ツキトside
1週間は意外と早く過ぎた。
休暇と言いつつも総督府に顔を出したりナナリーの部活の手伝いをしたりと忙しかったが、充実していた1週間だった。
私はすでに本国の地図に載らない某所の某部屋にて寛いでいた。
部屋は安いホテル程度の設備しかない簡素な作りであったが、安全性は本国でも皇帝陛下の宮廷の次に高いセキュリティを誇る場所なのだ。
そんな場所で特にやることもない私は日程を確認してセリフなどを考えては紙に書き出す作業をしていた。
なぜやることがないのか?それは処刑と勲章授与式では別々の服装で執り行う関係上、自前で服を用意する必要は無く、演説くらいしかやることが無いからだ。
演説と言っても、処刑と勲章授与式でそれぞれ1分程度の短いもの、原稿用紙1枚半程度を考えておけばいいだけなのだ。
よって処刑当日の昼までは自由行動、なのだが、日本から本国に来たのは私だけで、他のラウンズとは警備の問題から接触は禁止のためアーニャとは当日まで会えない。
当日までどうするか…………あっ、そうだクロヴィスの所に行こう、お土産持って来たし丁度いい。
まだ昼過ぎくらいだし、アポ取って支度をしていけば3時前には着く、日本エリアオリジナルの菓子類をいくつか、それから、お礼だとかなんとかで日本人の鍛治職人から貰った日本刀を一振り持って行こう。
この日本刀はとても美しい、手放したくは無いが、ガウェイン・アンジェラを1日でデザインしてくれたクロヴィスへの対価とするならば、これ以上の物はないだろう。
さあ、善は急げだ、私服に着替えてタクシーを呼んで、持ち物を持って…………。
「760ドルになります」
「あぁ、カードで頼む」スッ
クロヴィスの住む宮廷近くまでは結構遠かったが、金額はそこまで………いや日本円換算で8万円は超えるのか、タクシーでこれは高いか。
まあ無限の金銭(ブラックカード)があるからいいんだけど。
「へい!………しかしよかったんですかい?こう言っちゃなんですが、バスとか電車を使った方が安いですぜ?」
「公共の交通機関に乗ろうとすると、この袋の中身を見せろと言われかねんからな」
「へぇ〜、で、そいつの中身は何なんですかい?」
「真剣さ」
「銃じゃなくて剣ですかい………」
「………君には教えておこうか、SP君」
「!!…………なぜお分かりに?」
運転手にそう言うとそれまでの親しみ易いおっさんの顔が一瞬ギョッとして硬直し、すぐに引き締まって堅気ではない男の顔になる。
「あの部屋の固定電話はな、ラウンズの犯罪行為防止のために政府によって盗聴されているんだ、私も金目の物を持って外に出るのは怖い」
「そこで、わざと我々を引き出したのですか?」
「そう言うことだ、この日本刀はクロヴィス様への献上品の1つ、強盗に襲われて血をつけるわけにはいくまい」
「…………脱帽の思い、さすがですアールストレイム様」
「ただ疑い深いだけさ………あぁそうだ、よければこれを」
菓子類の中から一箱取り出してSPに差し出した。
「小豆のペーストに砂糖を加えたモノを柔らかいパンケーキで挟み込んだドラヤキという日本のお菓子だ、君の同僚や部下たちと食べるといい」
「あ、ありがとうございます」
「うむ、では、引き続きブリタニアの平和のために頑張ってくれ」
ドラヤキを受け取らせてタクシーを降りる、宮廷に向かって歩き出した。
………SPのような職種の者に対して、同僚や部下たちと食べてくれ、と言うのは無神経だっただろうか?
まあいいか。
しばらく人気のない道を歩くと皇族の宮廷群が見えて来た、一般市民からは宮廷の豪奢な屋根が見えるのか、皇族の暮らしを想像して憧れるのもわかる。
まあ、実際に体験すればウンザリするだろう。
毎朝4時か5時に起き、6時までに朝食を済ませて着替え、7時から10時まで剣のレッスン(地獄)、11時から1時まで楽器のレッスン、終わり次第昼食をとり、30分程度の休憩を挟み、乗馬や射撃等のレッスンを4時まで続け、5時からは疲れ切った状態で礼儀作法のお勉強、6時から8時まで座学を学ぶ。
9時から自由時間になるが、大抵シャワーを浴びてベッドに倒れこみ死んだように眠るだけ、そして朝が来て………という無限ループのような幼少期を過ごす皇族は、少ないそうだ。
当たり前だ、こんなギチギチのレッスンやりたくないに決まってるし、親もやらせたくはないだろう。
まあ、マリアンヌの考案でヴィ家で数日これを取り入れたことはあったが、見事に私以外バテた。
いや、なんで私が参加してるんだって疑問はあると思う、私もそうだ。
ルルーシュとナナリーがやるならついでに、って理由で私までやらされるとは思わなかった。
実際やると初日はやれるんだ、ただ次の日の朝、体の節々に激痛が……………あぁ、思い出したくもない。
特にルルーシュはそうだろう、プライドも何もなくガチ泣きしてたからな…………まあ、意地でもナナリーには見せなかったところは高評価。
一番の功労者はやはりメイド達だろう、日々のギュウギュウのスケジュールを縫って更にレッスン道具の準備までやらなければいけないんだから。
隠れたところでガチ泣きするルルーシュと、連日死んだ目のナナリーを見て哀れに思ったのか、意外と早めに中止になったのが幸いだろう。
まったく、一体何十年前の人間が組んだスケジュールだというんだ、考案者はアホかと。
そんなことを考えていると、もうクロヴィスの宮廷の門まで来た、門には番兵がたったの2人、控えの人間がいそうだが、見える範囲には小さな小屋程度しかない、規模は小さいとしか言えない。
「すまない、アポを取ったツキト・アールストレイムなんだが………」
「ハッ!…………確認しました、お入りください」
身元確認だけですんなりと入れてしまった、持ち物検査はいいのか?
まあ、クロヴィスあたりが気を利かせてくれたんだろう、しかし仮にも武器を持ってるのが確定してる男を素通りはいかんだろう。
そりゃあ、クロヴィスなんて殺しても政治的価値は無に等しいが、それとこれとは違うだろうに…………簡単に入れたのはいいが、なんとも釈然とせんな。
宮廷の中に入るとメイドたちが掃除をしているところだった。
「!……おはようございます!アールストレイム様!」
「「「「おはようございます!」」」」
むっ…………メイド勢揃いか、これは、中々………。
「使用人一同、アールストレイム様の到着をお待ちしておりました、ささ、こちらのお部屋へ」
「あぁ」
さすがはクロヴィス、無駄に着飾らせず地味な色のロングスカートの機能特化型のメイド服を着させるとは…………。
やはりクロヴィスは、できる男のようだな!
(ツキトはロングスカートがお好き、無駄なフリフリやミニスカートはお嫌い by作者)
ふむ、良いものを見たお陰か気分が良くなってきた。
うむ、やはりロングスカートは良い、それに対しミニスカートなど破廉恥極まり無い!そして生地も薄くて寒い!わざわざ短いスカートを履く女が理解できん!
近年ではミニスカートをメイドに着させる変態貴族も多いそうじゃないか!あぁ!なんたる阿呆か!露骨なエロスにしか目が行かんとは!実に、実に滑稽よ!
清楚感溢れるロングスカートこそが至高にして最強!そして、女性が肌を無闇矢鱈に晒すなど言語道断!そんな変態女はストリップショーでもやっていればいい!!
…………ふぅ、結論、ロングスカートはミニスカートに大きく勝る、以上。
「お待たせいたしました、こちらのお部屋へお入りください」
メイドに促されるままに次の部屋へ入る、そこには真剣な目つきで絵を描いているクロヴィスとモデルらしき顔の整った40代のメイドがいた、おそらくメイドのほうはメイド長なのだろう、胸元のバッチが一際豪華だ。
「クロヴィス様、アールストレイム様をお連れいたしました」
「…………………あ、待っていたよツキト!好きなとこ座ってて、もうすぐ書き終えるから!」
「わかりました」
クロヴィスに言われるままに腰をおろしかけ、すんでで止まってメイドの方を向く。
「君、よければこれをみんなで食べてくれ」
「え?よ、よろしいのですか?」
「突然の訪問で忙しくさせたお詫び、とでも思って受け取ってくれ」
「は、はい、ありがとうございます!」
数個の菓子箱を受け取った案内役のメイドは嬉しそうな表情とリアクションを隠さずにそう言った、たぶんこの娘は新人だな。
メイドが出て行き、クロヴィスの絵も完成したところで2人っきりになる。
「よく来たね、なにか手伝えることがあるのかい?」
「いいえ、今回は先日クロヴィス様に描いていただいたKMFのデザイン画の、ささやかではありますが御礼をと思いまして」
「そうなのかい?嬉しいなあ」
「こちらが、現在日本エリア限定生産の菓子類と、昔ながらの製法の日本酒…………ワインと違い水などから作ります」
「水からお酒を?………本当だ、透明で水みたいだ」
日本酒の瓶を持って様々な方向から眺めてウンウンとうなづくクロヴィス、気に入って貰えたようだ。
「そしてこちらが、日本エリアに古くから伝わる刀剣、日本刀です」
「サムライソード!うわぁぁ…………すごい、噂以上の美しさだ」
「古来よりの伝統を守ってきた職人による力作です、いかがでしょうか?」
「すごいよツキト!これが剣だなんて、芸術品のように美しいのに戦うための武器だなんて………日本人のセンスって良いんだなぁ」
抜刀した日本刀を色々な角度から見たり、光を反射させて見たりして喜ぶクロヴィス、まあ、想像通りの反応だな。
「喜んでいただけたようで何よりです」
「…………………さってと、何か用事でもあるのかい?」
「今回は、あいさつと先日の御礼が目的ですので、頼みごとはありません」
「そうなのかい?じゃあ、せっかくだし、ゆっくり話でもしようか」
「喜んで」
そのあと数時間、優雅にお茶しながら世間話に興じた。
クロヴィスの芸術に関しての話は面白く、素人の私でもちょっと美術館覗いてみたいなと思うくらいには興味が湧いた。
結果、クロヴィスとの時間を休暇のように過ごし、某所の部屋に戻ってきた。
処刑と授与式は明後日だ。
良く晴れた金曜日の昼、処刑の時がやってきた。
「歴代の皇帝陛下の胸像が並ぶブリタニア建国広場より失礼します、ご覧下さい皆様、並んで座られた皇族の方々、政府及び軍関係者を」
皇位の上からはオデュッセウス、下は………まあ良く知らんけど皇族のやつがほぼ全員と、なかなかの無駄遣い………壮観な眺めとなっている。
政府及び軍関係者は陛下の相談役数名と、階級を問わず英雄的行動をした軍人が数名、それからラウンズと並ぶ。
相談役と英雄的軍人たちは同格で扱われ、ラウンズは彼らより格下で扱われているのか、椅子の位置が彼らよりも下だ。
「空前絶後の大規模クーデターの首謀者、元皇族であるギネヴィア・ド
・ブリタニア以下数十名の処刑が、始まろうとしております、今回のような公開処刑は19年ぶりであり………」
んまあ、とにかく人がたくさんいるってことだ、だが広場は警備上の問題と、場所が狭いために観客席までは作れなかったようだ。
ところで…………なぜ私はラウンズと同じ列の席ではなく、英雄的軍人と同列の席に座らされているんだ?
それに、用意された礼服も他のラウンズの着ているものとはデザインも色も全く異なるものだ。
アーニャやジノらラウンズたちの服装は、高級なブランド物のスーツのように洗練されており、清潔感溢れ律儀なビジネスマンにも見える。
特にビスマルクはカメラ映えする佇まいなので、今頃お茶の間の女はビスマルクが映るたびにキャーキャー言ってるに違いない。
しかし私の服装は、なんというか、こう、大仰というか、騒がしい、というか…………原作のルルーシュの皇帝服みたいなローブに似た服を着せられている。
しかも、軍服を着た軍人の列のすぐ隣に座らされている始末…………いじめか?新手のいじめか!?と思ってしまうくらいには困惑している。
え?『その割には威厳たっぷりに頬杖ついて退屈そうに座っているじゃないか』、だって?
仕方ないだろう、私の弱みを見せられるのはナナリーやルルーシュ、咲世子やC.C.くらいのものだ、こんなところで慌てふためく私なんて、キャラじゃない。
それに…………このあと少々大立ち回りをするのだ、この程度のことで心を乱していては成功は見えないだろうしな。
「あ!ご、ご覧下さい!今まさにギネヴィア以下数十名を乗せた護送車が到着いたしました!」
アナウンサーがそう叫ぶと全てのカメラが一斉に護送車に向いた。
護送車は広場の入り口で止まると、周囲を重装備の兵が取り囲み、幻獣な体制の中で護送車の扉は開かれた。
中から出て着たのは髪はボサボサでやちれ、化粧もしてないスッピンブサイクなギネヴィアだった。
「神聖ブリタニア帝国国民の皆様!見えますでしょうか!?あの者達こそが、愚かにも陛下に弓引いた逆賊の姿であります!」
本当にな、馬鹿な奴らだよ。
馬鹿筆頭のギネヴィアの顔は、遠目に見ても青ざめているのがはっきりわかった。
広場中心に作られた断頭台に向け歩くギネヴィアと目があった気がした、私は嘲笑うように笑みを浮かべてやった。
【まぁったく、無様だなぁ、えぇ?ギネヴィア・ド・ブリタニアよ………】とでも言うように。
断頭台に拘束されるギネヴィア、そして。
『皇帝陛下!ご入来!』
演奏隊のファンファーレと共にゆっくりと現れ特設の玉座に腰を下ろす第98代皇帝シャルル・ジ・ブリタニア。
会場の全員の気が引き締まったのを肌で感じた。
会場の拍手が鳴り止んだところで陛下は口を開いた。
「ギネヴィア・ド・ブリタニア………貴様はぁ、我が意向に背き、叛旗を翻して我が身を亡き者にせんと200余の兵を率いて我に刃を向けたぁ…………実に、実にぃ!許し難い行いでぇ、あるぅ………よって、13時の刻限を持って貴様の首を跳ねる!」
「僅かな生の時間、何か言い残すことがあるのなら、申すが良い……」
陛下はそこで言葉を切り、より深く玉座に腰掛ける、ギネヴィアの反応を待つことにしたようだ。
皆が蔑視する中、ギネヴィアは口を開いた。
「私は!私は国是である弱肉強食に則り、私自身が次期皇帝となるために挙兵致しました!これは紛れも無い事実であり、嘘偽りない本心です!」
「陛下!陛下の信頼を置く者が、嘘をついているのです!この帝国を根底から覆し得ない嘘を!!」
いきなり何を言い出すんだギネヴィアのババアのやつ……………っていうか、なぜ途中から私の方を向いて………。
「お聞きください陛下!そこに居るツキト・アールストレイムは………自らの主君を謀殺し、それを隠蔽した大罪人なのです!!」
なぬ?
「「「「「えぇ!?」」」」」
「マリアンヌ妃の暗殺未遂事件後、当時の日本エリアへ雲隠れしようと提案したのはそこにいるツキト・アールストレイムです!おかしいとは思いませんか?なぜ、親密とは言い難い国へ渡ったのか!」
「な、なんということでしょう!ギネヴィア・ド・ブリタニア元皇族が、ツキト・アールストレイム卿が自らの主人を謀殺したと証言しました!」
ちっ、あの糞性悪ババアめ!!
「た、確かにそうだ、当時仮想敵国であった日本エリアに危険と知りながらなぜ渡ったんだ?」
「盲点を突こうとしたのでは?」
「しかし実際にツキト・アールストレイム卿の主人は………」
「誤爆による事故死であろう?」
「誘導されたのかも………」
「しっ、聞こえてしまうぞっ」
動揺が広がりすぎている、とはいえなんとかしようと動けば疑惑は深まる、ここは……………。
「ほぉう」
「「「「「!?」」」」」
わざとらしく感心したように声を漏らす、すると多くの皇族、軍人からの視線が集まる、特にアーニャからの視線は凄まじく、半信半疑といった表情だ。
「それで?私がどのようにして、賢者が如き知を持った主と、何事にも聡く情に厚き主の2人を殺したと?」
言うまでもなく『賢者が如き知を持った主』というのはルルーシュ、『何事にも聡く情に厚き主』というのはナナリーのことだ。
なぜこのように余裕たっぷりに笑みを浮かべながら未だ全力を出していない魔王キャラのように振舞って居るのか?そんなもの当然キャラを守るためだ。
多くの皇族や軍人の集まる所で変に激昂してみろ、余計に疑わしく見られてしまう、かと言って無関心を通せば主人への忠義を疑われる、『主を愚弄するか!?』と叫んでギネヴィアを殴っても同情こそもらえど私のキャラを大きく逸脱してしまう。
いつも冷静に、いつも余裕の笑みを浮かべ、無警戒とも取られかねないほどの態度と表情で座す、決して取り乱すことはない、それが私のキャラだ。
「決まっている!貴様は軍と密かに連絡を取り、爆撃による事故死に見せかけた!」
「ふむ、では私がどのようにして、軍に通信したのだね?」
「通信を傍受し、指揮官にラウンズとして命じたのだろう!?」
ふっ、馬鹿め。
「ギネヴィア・ド・ブリタニア、貴様の言う通りならば、私は我が主人の隠れ家を爆撃するように、シュナイゼル殿下に言ったということになるが?」
「なっ!?」
「いきなり移動拠点の通信回線に割り込んできた10才の子供が、ラウンズであると声だけで証明し、爆撃機の爆撃コースを変更させるようにシュナイゼル殿下に進言した…………ふふふ、あっははははは!素晴らしい想像力ではないかギネヴィア!死の間際にしてそのようなことを考える頭が残っている死刑囚にあったのははじめてだ!」
ひたいに手をあてて肩を上下させて大きく笑う、わかりやすく馬鹿にしているとわかる言葉も添えて。
「あはははは………なかなか面白かった、ただのつまらない逆賊の公開処刑で終わると思っていたが、とんだエンターテイナーだな、ギネヴィア・ド・ブリタニアよ」
「貴様は、貴様は自分の主人をむざむざ見殺しにしたことに罪悪感はないのか!?」
「ヴィ家に対する数々の嫌がらせを行なってきた貴様が、何をいうかと思えばそんなことか……………答えてやろう、私はなギネヴィア、2人の主人に対してこれと言った罪悪感は持っていないのだ」
「「「「「!!!」」」」」
「当時は空軍の兵を皆殺しにしてその首を墓前に並べて供養しようとも思っていたが、同族を憎む事が果てしなく無駄であることを悟ってな、それ以来余計なことは考えたことはない……………今の私は、主の命令と願望を叶えるための人形に過ぎないのだからな」
「にん………ぎょう……?」
「そうだよアーニャ、私はあの方々の望みを叶える為に生きると誓った……………カメラが全部私に向いていることだし丁度いい、発表するなら今だろう」
「な、何を言って…………」
カメラが全部私のほうを向いていることを確認し、椅子から立ち上がる。
さあ、一世一代(?)の大立ち回り、見せてやろうじゃないか。
まさに始まろうとしたギネヴィア以下数十名の逆賊の公開処刑を前にしたツキト・アールストレイム、長旅の疲れからか不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう…………。
「っていうかギネヴィア元気っすね、これから死ぬのに。いや死ぬからこそか………」
っていう問答をやってました、1人で…………。