そのうえ展開が早く場面の移り変わりが早いです。
雰囲気でも察していただければ大丈夫かと。
no side
猟犬部隊の兵士数十人と共に制圧済みの地下研究施設に踏み入ったツキトたち。
白衣や軍服を着て穴だらけ血塗れになっている死体の転がる施設内を、死体を踏むことも気にもしない様子で先頭を歩くツキト。
壁一面は弾丸により穴だらけ、死体の血液で真っ赤になっている、床を見れば絵の具をぶちまけた上に粘土を千切って放り捨てたように死体とその体液が至る所にある。
そんな悲惨な内部の様子に付き添いの兵士のうち何人かが吐き気を訴えうずくまり、交代を申し出た。
ツキトは心配した様子でうずくまった兵士を気にかけて、後方待機人員との交代を許可した。
しばらく歩くと、広い部屋に出た。
巨大な試験管のような、カプセルホテルを透明にして縦にしたようなものがたくさん並び、そのどれもが液体によって満たされ、赤子から少年や少女が1つにつき1人入れられていた。
1つ1つに丁寧にラベルが貼られており、どの薬をどれほどの量投与したか、それに関する症状について、事細かに記載されていた。
ツキトは少女の入れられたカプセルのラベルを読んだ。
『毒物を致死量をギリギリ下回る量を投与。
症状:苦しむ様子は見られたが死亡せず。
毒物を致死量ギリギリで投与。
症状:前回以上に苦しんだ様子が見られたが、死亡せず、続行。
毒物を致死量の1.1倍投与。
症状:苦しみのたうち回った後に昏睡状態に。
11/20、2ヶ月の容態観察ののちに処分せよ。』
続いてとなりのカプセルのラベルも読む。
『毒物を致死量の倍投与。
症状:苦しむ様子無し、バイタル正常。
毒物を致死量の3倍投与。
症状:以前変わらず、バイタル正常。』
このラベルにツキトは少し興味を持ったが、毒物に耐性のある人間は珍しいわけでもないので、目当てのものを探すように兵士に伝えた。
1時間ほどが経ったあたりで兵士の1人がツキトの目当てのものを見つけた。
一際大きなカプセル、このカプセルだけラベルが1つ多く貼ってあり、そこにはこうあった。
『ギアス無効化実験被験体:ジェレミア・ゴットバルト』
ツキトside
ジェレミア・ゴットバルト。
かつては私の剣の師であった男、そしてナリタでの黒の騎士団との戦闘で行方不明になったのを最後に消息を絶った。
原作通りならば………と思い、探したら案の定ビンゴ、シュナイゼルが介入したあとのタイミングを見計らって猟犬部隊を突入、殲滅した。
何もかも上手くいった、ただ1つ誤算があるとすれば、予想以上に被験体が多く、確保に手間取ったくらいか。
すべての被験体の保護を完了し、カプセルから出しても大丈夫な被験体はゲットーの病院へ輸送した。
カプセルから出すとまずい状態の被験体は地下研究施設から運び出すことはできなかったが、ゴミを片付け隅々まで消毒をした上で施設をそのまま利用し、治療を行なっていこうと思う。
ゴットバルト卿………いや、ジェレミアはカプセルから出して総督府へと運び込んだ。
そして今、24日のクリスマス。
C.C.を変装させて総督府へ連れ込み、ジェレミアの眠っている隔離された病室へと入った。
「で?何話ぶりだか忘れたが、なんの用事だ?」
「そう怒るなC.C.、今回は仕事を持ってきたんだ」
「偵察か?」
「介護だ」
「はぁ?」
惚けるC.C.にジェレミアを指差して言う。
「この男、ジェレミア・ゴットバルトの介護を頼みたい」
「………もう廃人じゃないか、それにこいつ………」
C.C.はベッドで眠るジェレミアの露出した腕を見て顔をしかめた。
「あぁ、ほぼ機械だ、サイボーグというやつだな」
「サイボーグの介護なんて専門外だぞ、他を当たれ」
「そうでもないぞ………ほれ」
C.C.に簡易的なカルテを手渡す。
「なになに?『被験体、ジェレミア・ゴットバルト。
ギアス無効化実験の被験体。
一定範囲内のギアスの効力を掻き消す【ギアスキャンセラー】を開発、装備させた。
実験は実行せず。』………確かに、私に関係あるか」
自分の生体データを元に研究して作られた対ギアスユーザー用の切り札を何とも言えない表情で眺めて言った。
「食事や入浴、排泄の補助などの細かいところは専門の人間を呼ぶ、C.C.にはコード保持者としてジェレミアに接して欲しい」
「要するに、話し相手をすればいいのか?」
「まあ、そう言うことだ」
「わかったが………ツキト、お前最近おかしいぞ?」
「私の?どこが?」
「最近のお前からは、最初に会った時のどんな手段を使ってでも、というような雰囲気は感じられないんだ…………もしかして、計画は中止にしたのか?」
…………そうか、私はもう、あんな計画みたいなことをしなくても良いと考えて行動していたのか。
「………そうかもな、良し、計画は中止だ、中止にしよう」
「随分あっさりだな」
「まあな、いろいろと思うとこがあってな」
C.C.は笑った。
「ははははは!お前らしい、如何にも神の器を持つ人間だ」
「ん?C.C.、お前それ知ってたのか?」
「Cの世界との接続は結構長いんでな、情報が回ってくるんだよ」
「なるほどな」
「で?神になるのか?」
「笑わせるなC.C.、そんなものになってしまったら、ナナリー様とアーニャに怖がられてしまうだろうが」
「お前らしい、どこまでも不敵なくせして愛する者を優先するところがな……………ま、この男のことは任せろ、私が面倒を見てやる」
「頼んだ、私は明後日から本国へ飛ぶ、ジェレミアのこともそうだが、ルルーシュ様とナナリー様のことも気にかけてくれ」
「心配いらんだろ、あいつらは十分強いんだし」
「違いないな」
C.C.を残して隔離病室を去る、さあ、早く帰らねば、クリスマスパーティーに遅れてはナナリーに怒られてしまう。
ナナリーside
…………………。
「ナナリー様、お決まりになられましたでしょうか?」
「……………まだ、です」
私は学園で行なうクリスマスパーティーに着て行くドレスを選んでいます。
ツキトさんならどれを選んでもしっかり褒めてくれるでしょう、子供っぽいのでも大人っぽいのでも、絶対に褒めてくれます。
でもそれじゃダメなんです、ナナリーは欲張りでいけない女です……ツキトさんにドレスではなく私のことを褒めて欲しいと願ってしまったんです。
うぅ…………プレッシャーでお腹が…………。
ピロ〜ン♫
メール?…………ツキトさんから!?
『ナナリー様、パーティーに着て行くドレスは、黒のほうが良いと思います、ナナリー様が普段着ない黒系の服のほうが、新鮮味があって素敵だと思いますから』
「咲世子さん、黒のドレスを着ます!!」
「わかりました」
ツキトさんから指名がありました……………今夜は期待しても良いってことですね!
ふふふっ………今からパーティーが楽しみです♫
咲世子side
『ツキトさん、ナナリー様がクリスマスパーティーに着て行くドレスについて悩んでおられます』
『色は?』
『赤、黄、黒、白です』
『黒だ』
『では、ナナリー様に黒が良いとお伝えください』
『わかった、苦労をかけるな』
『お気になさらず』
『咲世子は赤が似合うと思うぞ』
きゅん
『ありがとうございます』
「…………ふふっ」
「(咲世子が、ニコニコしている!?)」
クレアside
っ!?今、見えた!
急いで電話しなきゃ!!
ケータイでツキトにかける。
早く出てよ!
『もしm「ツキト!あなた本国の方に行くのよね!?」
『あ、あぁ、ラウンズの食事会に参加するからな』
「今ヤバいのが見えたの」
『例の、能力でか?』
「えぇ、年明けの数時間前、12月末の午後7時以降…………ブリタニア本国が火に包まれる」
『……確かなのか?』
「私の能力で予知したことは確実に当たるわ、それもう1つ、これは変えられないわ」
『どういうことだ?何もしない限りそのままのことが起こると言っていただろう?行動を起こせばそんなこと起きる前に………』
「無理よ、これは無理、そうなるって決まってるの、運命のようなものなの」
『何てことだ………』
「ツキト、私はツキトと一緒には行けない、だから十分に準備をしておいて、私にはここまでしか予知できないけど……………もしかしたら、あなたの妹さんが危ない」
『アーニャが…………わかった、ありがとうクレア、できる限りの準備をしておく』
「お願いよ、会ったことないけど、あなたの妹さんが死んだなんてニュース聞きたくないんだからね!」
『私を誰だと思っている?神にすら手が届く超人類様だぞ?心配はいらん、しっかりと守り抜いて見せるさ』
ケータイをきる。
床にへたりこむ。
「なんでよ………なんで………」
自分の家で頭を抱えて泣いた。
クレア「なんで………」
ツキト「アーニャあああああああああああああ!!!!」
アーニャ「おにぃ……ちゃん……」
クレア「どうして………」
???「無様なものだな、ツキト・アールストレイム」
ツキト「貴様ァ!よくも、よくもおおおおおおおおお!!!!」
クレア「私は未来が見えるのに………」
ツキト「がぁっ!?かはっ!」
???「お前の負けだな、ツキト・アールストレイム」
クレア「私は未来を変えられない………」
ツキト「なぜ、だ、なぜ………回復しないのだ!?」
???「ふん、これこそ我が力!」
クレア「誰も助けられない………」
ツキト「それでも………それでも私はァ!戦わなければならんのだ!!!」
???「散れ!雑魚風情が!!」
ツキト「オール・ハイル・ブリタニアァアアアアアアアアアアアアア!!!!」
クレア「私は、無力だった………」
次回、『きっとどこまでも広がっているから』
世界の三大国家の一角が崩れ落ちる!!
嘘です。