コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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またしても番外編。
許してください!なんでも島村卯月!


アルティメットif√【妹は人外娘編】

アルティメットif√

 

【妹は人外娘編】

 

 

no side

 

 

その日の朝はおかしかった。

 

アーニャがベッドから身を起こす、時計はまだ午前2時を指していた。

 

季節は冬、布団から足がはみ出ようものなら一瞬で目がさめる極寒の季節。

 

アーニャは布団から足でも出たのかと、寝ぼけ眼のまま布団の捲れている場所を探す。

 

しかしいくら探しても見当たらない、捲れるどころか寝た時そのままの状態だった。

 

近くの電球のスイッチを入れ、目に飛び込んできた光景にアーニャは悲鳴をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「珍しいこともあるものだ」

 

2週間後、日本エリア総督、ブリタニアの実質的な第2代目の枢機卿となったツキトの元に、ブリタニア本国から重要書類が届いた。

 

内容は、アーニャが3週間程度の連続した有給をとって休んでいるにも関わらず、家から出た形跡が無く、交友関係をあたったもののどこにもいなかったようなことが書かれていた。

 

じゃあ家に引きこもっているのだろうと思うが、毎日の日課である野外での鍛錬を2週間もやっていないのだ、いつも同じ場所で鍛錬をしていた同期や後輩にあたる人物たちが不安を募らせているらしい。

 

そこで、政府関係者からただの友達に至るまで、幅広い人物がアーニャの家を訪問したが、誰1人入れてもらえなかった、両親も試したが結果は同じだった。

 

そこで、アーニャの安否確認と原因調査をツキトに依頼する、というのが書類の1番最後に書いてあり、皇帝陛下の印も押してあり、間違いなく本物だった。

 

「…………クレア」

 

「なにー?」

 

ツキトは疲れたようにクレアを呼び質問した。

 

「女が2週間も家の外に出ない理由とかってあるか?」

 

「んーー………誰にも見られたくないほどの大怪我を負って、引きこもっちゃったとか?」

 

「怪我ねえ、他は?」

 

「軟禁されてるとかじゃない?」

 

クレアから有力な2つの方向性が出たが、アーニャを軟禁状態にできるかと言われれば微妙だとツキトは思った。

 

消極的にアーニャが大怪我をして隠している線がまだ濃いだろう、と。

 

「クレア、これからすぐに本国に飛びたい、専用機を用意してくれ」

 

「何があったの?」

 

「アーニャが2週間も引きこもってるから様子見てこいと、陛下のご命令だ」

 

ツキトは書類をクレアに渡しつつ背伸びをした、クレアは素早く読んで溜息を吐いた。

 

「ラウンズの安否確認とはよく言ったものね、こんな命令が皇帝権限で通るなんて」

 

「私とアーニャの知名度と影響力は絶大だ、私を枢機卿にしたのもその影響力の大きさを利用するためだからだ、だから私の妹のアーニャには特に気を使っているのだろう」

 

「ついこないだまで剣持って突撃する脳筋ラウンズだったのに、今じゃ書類とにらめっこする悪徳政治家だものね、世の中汚いわ」

 

「プロ野球のスター選手の年収の数倍を月収で賄う悪徳政治家の秘書は誰だ?言って見てくれクレア」

 

「はいはい私よ、私ですよー、スター選手の年収と同じくらいの月収を貰ってますよーだ」

 

この2人、息ぴったりなところがあるためにラウンズ時代からずっと続いている。

 

手の限りを尽くして日本エリア中を魔改造したツキトの年収はもはや言わずもがな、クレアの年収についても失神ものだ。

 

それほどの功労を打ち立てたことの証ではあるが、ツキトとしてはどこに金を押し込めばいいのか悩む状態であり、いっそルルーシュとナナリーの口座に流しこもうかとか考えていた。

 

クレアもまた1ヶ月ごとにとんでもない数字になる通帳を見るのが怖くなってきている。

 

2人ともかなりの額を募金したりしているのだが、それでも増える、募金額を増やせば向こう側に断られるという。

 

現金の沼から抜け出せない状態に陥っている。

 

そんなことは置いておいて、クレアは専用機の準備を電話で伝えた。

 

「明日の朝、午前9時には万全よ」

 

「ありがとう…………あー、咲世子か?あぁ、明日の朝から本国にな………迷惑をかける、お土産には期待してくれていい、わかった、それじゃあ」

 

ツキトも咲世子に準備を頼み、2人とも元の執務に戻った。

 

翌日ソソクサと専用機に乗り、ほんの数時間のフライトを持ってブリタニア本国についた。

 

1日の休みを取ったツキトは、アーニャの家に向かう、この時すでに、アーニャ引きこもりから15日目に突入していた。

 

自分1人で行くと言い、護衛も含めてすべて下がらせたツキトは、ベルを鳴らした。

 

『誰?』

 

「ツキト・アールストレイムだ」

 

『お、お兄ちゃん!?どうして!?』

 

「妹が2週間も家に引きこもってると聞いてな、もしかして重い病気にでもかかってるんじゃないかと心配になって…………仕事放り出してこっちに来てしまった、ははは」

 

『そんなことまでして……なんで………』

 

「あははは、このまま日本に帰ったら待ち構えてる秘書にハリセンで叩かれてしまう、怒りが収まるまででいいから泊めてくれないか?」

 

ツキトはそう言いつつ持って来た少し大きめの旅行カバンをカメラに映るように持ち上げる。

 

『………………』

 

「………すまない、こんなダメな兄の願いは聞けないよな、他をあt」

 

『待って!………入って』

 

ロックが外され、ドアを開けて中に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

靴を脱いでスリッパを履き中に入る、部屋は綺麗で特に乱れた様子はない。

 

「アーニャ?」

 

「…………こっち」

 

声のする方に歩いて行くと、ベッドルームのベッドに横になり、下半身に毛布をかけているアーニャがいた。

 

「久しぶりだなアーニャ」

 

「久しぶり、お兄ちゃん」

 

テンションは低め、恥ずかしがってるというより、バレたくない感じか。

 

「風邪でも引いたのか?ちゃんとご飯食べてるか?」

 

「風邪は引いてない、ご飯も食べてるから」

 

「そうか………昼飯はもう作ったか?」

 

「ううん、これから」

 

「じゃあ、私が作っても良いか?泊まるだけっていうのも悪いしな」

 

「ホント!?」

 

お、食いつきいいな。

 

「あぁ、リクエストはあるか?」

 

「じゃあ、シチューで」

 

「シチューか………持って来た食材にはあるが、時間的に晩飯になるな、他にないか?」

 

「じゃあ、ローストビーフ」

 

「ローストビーフならいけそうだな、グレイビーを作るためのワインとかはあるか?」

 

「あっ、ない……」

 

「ふふ、そんなこったろうと思ったさ、途中で買って来たよ」

 

「さすがお兄ちゃん、準備がいい」

 

「まあな、作ってくるから、待っててくれ」

 

「うん………ありがとう、来てくれて」

 

「兄というのは妹のために無茶をするものだ、気にしないでいい」

 

そう言ってキッチンに入り、ローストビーフ作りに取り掛かる、といってもまず牛肉の塊がない。

 

冷凍庫にないものか………あった、買いに行くとこからだとめんどくさいからな。

 

材料の在庫を覚えていて、そこからリクエストをだせるということは、精神面の病気の線は薄いかな。

 

となると身体的なことだが………おっと、料理中の長考は危険だ、後にしよう。

 

ローストビーフを作るなら、ヨークシャー・プディングも作ったほうがいいか、あとはサラダと、パンも一応用意しておこう。

 

しかし、体調を崩しているかもしれないアーニャに、ローストビーフは硬すぎるかもしれんな。

 

…………できるだけ柔らかく、嚙みちぎりやすい硬さで作るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーニャside

 

 

どうしよう………お兄ちゃんが来てくれたのは正直すごく嬉しい。

 

嬉しいけど、今の姿は見られたくない。

 

布団をめくると、そこには足なんてなくて、あるのは蛇の胴体だけ。

 

寝て起きたら伝説上の生き物、ラミアになってた、なんて言ってもお兄ちゃんは信じてくれn………信じるかもしれないけど、きっと気持ち悪がられる。

 

身動きも満足にできない、トイレとベッドルームを往復するだけでも重労働、ヌルヌルしてて太くて長い蛇の体はすごく不便。

 

誰かにバレたら殺されるかもしれない、今の私は逃げられないし、下半身の長さが5倍くらいに伸びたから的も大きい。

 

でも、お兄ちゃんは気持ち悪がりながらも面倒を見てくれる、きっと、たぶん………っていうのは私の都合の良い妄想でしかないけど。

 

早めの方がいい、長くお兄ちゃんといるとバラすのが怖くなる、御飯を食べたら一気に見せよう。

 

吐かれるかもしれないから、洗面器を用意してもらって、あとは…………お兄ちゃんが気持ち悪がっていなくなった後、自殺できるように拳銃も近くに置いとかないと。

 

いろいろ考えたらちょっと楽になった、やっぱりお兄ちゃんがいるといないとじゃ心の余裕とかが全然違う、ずっと一緒に……………は無理だよね。

 

「アーニャ、ご飯持って来たぞ、温かいうちに食べようか」

 

「美味しそう、ありがとうお兄ちゃん、大好き」

 

「ははは、私もアーニャが大好きだよ、ベッドの上にこの机を取り付けて、よし」

 

病院の机付きのベッドの机の部分を持って来たお兄ちゃんは、それをベッドに取り付けた。

 

「買って来たの?」

 

「物置から持って来た、綺麗な状態だったから掃除してから持って来たんだ」

 

気が利きすぎ………結婚したい。

 

「じゃあ、食べようか」

 

ベッドの隣に椅子と折りたたみ机を並べて私の隣で同じ方向を向いてお兄ちゃんは座った。

 

「はむっ………」

 

あ、ローストビーフ柔らかい、お兄ちゃん、私の体調を気にしてくれてるのかな、そういうことするから好感度上がって好きになるのに。

 

パンは普通の市販品みたい、お兄ちゃん特製グレイビーをつけると、お店で食べるグレイビー付きのパンとは味が全然違う。

 

さすがお兄ちゃん、何も言わなくとも私の好きな味付けを察しちゃうなんて、死ぬまで添い遂げて欲しいんだけど。

 

「どうだ?口に合いそうか?」

 

「うん、すごく美味しいよ、結婚しよう?」

 

「嬉しい言葉だが、断らせてもらおうかな」

 

2人の楽しい時間はすぐに過ぎ去って、お兄ちゃんに大事な話があると言って食器を片付けた後に残ってもらった。

 

「大事な話っていうのは?」

 

「その前に、持って来て欲しいものがあるの」

 

「なんだ?」

 

「洗面器と拳銃、洗面器は洗面台に、拳銃は私の机の引き出しに入ってる」

 

「……………うむ、わかった」

 

お兄ちゃんは少し怖い顔をしてすぐにもとの顔に戻して洗面器と拳銃を取りに行ってくれた。

 

「持って来たぞ」

 

「洗面器はお兄ちゃんが持ってて、拳銃はベッドに取り付けた机に置いて」

 

「うむ」

 

言った通りの場所に拳銃が置かれて、お兄ちゃんが椅子に座ったところで話し始める。

 

「これからお兄ちゃんに、2週間も引きこもってた理由を見せる、気分が悪くなったら洗面器に吐いていいし、ここから出てってもいい」

 

「あまりそういう悲しいことを言うなアーニャ」

 

「ごめん、でも今回はそうとも限らないから」

 

私はそう言って、布団を捲り上げた。

 

蛇の体がウネウネ動くところをお兄ちゃんはじっと見ている。

 

…………………嫌われt

 

「…………遺伝子の突然変異、もしくはなんらかの工作か、それとも……」

 

「ちょっと待ってお兄ちゃん」

 

「ん?どうした?」

 

「いや、あの、私の体の半分が本物の蛇と同じになっちゃったんだけど」

 

「あぁ、確かにその通りだ」

 

「………………きもちわるくない?」

 

「全然、蛇はむしろ好きな方だ」

 

「そっか、きもちわるくないんだ…………そっかぁ、そっがぁ"……うえぇぇん!」

 

「あ、アーニャ!?どうしたんだ?何か悪いことしたか?」

 

嫌われてない!気持ち悪がられてない!むしろ好きだって言ってくれた!

 

プロポーズだよね!

 

「お兄ちゃん……あ"り"がどう"ぅ"」ギュゥ

 

「あーもう、かわいいのにわんわん泣いて………」ギュゥ

 

「こんな気持ち悪いの知られたら、嫌われると………グスッ……思って……」

 

「私がアーニャを嫌うわけないだろう、アーニャは私を信頼してくれないのか?」

 

「でも、こんな蛇なんて………」

 

「じゃあ、もし私の体が蛇になってたら、アーニャは私を嫌うか?」

 

「そんなことくらいでお兄ちゃんを嫌うなんてありえない!」

 

「そうだ、そんなことくらいで、アーニャを嫌うわけないだろう」

 

お兄ちゃんは、やっぱりお兄ちゃんだった。

 

いっぱい泣いて、そのあとは抱きしめてもらって、添い寝までしてもらっちゃった。

 

「なあアーニャ、暖かいのはいいんだが、締め付けがちょっとつよいぞ?」

 

「ご、ごめんなさいお兄ちゃん、なんでか抑えが効かなくて」

 

「抑えが効かないほど私を大切に思ってくれているのか?嬉しいぞ」

 

「お、お兄ちゃぁあん!!」

 

「うぉ!?締め付けは更に強く!?ふふふ、アーニャにこれほど愛されているなんてな………私は幸せ者だ」

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」グググググッ……

 

「あぁ、お兄ちゃんはアーニャのそばにいるぞ」

 

だからもう少し力を抑えてくれないものか、そろそろ肋あたりが逝きそうだ。

 

「お兄ちゃん………お兄ちゃん………離れない………離さない………」

 

…………いきなり下半身が蛇の体になって、心細かっただろう。

 

幸いにも慣れたのか痛みはない、ずっとこのままでもいいくらいだ。

 

「そろそろ寝ないと、明日の朝酷いぞ?」

 

「別に外でないからいい……」

 

「治った時に外に出れないようじゃ困るだろう?」

 

「私は別に…………お兄ちゃんは、困る?」

 

「そうだな………また一緒に遊んだりしたいし、いつか美味しいご飯を食べながら綺麗な夜景でも眺めたいな………なんてな」

 

「お兄ちゃん…………」

 

「ま、治ったら外で遊べるようになるし、治らなかったら私が逝きている限り面倒を見るさ」

 

「(どっちを選んでも天国!!////)」

 

うっ、いきなり眠くなってきた………仮眠くらいとればよかったか、まだ話したいことが………明日でいいか。

 

「ん………いい加減眠くなってきた、先に寝る」

 

「あ、おやすみ、お兄ちゃん」

 

「おやすみアーニャ……………」

 

明日起きたら朝ご飯を作って、それから……………。

 




アーニャがラミアになる…………つまりヘラは誰になるんですかね?

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