コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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亀☆更☆新


『中華連邦』の『思惑』

ツキトside

 

 

列をなして九州へ走るトレーラーの中のひとつに、コーネリア、ユーフェミア、スザク、ダールトン、ギルフォード、私の6人が集まった。

 

始まったのは会議、議題は騎士団と共同戦線を結ぶか、否か。

 

「共同戦線を結ぶことで藤堂と四聖剣、そして赤いKMF、騎士団の主戦力と呼ばれるもの全てをこちらに提供するとゼロは言っている、さらにリアルタイムで得た情報をこちらに提供する準備もあるそうだが…………ギルフォード、お前の考えを聞かせてくれ」

 

作戦の総指揮を取るコーネリアが議長としてギルフォードに聞く。

 

「ハッ………私は今回に限り共同戦線を結ぶべきだと考えます、今回のような拠点攻略戦のときに詳細な情報は高い価値があります、損害を減らすためにも、結ぶべきかと」

 

「ふむ………ダールトン将軍はどうだ?」

 

「私は結ぶのは避けるべきかと、戦いの前に兵の士気を下げるなど考えられません、士気が下がれば損害は確実に増えます、これはデータとして出ています、結ばずに我々ブリタニア軍のみで戦うべきかと、幸いにも、地理に詳しい精鋭部隊の戦線投入ができる状況です、ここは一気に攻めるべきかと」

 

「なるほど、士気と勢いは重要だ、私もそこは理解している、では枢木はどう思う?」

 

「はい、自分もダールトン将軍と同じです、共同戦線を結べばたしかに戦力は増えます、ですが、我々ブリタニア軍の命令通りに動くかどうかわかりません、共同戦線を結ぶのはまだ早いと思います」

 

「まだ早い、か、いずれかは結ぶ時がくるかも知れないと、枢木はそう思っているのか?」

 

「………はい、日本は中華連邦に近い位置にあります、地理的にいつ攻めてきてもおかしくはありません」

 

スザクのやつ、軍人として大きく成長したようだな、私は嬉しいぞ。

 

「ツキトの考えは?」

 

「………私は結ぶべきだと思います、戦力の増強は損害の軽減につながります、それに、一応ではありますが、作戦案も考えてあります」

 

「作戦?通信で言ってたやつか?」

 

「はい、騎士団と共同戦線を結べば、さっき申しました作戦もより効果が高まります」

 

「…………説明してくれ」

 

「ハッ」

 

立ち上がってホワイトボードの側に立つ。

 

「まず、九州拠点は海岸線沿いにあるため、正面と、左右の3方向から攻めることができます」

 

言いながらホワイトボードに大きな楕円とそれの下と左右に矢印を描きいれる。

 

「作戦は、まず突撃で撹乱させ、そこに上空から藤堂や四聖剣といった騎士団の戦力を投入、精鋭部隊は敵を包囲し退路を断ち、殲滅します」

 

「それでは突撃する兵の負担と損耗が大きすぎる」

 

「突撃するのは私なので問題はありません」

 

「問題しかないじゃないか!!」

 

「そうです!たった1人で突撃なんて無謀もいいところです!」

 

立ち上がって抗議するコーネリアとユーフェミア、予測済みだよそれは。

 

「特派のロイドに突撃に最適な装備に改造してあります」

 

「それでもダメだ、万が一があったらどうする!」

 

「そうだアールストレイム卿、万が一君を失えば君の配下の猟犬部隊は誰が指揮をするんだね」

 

ダールトンも抗議に参加してきた、猟犬部隊を突かれると弱いな………。

 

「心配はいりません、私の役目はあくまで撹乱と陽動、無理はしません」

 

「しかしだな……」

 

「コーネリア様、自分はツキトの作戦に賛成です、ツキト以上に撹乱と陽動に向いた兵は居ないと思います」

 

「…………少し、1人で考える時間をくれ」

 

コーネリアの退室で会議は解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特派トレーラーに戻り、テンペスタの最終調整をロイドとともに行う。

 

「ロイド、右のフロートユニットの動きが鈍いようだ」

 

「え〜?………あっら〜本当だよぉ、セシル君、調整おねがーい」

 

「はい………左右のバランス調整を同数値に修正………できました!アールストレイム卿、どうですか?」

 

「……………うむ、違和感はないな」

 

このスーパーフロートユニットはコストと重量もそうだが、調整の難しさもあるのか、かれこれ一時間は調整しっぱなしだ。

 

「これで全部終了か、よし、もういいぞ2人とも、今度はスザクのランスロットの調整をしてくれ」

 

「はーい、行くよセシル君」

 

「今行きます」

 

「ランスロットが僕を呼んでるよぉ〜」

 

「楽しそうで何より………」

 

テンペスタから降りてポットから紅茶をカップに注ぐ、適当な椅子に座って休憩する。

 

出来ることはやった、あとはコーネリア次第だ、どう転ぶかは天の運次第だ。

 

「ツキト……」

 

「ん、スザクか、ランスロットの調整はもういいのか?」

 

「え、あぁうん、ランスロットはよくできたKMFだから調整はほとんど要らないんだ、整備は必要だけどね」

 

「そいつは楽でいいな、やはり第七世代は違うな」

 

「あの、ツキト……」

 

「うん?」

 

なにやら深刻な表情だな………。

 

「なにかあったか?相談ならのるが……」

 

「………僕は、さっきの会議で騎士団とは共同戦線を結ばないほうをとった、本当はツキトと同じ考えにすべきだったのに…………今の騎士団は前までとは違うんだって、自分自身に言い聞かせてる、けど、やっぱり前の騎士団がやってきたことに、まだけじめがつけられない………」

 

「スザク………」

 

日本には昨日の敵は今日の友という言葉があるが、そんなハッピーな考えを持った人間なんているものか、人間の心はどんな機械よりも複雑だ、スザクだってそうだ、簡単には受け入れなれないだろう。

 

「スザクの言うことは最もだ、騎士団は手のひらを返して我々に協力してくれているが、それが本心かはわからない、結局は信じることこそが本当に必要なんだ、だが互いに憎しみ合っていた仲がすぐに改善するほど、人間という生き物は簡単にはできていない………スザク、お前はお前の信じる道を進め」

 

「ツキト……僕は……」

 

「正誤も、善悪も、結局決めるのは人間だ、なら、私たちは自由の信じる正義の道を進み通すのみだ」

 

「………わかった、まずは何が正しいのか考えるところから始めてみるよ」

 

「あぁ、そうするといい、正しいと信じた道を進んで、例え間違ったとしても、後悔せずにすむのだから」

 

小刻みに揺れるトレーラーの中で、グロースターを眺める…………いざとなれば、こいつを………。

 

ピピピピピピピピ!

 

「通信か?」

 

『ブリタニア軍の兵士諸君、九州拠点奪還作戦に、藤堂鏡志郎と四聖剣が戦力として加わることとなった!』

 

「……結局結ぶのだな」

 

コーネリアのことだから結ばないものだと思っていたが………。

 

「まあ、これで戦力は増えた、正直言って力押しでも勝てそうではある、問題は………」

 

「指揮権が誰にあるか、だね」

 

「そうだ、藤堂たちの指揮権はコーネリア様なのかゼロなのか………おそらく総大将はコーネリア様になると思う」

 

「僕もそうだね、というかそうじゃないと命令に従わない兵が出そうだ」

 

「猟犬部隊はともかく、向上心あふれる新兵はそうだろうな」

 

そこら辺もどうにかできる策が用意してあるのだろうか、コーネリアは軍人としては優秀だが政治家としてはクロヴィスには劣る、だが芯の太さと兵からの信頼の厚さはブリタニアでも随一、その点においてはシュナイゼルを凌ぐ、激励と鼓舞、この2点においてはコーネリアがもっとも上手い。

 

たしかにシュナイゼルは優秀だ、ど鬼畜のど畜生ではあったが、原作ではクズレイパーの扇を策に嵌めてゼロを裏切らせたのだから、相手を騙すという点においては、あいつには勝てるものはいないだろうが、騙しの勝負で勝ったところで自慢もできん、ライアーゲームじゃあるまいし。

 

「まあ、騙しの勝負で負けたとしても、直接殺せば問題ないか」

 

「ん?何が問題ないんだい?」

 

「あぁいや…………ナナリー様のことでな、仕事が一段落したらデートに誘おうと思ってな」

 

危ない危ない、声に出てたか、聞かれたのがスザクでよかった、誤魔化すのが楽でいいし。

 

「ツキトからデートに誘うのかい?珍しいね、ナナリーと付き合うのに乗り気じゃなかったように見えたけど」

 

す、鋭いなスザクのやつ………。

 

「最初のうちはな、私がナナリー様と付き合うなんて恐れ多いと思っていたんだが………今では誰にも渡したくないと思うようになってしまったよ、今も作戦前だというのにナナリー様のことが気になってしまってしょうがない」

 

「ナナリーにゾッコン、ってやつかな」

 

「スザク、私はダメな人間だろうか…………前に私は、死ぬのは怖くないと言ったが、今となっては怖い、ナナリー様と会えなくなってしまうと思うと、操縦桿も握れない、手が震えてトリガーが引けなくなる、私は、とても臆病になってしまった…………」

 

実際に死ぬ寸前に手が震えることがある………ナナリーに怒られるのが怖いからだと思うが。

 

「そんなことないよ、ツキトは立派だ、ナナリーとルルーシュのために、こうして戦っている、それに、ツキトが動けなくなっても、僕がなんとかする」

 

「フッ……………最後の言葉、期待させてもらう」

 

スザクの男前なセリフを聞き、立ち上がると同時にトレーラーが停止した。

 

「おっと………到着か」

 

「そうみたいだ、行こうツキト」

 

「あぁ」

 

トレーラーを降りると放送で私とスザクに集合がかかった、集まった場所は名も知らない廃れたスタジアムのような場所、そのど真ん中にテーブルを設置し、私やスザク、コーネリアとその騎士ギルフォードやダールトン、椅子は8つ、我々ですでに5つ使っている。

 

ユーフェミアは留守番だ………何かの拍子にゼロを見てルルーシュと叫ばれたらたまらんからな。

 

コーネリアの表情は険しい、おそらくゼロがここへ呼んだのだろうが、いくら協力関係にある相手の呼びかけでもこんなスタジアムのど真ん中にある椅子に座って待っているなんて正気ではないだろう。

 

しばらく経って、ゼロが現れた。

 

「待たせてしまったようだな、申し訳ない」

 

「少し調整を手間取ってしまった、許してくれ」

 

続けて現れた藤堂は綺麗なお辞儀をした。

 

最後に現れたのはC.C.だった、私のほうを見てニヤリと笑う、とんだサプライズだなおい。

 

3人が席に着き、席は埋まった。

 

「ゼロも来たことだ、会議を始めよう」

 

「その前に、我々黒の騎士団の要求を呑んでくれたことに感謝の意を表明する」

 

「それは今回の作戦で示してくれ」

 

「それはつまり、我々も前線に出ても良いということでしょうか、コーネリア総督?」

 

「共同戦線なのだからな、長話は無用だ、ここはひとつ、互いの案を出し合って決めるのはどうだろうか?」

 

「構いません、ではまずそちらからお願いします」

 

「わかった、ツキト、トレーラーでの作戦の説明を頼む」

 

「ハッ!」

 

そうきたか、なら話は早いな。

 

ゼロはブリタニア側の案を先に出させ、それよりも優れる案を出して主導権を握る考えだな。

 

「まず、私とスザク、そして君たち騎士団の主力部隊を空路で敵中に送り込み、撹乱する」

 

「む………」

 

「その隙をついて、ブリタニア軍が基地を包囲しつつ殲滅、以上が簡単な説明だ………正直言って、我が軍のスザクと騎士団の四聖剣のみでも勝率はかなり高い、しかし藤堂、貴公が参加してくれるならより確実になるだろう」

 

「ふむ………」

 

「なるほど、内部から崩す、というわけか…………ではこちらの策を、と言いたいところだが、アールストレイム卿と同様の考えだ」

 

ん?そうきたか………。

 

「それなら話は早い、こちらで輸送機を用意しよう、そちらの参加する兵力を教えてくれ」

 

「参加するのは藤堂と四聖剣、そして赤いKMFと精鋭たち、そして私だ」

 

「…………聞き間違えだろうか、ゼロ、貴殿も参加すると聞こえたのだが」

 

沈黙を貫いてきたダールトンが質問した、藤堂を見るとやや驚いた表情だ、C.C.は相変わらずのしたり顔………そろそろうざったいぞお前。

 

「そうだ、今回の作戦、騎士団所属の者は私が最前線で指揮をとる」

 

「なに!?」

 

そういうことか、そういうことならこちらの兵の士気はそこまで下がらないだろう、だがゼロ、いやルルーシュ、お前が最前線にいってもKMFが持たないだr………まさか……!

 

「心配には及ばない………それに、上手くいけばきっと良い戦闘データがとれるはずだ」

 

やはりか!

 

「クフフ………ゼロ、なかなか面白いことを思いつくな、予想以上、いや完全に予想外だったよ、良い意味で」

 

「予想を良い意味で裏切れてよかったよ、アールストレイム卿」

 

その後の会議の結果、騎士団はゼロのKMF以外は輸送機での空中投下、私とスザクはカタパルトから射出することになった、時間差が数分生まれてしまうが、ゼロがあれを使うなら問題はないはずだ。

 

「さて、いよいよお前の初陣だぞ、テンペスタ」

 

「あれ?名前を付けたんですか?」

 

「ああ、グロースターの高機動改造機なんて味気ないからな、それに思い入れのある機体だ、名前くらい付けてやらんとな」

 

セシルの質問に答えつつ、コックピット内の計器を確認していく、よし、オールグリーン。

 

「異常なし」

 

「はい!ではカタパルトへ移動をお願いします」

 

カタパルトに脚部を固定する。

 

強烈な高揚感が胸を襲う、焦るなツキト・アールストレイム、お前ならテンペスタの速度にもついていける。

 

私は人類史上初めて、人間の誰も到達しえなかった速度の世界へ生きたまま突入するのだ、その時はもうすぐだ、だから焦るなよ、ツキト・アールストレイム。

 

「テンペスタ………私を導いてくれ………」

 

勝利は、我が手に。

 

『カタパルト射出5秒前!4、3、2、1…0!』

 

「発進!うぐっ!」

 

カタパルトで前方に向けて射出され、後方に向かって強烈なGがかかる、空中に投げ出されると同時に姿勢制御、出力を抑え巡航速度を保つ、数分後、どうようにカタパルトより射出されたランスロットが私のテンペスタの隣に並んだ。

 

「スザク、調子はどうだ?」

 

『問題ない、いけるよ』

 

「了解、巡航速度を維持」

 

ふと後方を見ると輸送機が数機見えた、あそこに藤堂たちが乗っているのか。

 

ふむ、フライングだが、ちょっとくらい摘んでも大丈夫だろう。

 

「こちらアールストレイム、戦闘データの取得のため高速機動を行う、特派は記録の準備を」

 

『は〜い、とっくにできてるよ〜』

 

『ツキト、テストの許可はするが、危険なことは控えろ、お前のその機体は今作戦にてもっとも重要なんだ』

 

「心得ております、コーネリア様」

 

『うむ、では無理しない範囲で好きにやるといい』

 

「わかりました………よし、ロイド、手始めに、出力を最大まで上げる」

 

『ちょっと待ってください!いきなり最大出力は危険です!』

 

セシルの制止を振り切り、スロットルを最大まで上げた。

 

瞬間、カタパルトから射出されたときとは比べ物にならないほどのGが身体を襲う、座席のシートベルトが身体中に食い込む、目が充血する、身体中の骨がきしんでいる。

 

「あ"あ"ああああぁぁぁっっ!!」

 

そして悟る、これは間違いなく人間の身体が圧壊して死ぬ前触れであると、このまま潰れて死ぬのだと悟った。

 

だが私は人間にして人間に非ず、コードの力で死んだ部位を高速修復!素晴らしいなぁ不死身のパワーは!!

 

操縦桿を細かく動かして最高速度を維持した状態で変則的な機動を試す、操縦桿を曲げた瞬間、力のかかる方向が変わり、肺や心臓が急激に圧迫される。

 

「死と隣……合わせとは…………とん……だ、じゃじゃ馬……だな!」

 

時間の経過とともにだんだんと痛みに慣れてきた、目の充血も収まり視界に曇りはない、身体中にかかる強烈なGにも慣れた。

 

ものにしたのだ、こいつの、テンペスタの機動性を!私は掌握したのだ!

 

敵などいない!私に勝てる敵など、この世にはいない!

 

そうだ!まさしくこのKMFは、最強の機体だ!!

 

「ロイド!こいつは素晴らしい性能だぞ!」

 

『ありがとう〜頑張った甲斐、あったね〜』

 

『のんきしてる場合ですかロイドさん!ツキトさん!早く出力を下げてください!このままだよ死んでしまいます!』

 

「私が?死ぬ?………フハハ、フハハハハハハハハ!!」

 

あるものか、そんなことぉ!

 

「ここで死ぬということは、所詮は私はその程度だったということにすぎん!私は克服したのだ!こいつの殺人的な加速に!!」

 

『しかし!その状態で変則機動は負荷が甚大です!やめてください!』

 

「ロイドォ!このスピードを維持したまま、武装のテストだぁ!!」

 

『はぁ〜い』

 

『ロイドさん!ツキトさん!………んもぅ!!!』

 

『いやツキト、単騎突入は………ダメだ聞いてない……』

 

テンペスタの右腕部で保持しているスパークライフルをスピードを維持したまま構える、だが目標がなければテストになら………いいや、ちょうどいい目標はある。

 

「弾種は徹甲弾、距離3000、目標…………九州拠点のヘリポート!」

 

『なにっ!?おいツキト!戻ってこい!そのままだと集中砲火を浴びるぞ!』

 

コーネリアの言葉を無視して九州拠点上空に侵入する、下にいる無数の中華連邦のKMFから対空射撃を受けるが、変則的な機動を繰り返し、被弾はない。

 

『おい!聞こえて………まさか通信機の故障か?』

 

ヘリポートに着陸しているヘリにロックオン、セミオートで全弾を発射する、3発ほど逸れて当たらずにヘリの側を通過した弾丸が見えた。

 

「最高速度での射撃のためか、精度が悪化しているな」

 

『みたいだね〜、あとで調整しとくよぉ』

 

「いや、この程度のズレは手動で治せるからいい、問題は最高速度の状態でのMVSを振ることができるか………」カチャカチャ

 

『よくないですよ!というかなんでさっきから普通に話しているんですか!?最高速度なら喋るのも苦痛なはずなのに!』

 

「なれた」

 

『ツキトお前本当に人間か!?』

 

「純正ブリタニア人です」

 

割り込んできたコーネリアに言葉を返しつつ、カートリッジを再装填、弾種は散弾、装填が完了次第、低空飛行に切り替え、中華連邦のKMFの間を縫うように飛び回り、散弾をばら撒いていく。

 

KMFをほぼ一掃する一度上空に上がり出力を下げて滞空する、対空機銃も沈めたことだ、これで一息つける。

 

『ツキト………見た所相当の戦果をあげているようだが……無茶をしすぎだ!特派からのデータを見たがなんだその機体は!?最高速度に達して数秒も立たないうちに100%死ぬとはどういうことだ!!』

 

「コ、コーネリア様、黙っていたことについては謝罪いたします、ですがそうでもしないと出撃をさせてくれないと思いまして………」

 

コーネリアの通信に応えつつ、拠点内部からゴキブリのごとく出てくる中華連邦のKMFの映像を輸送機と移動拠点に向かって送信する。

 

『だいたい………ん?これはなんだ?中華連邦のKMFの映像か?』

 

「現在敵拠点上空からの映像をそちらと輸送機にリアルタイムで送信しています、輸送機のタイミング、および包囲部隊の攻撃のタイミングの調整に使えないかと」

 

『おお、助かるぞツキト、敵の配置が丸見えだな……む、ヘリポートに誰かいるぞ』

 

本当だ、あれは澤崎………であってるよな?そんな感じの元日本政府の役人だったか、今回の事件の主犯か。

 

「………こちらでも確認しました、おそらく元日本政府の政治家の澤崎かと思われます」

 

『あいつがか………やつを捕獲はできるか?ついでに中華連邦のやつも数人いると助かる』

 

「お任せください」

 

原作では割とすぐに退場したやつだったが、取引の材料には使えるくらいの価値はあるだろう、中華連邦の役人は材料としての価値はそこそこと言ったところか。

 

まあこの機体での捕獲は難しいが………ヘリに乗り込んだところを鷲掴みにすればいいか。

 

ヘリに元日本政府の役人と中華連邦のやつらで合計7人が乗り込んだところを見計らい、飛び上ろうとするヘリの羽根をバッタの細長い後ろ脚を引きちぎるようにして引っ張る、これでもう飛べまい。

 

ヘリの本体を鷲掴みにして空中に退避すると、さっきまでうるさかった対空射撃が止む。

 

『何をする!は、話せえ!』

 

今度はこっちがうるさいな、通信を遮断と。

 

「コーネリア様、澤崎と中華連邦の役人らしき人物を数名確保いたしました」

 

『ごくろう、帰投してくれ、今から入れ替わりで枢木と騎士団のやつらを空中から投下、包囲部隊にも攻撃命令を出す』

 

「イエスユアハイネス、アールストレイム、これより帰投します」

 

巡航速度で移動拠点に向かう、すれ違う時にランスロットにサムズアップ、ランスロットも私にサムズアップを返した、ふっ、かっこいいぞスザク。

 

コーネリアのいる移動拠点の近くに着陸、ヘリをそっと置く、すぐにヘリの周りをサザーランドが包囲した、部隊章を見ると猟犬部隊のようだ、対応が早くて満足だ、さすがは多才な藤堂、教師にも向いているようだ。

 

連行されていく様子を見ていると通信が入る、スザクからだ。

 

『ツキト、こっちはもう終わりそうだよ』

 

「早いな………藤堂たちとゼロはどうだ?」

 

『藤堂さんと四聖剣の人達はひとつのグループで行動して敵を撃破してる、ゼロはツキトが前に使ってたKMFでハドロン砲を撃ってみたいだけど、あれって1人じゃ無理だったような………』

 

「あぁ、そのことだが、どうやらゼロの側近、えーっと………緑色の髪の女が一緒に乗っているようだ」

 

『スタジアムに来てたあの人がか………わかった、総督からの指示とかはない?』キュゥンッ……

 

「特にないが、派手にやってくれ、極秘裏に戦闘を録画してるからそれを宣伝に使いたい」

 

『騎士団との協力関係のアピールかい?』ビッシュゥンッッ!

 

「それもあるが、スザクの戦闘能力の高さを示すためが大半だ、ユーフェミア様の騎士になったスザクを、どうにかそて排除しようと動いている虫がいるようだからな」

 

『そうなのかい?知らなかったよ………』キュィィィイイイン!

 

「まあ、気楽にやってくれ、ランスロットの性能は高いが、最大限引き出せるのはお前だけだ、存分に、好きなだけ、暴れてくれ」

 

『了解だよ、ツキトはこのあとどうするの?』ズドォーン!

 

「コーネリア様の指示待ち、もしくは澤崎の尋問かだな」

 

尋問は得意じゃないから願い下げだ。

 

『わかった、それじゃあ通信を切るよ』ズゴォン!

 

「ああ、作戦の成功を祈る」

 

スザクとの通信を切る、通信中に何やら鉄か何かがひしゃげる音とかヴァリスを撃つ音が聞こえたな、わざわざ暴れろと言わずともあの調子なら好き勝手やりそうだな。

 

おっと、そういえば。

 

「ロイド、ロイド、いるか?」

 

『はぁーい、いますよー』

 

「エナジーフィラーの補給を頼む、再出撃の可能性があるからな」

 

『はぁ〜い………あ、そうそう、できれば次の出撃の時はMVSを使ってくれないい?』

 

「善処しよう」

 

まだ敵は全て殲滅し終えたわけではない、いかんいかん、油断するなど………スザクがいる時点で勝ったようなものだが、まだ安心はできん。

 

原作との剥離が大きいからな、深読みのしすぎかもしれんが、中華連邦の最高傑作KMF、シェンフーがかなり早期に完成しているかもしれない。

 

飛躍のし過ぎだといいが、ありえない話ではないのだ。

 

ゼロとC.C.の搭乗するガウェイン、そのハドロン砲から発せられる妖しい輝きを見ながら、補給が完了するのを待つ。

 

返却期限が明日だからって、いくらなんでも撃ちすぎだぞ、確かにガウェインに乗っていると無双ゲーやってる気分になるのもわかるが…………オーバーヒートしたら修理が間に合わんぞ。

 

呆れてものも言えなくなったところで、次回に続く。

 


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