コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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「ツキト・アールストレイムの剣の射程距離外に出ました!S・H・I・T!!!」

「と、届かんッッ!剣が!!これっぽっちも!!!このクソカス共があああああああああああ!!!!………と思っていたのか?」

「なにぃ!?」

「hell・to・you!!!!」ジャギンッ

「じゅ、銃だって!?馬鹿なッ!」

「アイアイサー!」ドォン!



『王様ゲーム』

ツキトside

 

 

よりによってヴァインベルグがKING、どんな命令をするのかはしらんが、無茶振りをしてくる可能性は低いか。

 

「ヴァインベルグ卿、こちらに各種道具を用意しております、どうぞご自由にお使いください」

 

「え、あ、はい」

 

ど、道具だと!?ポッキーやらクッキーやらの菓子類がほとんどではないか!しかも露骨に中高生の女子が好きそうな会社の人気商品ばかり!

 

この晩餐会、いったいどれほどの金が動いているんだッ!とくに目立つパッケージのポッキーでポッキーゲームをすれば…………年明けでバカ売れ間違いなしってわけか。

 

日本エリアのあらゆる場所で生中継を写すようにクレアにメールを打っておこう。

 

こうしておけば同じ菓子が日本エリアで飛ぶように売れるはず、宣伝効果としてはこれ以上ないほど良い。

 

日本エリア発祥の菓子の1つでも持ってくれば良かった、失敗した。

 

「あーえーっと…………じゃあ、3番と………6番が………うーん、じゃあ握手で」

 

「では、3番と6番のかた、立っていただいてこちらの方へ」

 

へー、3と6か……………ん?私が6か。

 

ガタ

 

ガタ

 

「「え?」」

 

「おや?ツキト・アールストレイム卿とアーニャ・アールストレイム卿でございましたか…………立ち上がるタイミングといい、仲がよろしいですね」

 

「お兄ちゃんとは世界一仲がいい」

 

「まあ、兄妹としてはそれなりだろう」

 

「「え?」」

 

「見解の相違があるようですが………とりあえずこちらのほうでカメラに見えるように握手を」

 

奇妙な偶然だなと思いつつ、カメラに全身が映るように並んで立つ。

 

「では握手を」

 

「わかった…………ヴァインベルグ、ハグでもいい?」

 

「え?いやそれは………」

 

「こら、アーニャ、あまり困らせるんじゃあない」

 

「……ごめんなさい」

 

…………まあ、ハグくらいはいいか。

 

何でもかんでも禁止じゃアーニャも息がつまるだろう、緊張をほぐす意味でも言うことを聞いてやるか。

 

「わかればよし、それでヴァインベルグ………ハグでもいいのか?」

 

「あーー…………もうそれでいいよ」

 

「お兄ちゃん………!」

 

「ほら、どうする?アーニャから来るか?」

 

「うん!えいっ!」

 

「おっと………ははは、大きくなったな」

 

可愛らしく抱きついてきたアーニャを包むように抱きしめる。

 

兄として感慨深いものを感じる。

 

あぁ…………妹の成長が本当に嬉しい。

 

「…………あの、そろそろ席にお戻りを………」

 

「ん?」なでなでよしよし

 

「………♬」ぎゅー

 

「……………何でもないです」

 

〜10分後くらい〜

 

ハグのあと握手をして席に戻った…………私の顔ニヤついてないよな?大丈夫だよな?

 

………アーニャがニヨニヨしてるから私もそうなんじゃないかと心配になる。

 

「えーー…………では次のルーレットをお願いします」

 

「ほぃ!」ポチッ

 

ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ………

 

次の数字は…………………1か。

 

「第二回ルーレットの結果は、アーニャ・アールストレイム卿が王様です!」

 

アーニャがKINGか、さて、どの番号を指定するのか………………。

 

「……………」ジーーーー

 

「…………アーニャ、なぜ私を見る?」

 

「お兄ちゃんの番号を探ってる………」

 

「一体何を命令するつもり…………いやいい」

 

何をされるのか怖いものがあるが、幸いにもテレビに映った数字はその目の前に座った本人にしか見えないように円卓のくぼみの奥の方につけてある。

 

私の身の安全は保障されている。

 

「……………」すっ

 

?………いきなり目を閉じてどうs

 

「………1番が王様にキス」

 

「……………ハッ!卑怯だぞアーニャ!!」

 

「…………お兄ちゃんの考えを読むのはルール違反じゃない」

 

「グゥッ!………審判!ジャッジ!!」

 

「…………」バッ!

 

「く、クッソぉぉおお!!」ダン!

 

訴えを『却下』、だとぅッ!?

 

「いやあの、コントみたいなことやってるとこ悪いんだけど………何がどうなってんの?」

 

「不覚をとった………アーニャに、心を読まれた」

 

「そんなことができるのかよ!?」

 

「(もしやアーニャ・アールストレイム卿はギアスユーザーなのか?)」

 

「(めんどくせえ………)」

 

「それでは両者、その場で結構ですのでキスを」

 

「アーニャ、考え直せ!」

 

「嫌」

 

「命だけは!命だけは!!」

 

「ダメ」

 

「か、金か!?金なんだろう!?金ならある!!だから………」

 

「無理」グイッ

 

「ヒッ!」

 

あっっっっっぶな!!

 

必死の抵抗むなしく、座ったまま襟首を捕まれ強引にキスされそうになる直前で止まらせる。

 

誰が好き好んで全世界生中継で実妹とキスするんだ!!

 

ふざけんな!!

 

「ゆ、許してくれ!何でもするか!!」

 

「………………わかった」

 

よしっ!!

 

「じゃああっちの部屋で子作r…………」

 

「こんのドゥアホウが!!!」ペシッ

 

「あぅ………」

 

「「「「(言葉の割に弱い……)」」」」

 

「女の子がそんなこと言っちゃダメだろう!」

 

「じゃあキス」

 

「何だその『チョコケーキが売り切れだったから仕方なくショートケーキを買う』みたいな応え方は!?もっと自分の身体を大事にしろ!」

 

「お兄ちゃんに、私の全部をあげたいの」

 

「(やばい惚れそう、実妹に惚れそう)……とにかく!キスもなしだ!だいたい、キスは過激じゃないのか?」

 

「兄妹同士ならOKだと………」

 

「むしろアウトだろ審判!えぇい!まともな奴はおらんのか!?」

 

「ツキトさん、いい加減諦めたほうがいいって」

 

「ヴァインベルグ!貴様までッ!」

 

「ああいやその………ほっぺにちょっとするだけとか、おでこにするとか………」

 

「!、バカお前………」

 

そんなこと言ったら…………。

 

「お兄ちゃん、口限定ね」

 

「ヴァインベルグゥゥゥウウウウウウウウ!!!!!!!!」

 

「ごめん、本当にごめん……」ズーン

 

私をここまで怒らせたのはお前で……………何人めだったか知らんが、あとで絶対殺す、必ず殺す。

 

「………アールストレイム君」

 

「ヴァルトシュタイン卿?」

 

何だ?珍しく口を開いたぞ?

 

「いいじゃないか、妹の願いを聞くのも、男としての気概のひとつであり、紳士であると思うよ」

 

「ヴァルトシュタイン卿は自分と同じ顔の実妹がいたとしてキスができるのですか?」

 

「…………すまない」

 

まあ、ヴァルトシュタインの言い分も分からなくはない、だが結局は自分と同じ顔の実妹とキスをするという行為が、どれほどの精神ダメージになるのかを知らんから言えることなのだ。

 

「お兄ちゃん………」

 

「グゥッ…………」

 

そんな泣きそうな目で…………………………………くそっ。

 

「…………今回限りだ」プイッ

 

「お兄ちゃん!」パァッ

 

「(はぁ……)では、両者誓いのキスを」

 

「何を誓えと………うむぅ!?」

 

「ん………………」

 

や、柔いッッ!!!!!

 

そして感じる………………背徳の味ッッッ!!!!!

 

もう死にたいッッッ!!!!!(重度の鬱状態突入)

 

しかしまあ、峠を超えるとそこまで恥ずかしいものではないんだな。

 

って……。

 

「/////////」ギュゥ

 

まさかした方のアーニャが顔真っ赤にしながら胸に飛び込んでくるとは…………やはりアーニャもウブなんだなぁ。

 

できれば乙女らしさで恥ずかしがってキスをしてくれなかったほうが良かったんだがなぁ。

 

「はぁ、まったくお前は………恥ずかしがるくらいならしなければいいものを………」

 

「--------////」

 

「埋めたままじゃ聞こえんぞ」

 

「「「「(あんな状態のシックス初めて見た………)」」」」

 

「(なぜわしは兄妹のキスシーンを見せつけられているのだろうか)」

 

…………まあ、別にいいかキスくらい、減るもんじゃないし。

 

帰ったらナナリーにこってり絞られそうだが…………考えるだけで恐ろしい。

 

やっぱり減ってるじゃあないか。

 

〜20分後くらい〜

 

「えーーー…………依然として、アーニャ・アールストレイム卿が復帰しておりません」

 

「//////」ギュゥ

 

「何というか…………………すまん」なでなで

 

「しかし、命令は遂行されたので、次をお願いします」

 

「うむ………」ポチッ

 

ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ……………

 

次は…………5か。

 

「王様はルキアーノ・ブラッドリー卿ですね、では命令をどうぞ」

 

「反応薄っすすぎだろうが!っじゃあ2番と5番がポッキーゲームでもやれ!!」

 

ポッキーゲームか。

 

「5番は私だ、2番は誰だ?」

 

アーニャが胸に埋まった状態で私はそういった、だが誰も立ち上がらない、2番がいなければゲームとして成り立たない。

 

まさか…………。

 

「ヴァインベルグ、すまないが…………アーニャの番号を見てくれないか?」

 

「お、おう……」

 

動けない私の代わりにヴァインベルグに番号を確認してもらう。

 

「えーっと…………」

 

アーニャの席のテレビを見たヴァインベルグの顔はどんどん青ざめていく。

 

「…………2だ」

 

「………はぁ」

 

おお神よ………今すぐぶっ殺しにいくから逃げるなよ?いいな?例え別宇宙や別世界に行こうが追いかけて殺してやる絶対逃がさん。

 

「アーニャ、ポッキーゲームだと」

 

「!、む、むり、むりぃ……////」ギュゥ

 

「ほーら、そんなこと言わない、やらないといけないんだから」なでなで

 

「は、恥ずかしぃ、からぁ////」ギュゥ

 

「はいはい、顔あげようねー」なでなで

 

「(なるほど、これがマリアンヌの言っていた『ばぶみ』とやらか………やはり強いな、マリアンヌは)」

 

なんで生中継で保母さんみたいなことしなきゃいけないんだ………声は聞かれてないからまだいいが。

 

顔を埋める妹の頭を撫でてあげている兄にしか見えんぞこれ。

 

「うぅぅ………////」ウルウル

 

「よくできたね、アーニャ」ニコニコ

 

ようやく顔を上げたアーニャ、顔を赤らめ目を潤ませる様はまさしく恋する乙女…………そんな顔を向けられる兄の心情がわかる人間がどれだけいるのか………。

 

もらったポッキーを口に咥えてアーニャに近づける。

 

「ん」

 

「あ…………う…………えぅ……………あむ」

 

迷った末にアーニャはポッキーをくわえた。

 

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ………。

 

…………どうしよう、止めどころがわからない。

 

どこかで適当に折ればいいかと思っていたら、意外にもアーニャの進むスピードが速くてタイミングを逃した。

 

もう2cmもないぞ。

 

カリカリカリカリカリ………ポキンッ。

 

「!…………あっ…………」

 

「折れてしまったな」

 

不意に力を入れたアーニャによってポッキーは残り約1.5cmほどで折れてしまった。

 

アーニャは少し残念そうに呟いた。

 

危険なポッキーゲームは意外な形で幕を閉じた。

 

もう飽きてきたな、というか私の指名多くないか?やっぱり神のせいだな、殺そう。

 

「王様ゲームもほどほどに、ゲスト参加の方を紹介いたします、お入りください」

 

扉が開いて入ってきたのは女性、スラリと伸びた体躯、髪は柔らかなゆるいウェーブのかかった…………っておい。

 

「ユーフェミア・リ・ブリタニアです、よろしくお願いしますね」

 

入ってきたのはまさかのユーフェミアだった。

 

「(まじか………)」

 

「(ほっほーう、えろイイ体してんじゃん………)」

 

「日本エリアを大きく成長させた功績をたたえて、此度の晩餐会にお呼びさせていただきました」

 

「日本エリア防衛戦力臨時統括として、日本エリアに残られたコーネリア姉様のぶんも頑張ります」

 

「お言葉ありがとうございます、それでは…………」

 

「あっ………私の席のなのですが………」

 

何か嫌な予感がする………。

 

「ツキ…………ツキト・アールストレイム卿の隣でもよろしいでしょうか?」

 

ほらあああああああ!!!???

 

なぜッッ、こう、無駄に(ややこしい)人間が集まるッッッ!!(←才能によって強制的にモテる+持続効果)

 

「えぇっ?よ、よろしいのですか?」

 

「はい、ツキ………ツキトの隣は落ち着くので………ダメですか?」

 

「そ、それは………へ、陛下」

 

「………好きにせよぉ……今宵はぁ、無礼講であァァる」

 

「では、ツキト・アールストレイム卿、窮屈で申し訳ございませんが、少々、アーニャ・アールストレイム卿側に座席を動かして頂きたいのですが、よろしいですか?」

 

「あぁ………」

 

帰りたい…………。

 

まさかユーフェミアが来るなんて思わなんだ。

 

「数日ぶりですね、ツキト」

 

「え、えぇ、そうですね」

 

まあ、ユーフェミアなら公的な場での振る舞いは弁えているはず。

 

「私、いつもと違うところがあると思いませんか?」

 

「髪型は一緒ですが、指輪とドレスはいつものと違います、一層お美しいですよ」

 

これ以上の混乱は無いと思っていいだろう。

 

「そう、ここの料理は美味しいですか?」

 

「えぇ、とっても」

 

…………しかしなんだ、なぜユーフェミアはこうもニコニコと薄い笑みを貼り付k

 

「妹さんとのキスは気持ちよかったですか?」

 

「えぇ、とっt…………はい?」

 

「総督府内部のみならず、アッシュフォード学園でもたくさんの女の子を惚れさせているようですね?」

 

「いえ、あの、それは…………」

 

「いけませんよ?ツキトは喋るだけで相手の子を惚れさせてしまうんですから」

 

「は、はい」

 

「だから、本当は喋るのだってダメなんですよ?わかっていましたか?」

 

「し、知りませんでした、教えて頂きありがとうごz」

 

「喋るのはダメです、って、言いましたよね?聞こえてましたよね?」

 

「!!!!」コクコク

 

…………あっ、ハイライトが無い。

 

やっぱり壊れてるじゃないか(諦め)。

 

これじゃラウンズよりも『ヤンデレ製造機』のほうが似合ってらあ。

 

モテる代わりにヤンデレ量産するくらいなら、神格なんぞ要らんわ!!

 

というか皆フリーズしてるじゃないか、アーニャなんか目を白黒させているし………。

 

「本当に申し訳ございませんでした、ユーフェミア様」

 

「だから喋るのは………」

 

………ッ!!

 

「死んで詫びさせて頂きます……(虚ろな目)」チャキ…

 

ホルスターのリボルバーに手を伸ばして引き抜こうとする。

 

「「!、ダメ!!」」ガシッ

 

そこでユーフェミアとアーニャから妨害が入る。

 

両者ともしがみつくようにして止めようとしてきたため、バランスを崩して椅子ごと後ろへ倒れる。

 

当然、ユーフェミアとアーニャはくっついたままで離れない、本気で自殺しようとしていると思っているのだからしがみついつてもで止めようとしているのもわかる。

 

3人まとめて椅子ごと倒れる。

 

そのすぐ後、座っていたらユーフェミアの頭があったであろう場所を一本の矢が通り抜けた。

 

ビシッ

 

自分の背中側の壁に矢が刺さったのを確認し、纏わり付いたままの2人を丁寧に素早く振りほどいてリボルバーを引き抜き、立ち上がる。

 

すると驚いた顔のまま小型のボウガンを持って棒立ちしている男が円卓の向こう側にいた。

 

照準、トリガー。

 

シリンダーがまわり、定位置でハンマーが落ちる。

 

軍用拳銃より大口径故の重めの銃声と響く。

 

バァン!

 

長い銃身から.455口径弾が飛び出すと同時に、シリンダーに彫られた装飾、に見える溝にフレームの一部が噛み合り銃の上部が後退、ハンマーをシングルアクションの位置まで押して元に戻る。

 

「ガッ!?」

 

体の中心に当たったボウガンを持った男は衝撃で仰け反り、その場に後ろ向きに倒れた。

 

このリボルバーの一連の流れ、知る人ぞ知る、というかマニアックが知る機構を備えている、2発目以降の射撃を素早く行うためのオートマチック機構だ。

 

いろいろ端折るが、理論上はリボルバーとオートマチックの良いとこ取りであり、現実的には悪いとこ取りの銃だ。

 

一瞬固まっていたラウンズや側近たちはすぐに各々の銃を取り出す、特に復帰が早かったビスマルクは剣を抜き、どこからの攻撃にも対処できるように陛下の前で盾になるように構えた。

 

「カメラを止めろ!これ以上は帝国国民の心臓に悪い!」

 

「はっ!」

 

「機材でも装飾品でもなんでも良い!入り口を固めろ!」

 

「「「おう!(はい!)」」」

 

「アーニャはユーフェミア様を頼む」

 

「わかった」

 

リボルバーを下げて指示を飛ばす。

 

ついに来たか、速すぎるだろうと舌打ちするべきか、まずはユーフェミアの死を回避できたことを喜ぶべきなのか…………。

 

まずわかることは…………………状況は、最悪だということだ。

 




戦争開始。

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