1人に言葉をかける。

 

最後の1人に渡し終え、席に戻る。

 

勲章を授与された兵士たちも順に席に戻っていく。

 

「それでは次に、ナイトオブサーティーン、ツキト・カーライル様へのブリタニアダイアモンド騎士十字章の授与を行います、カーライル様、前へお願いします」

 

「うむ」

 

再び立ち上がり、前に出る、それにしても、ブリタニアダイアモンド騎士十字章か…………陛下の敵を打ち払っただけでこの勲章か。

 

「おめでとうございます」

 

ブリタニア国旗にちなんだ勲章の紋様はブリタニア十字章同様だが、巨大なダイアモンドを削り出して作った交差する2本の剣の細工と、とてつもなく豪華なのだ。

 

それが今、私の胸にあるという事実…………これはあれだな、近いうちにユーロにでも行けと言われそうだ。

 

この勲章のいくつか前のブリタニア騎士十字章は『未亡人生産機』として有名だ、それの遥か上のこいつもまた、多くの英雄を前線で殺してきた不吉な勲章だ。

 

何かの前兆じゃなければ良いんだが…………。




ツキト兄貴、アールストレイム家と縁切って貴族やめるってさ。
ツキト兄貴、勲章もらって最前線送りまで秒読みだってさ。

あとはまあ、C.C.の使い所がこれくらいしか思い浮かばず………うーむ。

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