見とけよ見とけよ。
ツキトside
「…………であるからして、私と、私の妹であるアーニャ・アールストレイムの間に肉体関係は無いと断言しよう」
予想以上に多くの報道陣が集まった緊急会見、ながながとアーニャとの関係を喋る、自分と妹は普通に仲の良い兄妹であることを強く強調する。
「アールストレイム卿!現在アールストレイム卿と交際中の女性がいると聞きますが、それは誰ですか?」
「相手はまだ学生の身だ、話すことはできん」
「アッシュフォード学園に在学されているみたいですが、本当ですか?」
「さあ?どうだろうな?」
「アールストレイム卿が同性愛者であるという噂がありますが、それについて何か」
「同性愛か………ふむ、なるほど、なかなか面白いじゃないか」
「み、認めるのですか!?」
食いつきがよすぎるぞお前。
「私はな、愛した人と添い遂げられるならば、そこに性別は関係ないと考えている……だから同性愛も異性愛も否定したり差別したりはせんよ」
「交際中の相手というのは愛人でしょうか?」
「その人は私が真に愛する人だ、決して愛人などではない」
「本国においてアールストレイム卿を反逆者と呼ぶ人がいますが?それについてコメントをお願いします」
「言いたいのなら言わせておけばいい、安全な場所から叫んでるだけの臆病者風情にかまけている暇など無い………ただまあ、私の邪魔をすればどうなるか……………とでも書いといてくれれば良い」
「一部でアールストレイム卿が実は女性であるという説が浮上しています、説明を!」
「私が男か、それとも女か…………その質問に何の意味があるのだね?私は私だ、ナイトオブサーティーン、ツキト・アールストレイムだ、それ以上でもそれ以下でも無い」
ほとんどドウデモイイ質問ばかり、まったく面倒だ。
「時間となりました、皆様御退出願います」
広報部の人員が粘る報道陣を部屋の外に追いやる、それを壇上から眺める。
はぁ、疲れた、帰りたい。
「…………で、こっちの方はこんな感じね」
「ふむ、近いうちに視察でもしておくか」
「しかしあんた、相当なシスコンじゃないの、聞いたわよ?遊園地でイチャイチャしてたとか、空港で抱きしめたとか、キザにキスしてやるとか言ったとか」
「まあ、その、私もまだガキだったというかな………あとキザにはやっていない」
歳を重ね、精神年齢がいくつになっても人肌が恋しい。
「別にいいわよ、苦情の処理が大変だってこと以外は」
「すまないなクレア、仕事を増やしてしまって」
「別に良いわよ、私の仕事は基本雑用とあんたのスケジュールの調整をするだけなんだし」
午前中ですっかり打ち解けたクレアは、なんだかんだ面倒見の良い女のようだ、これなら面倒臭い性格のルルーシュも即堕ちだろう。
「でもさ、仮にもラウンズが近親相姦疑われるようなことをしていいの?」
「そう言われるとキツイな……だが、父母が権力や金にしか目がいかない屑になりつつある今、アーニャ以外の家族を愛せないのだ」
最近はめっきり両親からの手紙がこなくなった、もとより自己顕示欲の強い人がだったが、家の名よりも私個人の名が広まることに危機感を募らせつつあるのだろう。
「何というか………ごめんね」
「まあ、両親など転生者である私からすれば、ただの血の繋がった他人だ、そう気にしとらん…………それよりも、さっそく人形について………」
「いやいや、モノがないから無理よ、それに前世ではそれこそ手足の如く動かせたけども、転生してからは触る時間なんて無かったし……」
「そうなのか?ふむ、ではモノはこちらで用意しよう、良い感じのものを探しておいてくれ、買っておくから」
「いいわ、動かしやすいものを選定に時間かかるけどいい?」
「構わん、そこまで急いでいるわけではないしな」
半分は道楽だしな。
「それでは頼んだ、私は少し寝る」
「仕事しなさいよ」
「帰ったらナナリー様のご機嫌伺い、明日明後日は休暇だがおそらくナナリー様とのデートで潰れるだろうから………今のうちに寝ておく」
「………帰ってきたの昨日よね?ハードスケジュール過ぎない?ってか主にナナリーのことじゃない?っていうか付き合ってるの?」
「一応ある程度の身体能力を引き継いでいるから、ここで寝て万全にしとくというだけだ、あと疑問に答えるなら、ナナリー様とは婚約させていただいているぞ」
「今更だけど身体能力や技術まで引き継げるとかズルいわよ、ってか婚約してるのね、おめでとう」
祝われると素直に嬉しいな。
「ありがとう、クレアも人形の技術を引き継いでいるんだろう?というかそろそろ名前で呼んでくれないか?」
私だけ名前呼びしてるとか少し寂しいというか、物悲しさを感じるというか。
「あーはいはい、じゃあツキトでいい?」
「うむ、2人の時はそれで………あぁ、あとC.C.がいる時もそれでいいぞ」
「あれ?C.C.いたんだ?」
「まあな、原作通りではないが私が保護してルルーシュ様の側近という位置付けで騎士団に紹介させた」
「へえー…………ん?原作が剥離しまくってるのってツキトのせい?」
「そうだ」
「ふーん」
「どうでも良さそうだな」
「別に?たださ、原作通りだったらユーフェミアは死んでたんだし、それを無かったことにしたっていうのは私的にポイント高いわ」
「ユーフェミア様はナナリー様と同様に心優しきお方だ、日本エリアをなんとかしたいと思い、平和的方法で行動に移したのはユーフェミア様とナナリー様しかいない………いずれはユーフェミア様とナナリー様には日本エリアにおいて象徴的な存在となっていただくために、色々と小細工をしただけだ」
「なるほどねえ、じゃあ今のルルーシュって…………」
「無礼な物言いをさせて貰えば、正真正銘ただの男子高校生だ、原作よりも性に対しやや寛容になったくらいだろう、ブリタニア………主にシュナイゼルへの憎悪が恐ろしく大きい」
「ルルーシュってブリタニア皇帝が憎いんじゃなかったの?もしかしなくても対象をすり替えた?シュナイゼルが死んでもあのカマホモとオデュッセウスくらいしか悲しまなそうだけど」
「うむ、シュナイゼルが死んだところで他の皇族が繰り上がるだけ、大々的な葬儀をして、教科書に名前が載って終わりだ………しかし陛下が死亡すればそれだけで次期皇帝の座を巡り戦争になる、陛下の死によって日本エリアが戦乱に巻き込まれるのは、ルルーシュ様もナナリー様も本意ではないだろうからな」
「そういう意味ではナイスフォローね、でもギアス無しでシュナイゼルをどうこう出来るの?シュナイゼルの実力は知らないけど、常にカマホモが護衛についてるわけだし、策はあるの?」
いやに詳しく聞きたがるな、クレアもシュナイゼルが嫌いなのか。
それとも、計画にのってルルーシュに近づくつもりか、どちらにせよ味方になるなら好都合。
「そこで、コードの不死性を利用する」
「C.C.を?格闘ができるようには到底見えないけど………」
「こういうことだ」
眼帯をズラしてコード保持者の証を見せる。
「ハァッ!?ちょあんた、え!?」
「聞きたいことはわかっている、順番に答えるから少し落ち着け」
驚愕のあまりパニックを起こしかけるクレアを落ち着かせてから話に戻る。
「まず私がコード保持者を殺せる特典を持ちながらにして、なぜコードを継承したのか?………これについてはコード保持者の先輩であるC.C.によると不明らしい、ただ仮説を立てるとすれば、行き場を失ったコード自体の意思が、消滅することを恐れて近くにいた私に移った、と考えられるそうだ」
落ち着きを取り戻したクレアは、ふむふむとうなづき理解を示した。
共通の知識があるとこうまで話が通じるのか、素晴らしい理解の早さで助かる。
「2つ目、では私の中にあるコードは、その効力………ギアスを与えたり不老不死であるのか?………ギアスを与えられるかは試したことがないから不明だが、不老不死についてはもう7、8年以上の付き合いとなる、その威力のほどは体が知っている」
「………参考までに、何回死んだの?」
「聞きたいかね?29回だ」
「うわぁ………」
「おい、引くんじゃない」
「いや、でもさあ…………さすがにね」
ドン引きしつつそう返すクレアに若干の苛立ちを覚えながら話をつづける。
「とりあえずは以上だな、特にこれといった根拠のあるものでも無いが、しかしこれらの仮説以外にこれといったものもないし、一応納得しといてくれ」
「さっきの仮説で納得しとくわ」
「助かる」
しばらく雑談を交わし、良い時間になってきたので帰宅の準備を始めた。
「もう帰るの?ってか寝ないの?」
「あぁ、今日は慣れないことで疲れたからな、ベッドで寝ることにする」
「そう、あ、これ終わったらメール送るわね」
「ん、終わったら帰っていいぞ、特に緊急の用事もないからな」
「そう、それじゃまた明日」
「また明日だ」
そんなこんなで帰宅すると、ナナリーが仁王立ちして只ならぬプレッシャーを発していた。
「た、ただいま戻りました」
「………ツキトさん、お話があります」
「な、何でしょう、か?」
お、押されている!?この私がか!?ナナリーのプレッシャーに気圧されているだと!?
「これは何ですか?」
ゆっくりとした動作でナナリーが突き出したのは新聞紙、震える指先で掴んでその表紙を見る。
【禁断恋愛発覚!アールストレイム兄妹の熱烈抱擁!】という謳い文句と私とアーニャが抱きしめ合う写真がデカデカと掲載されていた。
『日本エリア(旧エリア11)よりブリタニア本国に召喚されたツキト・アールストレイム。
激務との数日間の格闘を終えたの休暇を、最愛の妹と評するアーニャ・アールストレイムと兄妹水入らずで過ごした。
アールストレイム兄妹はテーマパークで仲睦まじい様子で遊んで周り、ホテルへと帰る数時間前には、何やら怪しい関係性を垣間見れた……(膝枕をするアールストレイム兄妹の写真)。
翌日、空港に現れたアールストレイム兄妹とユーフェミア・リ・ブリタニアの騎士である枢木スザク、アールストレイム兄妹と同じくラウンズであるジノ・ヴァインベルグ……(並んで歩く一同の写真)。
そこでツキト・アールストレイムを見送るはずのアーニャ・アールストレイムだったが、別れを惜しんでか、何度も引き止めてはツキト・アールストレイムに宥められるシーンがあった………(困った顔のツキトとしょんぼり顔のアーニャの写真)。
アーニャ・アールストレイムを、兄であるツキト・アールストレイムはラウンズとしての使命を果たすように激励し、「愛しい」と言いながら熱い抱擁を行なった。
去り際に次に会った時にキスをする約束を取り付け、ツキト・アールストレイムは微笑みをアーニャ・アールストレイムに向けて日本エリアへと戻った。』
という記事が書かれており、内容は分かる通り、私とアーニャが如何にも怪しい関係………というより如何にも肉体関係にあるような書き方だな。
実際ハグとかはする中だが、それくらい兄妹なら当たり前にするんじゃないだろうか?
「ツキトさん、私は信じてます、だから正直に話してください」
ナナリーが顔を上げる、泣きはらしたかのように目元が赤く、涙の通り道ができていた。
「ツキトさんは、私のことを、愛してくれていますか?」
ナナリーの酷く悲痛な声が耳に飛び込んできた。
「ど、どういう意味でしょうか?」
意味がわからない、私はしっかりとナナリーを………。
「ツキトさん、私は、ナナリーは最近はわからなくなってしまいました………ツキトさんがお仕事で会う人に向ける笑顔、スザクさんに向ける笑顔、ユフィ姉様に向ける笑顔、咲世子さんに向ける笑顔、お兄様に向ける笑顔、そして私に向けてくれる笑顔…………そのどれもが、同じに見えてしまったんです」
「それは………」
「変、ですよね、私………人によって顔の形が変わるわけでもないのに………それで、私のことは他の人と同じくらいにしか見てない、なんて勝手に思い込んで……馬鹿ですよね」
正気の失せた瞳から涙が溢れて止まる様子はない。
ああ、私はなんてことをしてしまったのだ。
あれ程に守ると誓ったくせに、何をしているんだ。
抑えられない衝動に、理性が塗りつぶされていく。
もう、自制なんて効かない。
心が染まった。
短く息を吸い込む。
「変なんかじゃ、ないよ」
「……ツキトさん」
ギュッ、と正面から軽い力で抱きしめる。
「ナナリーは昔から心配性なところがあるのは知ってた、だから心配させちゃったのは、僕の責任だ」
「でも………私なんて、いつも迷惑ばかりかけて……」
「僕がいつ迷惑だって言ったの?僕は思ったことをすぐに言っちゃうって知ってるでしょ?」
「それは、でも……」
「確かに、ちょっと驚いたりしたこともあるよ?いきなり縛られたり、いきなりキスされたり、あと、えっち、の時とか、さ」
「あああああああああれは、その、私、本当に……」
「でもね、僕は驚いただけで迷惑だとは思ったことはないよ、だってさあ……」
私は本心を口に出した。
「……ナナリーと付き合って、結婚まで出来るんだよ?こんなに嬉しいこと、他にないよ」
「へにゃ!?」
「あ、その顔可愛い、あとで写真撮ってもいい?待ち受けにするから」
「だ、だめです!こんなだらしない顔ツキトさんに見せられません!」
「うーん、無理かあ………じゃあ、こうして」
抱きしめる力を強める。
「えっ!?」
「かわいすぎてもう我慢できなくなりそうだし、強く抱きしめさせてもらうね」
もうこのままエッチまで行きそうだなあ〜、もう理性壊れてるしなぁ。
「今日のツキトさん、何か変です……んっ」
「そうかな?………そうかもね、今までずっと我慢してきたからね、知ってた?僕みたいな男はね、本当は女の子をメチャクチャに犯し尽くしたいって常に思ってるんだよ?わかってる?ナナリーが可愛い顔とエッチな声で僕を誘惑するたびに、表向きは断りながら頭の中ではその顔をぐちゃぐちゃにしてやりたいって思ってたんだよ?裸で迫って来た時なんて押し倒してナナリーが失神しちゃうまで中出しセッ◯スしたいって思ってたんだよ?でもしなかったんだよ、だってそれで妊娠しちゃったら、ナナリーの体に大きな大きな負担がかかっちゃうからね、子供を産むって物凄く体力を使うんだよ、知ってた?僕はもちろん知ってたよ、だっていつかナナリーと夫婦になった時に何も知らないでナナリーを妊娠させちゃって、それが原因でナナリーが死んじゃったら僕は後追いで自殺しなきゃいけないからね、僕はそんなの嫌だ、僕はナナリーと一緒に世界中の色々なところを見て回りたい、婚前旅行はどこ行こうか?とか、新婚旅行はどこに行く?とか、結婚1周年記念のパーティには誰を招待しよう?とか、それでナナリーって友達多いよね?だから結婚式とかで招待する人数が多くなっちゃうから大きくて広いホールを借りなきゃいけないだろうし…………長くなっちゃったけど、言いたいのは1つだけ、僕の持ってるものは全部はナナリーにあげる、ってことだけ」
「……………………………そ、それは、その、どういう意味でしょうか?」
話についていけなくてフリーズしちゃってたけど中盤までの話の内容を理解して赤面しつつ質問するナナリーが可愛すぎる。
襲おう(確定)。
「そのままの意味だよ、僕の私有財産、僕の肉体、僕の命、全部をナナリーにあげる」
「え??えっ??」
「だーかーらー、僕のこれからの人生、その全てをナナリーにあげる」
一度抱きしめていた両腕をほどき、ナナリーの顔を挟み込むようにしてデコとデコをくっつける。
「ゲームで言うなら、僕は呪いの装備、ナナリーはもう僕を外せないんだよ?」
「ふふっ、外せないんですね、うふふ…………私も、外す気はありませんからね」
このまま可愛いすぎるナナリーとメチャクチャ……………。
noside
クラブハウス内の物陰
「…………なんとお声かけすればよろしいのでしょうか?」
「そっとしておこう、せっかく2人が本心をさらけ出して話し合ったんだ」
「しかしルルーシュ様、このままですとナナリー様もツキトさんもリビングでおっぱじめることになりますが」
「………………」
「そういえばルルーシュ様、近くに有名な喫茶店が開いたそうです、私でよろしければご一緒していただけませんか?」
「あ、ああ、じゃあそこに行こうか」
ナナリーとツキトが【V8!V8!V8!】している間、2人は喫茶店で過ごした。
作者「マアアァァァァァァァァ!!!(疲れからくる雄叫び)」
ツキト「どうかされましたか?」
作者「はい!展開に困って、スケコマシ男の娘クズ系主人公にしたてやg………したてあ………してしまったのですが!」
ツキト「ブチ殺すぞテメェ」
作者「ファッ!?」