コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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原作の影が微塵もない


『エリア11』

ツキトside

 

 

 

侵略と略奪を行う神聖ブリタニア帝国、その唯一の友好国と呼べるのが極東の地に位置する日本。

 

平和ボケした老害どもによって軍備に問題がある、その徹底した平和ボケ政策によって治安は良いがKMFが一機足りとも配備されていない、第一世代型KMFすらないのだ。

 

技術的にも文化的にも世界の最先端を何百歩も行く先進国である神聖ブリタニア帝国と比べれば、どの国家も後進国にしか見えないのは仕方がない、とでも言うと思ったか?弱肉強食たるブリタニアの国是に従わず、滅びの運命をたどるであろう弱小国家日本に興味などない、ここがエリア11になったあかつきには、この私自ら支配してやろう。

 

まあ、陛下の許しが出たら、だが。

 

長いこと語ったが、この世界の日本がどれほど神聖ブリタニア帝国に劣っているのかが理解できたことだと思う、その日本の首相枢木の家にて厄介になることになった。

 

現在枢木家の枢木首相の書斎でルルーシュたちのことを話す。

 

「…………つまり、ルルーシュ君と「様をつけろ様を」……ルルーシュ様とナナリー様はブリタニア本国での暗殺から逃れるため、日本に来た、ということですな?」

 

「そうだ、理解できるか心配だったが、頭が良くて助かった」

 

「それでは御二方にはSPを「いらん」……なぜです?」

 

「ルルーシュ様とナナリー様は私とともにブリタニア本国からの【留学生】として生活してもらうからだ、ただの一般人にSPなどつけられるものか」

 

「…………ですがそれでは安全性が、いつどこで狙われるか………」

 

「構わん、どうせ日本人風情が私に勝てるはずもないのだからな、もう話は終わりだ、私はルルーシュ様とナナリー様の様子を見に行く」

 

「………わかりました(ブリタニア人が偉ぶりおって!)」

 

ふん、張り合いのない、平和ボケのしすぎだバカども。

 

書斎を出てトイレに入り、持ってきたスーツケースより年相応の少年の服を取り出して着替える、ナイトオブラウンズの服装はかっこいいが、重い、特にマントが。

 

よし、これでいいな。

 

枢木首相の家を出て枢木神社に行き、そこの道場に入る。

 

「ツキト、いいところに来た、スザク、彼がツキトだよ」

 

「枢木スザクです、よろしくお願いします!」

 

ほう、こいつが枢木スザクか、頭が硬そうだな。

 

「かしこまらなくてもいいさ、私はツキト・アールストレイム、よろしく」

 

手を差し出して握手を促す。

 

「よ、よろしく!」

 

スザクは私の手を握り上下に振る、なぜブリタニア領、かつてのアメリカ付近のシェイクハンドなんだ?

 

「ツキトさん!かけっこしましょう!」

 

おいナナリー、お前はかけっこ中毒か何かか。

 

「あ!僕もしたい!」

 

「お、俺は遠慮しとくよ……」

 

「なんでだよルルーシュ、仲良くなった記念にみんなで思いっきり遊ぼうよ!」

 

「まあ!お兄様、スザクさんの言うとおりです!みんなでかけっこしましょう!」

 

ナナリーとスザクは体育系だし、仲良くなりそうだな、あれ?これはスザクにフラグ立ったか?それなら嬉しいのだがな。

 

「ツキト!助けてくれ!」

 

「ツキトさんも早く!」

 

「鬼は僕がやるよ!」

 

もはや収集をつけるのは無理、というかめんどくさい段階に入りましたね、とりあえず、ルルーシュの体力作りだと納得してもらって私も参加した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おいふざけるなスザクの身体スペックが私とほぼ同じとはどういうことだ、原作でも化け物だったがこんな子供時代からそうだったのか。

 

もちろんルルーシュは平常運転、すでに虫の息である。

 

「コヒュー……………コヒュー……………」

 

「楽しかったですねお兄様!スザクさん!」

 

「うん!僕も楽しかったよ!また一緒に遊ぼうよ!」

 

「はい!」

 

堕ちたな(確信)、今夜は赤飯かな。

 

スザクと別れ枢木神社を後にする、拠点…………というより家となるのはこの近くの高級マンションの最上階、眺めがよく防犯設備も日本にしてはまあまあ及第点、そこに警護のエキスパート・ツキトの手を加えることでルルーシュとナナリーと私を除く人間は入れない、入れたとしても…………まあその先は想像に任せよう。

 

ほぼ原作通りのファーストコンタクトから一ヶ月、ルルーシュとナナリーはスザクと学校、私は家事のため部屋にいた。

 

え?私は学校に行かなくていいのかって?私は保護者なんだ、保護者がイベントもないのに学校に行ってどうする、ちゃんと授業参観も家庭訪問もやっているから問題ない、近所では【幼妻】だと呼ばれているが私は男だぞ!

 

まったくあの変態野郎が…………っと、洗濯はこれでいいか、次は掃除だな。

 

まあ学校に行かない理由はもう一つあってな、スパイにとって、ルルーシュやナナリー本人の命を狙うより、その会話内容の方が利益が大きい、ルルーシュとナナリーの扱いは表面上は【外交取引・交渉の材料】となっている、これを耳に入れたバカはこの部屋に盗聴器をつけようとして…………その先は想像に任せるが、とにかく情報を狙ってくる、今月で三回もあったからな、合計四人、バルコニーの畑の肥料になってもらったよ、来年はいい野菜が取れそうだ(マジキチスマイル)

 

時間が経つのは早いもので、ルルーシュとスザクはより親密になった、そしてついにブリタニアは日本に宣戦を布告、ろくな軍備もない日本が、ブリタニアの一方的な蹂躙を受けるのが確定した瞬間だった。

 

予定通りにスザクは枢木首相を殺し呆気なく日本は敗戦、すぐにエリア11と名前を変えた、ほんの数ヶ月のことだった。

 

これで日本……エリア11はブリタニア人にとって住みよい国になる、いや、もはやここは国ではない、世界に多くあるブリタニア領の一つだ、サクラダイト産出量の多い、な。

 

開戦当初は危なかった、初日のうちにマンションを売り払っておいて正解だった、ブリタニア軍の攻撃によって三日後に崩れ去り跡形も無くなっていた光景を見たときはルルーシュもナナリーもスザクも固まっていたよ。

 

だがその後は簡単だった、私がナイトオブラウンズの正装でブリタニア軍駐屯基地に入りルルーシュとナナリー、そしてスザクを身分を何も伝えずに保護してもらった後、私もKMFで戦闘に出た、第四世代KMF【グラスゴー】、ルルーシュが高校生になる頃には完全な時代遅れな機体となるが、今はこれが現役だ、感想としては、まさに兵器の理想形というにふさわしい性能だった、人間に近い機動が出来るというのが一つの要因なのだろう、日本の数多の戦場で先陣を切った、そしていずれも無傷で帰ってきた、そして終戦を迎え、ルルーシュとナナリーはアッシュフォード家に身を隠すことになった。

 

「ルルーシュ様もナナリー様も、大変な思いをされたでしょう、ここの者はヴィ家としてでなく、ルルーシュ・ランペルージ、ナナリー・ランペルージという一般人として接してくださいます、何も心配することはございません」

 

「感謝する、学園長」

 

「それから、御二方には咲世子をつけましょう、必ずや、尽くしてくれるでしょう」

 

咲世子と呼ばれた女性はぺこりとお辞儀をした、原作通り掴み所がなさそうな女性だ、作者はコードギアスのssを見て二番目に好きなキャラを咲世子と答えるようになっていた、実際かわいい。

 

「何から何まですまないな」

 

「それがヴィ家に仕える我がアッシュフォード家の使命でございますゆえ……」

 

「助かる、本国のマリアンヌ様もさぞお喜びだろう…………それと、わかっていると思うが」

 

「ええ、【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア】と【ナナリー・ヴィ・ブリタニア】は【死んだ】ということですよね、重々承知しております、しかしなぜ?」

 

「ルルーシュ様はここ日本…………エリア11で過ごした【庶民としての生活】に思い入れを持っていらっしゃる、ルルーシュ様はブリタニアを破壊するとも言っていた」

 

「ブリタニアを!?」

 

「ああ、しかも、その時のルルーシュ様からは皇帝陛下と同じ威圧感を感じた、次期皇帝はルルーシュ様がふさわしいだろう、きっと勇ましいお姿に………失礼、まあそこは置いておこう、ともかく、ルルーシュ様はブリタニアを恨んでいる、平穏を破壊し、親友の同族を陵辱し、差別するブリタニアに、もしルルーシュ様の、神聖ブリタニア帝国の皇族の生存がイレブンに知られたらどうなると思う?」

 

「…………エリア11は早期降伏によって旧日本軍の兵器が大量に流れてしまっています、テロリストに渡り、もしテロでも起きてルルーシュ様やナナリー様が巻き込まれたら……」

 

「そうだ、もしそんなことになれば皇帝陛下によって国家反逆罪でエリア11全土のイレブン全員が処刑される、国営中継による芝居がかった演出で晒し者にされるであろう…………ルルーシュ様の親友、枢木スザクも例外ではない」

 

「わかりました、ヴィ家に仕えるアッシュフォード家は、ルルーシュ様とナナリー様の存在の隠蔽に全力を尽くします」

 

「その忠義に感謝する、それともう一つ、個人的なお願いがあるんだ」

 

「なんでしょうか?」

 

「ルルーシュ様とナナリー様の存在が完全に隠蔽されていたとしてもブリタニア人というだけで危害を加えようとするイレブンもいるだろう、校外では私がついていけるが校内には入れない、私は学生ではないからな」

 

「なるほど、わかりました、ツキト様には最高クラス権限の身分証明書を作ります、これで校内にも自由に出入りできるでしょう」

 

「ありがとう、それでは私はルルーシュ様とナナリー様に簡単な説明だけしてくる」

 

「はい、ゆっくりとおやすみください」

 

これでほぼ原作通りの展開だ、ブリタニアの皇族、ルルーシュとナナリーは死んだ、明後日からエリア11のアッシュフォード学園に通う二人はルルーシュランペルージとナナリーランペルージだ、皇族ではなくただの一般ブリタニア人、アッシュフォード家も全力で隠蔽するのだ、バレることはない。

 

………………あの時のルルーシュは、皇帝陛下とよく似ていた。

 

『ブリタニアを………壊す!!』

 

ゾクッ

 

あれはまさしく魔王の目だ、魔王が生まれた瞬間を目撃できたのは正直嬉しい、だが、まさかあの雰囲気に呑まれかけるとは思わなかった。

 

まあ、今ではその威圧感も雰囲気も内側に引っ込めてルルーシュランペルージとしての仮染の人生を送っているが。

 

ルルーシュが高等部に入り生徒会へと入会、中等部のナナリーと咲世子とともに三人でクラブハウスで生活している、私は学園の外で安いアパートを借りている。

 

私は表向きはルルーシュの専属使用人ということで学園に出入りしている。

 

今年はルルーシュがギアスを得る年だったな、あれ?確か今日は………。

 

ブゥゥゥゥゥゥウウウン…………

 

っと、また賭けチェスに向かったのか、相変わらずあき……な…………い…………賭けチェス………っっ!?!?

 

まずい!今日はテロリストが毒ガス兵器(in C.C.)を盗んだ日だ!それにルルーシュが干渉してシンジュクゲットーに行って目覚めたC.C.にギアスを…………。

 

くっ!こうしてはおれん!

 

「咲世子、私はルルーシュ様を追う、お前はナナリー様の側に」

 

「はい」

 

咲世子にナナリーの側にいるように指示して学園内に隠してあるバイクに乗りルルーシュを追いかける、リヴァルめ、いっそ殺してやろうか。

 

走ること数分、やっと追いついた。

 

「ルルーシュ様!」

 

「!?……ツキト!?こ、これは…………」

 

「また賭けチェスですか!?ナナリー様が言っていたこと、もうお忘れですか!?」

 

「うっ………」

 

ナナリーのことを出すと予想どおりの反応をするルルーシュ、原作通りのシスコンっぷりだ。

 

「まあまあ良いじゃないのツキトさん、学生なんだし、楽しまなk「黙れ!リヴァル・カルデモンド!おまえに用はない!」ヒィッ!?」

 

この青髪童貞のチャラ男が!

 

「とにかく!お戻りくださいルルーシュ様!ナナリー様に怒られたいのですか!?ついでに私は怒られたいです!」

 

「ツキトおおおおおおお!貴様ナナリーをそんな目で見ていたのか!?!?」

 

おお、こんなわざとらしい嘘にのってきた、ナナリーのことになると見境ないな。

 

「ふふふ……ルルーシュ様が帰らないと言うのなら、私はさきに帰り、ナナリー様にあんなことやこんなこt「リヴァル!今すぐ引き返すぞ!!」

 

「ルルーシュ!?」

 

「急げリヴァル!早くしないとナナリーがツキトに犯される!」

 

「可愛らしいナナリー様を…………くふふふふふ…………」

 

「リぃヴァルううううううううう!!」

 

「わかったわかった!すぐに引き返し…………」

 

リヴァルがハンドルを切ろうとした時、大型トラックが後ろから迫ってきていた、くそ!もう来たのか!なんなんだこの修正力は!

 

「リヴァル・カルデモンド!あのトラックは何かまずい気がする、巻き込まれないよう速度を落とせ!」

 

「あ、ああ…………」

 

トラックが速度を落とした私たちを追い抜いていく、そのすぐ後、なぜかハンドルを右に切ったトラックが建設中の建物に突っ込んでいった。

 

ドガァン!!

 

「うっひーー………こりゃあすげえ」

 

「なぜ大型トラックがあんなにスピードを出していたんだ?」

 

リヴァルはバイクを止め事故の様子を野次馬根性のごとく見ていた。

 

ルルーシュは大型トラックがバイクを追い越すほどの高速を出していた理由を考えていた。

 

そんなことをしているうちにトラックはバックで瓦礫を抜け、走り去っていった。

 

「なんだってんだ?あのトラック」

 

「リヴァル・カルデモンド、ルルーシュ様を連れて学園に戻れ、もしかしたらあのトラックはレジスタンスかもしれない」

 

「レジスタンス!?まさか………」

 

「ルルーシュ様、ここは一旦引きましょう、【余計な面倒】を起こしたくはないでしょう?」

 

「…………そうだな、リヴァル、学園に向かってくれ」

 

「ちょっ、ま」

 

「私はトラックを追います」

 

「………ああ」

 

「では」

 

バイクに乗りトラックを追う、幸いバイクの速度でも追いつけるほどで助かった、しばらく追っているとブリタニア軍の第五世代KMF、サザーランドが追ってきた。

 

『そこの大型トラック!停止せよ!さもなくば死ぬことになるぞ!』

 

KMFが警告を発した、その時、トラックの荷台部分から飛び出した赤いKMF、間違いない、あれは改造型だが間違いなくグラスゴーだ。

 

グラスゴーはスラッシュハーケンを巧みに操り追ってくるサザーランドを撃破した、そしてトラックは古い地下道に入り込んでいった。

 

すぐに入っていくのは危険だと思い、少し遅れて入る、トラックは壁に激突して停車していた、運転席は…………絶望的だな。

 

後ろの荷台に例の毒ガス兵器が乗っかっているのが見えた、とりあえず開けて連れ帰ろう。

 

プシューッ

 

毒ガス兵器の中からC.C.が出てきた、C.C.を担いで地下道から出ようとする。

 

「動かないでください!」

 

聞き覚えのある声が聞こえた、振り返るとマスクをつけたブリタニア軍の歩兵が追いかけているところだった、歩兵は私の顔を見て立ち止まった。

 

「なっ!?あなたは……」

 

「その声…………スザクか、久しいな」

 

そう言うと歩兵はマスクを外し素顔をさらした、その顔は幼さが残る青年、枢木スザクだった。

 

「ツキトさん、なぜ貴方がここに?」

 

「詳しい事情は後で連絡する、とりあえず私とこの少女がいたことを見逃してくれればそれでいい」

 

「!?……やはり貴方もテロリストに……」

 

「ナイトオブラウンズがテロリスト?面白い冗談だ」

 

「では……なぜ?」

 

「それは後で言う、それより、ほれ、そこに毒ガス兵器がある、お前の手柄だ」

 

指をさしそう言って走り去る、肉体の限界を超えているがコードによって死んだ細胞がすぐに復活する、本当に便利だな。

 

「え?あ!………消えた………」

 

私はそのまま地下道を抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

適当な車を見つけてC.C.をトランクにしまい学園に戻ってきた、もうすっかり夜になってしまった、シンジュクゲットーも制圧されただろうな。

 

クラブハウスに行くとルルーシュが正座でナナリーに叱られていた、賭けチェスが原因か?

 

ナナリーは制服姿で仁王立ちになっている、不覚にもその姿に怒られてみたいと思ってしまった。

 

「お兄様!何度も言ったはずです!部屋に入るときはノックをしてくださいと!」

 

「す、すまないナナリー、だがツキトがお前を襲おうと…………」

 

「つ、ツキトさんが!?そ、そうですかそうですか…………今夜は少しエッチな下着にしようかな……」

 

最後の方、聞こえてるんだよなあ………。

 

「あ、そのツキトさんはどこにいるんですか?」

 

いやここにいるんだが……………ってこっちが見えてないのか。

 

「テロリストを追いかけると言って「咲世子さん!車出してください!ツキトさんが!ツキトさんが!!」

 

「落ち着いてくださいナナリー様」

 

ナナリーの前に立って止める、スザクにフラグ立ったと思ってったのになあ、結局私にビンビンか。

 

「落ち着いてます!だから私はツキトさんを助けに…………ツキトさん………ツキトさん!」

 

一回目の【ツキトさん】で私に気づく、二回目の【ツキトさん】で涙目になり、三回目の【ツキトさん】で抱きつかれる。

 

あ、柔らかい。

 

「ツキトさん、生きててよかった………」

 

「はしたないですよナナリー様」

 

「いいんです!ツキトさんのこと大好きですからいいんです!」

 

「私よりいい人なんてたくさん……」

 

「ツキトさんがいいんです!」

 

「ナナリー様は皇族です、もっとふさわしい相手が………」

 

「ツキトさん」

 

「なんだ咲世子?」

 

「ナナリー様の思いを踏みにじるおつもりなら、この咲世子、容赦はいたしません」

 

……………はあ。

 

「わかりました、検討しておきます。私もまだ死にたくはないので」

 

「良いお返事を待ってます!」

 

ナナリーはスキップしながら自室に戻っていった。

 

ガクッ

 

膝をついた。

 

「どうすればいいんだ咲世子…………教えてくれ…………私はあと何本フラグを立てればいいんだ…………」

 

思いつく限りナナリー、ユーフェミア、コーネリア、アーニャ、アリエス宮のコックのお孫さん…………。

 

「ツキトさん、私にも立っていることをお忘れなく」

 

そして咲世子、くそ!逃げ場がない!

 

「…………ナイトオブラウンズの称号も名前も捨てて旅に出ようそうしよう」

 

「なら私もついていきます」

 

「くそ!なら私を殺せ咲世子!」

 

「いいですよ、私も死にますが」

 

笑顔でクナイを取り出して私の首と自分の首に当てて見せる咲世子。

 

「お前は死なないでくれ咲世子!」

 

というか私死ねないんだったな、ああ、逃れられない。

 

「そんな………死なないでくれだなんて…………そんなプロポーズをされては、こたえるしか…………」

 

「プロポーズではない!私はただお前がいないとルルーシュ様とナナリー様を守れないからだ!決して【お前の身を案じている】わけではないぞ!【危険なところに行かせたくない】とか思ってないからな!」

 

「ああ、ツキトさんのツンデレ、素敵です」

 

「やはりツキトはツンデレだったか」

 

「おい咲世子!ふざけたことを言うんじゃない!ルルーシュ様もふざけないでください」

 

誰がツンデレだ誰が!!

 

「はあ、ルルーシュ様はもうお休みください、咲世子はナナリー様を」

 

「まったく、ツキト、お前はかたすぎるぞ」

 

「それが私の長所なので」

 

ルルーシュはそれを聞いてフッと笑い、部屋に戻った、しばらくして咲世子がナナリーの部屋から出てきた。

 

さて、C.C.を運ぶか。

 

「咲世子、女性用の服を何着か用意しておいてくれ」

 

「?……わかりました、すぐに」

 

咲世子が服を探している間、盗んだ車からC.C.を下ろして拘束を解き、リビングのソファに座らせる。

 

「おいお前、何が目的なんだ?」

 

覚醒したC.C.がそう聞いてきたあ。

 

「こういうことだ」

 

眼帯をずらし紋章を見せる、C.C.は驚いた顔になる。

 

「まさかそれはV.V.の!?どうやってそれを!」

 

「焦るな、年上の余裕はどうした?」

 

「ぐっ、説明してくれるんだろうな?」

 

「お前がおとなしくしていればな」

 

「お待たせいたしました」

 

咲世子が女性用の服を持ってきた。

 

「まずは着替えろ、いつまでも拘束服では囚人と会話しているようで落ち着かん」

 

「違いないな、着替えてこよう」

 

咲世子から服を受け取り別室で着替えて戻ってきた。

 

「それでは、聞かせてもらおうか」

 

「ツキトさん、私はどうすれば………」

 

咲世子が聞いてくる、少しだけ思案し、ルルーシュとナナリーにはギアスは必ず接触してくると考え、咲世子にも聞かせることにした。

 

「お前も聞いてくれ、ルルーシュ様とナナリー様を守るためにこの情報は必要になるはずだ」

 

「はい、わかりました」

 

と言って直立不動で聞く体制に入る咲世子、いや…………。

 

「…………座ってもいいぞ?私としては座ってくれると嬉しい」

 

「…………ありがとうございます///」

 

天然っ子か、かわいいな…………。

 

オホン!

 

「では話す、まずアリエス宮でのマリアンヌ様の暗殺未遂事件についてだ、あの晩、マリアンヌ様はある男と密会するためすべての警護を解き、万が一に備えアリエス宮の全員に睡眠薬を投与した、私には効かなかったがな、エントランスで密会したマリアンヌ様と男は、とある計画の共犯者だった、その共犯者に皇帝陛下も含まれている、だが計画を進めるうちに皇帝陛下の心が揺らいだ、それを作り出したのがマリアンヌ様だった、男は原因であるマリアンヌ様を殺そうとして、私に殺された、そして得たのがその男、V.V.と呼ばれる男の【コード】と呼ばれる力だ」

 

「コードを持つ者は不老不死となり、たとえ肉体が砕け散ろうが再生する、そしてコードを持つ者は普通の人間に【ギアス】と呼ばれる力を与えることができる」

 

「【ギアス】?」

 

「ギアスは、人の心の根底にある【願い】を実現させるための力だ、【人に愛されたい】と願う者がギアスを得れば、【人に愛されるギアス】が発動する、【人を思い通りに操りたい】と願う者がギアスを得れば、【人を思い通りに操れるギアス】が発動する」

 

「そんな力が……」

 

「もちろん、欠点もある、ギアスは使用するうちに使用者の体を蝕み続け、暴走するんだ」

 

「暴走……」

 

「ギアスは普通、オンオフができる者なのだが、それができなくなる、常時発動状態に陥り、死ぬ」

 

「そして、それを防ぐためにはコードを奪うしかない、当然、ギアスは使えなくなるがな」

 

C.C.にところどころセリフを取られたが、咲世子に説明をすることができた。

 

「それでは、ツキトといったか、お前にいくつか質問があるんだが、いいよな?」

 

「構わんぞ」

 

「V.V.をどうやって殺した?いや、そもそもお前はどうやってギアスを得た?」

 

「ギアスなどなくとも、私はコードを持つ者を殺せる」

 

「なに!?」

 

C.C.の両目が見開かれる、咲世子も顔に出さず驚いているようだ、なにせ、さっきの話しと矛盾しているのだからな。

 

「私という存在自体が、まず前提からまったく違う、私はこの世界に【転生】してきたんだよ」

 

「転生、ですか」

 

「ああ、私は別の世界で生まれ、生まれた国のために戦い、英雄として死に損なった、神は私を哀れに思ったのか、私に【コードを持つ者を殺す】能力をもたせてこの世に産み落としたのだ」

 

「……にわかには損じ難いが、V.V.はお前に殺されコードも奪われた、信じるよりほかないだろうな」

 

「助かる、私も信じさせるためにC.C.を殺したくはないからな」

 

C.C.は微笑み『違いない』と笑った。

 

「ツキトさんとC.C.さんが不死身だったなんて、しかも私より年上………」

 

「そんなに気にしなくてもいいぞ、私は前世の記憶も受け継いでいるが、今はただの童貞のマセガキでしかない」

 

「お前童貞だったのか?それにしてはいやに落ち着いてるな、もしやホモだな?」

 

「前世で一時【そういう】趣味に走ったこともあるが、私はいたってノーマルだよ、C.C.は?」

 

「お前より年上だから当然非処女だ、と言いたいが、残念ながら処女だよ、もちろん未婚だ」

 

「処女は大事にしたほうがいい、私は前世では重婚してたし、子供も育てたし、ひ孫も死ぬ前に見れた、だが思い返せば、私は二人のうち一人を選ぶことができなかった臆病者なんだよ、それでも、二人は喧嘩もせずに、安らかに死んでいったよ」

 

「ま、いつまでも覚えていても仕方ないぞ?私とお前は永遠に生きるのだからな」

 

「ふっ、違いない…………C.C.、咲世子、話がある、ここからが本番だ」

 

咲世子とC.C.の顔を見る。

 

「なんだ?」

 

「二人とも、ルルーシュ様がブリタニアに喧嘩売ろうとしているのは知っているな?」

 

「ルルーシュ様のお部屋の掃除中にそういう計画書が出てきますから」

 

咲世子は申し訳なさそうな声で言う。

 

「やはりあの童貞坊やは詰めが甘いか、変わらないな」

 

C.C.は懐かしむように言った。

 

「そこでだ、私はルルーシュ様の計画に協力する」

 

「「!?」」

 

咲世子もC.C.も仰天して目を見開く。

 

「おいツキト、お前一体なにを……」

 

「まあ待て、話をさせろ」

 

「ふむ……」

 

C.C.はおとなしく引いた、咲世子も聞く準備ができている。

 

「ブリタニアの国是、【弱肉強食】、真に強者たる者は弱者をいとも容易く喰いちぎることができるはずだ、ならば、ルルーシュ様の計画に協力し、テロリストとブリタニアを戦わせ、より一層激しい競争をさせる、それにより、ブリタニアはより高みへと登ることができる!!それが私の目的だ!!ブリタニアが真に強者ならば!テロリストなどという鳥合いの衆は一蹴される!だがもしブリタニアがテロリストに屈するようではダメなのだ!強者たるブリタニアはより先へ!より高みへと登りつめる!!今こそ忠義の時!オール・ハイル・ブリタニア!オール・ハイル・ブリタニア!オール・ハイル・ブリタニア!」

 

「………騒いでいるところ申し訳ないが、もうちょっと簡単に言ってくれ」

 

「ブリタニアとテロリストの談合試合」

 

「うわあ………えげつないことを平然と考えるのだなお前は」

 

私は立ち上がり、ルルーシュが使うチェス盤の前に座る。

 

「…………ブリタニアはチェスの盤だ」

 

白のKと黒のKを両手に持ち上げ弄ぶ。

 

「白のKは皇帝陛下、黒のKはルルーシュ様…………」

 

白のKと黒のKを元の位置に戻して立ち上がる。

 

「………明日、ルルーシュ様の計画を始動させるように仕向ける、うまくいけば、ブリタニアとの戦争ができる」

 

「「…………」」

 

咲世子とC.C.は黙り込んでしまった。

 

黒のKを持ち上げ、前進させる。

 

コン

 

「黒のK(ルルーシュ)は動く、必ず、私の読みに間違いがなければ黒のKは明日から三日以内にレジスタンスの幹部と接触する」

 

「それでダメなら?」

 

「諦めるとでも?まさか!その時は私がやるさ、軍隊を組織して帝国に反旗を翻す!わざと負けたりはせんよ、全力で戦い、ブリタニアが真の強者となるまで戦い続けるのみだ」

 

「…………イカれてるな、お前のその愛国心は異常だ、それゆえに歪んで見える」

 

「なんとでも言え、すべては、神聖ブリタニア帝国のためだ…………ふう、もう寝よう、正直眠い、C.C.は私の部屋のベッドを使え、私は床で寝る」

 

「はあ、お前の計画、乗らせてもらうぞ」

 

ため息をつきながらもそう言ってくれた。

 

「!!……C.C.!」

 

「同じコードを持つ者同士、私たちは共犯者だ、シャルルの計画も進めたいが………こちらの方が面白そうだ」

 

C.C.は微笑んでいた。

 

「ツキトさん、やっぱり私は………」

 

「ああ、咲世子が賛同してくれるとは最初から思ってなかったよ」

 

「え?」

 

「咲世子、お前はルルーシュ様とナナリー様の帰るべき場所でいてくれ、私とC.C.は始まってしまったら引き返せない…………お前だけは汚れずに二人を守ってくれ」

 

「………はい、しっかりと尽くしてみせます」

 

「ありがとう、咲世子」

 

やはり咲世子に話しておいたのは正解だった。

 

「では、今度こそおやすみだ」

 

「そうだな、ツキト、襲うなよ?」

 

「それはフリか?C.C.」

 

「どうだかな?」

 

「まるで魔女だな」

 

「当たり前だ、私は……」

 

「「【C.C.だからな】」」

 

「だと思ったよ」

 

「先読みするな」

 

「ははは、すまないな」

 

「(ツキトさん、楽しそうですね、私もああやってイチャイチャしたいです)」

 

明日から忙しくなるな、しっかりと寝ておかねばな。

 


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