コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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男女『逆転』

ツキトside

 

 

朝起きて、制服に着替えて、キッチンに立つ。

 

エプロンをつけて邪魔な髪を束ねてフライパンの上のパンケーキをひっくり返す。

 

最初はウィンナーと目玉焼きと野菜ジュースにする予定だったが、せっかくスザクいるのと、朝から脂っこいものを食うと腹下すやつ(ルルーシュ)がいるので、パンケーキとヨーグルトにした。

 

飲み物がヨーグルトなのはパンケーキの材料には牛乳も入っているためだ。

 

パンケーキを皿に盛り付ける、スザク以外は4枚、スザクのみ倍の8枚だ、バターをたっぷりのせてハチミツをかける、これでよい。

 

ヨーグルトは飲むヨーグルトなのでそのままコップに注ぐ。

 

「咲世子」

 

「はい」

 

「半分持って行ってくれ」

 

「わかりました」

 

私と同じようにキッチンでサラダとドレッシングを作っていた咲世子に言う、咲世子はドレッシングのかかったサラダをお盆の上にのせると、パンケーキの皿とヨーグルトのコップを持ってテーブルに運んで行った。

 

エプロンを外して残りのパンケーキの皿とヨーグルトのコップをサラダと同じお盆にのせて運ぶ。

 

テーブルのあるリビングにはすでに起きたルルーシュとナナリー、半起きのスザクが仲良く椅子に座っていた。

 

「スザクさんはこちら、ルルーシュ様とナナリー様はこちらです」

 

「わぁ!美味しそうだねルルーシュ!」

 

美味しそう、か…………そう言ってもらえると嬉しいな。

 

「………………」

 

「そうだな、量も多いし、よかったじゃないか…………ナナリー?どうしたんだ?」

 

ナナリーがさっきから喋らない、どうかしたのか?

 

「これって、もしかして…………ツキトさんの」

 

「はい、ツキトさんが焼きました」

 

「やっぱり!ツキトさんのパンケーキなんて久しぶりです!」

 

…………そういえば、パンケーキなんて焼いたのいつぶりだろうか、日本にやってきて、エリア11に変わって………。

 

たしか、ナナリーの誕生日の日だ、ルルーシュがナナリーのためにケーキを作りたいと言って、ケーキの作り方を本で読みながら作った、だが分量を間違えて1人分しかできなかった、その時のルルーシュは焦っていて、時間もなかった。

 

冷蔵庫を開けると残っていたのは卵と牛乳、生クリームが少々といったところだった、『こんなもので何ができるんだ!』って言って壁を殴りつけるルルーシュを尻目に、なんとかしようとその場にあったパンケーキ用の粉でパンケーキを作り、6枚のパンケーキを重ねて生クリームで覆い尽くした上にイチゴをのせたんだったか。

 

宮廷暮らしだったナナリーからの評価は意外にも高く、嫉妬したルルーシュががむしゃらに勉強し、主婦顔負けに料理に詳しくなった。

 

ああ、言っとくが、私は料理全然できない設定からな?せめてできるものはパンケーキぐらい、炒め物くらいはできるかもしれないが、手の込んだものは無理という設定だ、本当はそこそこできるが、さすがに本気で料理を作るのもアレだしなあ。

 

だから私とルルーシュどちらが料理が上手かで競ったら、私が惨敗する。

 

「喜んでいただけましたか、ナナリー様」

 

「ツキトさん!はい!とっても嬉しいです!」

 

花が咲いたような笑顔、とはこのことだろうか。

 

ナナリーの笑顔に誰しもが和んだ、齢14頃の少女が、平日の朝の食卓に癒しを運んだ。

 

「それはよかったです」

 

「はい、ふふふっ」

 

私と咲世子が席に着く。

 

「それでは、皆様、いただきます」

 

「「「「いただきます」」」」

 

咲世子のいただきますに続き、全員でいただきますをしてからフォークを握る。

 

食事前の挨拶は実際大事、ブリタニア生まれだから食事の時いきなり食べ始めるのには慣れたが、日本で物を食べるときはやはり挨拶はかかせない。

 

「おいひいですツキトさん!」

 

パンケーキを頬張るナナリー、あ!?

 

「ナナリー様!ハチミツが制服についてしまいます!」

 

布巾でナナリーの口元を拭う、危なかった、別に制服が汚れることはいい、口元から垂れるハチミツが卑猥に見えて邪な考えをしたくないからだ。

 

「んぅう……すみませんツキトさん」

 

「落ち着いて食べてください、喉に詰まったら危険ですから」

 

ナナリーを軽くしかる、ナナリーはもともと良い子だから軽くしかるだけでわかってくれるから世話が楽だ。

 

「ルルーシュ!このパンケーキ美味しいよ!」

 

「ええいスザク!もう少し静かに食えんのか!」

 

あっちはあっちで楽しそうだな。

 

「咲世子」

 

「何でしょうか?」

 

「ルルーシュ様の制服の替え、用意しておいてくれ」

 

「かしこまりました」

 

おそらくこの調子だとルルーシュの制服がハチミツで汚れるだろう、準備しておくに越したことはない。

 

「ツキトさん?食べないんですか?」

 

「ああ、いえ、食べますよ」

 

自分で作っておきながら自分は食べないのはダメだな、さてフォークを…………ん?フォークがないぞ?

 

「ツキトさん、アーン」

 

と思ったらナナリーが私のフォークでパンケーキを刺して私の口元まで持ってきていた。

 

「な、ナナリー様?いったい何を……」

 

「ツキトさん、口開けてください」

 

「は、はい…………アー……」

 

言われた通り口を開ける、パンケーキが口の中に入ってくる。

 

フォークが抜かれる、モグモグ………………味は普通だな。

 

「えへへ////……食べてくれた……」

 

やった本人であるナナリーは嬉しそうだ、そんなにこれをやりたかったのか?

 

「ツキトさん、二口目は……」

 

「さすがに自分で食べますよ……」

 

「えっ…………」ウルウル

 

あっ…………。

 

「で、ではもう一口だけ……」

 

「ツキトさん……!」パァァァ

 

結局全部アーンで食べさせられた。

 

ルルーシュの羨ましそうな目がうざかった、ナナリーは終始上機嫌で、ヨーグルトの口移しをしようとしたのでやめさせた。

 

さすがに吐瀉物は…………いや口同士だからOKか?うむむむ…………。

 

「ツキト、何を悩んでるんだい?」

 

「スザクか…………いや、少しナナリーさm………………ナナリーのことをな」

 

登校し、授業準備をして待機していた時、横に座ったスザクが話しかけてきた。

 

「ナナリーのこと……ねえツキト、ナナリーは、その、ヤンデレじゃないよね?」

 

「?、ナナリーがヤンデレ?どうしてそんな」

 

「この前ロイドさんに言われて調べたんだ、その人が好きすぎて独占欲が強くなってしまい、周りが見えなくなってしまう人のことをそう言うって」

 

ナナリーがヤンデレねえ………………ルルーシュがヤンデレでも違和感ないな、原作でのナナリーへの固執?……執着?……愛着?…………兄妹愛(?)は凄まじかったしな。

 

「それでナナリーがヤンデレだと?」

 

「うん、かも、しれない」

 

「たしかにナナリーは何かと周りが見えなくなることがあるが、だからと言ってヤンデレとは言えんだろう」

 

「でもツキト、ナナリーはツキトと一緒にいる時は特にそうなんだよ、たとえルルーシュと一緒でもこんなことないのに」

 

「ふむ………ではナナリーがヤンデレであったとしよう、何か問題があるのか?」

 

「ナナリーがヤンデレだったら、ユフィが殺されるかもしれないんだ」

 

「………………はぁ?」

 

ヤンデレのナナリーがユーフェミアを殺すぅ?ありえないありえない、あるわけがない。

 

「バカなことを言うなスザク、ナナリーがユーフェミア様を殺すなど…………」

 

「ヤンデレの女の子は、好きな男の子に振り向いてもらうためなら、ライバルの女の子を殺すことも厭わないって書いてあった」

 

「バカバカしい、あるかそんなもん……」

 

「ナナリーはツキトのことが大好きなのはそばで見て知ってる」

 

よせやい照れるぜ(真顔)

 

「でも、だからこそ危険なんだ、その気持ちがナナリーをヤンデレに変えてしまうかもしれないんだ」

 

「たとえナナリーがヤンデレになってしまっても、私はナナリーを好きでいられる」

 

「ほんとに?」

 

「ああ本当だ」

 

「ルルーシュがヤンデレになっても同じこと言える?」

 

「なぜそこでルルーシュが出てくるんだ!?どこにルルーシュの話題があった!?」

 

「え?だってルルーシュはナナリーが大好きだし、このままじゃツキトがルルーシュの刺されて…………」

 

「あるか!兄公認だぞお前!」

 

「そうだったのかい!?」

 

「そうだよ!!!」

 

お前バカかぁ!?このまえルルーシュから聞いてただろうが!!!

 

「そうだったのか…………それじゃあ心配することは…………あれ?じゃあユフィはどうするの?」

 

「………………」プイ

 

「ツキト?もしかしてユフィを…………」

 

「………………私は…………心を決めた…………迷いはない……………ユーフェミア様は………」

 

「…………そうかい」

 

ユーフェミアにどう伝えよう、下手したらコーネリアあたりにコロコロされる可能性もある、死んでも死なないからいいが、痛いのは普通に嫌だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業も終え、放課後、ほとんどの生徒が消えた教室から出て生徒会室に向かう。

 

扉を開けると、すでに私以外の役員は集まっていた。

 

「ツキトさん!」

 

「すまん、遅れた」

 

荷物を置いてナナリーの隣に座る。

 

「この椅子に座るのも久々だな」

 

「数日きませんでしたからね」

 

「だろうな…………さて、今は何をしているんだ?」

 

「実はねぇ…………去年もやった男女逆転祭り、あれを今年の学園祭でもやろうと思ってね」

 

男女逆転祭り……………男子が女装して女子が男装するっていうあれか。

 

「ほう、面白そうだな」

 

「つ、ツキト、本当に面白いと思うのか?」

 

震えた声でルルーシュが聞いてきた。

 

「当たり前だ、こんな面白い祭りは本国でもなかったからな」

 

「お、おかしい、やはりお前はおかしいぞツキト!」

 

「酷い言い草だな…………あ、そういえばルルーシュ、お前たしか……」

 

「お、おい!何を考えているんだ!よせ!」

 

「本国にいた頃…………」

 

「言うなあああああああああああ!!!」

 

「「「「ルルーシュうるさい!」」」」

 

「ま、ルルーシュがそこまで嫌だと言うなら話すのはやめよう」

 

話そうと思ったのは女装したルルーシュの写真が原因でお見合いが殺到した話だ。

 

いやールルーシュの必死さが面白い。

 

「えー、言ってくれないのかいツキト?」

 

「俺も聞きたかったのに……」

 

「私も〜」

 

スザク、リヴァル、シャーリーが文句を言う、1人カレンのみバカバカしいといった顔をしている、そして意外にもニーナは顔をこちらに向けている、お前ってユーフェミアラヴじゃなかったのか?

 

「うーむ、ここまで期待されると喋らねばならんと思ってしまうなぁ……」

 

「やめろ!やめてくれ!それだけは言うな!言わないでくれたのならなんでもする!」

 

「る、ルル、今何でもするって…………」

 

「ふっ…………若いな」ほっこり

 

「本当にねえ」ニヤニヤ

 

「そっすねぇ会長」ニヤニヤ

 

「うっ……うるさいわよリヴァル!////」

 

「俺だけ!?」

 

元気だなあこいつら。

 

「まあ、別に大した話じゃないから気にするな…………それで、ミレイ会長、これはいつやるんだ?」

 

「二ヶ月後の学園祭にやりたいと思ってるわね」

 

「そうか、なら、今から衣装を決め始めても遅くはないな…………ルルーシュの」

 

「ツキト!!お前何言って……」

 

「そうだわ!ルルーシュ!あなたドレス着なさいドレス!きっと似合うわ!」

 

「うれしくありません!」

 

「会長、ここはひとつ女子制服というのも!」

 

「リヴァル!お前ええええ!!!」

 

「お兄様なら、ワンピースも似合うはずです!」

 

「な、ナナリーまで……」

 

「ルルーシュ!ウェディングドレスなんてどうだい?」

 

「スザァアアアアアアク!貴様アアアアアア!!」

 

「くっくっくっ、これは面白いことになった」

 

たまにはルルーシュも息抜きが必要だろう、この機会に遊び尽くしてしまえ。

 

「ニーナ・アインシュタイン」

 

「は、はい!?」

 

こちらを見ているだけだったニーナに話しかける。

 

「お前はルルーシュに着せるならどんな服がいいと思う?」

 

「え、えっと、その…………ば、バニーガール」

 

空気が凍りついた。

 

「「「「……ニーナ」」」」

 

「!……!……」

 

だめだ………………。

 

「……!……くっ………………ハハハハハ!フッハハハハハハハハハハハハハ!!!に、ニーナ・アインシュタイン……ふふふwwwww……お前のせいで、ブホッwww……想像しちゃったじゃないかwwwwww」

 

バニーガールルーシュwwwwwwwww

 

「ブフッwww…………ルルーシュの衣装は、ブホッwwwバニーガールでいいか?」

 

「いいわけあるか!?おいニーナお前何考えてるんだ!」

 

「え?で、でも、ルルーシュがバニーガールで受付すれば受けると思って」

 

「受けるか!」

 

「ヒィーーwwwwwwヒィーーwwwwww」バンバン!

 

「ツキトもいつまで笑ってるんだ!」

 

「くふ、ふふふ………バニーガールルーシュ………ぷくくくwww」ガンガン!

 

「ツキトおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、各々が落ち着くまで数分の休憩となり、また着席した。

 

「では、ルルーシュの衣装は………クッww…………バニーガールでいいか?」

 

「いいわけないだろう……」

 

叫ぶ気力も無くなったルルーシュは机に突っ伏しながら否定した。

 

「仕方ない、じゃあナース服でどうだ?」

 

「よくない」

 

「なあルルーシュ、ここは女子制服でいいじゃないか」

 

「リヴァル?」

 

「ロングスカートにして下に短パンを履けばそれでいいじゃないか」

 

「そうか、そういう手もあるか」

 

リヴァルからの思わぬ助け船。

 

「じゃあルルーシュは女子制服ロングスカートで決まりね、次は……スザク君にしましょうか」

 

「僕ですか?」

 

ルルーシュが決まったところで次の標的はスザクとなった。

 

「僕もルルーシュと同じ女子制服ロングスカートでいいですよ」

 

「それじゃあ面白くないわ、スザク君はそうね……ボーイッシュにいきましょう」

 

ふむ、ボーイッシュ路線で行くか。

 

「上半身は普通のシャツ、下はホットパンツでいけるかしら?」

 

「ミレイ会長、それだとスザクがカマホモっぽくなるが、いいのか?」

 

「か、カマホモ………」

 

「スザクさんはドレスでどうでしょうか?」

 

「な、ナナリー?それはちょっと……」

 

「いや、案外いいかもしれん、もともと体は引き締まっているから、あとはカツラでもすれば違和感はない」

 

「ドレス姿のスザク……くくくっ」

 

「ちょっ、ルルーシュ笑わないでよ」

 

「仕方ないだろう、想像が容易なのが悪い」

 

「じゃあスザク君はドレスね」

 

「は、はぁ……」

 

スザクの衣装はすぐに決まった。

 

「次は……そうね、ツキト君にしましょう」

 

「ん、私か」

 

「ツキトならなんでもいいんじゃないか?」

 

「うーん、ルルーシュの言う通りなんでも似合いそうね、困ったわ……」

 

「あの、会長、ラウンズに女装させるとかまずくないですか?」

 

シャーリーがミレイにそう進言した。

 

「それもそうね………大丈夫なの?」

 

「構わんさ、こういうイベントは参加できないほど多忙なのが普通のラウンズだ、もともとラウンズは皇帝陛下の側にいるものだ、だがしかし、私はちょっとしたコネで休暇が簡単に取れるし、大事にならないければ何をしても怒られないからな、大丈夫だろう」

 

コネの使いどころだ。

 

「(ルル、アールストレイムさんって何者?)」

 

「(コーネリア………様とユーフェミアの幼馴染なんだそうだ)」

 

「(へー、あ、じゃあコネってそういう……)」

 

(ラウンズのアールストレイムはコーネリアとユーフェミアに近い存在………ゼロに話せば褒めてくれるかも!…………いえゼロのことよ、すでに知っているかもしれないわね)

 

(ユーフェミア様と幼馴染………いいなぁ)

 

「そうなの、じゃあ大丈夫ね、ニーナは何がいいと思う?」

 

「ひゃっ!?な、何が?」

 

「ツキト君の衣装よ衣装!」

 

「えっと、じゃあバニーガール」

 

「ニーナ・アインシュタイン、お前、バニーガール来てくれればだれでもいいだろ?」

 

「そ、そんなことより!アールストレイムさんはバニーガールでいいですか!?」

 

「ああ」

 

「まあそうよn…………え?いいの?」

 

「いいぞ」

 

「(ルルーシュ、ツキトって女装癖とかあったっけ?)」

 

「(いや、なかったはずだが……)」

 

(なんなのこのラウンズ、女装、よりによってバニーガールよ!あんなの女の子でも恥ずかしいっていうのにどうして平然としていられるのよ!)

 

(バニーガールのアールストレイムさん………………意外といけるかも?)

 

「ツキトさんがバニーガールなら、私はボーイですね!」るんるん

 

「ツキト君とナナちゃんは決まりっと、カレンとニーナは………」

 

そのあとはすぐに決まった、男装は恥ずかしくないからすぐに決まるのは普通だけどな、ついでにリヴァルはナース服に決まった。

 

ルルーシュは終わった後も少し不服そうだったが、ナナリーに慰められて逆にやる気を出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、放課後、生徒会室。

 

「ツキト君、実は昨日咲世子さんにバニーガールの衣装を作ってくれるように頼んでおいたの、早速着てみて」

 

と言われ手渡される袋、中には網タイツやうさ耳カチューシャなどが見える、衣装を取り出してみる。

 

きじは薄く軽い、光沢があるが透けるようなものではない、よく見る一般的なバニーガールの衣装だった。

 

「さすが咲世子だ、いい仕事をする、本国で見たバニーガールの衣装そのものだ」

 

「(ねえルルーシュ、彼って恥ずかしいとかそういうのはないのかしら?少し心配なのだけど)」

 

「(大丈夫ですよ会長、ツキトはただ純粋に男女逆転祭りが楽しみなだけですから)」

 

「(だといいんだけど……)」

 

「ところでどこで着替えればいい?一応これを着たら女の子になるわけだから男子更衣室はまずい」

 

「じゃあ生徒会室の更衣室を使って(ルルーシュ、私ちょっと彼が怖いわ)」

 

「(ツキトは真面目で少し天然が入っているようなので…………)」

 

「わかった」

 

「あ、ツキトさん、手伝いましょうか?」

 

「その時になったら呼ぶさ」

 

((((呼ぶのか………))))

 

1人で更衣室に入り服を脱ぐ、バニーガールの衣装を取り出して着る、お、ぴったりだな、さすが咲世子。

 

網タイツを破らないように履いてカチューシャをつける…………もっと面白くしよう。

 

ポニーテールをほどいてツインテールに結び直し、手鏡を見ながら軽く化粧をする。

 

背中のホックに手を………ん…………と、届かない!背中のホックに手が届かない!

 

…………ナナリーを呼ぶか。

 

「ナナリー」

 

「ツキトさん?どうしたんですか?」

 

扉を少し開けてナナリーが聞いてきた。

 

「背中のホックを頼む」

 

「はい……っ!?(せ、背中!ツキトさんのスベスベの背中!!!)」

 

?、閉めてくれないのか?

 

「し、締めますね……(こ、今夜は眠れそうにありません……)」

 

やっと締めてくれたか。

 

「じゃ、じゃあ私はこれで!」

 

ナナリーが扉を閉めた。

 

カチューシャの位置よし、行くか。

 

「着替えてきたぞ」

 

「「「「「「…………」」」」」」

 

「おい、反応がないと困るんだが」

 

「へっ!?あーその、似合ってるんじゃないか?」

 

とルルーシュ。

 

「そうか」

 

「ツキトはなんでも似合うね、うん、すっごく可愛いよ」

 

そうやって女の子を落としてきたのかスザク。

 

「可愛い、と言われてもなあ、喜んだほうがいいのか………」

 

「ツキトさんすごく可愛いです!あ、抱きしめてもいいですか?」

 

とナナリー。

 

「かまわんぞ」

 

両手を広げる。

 

「わーい!」ギュッ

 

ナナリーが抱きついてくる、衣装の生地が薄いため体温がよく伝わる。

 

「えーっと、いいんじゃないか?俺はそう思う」

 

とリヴァル、おいなに前かがみになってんだ殺すぞ。

 

「ふーん」

 

「わーかわいいー!会長!これならきっとドレスも似合うはずです!」

 

「そうね、これは面白くなってきたわ」

 

「ウェイトレスとかも良さそう……」

 

とミレイ、シャーリー、ニーナ。

 

「うっそ…………かわいい……」

 

とカレン。

 

ルルーシュの反応が意外にウブだったことが面白かったな、前傾姿勢なので少し引いたが。

 

おいシャーリー、お前の片思いしてるやつホモ疑惑あるぞ。

 

「ツキトさん、眼帯は外さないんですか?」

 

「これを外したら誰かわからんだろう?」

 

「え?アールストレイムさんの眼帯って目が見えないからじゃないんですか?」

 

「いや違うぞ、私のこれはファッション的な目的がひとつ、こういう格好の方が目立つというのがひとつ、あとは…………戒めのようなものがひとつだ」

 

「戒めってなんですか?」

 

シャーリー意外とグイグイくるな………。

 

「私がヴィ家につかえているのは周知していると思うが、数年前宮廷に賊が侵入し、マリアンヌ様を暗殺しようとした…………という話は知っているな?」

 

「ええ、教科書にも載っていることですから」

 

「たしか『まだ幼きアールストレイム家出身の従者が第5皇女マリアンヌ妃の命を救い、皇帝よりラウンズの称号を与えられた』だったわね」

 

ミレイ・アッシュフォード、一言一句違わず暗記してやがる………。

 

「へー、ツキトって教科書に載ってたんだね」

 

「スザク君、今知ったの?」

 

カレンの冷ややかな目がスザクに刺さる、おい、病弱設定どこいった。

 

「スザク、ブリタニア史の教科書の『マリアンヌ妃暗殺未遂事件』に載っているぞ、ここだ」

 

世話焼きのルルーシュがわざわざ教科書を開いてスザクに手渡した、ってかルルーシュも暗記してるのか、さすがマザコン。

 

「話を続けるぞ、私はなんとか賊を退け、マリアンヌ様の命は守れた、しかし賊の撃ち出した弾丸がマリアンヌ様の目を潰したのだ」

 

間違えてはいない、賊の撃ち出した弾丸(を斬り捨てる際、真っ二つになった弾丸の軌道を変えることで)マリアンヌの目を潰した、うむ、どこも間違えてはいないな。

 

「私にもっと力があれば、そんなことはなかった……………その戒めとして、私は眼帯をしている」

 

「でもツキト君はそれをたまに外すけど、それはいいの?」

 

ミレイが言った。

 

「こんな一目で私だとわかる眼帯をつけたままナナリーとデートでもしてみろ、デートどころじゃなくなるだろうが」

 

「まあそれもそうよね」

 

「じゃ、邪魔じゃないの?」

 

次はニーナが聞いてきた。

 

「邪魔、か…………長いことつけて生活してきたからなあ、今は違和感をほとんど感じないな」

 

「そうなんだ……」

 

「(ルル、アールストレイムさんって実は中二病?)」

 

「(いや、本人はいたって真面目なんだ、馬鹿真面目ってくらい真面目だ)」

 

「…………」

 

「ツキト?どうしたんだい?」

 

「スザク……私はなぜバニーガール姿でこんな話をしているんだ?」

 

「「「「「(痴呆!?)」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、バニーガールは少し腰のあたりがきついな」

 

制服に着替えてナナリーの隣に座る。

 

「そうなのか?」

 

「ああ、背中のホックの関係かわからんが、下腹を絞られる感覚があった」

 

ルルーシュの質問に答えながら腹の辺りに両手を広げて絞るようなジェスチャーをする。

 

「その割には衣装の時と体型があまり変わらないようだが…………」

 

「(ルル、バニーガールのとき思ったけど腰細くない?)」

 

「(確かに細いな、なんでも影武者になったときにウェストが欲しい方が便利だからって言ってたな)」

 

「(えっ?アールストレイムさんって女の子の影武者だったの?)」

 

「(もしものときはそうするつもりだったみたいだぞ)」

 

「(…………ラウンズって大変なんだね)」

 

「(そうだな)」

 

「もともと太っている体型ではないからな、それに太らないし」

 

(((太らないとか羨ましい……)))

 

「しかし代わりに身長が伸びない………ここ数年1mmも伸びていない………なぜ……」

 

「別に身長が伸びないくらい気にすることないよツキト」

 

「そうは言うがな、歴代ラウンズでも下から数えたほうが早いくらい身長が低いのはどうかと思うぞ」

 

おそらくもう少しでアーニャの身長が私を超すだろうから…………低身長ランキング1位の座はそう遠くないようだ。

 

「まあまあいいじゃない、その身長のおかげで女装も違和感ないんだから、ねえルルーシュ?」

 

「会長、俺に振らないでください」

 

「えー?じゃあカレンはどう思う?」

 

「私ですか?そうですね………やっぱり会長のいうとおり身長が低いことが女の子らしさを出していると思います(あのエリーって娘もサーティーンと同じくらいの身長だし…………もしかして双子だったり?いやさすがにないわね)」

 

「ニーナは?」

 

「低身長のほうが、かわいい服が似合うから、いいと思う………思います」

 

私を意識して無理して敬語にする必要なんてないぞニーナ。

 

「ふむ……………男女逆転祭りでは低身長のほうがなにかと便利ということはわかった、今はそれでよしとしよう」

 

あまり悩むのも私らしくない。

 

「それで、今更でなんだが、会長」

 

「なにかしら?」

 

「バニーガールを着るのはいいが、露出が多いと却下されると資料にあるのだが…………」

 

「「「「あっ…………」」」」

 

翌日、教師陣によってバニーガールは却下となった、代わりにドレスとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、放課後、生徒会室。

 

「ツキト君、咲世子さんに頼んでドレスを作ってもらったわ」

 

部屋に入るなり渡される袋、中身はドレスだった。

 

私のマントと同色の深い紺色のドレス、一見して飾り気がないため華やかさに欠けるように見えるが、それがかえって大人しめな印象を与える、儚げな優雅さがある。

 

これが似合うのは窓辺で読書をする貴族の令嬢くらいだろう、国の未来を憂いながら窓の外を見てため息を漏らす中級・上級貴族の御令嬢………そんなところだろう。

 

「さすが咲世子だ、儚さの中に優雅さを感じる、窓辺で読書をする貴族の令嬢を想像させる………実に美しい」

 

問題は私には似合わなそうだということだ、だって髪の毛ピンクだし。

 

「さっそく着てみてくれるかしら?」

 

「ああ、そうさせてもらう」

 

ミレイに促され更衣室に入り服を脱いでドレスを…………おっと、下着まである、さすが咲世子、準備がいいな。

 

うーん……女物のパンツは生地が薄くて寒いな、ブラジャーは付けやすいようにフロントホックか。

 

ドレスは………うむ、背中のジッパーに手が届く、今回は大丈夫そうだ。

 

よし、これで良い、良いのだが…………ふむ………たしか女装用のカチューシャがあったな、これで髪の毛を後ろに流して………いやだめだ、大人しめなドレスに勝気な印象のオールバックは似合わないな。

 

無難に上からつけるのでもいいか、そうなると…………ティアラってあったかな?

 

…………あった、更衣室内にあった、おそらく前年度の男女逆転祭りで使用されたものだろう、ちょうどいいし使わせてもらうか。

 

古い物なのか、ティアラの装飾用のガラスは曇り、電球の反射も鈍いように見える、大人しめなドレスにはそのほうが似合うので好都合でもあった。

 

鏡の前で服がよれていたりしないか確認、異常なし、更衣室から出る。

 

「着替え終わっ………どうした?」

 

生徒会メンバー全員が鳩がコイルガン(弾頭は大豆)喰らった顔をしている。

 

「…………なあスザク、これは夢か?」

 

「ルルーシュ、夢じゃないよ、現実だよ………」

 

「会長…………俺……死んでもいいっす」

 

((((((なんだこの美少女!!??))))))

 

「………?」

 

皆どうしたというのだ?わからん……。

 

そのあと着替えて解散し普通に帰ったが、ルルーシュとナナリーと一緒に帰った後、なぜかルルーシュは私と目を合わせてくれなかった。

 

私が何をしたというのだ。




ここら辺から徐々にツキトの考えが変わる………(?)

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