なにやら昨日の記憶が曖昧だ、わかるのはカレンダーを見ると今日から3日間休暇だと言うこと。
そして隣にはナナリーが寝ていて、アレ特有の臭いがすること。
いよいよ自分の抵抗力の無さにとことこ嫌気がさしてくる。
ベッドから出てシャワーを浴び、私服に着替えてナナリーを起こす。
「ナナリー様、朝ですよ」
「……ふぁぁぁ………おはようございます……ツキトさん」
「シャワーを浴びてきてください」
「ツキトさんは、入らないんですか?」
「申し訳ございません、先に入らせていただきました」
「そうですか……じゃあ入ってきますね」
とことこ歩いてシャワールームにむかうナナリーを見送ってからキッチンへ歩く。
咲世子が朝食の準備をしていた。
「おはようございます、ツキトさん」
「あぁ、おはよう、咲世子………悪い、栄養ドリンクってあったか?」
「冷蔵庫に入っていますよ」
「ありがとう……」
どうもまだ頭が冴えない、どころか二日酔いに似た不快感が頭の中をサーキットを走るミニ四駆のように豪快に回っている。
冷蔵庫の中にある大量の赤マムシや精力剤を無視してコンビニやスーパー等で見慣れた青いラベルの瓶を取る。
CMと同じ方法で開けようとすると親指が痛くなることで有名な栄養ドリンク、もちろん私はそんな親指が痛くなるような開け方はしない…………小さい頃のナナリーにせがまれてやったことが一度だけある、ついでになんとか成功したが、やはり痛いものは痛い。
普通に開けて一気に飲み干す、疲労回復に効くというし、何より今日から休暇である事はおそらくナナリーはすでに知っているだろう、たぶん咲世子あたりから聞いているはずだ。
となれば振り回される事は必至、今のうちに英気を養っておく必要がある、いくらある程度体内の組織を分解して再構成できると言っても、脳は難しいのだ。
こういう時こそコードの本領なのだが、慣れない脳みその分解と再構成なんてやってぶっ倒れたくない。
空瓶をゴミ袋に入れる。
そこでハッとする、空瓶に反射して見えた私の顔、眼帯をしてない…………ナナリーに見られたら最悪カラコンとでも言えばいいが、ルルーシュにそれを言うのは私のイメージとか色々がががが!
急いで部屋に入り眼帯を探す、眼帯は紐が綺麗に巻き取られた状態でベッドの脇の小物入れに鎮座していた。
ナナリーもいないことだしさっさと付ける…………やっぱりつけてた方が安心感あるな。
部屋から出ようと歩き出したところでナナリーがシャワールームから出てきた。
「あ、ツキトさん、髪を乾かすの手伝ってもらっていいですか?」
「かしこまりました」
鏡台の前の椅子に座るナナリー、私はタンスからバスタオルを取り、ナナリーの髪をふきはじめる。
「………なんだか、懐かしいです」
「懐かしい、ですか?」
「はい、昔……アリエス宮の大きなお風呂に私とお兄様とツキトさんの3人で入った後、いつもふいてくれたことを思い出したんです」
あぁ………生乾きのまま寝られると風邪をひいてしまうかも知れないからと私がやっていたが………今思えばあの時のアーニャの微妙な顔の意味が理解できた気がする。
そりゃあ真っ裸で女の子の髪をふいていたら変態にしか見えないからな、だがマリアンヌから許可は出ていたし………もしや、マリアンヌは私とナナリーがくっつくことを予期していた?
いや、おそらくシャルルあたりから教えてもらったのだろう、というか、子供だったから良かったものの、自分の娘の髪をよその男に真っ裸のままふいてもらうってどうなんだ………。
皇族には変態しかおらんのか!…………実際私の知る皇族は半分以上変態だったな、もうどうしようもないな、ブリタニア終わった………いや逆に始まったのか?
そろそろバスタオルはいいだろう、後はドライヤーでゆっくり乾かせばいい、風の温度は高すぎると髪が傷むというし、人肌に直に当てて熱くない、かといって冷たいのも水分が凍って傷むそうだし、ほどほどの温度で乾かしていく。
乾いたら次はブラシで髪をすくんだが、急いでいるからといって素早くやるのは絶対にNGだ、いいな?絶対にNGだぞ。
素早くやると頭皮が傷つく上静電気が発生して台無しになってしまう。
またブラシも非常に重要だ、金属製のものなんてゴミ箱に突っ込んで動物毛か新素材のセシオンのものを今すぐに買ってこい。
今回はクラブハウスで住み始めて2、3日経ったあたりで咲世子が(私の金で)購入してきた動物毛ヘアブラシを使用する。
毛先が柔らかく金属製と比べ頭皮が圧倒的に傷つきにくい動物毛ヘアブラシは、安価で手頃に手に入るうえそこそこ頑丈、静電気が発生せず、ナナリーのような綺麗な髪をより美しく見せる………つなり「艶」をかけるにはもってこいの代物だ。
髪の根元から毛先にかけて撫でるように、頭皮を痛めないように、マッサージのような感覚でゆっくり梳くと良い、強く梳くと摩擦熱で髪が傷んでしまうため、優しく、優しく梳く。
そう、小さなハムスターやツバメの頭を撫でるように。
「終わりました」
「ありがとうございました、それで、ツキトさん」
「はい、なんでしょうか?」
このパターン………たぶんデートの誘いだな。
「咲世子さんから今日はお休みだと聞きました、なので……その、デート、してくれませんか?」
「はい、お付き合いさせていただきます」
特に急ぎの用事もないからいいか、栄養ドリンクのおかげか、それともナナリーの髪を梳いている時間でリラックスしたのか、疲れがないようだしな。
「本当ですか!?そ、それじゃあデートの時は、昔みたいな話し方で話してくださいますか?」
「わかりました、アリエス宮の頃のような話し方で喋らせていただきます」
「ありがとうございます!」
「ナナリー様、今日のディナーは外食する、というのはどうでしょうか?」
「いいですね!どこに行きますか?」
「そうですね………少々お待ちください」
そうことわってから部屋を出るz
たまにはガス抜きも必要だろう、最近は結婚も視野に入れた未来を考えている、皇族復帰後にブリタニア本国で結婚式、日本で旅行というふうに行えば、日本へ観光に行くブリタニア人が増えてくれるだろう。
日本への注目を集めるという意味ではナナリーとの結婚は最大限の効果を与えられる政治的パフォーマンスとしてうってつけだ、なのだが…………そんな打算で結婚なんてしたくない。
なので、休暇や休みはできるだけナナリーと過ごすようにし、私自身もっとナナリーのことを知り、愛せるようにならなくてはならない。
よって、今回のデートの誘いを受けた次第だ。
手は抜かん、前のデートで行っていない有名なデートスポットを中心に、夜はレストランに行くとしよう、ナナリーに好き嫌いはほとんど無いからどこにしようか迷うところだな。
…………そういえば、この前スザクがマンションの近くに日本食料理店ができたと言っていたな、口コミを見てみよう。
ふむ、平均7点か…………低いな、ダメだ、なし。
安定しているのは洋食、それと旧ブリタニア帝国の料理専門店か、無難に洋食がいいか。
ここいらで歩いていけるような距離にある、評判が良い高級レストランとなると………6件、ではそのうち予約できそうな店は…………4件、ここは直感で行こう。
……………よし、この店だ、早速予約だ、ん?コースが選べるのか、とりあえず一番高いのを予約しておけばいいだろう。
「もしもし、予約を入れたいんだが………今日の夜、2人だ、コースは……あ〜、一番高いのを、あぁ、名前か?名前は……キングスレイで………では、よろしく頼む」
これでいいか、いやー緊張した。
部屋に戻り、ナナリーに報告する。
「ナナリー様、レストランの予約が取れました」
「え?ツキトさん、それはどこのお店なんですか?」
「◯◯◯◯というレストランです、ナナリー様のお口に合うかと」
「そ、それって高級レストランじゃないですか!?」
「一般的にはそう呼ばれる店ですが………どうかいたしましたか?」
「だ、だってツキトさんにそんなたくさんのお金を払わせるなんて私……」
いや、私が払うのが普通なんだと思うんだが。
「ご安心ください、私には総督府よりしっかり給金が出ております、この程度の出費は痛くはありません」
家の一つ二つ買ったところで財布はほとんど痛まない、やはりラウンズの給金は頭がおかしい、もう少し減らしてもいいんじゃないか?使い道が、というか散財方法がこれくらいしかないんだよなぁ。
「で、でも……」
「………お気に召しませんでしたか?」
「そういうわけではありません………私のワガママでデートをしてもらうのに、そこにさらに迷惑をかけたくないんです」
デートに誘った程度でワガママになるんだったら最新型のKMFをせがんだ私は死刑囚か何かだな。
「迷惑だなんてとんでもないです、私はナナリー様と過ごせるだけでも幸せなんです、それに、これは私のワガママなのです、ナナリー様が気にすることはありません、むしろ、気を使わせてしまい申し訳ないと反省する次第です」
「ツキトさん………」
「どうでしょうかナナリー様?今回のデート、私のワガママを聞いてはもらえないでしょうか?」
「………ふふっ、わかりました、ツキトさんのワガママにお付き合いさせていただきます」
『私の主人はこんなに謙虚で優しい』………奥ゆかしい女性の主人(モデル:ナナリー)とその従者(主人公)の日常を描くライトノベル………大ヒット間違いなしだな。
誰か作れ(懇願)。
そのあとはナナリーと雑談をし、C.C.の部屋に入った。
「お?ツキトか、久しぶりじゃないか、忘れられたのかと思ったぞ」
C.C.はピザ食いながらパソコン弄っていた。
「実際忘れていたがな………騎士団の状況はどうだ?」
「最初こそブリタニアと手を組むことに反対していた奴らがいたが、ゼロが言いくるめてなんとかなった感じだ」
「ゼロ………ルルーシュ様にかかればこの程度で反発は予測の範囲内だっただろうし、幹部連中にも伝えていたから早めに対処できたわけだ」
「んまあそこは置いといて、ツキト、お前次の騎士団の定例会議にはもちろん来るんだよな?」
「次の定例会議………明後日か、今は何の予定も無いから行けると思うが、ナナリー様次第だな」
「お前達の仲は応援するが、なるべく用事を入れないようにしてくれよ?最近紅月カレンの視線に殺気がこもり始めたんだ、そろそろ背中が危ないかもしれん」
「シュタットフェルトか………とりあえず了解だ、エリーの姿で行く」
「頼むぞ、紅月カレンに殺気を向けられつつ団員から同情の視線を向けられる、そんな気まずい会議はごめんだぞ」
「よく今まで耐えたな」
「まあ、私はC.C.だからな」
「そう言うと思った、では、私はデートがあるから失礼する」
「ナナリーとのデートなのに随分と張り切っているじゃないか」
「心境の変化だ、このままナナリー様と結婚するのも良いと思ってな」
「それを言ってやれば喜ぶんじゃないか?」
「言ったら三日三晩犯されるだろうが」
「違いない……(押しの強さはマリアンヌ譲りなんだろうな)」
「では、引き続き頼むぞC.C.」
「任せておけ」
C.C.の部屋から出て自分の部屋に入り、すぐに染髪を始める、前回はゴールドだったので今回はシルバー、銀髪でいこう。
服装は………かしこまった雰囲気はあのレストランには合わない、ドレスコードは無いから多少カジュアルな服装でもいいか、安っぽいものは無し、ブランド物を着て行こう。
まあ、ナナリーの隣を古着や1000円くらいのシャツとジーパンで歩ける度胸と、周りのやつに石を投げられても耐え抜く根性があるやつならそれでもいいが、たぶんそれだとナナリーが恥をかくから結局ダメ。
しかし、こんな布の塊が1000ドルを軽く超えるのが理解できない………おしゃれとか流行とか知らんし、その都度1000ドルを超える布を買わなきゃいけないのは面倒、と言ったり思ったりしているうちはダサい服装なんだろうな。
つまり試しに来てみたこの服はダサいということになるな。
「咲世子」
「はい」
「ナナリー様とのデートの最後にドレスコードの無いそこそこ値の張るレストランで食事をする予定なんだが、ナナリー様の隣を歩いていても違和感を与えず、恥をかかさないで良いような、何か良い服の組み合わせは無いか?」
「ナナリー様とドレスコード無しのレストランで食事しても違和感のない服装ですか………少々お待ちください」
天井から現れた咲世子に微塵も驚かなくなった自分自身に驚きつつ、こういう事に詳しくナナリーと同じ女性の咲世子に服装を頼んでみる事にした。
「この服装なら問題は無いかと」
「…………おぉ、これはいいな」
咲世子から渡された服を見る、目立つような要素は薄く、また値の張る服だが、ナナリーの隣を歩くには十分なレベルだった、そのうえ革靴まで用意してあった、ブランド物でかなり高いやつだ。
領収書が付いており、領収書には私の名前が記載してあった………日用品等を買うときは勝手に私の名前を使うのは許可しているが、まさか靴も買っていたとは……………というかこれぴったりだな、予知してたのか咲世子のやつ?
まあいいか。
「ありがとう咲世子、それとおそらくナナリー様も服装で悩んでいるだろうから、見てきてくれないか?」
「わかりました、それでは失礼します」
跳躍して天井に消えていく咲世子を見送り、財布やケータイのチェックを行う。
我ながら分厚いうえに重い財布だ、給金の半分ほどを生活費にあててもまだ余る、銀行に預けようとすると名前で断られるから咲世子名義で振り込んでいる、もしもこれがバレたらまずいな。
【ナイトオブ13、日本人女性に金貢ぐ!?】とかいう記事でも出されたらと思うと怖いが、さすがにナナリーやルルーシュ名義はもっとマズイだろうしな………バレないうちになにかしら対策をしなければいけないな。
そろそろリビングで待っていたほうがいいな、あまり遅いとナナリーが不機嫌になるかもしれんしな。
カレンside
最近の騎士団の状況の変化は、いろいろとついていけないことが多い。
まずあいつ、男のくせに背が低くて髪が長い一見女々しく見えるナイトオブラウンズ、ナイトオブサーティーンのツキト・アールストレイム、あいつとゼロが手を組んで作戦を行っていた。
教科書では第5皇女を狙う暗殺者を排除したことで皇帝より特例としてラウンズの称号が贈られている、でもそれだけで、政治に口を出せるほどの権限は無い。
なのに日本の政治を牛耳るコーネリアやユーフェミアを通じて政治に口出しできるのは、幼馴染だからだとアールストレイム本人は言っていた、敵ながら思ったけど、それでいいのかブリタニア。
騎士団発足前からゼロと秘密裏に協力関係にあったらしい、ゼロはエリーを通じて知り合ったらしい、ゼロが一体何者なのか疑問に思ったけど、雑魚同然だったただのテロリストの私たちを、この日本にいるブリタニア軍の戦力と拮抗するほどに大きくしてくれたゼロの本当の姿なんて、今となっては小さいことだ。
私たちの心強い指導者であるゼロが、仲間として信頼するツキト・アールストレイム卿…………ゼロはそいつとの模擬戦を考えているらしい、内容はアールストレイムと私のマッチ、機体性能はスザクの白兜より下だけど、あいつは四聖剣の藤堂さんをKMFの一騎討ちで引き分けた実力者だ、詳しく分析しておかなきゃいけない。
あのとき、藤堂さんを救出する作戦のとき、あいつは藤堂さんに一騎討ちを申し込んできた、今思えば、四聖剣全員で叩けば楽に勝てたはず………わざわざ近接武器限定で戦うこともなかったはず、でも藤堂さんは作戦の終わった後はとてもスッキリした顔をしていた、千葉さんが言うには藤堂さんは根っからの武人だかららしい。
って話が逸れたわ、途中から藤堂さんの話になってたわ………肝心のアールストレイムのことだけど、ラクシャータさんが手に入れた白兜との模擬戦データによると、圧勝ってほどでもないけど勝ってるみたい。
藤堂さんと引き分けるほどには強いわけだけど、調査によると最近はほとんどKMFに乗ってないみたい、慢心や油断をするわけじゃないけど、勝てそうな気がしてきたわ。
そういえば、今日はそのアールストレイムとナナリーちゃんがデートするのよね、いきなり朝からナナリーちゃんからメール来て驚いたけど、今日の朝に頼んで即OK出したアールストレイムに驚いたわ。
………対戦相手のクセを見つけておけば優位に立てる、ゼロはそう言っていたわ、普段の生活の中でのクセはKMFの操縦に表れる、だからクセを知っておけば勝てる可能性があがるって。
ナナリーちゃんには悪いけど、デートを尾行させてもらうわ、最近ゼロの周りにはC.C.とエリーのせいで近づけないし、褒めてもらうこともなかったのよ、模擬戦でアールストレイムに勝ってゼロに褒めてもらうために、私は良心を殺すわ!
『デートに行くってメールを見たんだけど、どこに行くの?』
送信!ナナリーちゃんのことだから、たぶん教えてくれるとは思うけど………。
『ショッピングをした後に◯◯◯◯っていうレストランにお食事に行くんです』
◯◯◯◯って確か高級レストランだって聞いたけど、やっぱり給料良いのねラウンズっていうのは、同年代で一体いくらもらってるのかしら。
『そうなの、教えてくれてありがとう、楽しんでね』
『はい、楽しんできます!o(^▽^)o』
ナナリーちゃんとこうしてメールしたり話したりすると、なんでこんな可愛くて良い子があんなやつなんかと付き合ってるかとつくづく疑問に思うのよね。
一回だけ、ナナリーちゃんがアールストレイムの地位とか財産狙いかと思ってたんだけど…………どう見てもそんな感じにはまったく見えなかったのよね、ラブラブっていうか、見てて砂糖吐きそうになるほどくっついてんだもん。
まあナナリーちゃんにそんなこと限ってないと信じてたけどね。
でも…………2人の仲って結構急に進んだわよね、くっつかれるのを嫌がってたアールストレイムが一ヶ月も経たないうちに腕を組んでデートしてたり、キスしたり、エッチとかも、したり………それは確かアールストレイムじゃなくてナナリーちゃんのほうから襲ったらしいけど、最初信じられなかったわ。
だってあのナナリーちゃんがよ?みんなの天使がよ?子供とはいえラウンズの男の子を押し倒して襲ったのよ?すぐに信じられるわけないでしょ?
まあ、私が思ってる以上にナナリーちゃんはいろんな意味で強かったってだけの話ね。
さってと、ナナリーちゃんはショッピングって言ってたわね、ここらへんのショッピングモールはひとつしかない、先回りしていましょ。
モールについてバーガーショップでしばらく時間を潰している、こうしていると変な男にナンパされるからあのバカップルに早く来て欲しいんだけど、別に約束したわけでもないし尾行しようとしてるから腹をたてるのはお門違いだけどさ。
それでも数分毎に1人の割合でナンパされるのはものすんごくうざったい、早く来なさいよバカップル!もしもモールに学校の人でもいてそれを知らないでナンパ男を適当にあしらってたとこ見られて変な噂立つの嫌なのよ!
はあ、こんなことになるんだったらゼロに相談しておけばよかった………。
あ、ナナリーちゃん発見!アールストレイムも側にいるわね。
ふーーん、見た感じ普通のデートよね、特におかしいことは………ちょっとまって、おかしいから、アールストレイムがあんな優しい笑顔見せるとかおかしいから!あ、でもナナリーちゃんだからそうでもないのかしら?
遠目で分かりづらいけど、いつもの私じゃなくて僕って言ってるわね、あれがナナリーちゃんの言ってた昔のアールストレイムの口調なのかしら。
傍目で見る限り、健全なデートよね…………だから余計信じられない、ナナリーちゃんが超肉食系だなんて考えもしないわ、かといってアールストレイムは無理やり襲ったりするようなやつじゃないっていうのは、ナナリーちゃんからほぼ毎日耳にタコができるほど聞かされてるし………。
もしかして………アールストレイムって、ヘタレ?
(あながち間違いじゃないゾイ by作者)
だとしたら納得がいくわね、いつまで経っても襲ってくれないからナナリーちゃんが逆に襲った………ありえるわ、きっとそうね。
考え事してたらもう買い物を終えていたみたいね、追いかけなきゃ。
「アールストレイム………あんた………」
ナナリーちゃんとアールストレイムが歩いてきて着いた場所はどこにでもある公園のベンチ、座って少し話したと思ったらナナリーちゃんの膝にアールストレイムが頭をのせて寝始めた。
いわゆる膝枕をナナリーちゃんはしている、ニコニコ笑顔でぐっすりと眠るアールストレイムの髪を梳くナナリーちゃん、うわぁ〜………幸せそうな顔ね。
にしても、あんなに髪を構われたら普通起きるもんだと思うんだけど、アールストレイムって鈍感なのかしら?…………あ、違うわね、あれはたぶん、ナナリーちゃんを信頼してるからなのかしらね。
外の公園のベンチで眠るなんて普通しないもの、アールストレイムはナナリーちゃんを信じているからあんなにぐっすりと熟睡できるのね。
………私もそのうち、ゼロに膝枕をしてもらいたい………いえ!するほうでもいいわ!まずはその信頼を勝ち取るのよカレン!ファイト!オーー!!
いつか番外編とかで思いっきりネタをぶち込んだのを作ってみたいけど、本編ですらほとんど進まないのに番外編とか無理でち……。