これじゃSSと変わらない気がする。
でも書く、楽しいから。
ナナリーside
「それじゃ、わたくしリヴァル・カルデモンドが枢木スザクの騎士就任祝いの乾杯の音頭をとらせていただきます!かんぱーい!」
「「「「かんぱーい!」」」」
式典から3日が経ち、今日はミレイさんの計らいで体育館を貸し切ってスザクさんの騎士就任のお祝い会を開いているんです。
「ミレイ会長、今日はありがとうございます」
「そんなこと言わないでスザク君、生徒会メンバーとして祝わなきゃと思っただけよ」
「会長の言う通りだぞスザク」
「ルルーシュ!」
「騎士就任おめでとうスザク、今日は楽しんでくれ」
「ありがとうルルーシュ!」
「スザクさん、頑張ってくださいね」
「ありがとうナナリー」
「リヴァル・カルデモンド、歌いまーす!」
「「「「いえーー!」」」」
ふふふっ、皆さん楽しんでいるようですね、お兄様も楽しそうです。
でも、ツキトさんは………………。
「どうしたのナナちゃん?」
「しゃ、シャーリーさん!?それにカレンさん!?」
「元気無さそうだけど」
「えっと、その、ツキトさんが……」
「お仕事なの?」
「はい、これないかもしれないって…………」
「仕事やめてきてくれるように言った?」
「邪魔をしては悪いので、そういうことは……」
「どうしたらいいのかしら?」
シャーリーさんとカレンさんが頭をひねる。
…………大好きなツキトさんに忙しい中お祝い会に来て欲しいと思うのはワガママでしょうか
「ツキトも政治に関わっているからな、そう簡単には来れないだろう」
「政治に!?」
「(ラウンズが政治に…………)」
「ツキトさんが政治にって、本当ですかお兄様?」
「ああ、ツキト自身が政治に干渉することで、日本人をより多く助けようとしているんだろう」
「やっぱりツキトさんはすごいです…………」
それに比べて私はこんなワガママを…………。
「たしかに、ツキトはすごいよね」
「やはりスザクもそう思うか?」
「ユフィの政策を考えたのはツキトだからね」
「そうなのスザク君?(ユフィってユーフェミア様?)」
「うん、ツキトがユフィに提案したんだ、ツキトはすごいよ、日本人のことをよく考えてくれてるし」
「ツキトさんは優しいですから!」
「「「「(優しい(意味深)……)」」」」
「そうだなナナリー、ところでスザク、ツキトは今何しているんだ?」
「ツキトは今自分の直属の部隊を編成中だよ」
「直属の部隊?」
「うん、日本人だけで構成された特殊部隊なんだって」
「へえ(ゼロが訓練に協力するって言ってたやつね)」
その時、体育館の扉が開いて赤い髪の人が歩いてきました、右目には大きな眼帯があるかっこいい男の人…………ツキトさんです。
「ツキトさん!!」
こっちに歩いてくるツキトさんに駆け寄って抱きつく、クンクン、ツキトさんの匂い…………落ち着きます。
「すまないナナリー、少し遅れてしまった」
「いいんです、ツキトさんがいてくれるだけで私は……」
スーーーハァァーー………………落ち着きます………。
「それは嬉しい言葉だ、だが……」
「あっ……ツキトさん」
ツキトさんは私を両手で小さい力で突き放す。
「いきなり抱きつくのは、行儀が悪いぞ」
「はい……」
「うむ、わかってくれて嬉しいよ、ナナリー」
ツキトさんの手が私の頭を撫でる。
「綺麗な髪だな……」
「ツキトさん……////」
幸せ…………。
「ツキト!」
スザクさんがツキトさんに近づいてきました、むぅ。
「スザクか、どうだ?祝われるという感覚は?」
「こんな感覚はルルーシュとナナリーと再会した時以来だよ、もちろんツキトもね」
「ならいい、式典のあと散々言ったが、今一度言わせてもらおう、騎士就任おめでとうスザク、これからも貴殿の活躍を期待する」
「ご期待に沿えるよう、粉骨砕身の覚悟で臨みます…………だったっけ?」
「あたりだ、記憶力が良くなったんじゃないか?」
「あはは、そんな気がするよ」
「テストの点数は上がらないみたいだがな」
お兄様も来ました、スザクさんをからかっているみたいです。
「る、ルルーシュ!それは……」
「おいおい、騎士が勉強ができないようではいかんぞ?」
「うっ、あはは、が、頑張るよ……」
お兄様にツキトさんにスザクさん、4人で集まるのも久しぶりです。
「どうしたんだナナリー?」
「お兄様…………その、こうして4人で集まるのも久しぶりだなと思いまして」
「そういえばそうだね」
「私とスザクは基本的に総督府にいて、ルルーシュとナナリーは学園にいるからな」
スザクさんがウンウンと頷いた。
「そういえばツキト、お前休暇をもらったとか言ってたじゃないか」
「ああ、コーネリア様の前で『疲れた……』って呟いたらもらえた」
まあ!コーネリア姉様が!
「ええ!?こ、コーネリア様に!?」
「よく無事だったなツキト」
「コーネリア様はもとより部下には優しい方だ、誤解しないようにな」
「では、明日は一緒に学園に通えるのですね?」
「ああ、5日間休暇をもらったからな」
「やったぁ!」
小さく手を握ってガッツポーズ、ツキトさんと一緒に登校できるなんて久しぶりで、握った手が震えています。
「ははは、喜んでもらえてなによりだ、ところでルルーシュ、あれのことだが…………少しいいか?」
「構わない、向こうでいいか?」
「ああ……」
あれって、何のことでしょう?聞いてみても…………いえ、ワガママな女に見られてしまうかもしれません、ここは我慢しましょう。
「何の話だいルルーシュ?」
「スザク…………すまないが少しプライベートなことでな……」
「そうかい?邪魔してごめんね」
「気にしないでくれ…………ツキト」
「ああ」
ツキトさんとお兄様が体育館の外に出て行きました。
なんのお話なのか気になります………。
ツキトside
「ここまでくれば大丈夫だろう」
前を歩いていたルルーシュが止まって振り返る。
校舎の中でも誰も寄り付かない階段裏のスペース、普通の学校ならそこになにかしら置いてあるものだが、ここアッシュフォード学園の生徒は貴族も多いため、景観に気を遣って置いていない。
「…………そうですね」
「あれの話…………あのKMFのことだろう?」
「はい」
「ラクシャータのおかげで解析は順調に進んでいる、それにしても面白い機体だ、複座式とはな」
「あまりにスペックが高すぎるため、1人では操縦ができないのです」
「ドルイドシステムだったか、たしかにあれだけのものを積めばパイロットのスペックもかなり制限されるな」
本当になんであんなもの作ったんだ。
「解析が終了次第、ルルーシュ様はCCとガウェインの操縦練習を行ってください」
「わかった、ツキトはどうするんだ?」
「しばらくはナナリー様と学園に通います、ストレスがたまっていることでしょうから」
「ナナリーは溜め込む方だからな、ガス抜きしてやらないといけないだろう」
「休暇の間はナナリー様と過ごし、その後2ヶ月は騎士団員を交えて日本人部隊の訓練を行おうと考えております」
「カレン……は無理だから、藤堂たち四聖剣を向かわせよう…………それにしても、お前もよく考えたものだ」
ルルーシュが壁に寄り掛かる。
「騎士団を自警団扱いするとは」
「警察機関ではブリタニア人から反発がおこります、しかし日本人部隊の教育に全力でサポートしてくれる騎士団をテロ集団にしておくのも…………と思いまして」
「良い案だと思うぞ、下手に権力は持たせず、かつほぼ対等な立場だ、騎士団メンバーの中にはプライドの高いやつもいるしな、これで正解だろう」
プライドの高いやつもいる…………ブーメランかな?
「それとツキト、騎士団が妙な情報を掴んだ」
「妙な情報?」
「【リフレイン】という麻薬の一種が横行しているらしい、調べてみたがどうやら組織的な活動のようだ」
リフレイン…………過去の楽しい思い出に浸れる薬、中毒作用があり、幻覚幻聴その他もろもろを引き起こす。
「ブリタニア側ですか?」
「いや、売人はブリタニア人だが、ハズレだった」
尋問か、それとも拷問か。
「ではいったい…………」
「ナリタ連山攻防戦時に逃げた、日本解放戦線リーダーの片瀬少将だ」
「日本解放戦線のトップが!?」
知ってたけど。
「やつはリフレインで儲けた金でキョウトからサクラダイトを購入しているようだ」
「サクラダイトを?」
「ああ、それも大量にな、どこかの港に保管されているらしい」
「大量のサクラダイト…………まさか」
「亡命、だろうな…………味方を見捨てて」
「そんなことをしては…………」
「ああ、間違いなく片瀬は日本人からの信用を失う、だが今やその信用のほとんどが騎士団に流れている、今の片瀬は自分の命が大事なんだろう」
「それで大量のサクラダイトを手に亡命を?いささか無謀では…………」
「一番近い中華連邦はサクラダイトを受け取ったら用済みの片瀬を片づけるだろう、ユーロピア連合はもしたどり着けたのなら少しは可能性があるだろう、ユーロ・ブリタニア軍に見つからなければな、つまり、どっちにしろ無理だ」
まあこのご時世に亡命って時点で詰んでるんだけどな。
「俺は騎士団を使って片瀬のサクラダイトをいただく、ツキトは日本人部隊を使って流通しているリフレインを止めろ」
新兵同然の日本人部隊を薬物取り締まりにか、初任務にはちょうどいいだろう、今まではイレブンにはコイルガンを持たせることは無かったが、私の直属部隊ならば話は別だ、全員に拳銃型のコイルガンを持たせてやろう、分隊長にはサブマシンガン型もプラスしよう、予算は私の思いのままだ、ちょっとくらい流してもバレることはないだろう。
「イエス、ユアハイネス」
ま、サクラダイトさえ騎士団にわたってしまえばこちらのものだ、薬物取り締まりとはいえ初任務だから少し不安もある、だが、ここは彼らを信じることにしよう。
「そろそろ戻るか、ナナリーが心配しているかもしれない」
ルルーシュが笑いながら言った。
「もしかしたら、怒っているやもしれませんね」
「そうなったら大変だな」
「ナナリー様は一度不機嫌になるとなかなか耳をかしてはくれませんからね」
ギアスの影響を受けてないだけで原作とのこの違い、本当にギアスの力は恐ろしい。
もともと活発な性格だったからある意味正当な進化とも言える、ギアスが無かったらナナリーはマリアンヌと同じように剣の才能を開花させていたのだから。
…………この光景を原作のやつらに見せたらどういう反応をするのだろうか?
ふむ、マリアンヌは死んでいなくてVVが死んでいる、シャルルたちの計画はまず崩れた。
暗殺から逃れるための国外脱出のためルルーシュとナナリーは皇位継承権を失っていない。
CCは私が保護したためルルーシュはCCからギアスを受け取っていない。
マリアンヌの目を潰したのでナナリーはギアスにかかっていない。
スザクは毒ガス兵器発見の功績で昇進した。
超早い段階からガウェインを盗んでいる。
ユーフェミアが死んでいなくて扇と玉城が死んでいる。
………………原作のいらないキャラ捨てて重要なキャラ生かしたような感じだな、扇も結構重要な気が…………いやあいつはゴミだ、最後の最後でゼロを売るんだからな、バズーカで木っ端微塵になったとしても文句は言えまい。
こんな世界線を見せたら原作のルルーシュとスザクは発狂するだろう、なにせ死ぬ定めであったユーフェミアが生きていてナナリーは元気いっぱいの超絶美少女になっているんだからな。
特にルルーシュはすごいことになりそうだ、こっちのルルーシュと原作のルルーシュでナナリーの自慢合戦やって、両方の世界線のナナリーに叱られてやめるとこまで見えたぞ。
スザクは………………原作のスザクがこっちのユーフェミアに守れなくてごめん的なことを言って、こっちのスザクに励まされるんだろうな、さすがのスザクオリティ。
ナナリーは、うーんナナリーかぁ…………めちゃくちゃ仲良くなりそう、それでルルーシュのことで話が広がって最後にはルルーシュには誰が相応しいかという議論が始まる、と思う、たぶん親友になれるんじゃないか?
生徒会メンバーは……………どうだろうな、シャーリーはルルーシュが2人だーとか騒ぎそうだ、リヴァルはチェスやらせたらどっちが勝つかとか考えそう、ミレイは…………モラトリアムりそう(意味不)。
咲世子は平常運転だな、たぶん内心驚きながら。
こうして考えてみるとこっちの世界線は原作と比べてだいぶ平和だな、まあ悪いことじゃないと思うぞ、覇道を突き進む原作と違って、石橋叩いて慎重かつ大胆に行くこっちの世界線、いいんじゃないか?
残念ながら談合試合な時点で緊張感皆無だが。
体育館に入るとナナリーたちは生徒会メンバーたちと楽しそうに話していた。
「ナナリーも大きくなったな、ここからでもナナリーの背が高くなったのがわかる」
「まだ8年…………いえ、もう8年も経っていたのですね……」
「ああ…………いつの間にか、ナナリーはあんなに大きくなっていたんだな」
体育館の扉に寄りかかりながら呟くルルーシュ、さすが兄であることはある、ナナリーの慎重は日に日に伸びている、あと少しで私を超すだろう、成長が楽しみだ。
「ツキト、改めてナナリーを頼む」
ルルーシュが姿勢を正して右手を差し出してきた。
「イエス、ユアハイネス」
私も右手を出してルルーシュの手を握る。
「任せるが、まだ叔父にはなりたくないからな?」
「ふふっ、ルルーシュ様、それは気が早うございます」
「いや、ナナリーの誘いを断れないお前がそう言っても説得力ないぞ」
呆れ顔でそういうルルーシュ。
「いえ………ではルルーシュ様は断れますか?」
「ああ、兄だからな、とうz」
「パジャマ半脱ぎでのしかかられて甘い声で『好き……』とか『愛してる……』とか言われてもですか?」
「…………断れる自信がない」
ルルーシュが扉に手をつきながらそう言った。
「事実、私も抵抗はしたのですが…………やはり男である以上、ナナリー様の魅力には、その……」
「それ以上はいい、ナナリーが自分で決めたことだ」
「私はナナリー様がご自分で夜這いという手段をとったことが悲しいです……」
いったいどこで教育を間違えたのか、未だ答えは出ていない。
「ですが、嬉しくもありました、ナナリー様が他も誰でもなく、私を選んでくださったのが、とても嬉しかったのです」
「ツキト…………お前の忠義には、感謝している」
「そんな…………私などまだまだです」
「相変わらず硬いな」
「それが私の長所なので」
「くっくっく…………」
「ふふふふふっ……」
いつぞやのセリフと被り、笑いがこみ上げてくる。
「ツキトさーん!お兄様ー!」
入り口で笑いあっていると、体育館中央にいるナナリーが大声で私とルルーシュを呼んだ。
「お姫様が呼んでいるぞ?ツキト」
「妹君様がお呼びですよ?ルルーシュ様」
そんな軽口を叩きつつ、体育館中央にいるナナリーに向かって歩み始める。
この何もかもが順調な世界に乾杯。
深夜を回り、お祝い会はお開きとなった、この時間からではスザクの住むマンションまでの道のりは暗くて危険というナナリーの言葉でスザクは今晩セーフハウスに泊まることになった。
「ルルーシュと一緒に寝るなんて、小学生のとき以来だよ」
「あの時みたいに、ベッドから落ちるなよ?」
「さすがに落ちたりはしないよ」
ルルーシュの部屋に急遽予備のベッドを運び込んでルルーシュのベットとくっつけた、簡易的なキングサイズのベットの完成だ。
「ではルルーシュ様、スザク、おやすみなさい」
「「おやすみツキト」」
ルルーシュの部屋の扉を閉める、さて、CCと今後の予定を…………。
「ツキトさん、一緒に寝ませんか?」
ここでナナリーが添い寝をご所望。
「ナナリー様…………申し訳ございませんが、今日はご遠慮ください」
すまん、今日くらい1人でゆっくり寝たいんだ。
「じゃあ明日は」
「はい、明日なら大丈夫です」
「約束ですよツキトさん!」
明日ならいいだろ、どうせ休暇だし。
…………なんかあれだな、休暇に子供の相手をする親のような気持ちになったぞ。
それはさて置き、ナナリーが部屋に戻ったのを確認してCCの部屋に入る。
「久しぶりだな、CC」
「ん、ツキトか」
深夜を回ってもピザを食っていた。
「ガウェインの解析の進行具合は?」
「ラクシャータによるとまだ数パーセントくらいなんだと、ドルイドシステムが厄介らしい、厳重なプロテクトがかかってるそうだ………………もしかしてツキト、お前……」
「お前の想像通りだよ」
私がプロテクトを弄って厳重にしました(ドヤァ
「やけに厳重かと思ったらお前だったか」
「まあな、簡単に突破されるのも面白くない、転生する前の知識でちょこっと弄ったんだが、そうか厳重か…………クックックッ」
「だけどいいのか?あのままだとルルーシュがガウェインに乗れるように調整されるまでかなり時間がかかるぞ?その間ルルーシュは無頼に乗る羽目になる、危険じゃないのか?」
「CCにしては人を心配するな」
………なんか怪しいな、カマかけてみるか。
「別にそんなことは…………」
「マオ」
「っ!!……」
あたりか。
「わかりやすすぎるぞCC」
「そんなにか?」
「ああ、焦ってまくし立てているようにも見えた、まあそんなことはいい、私は、何かあったら相談しろと言ったはずだが?」
「…………すまん、だが、これは私の問題だ」
ルルーシュまでとは言わんがこいつも頑固だな、私も人のこと言えんが。
「馬鹿者、私とお前は共犯者だ、お前がそんな調子では今後の計画に支障が出る」
「それはルルーシュの計画か?」
「いいや、私の計画にだ」
優しい世界のためにはCCが必要だ。
「…………はぁ、一つ質問だ、マオのことについてどれくらい知っている?」
「身寄りのないマオにギアスを与え、育て、狂化したマオを捨てた、それくらいだ」
「ほぼ全てか…………じゃあ私がマオをどうしたいか、わかるか?」
「私は心を読むギアスを持っているわけじゃないんだ、そんなものわからん、それに仮にギアスを持っていてもお前には通用しないだろう」
「その通りだな………ツキト、私はマオを、解放してやりたい」
「それがお前の願いか」
「…………そうだ」
「なら協力しよう、共犯者として、今後の私の計画のために」
「私のためとは言ってくれないのか?」
「私は嘘はつかん…………今はまだ、な」
「そういえばお前、ナナリーとの結婚を反故にする気なんだったか?」
「そうだ」
「いいのか?あれほどいい女はもう現れないぞ?」
「ナナリー様が女性として最上位に位置することくらいわかっている、伊達にナナリー様の成長を見てきたわけではない」
原作での誰に対してでも献身的な態度、加えて自分の母親(マリアンヌ)の命を救ったという事実+幼少期からの思い出補正+ルルーシュのオススメ。
ナナリーの思いはほとんど思い出でできている、だからいくら拒否しても頑なに首を横に振らなかった、こうなるとどうしようもない、一目惚れくらいならどうとでもなる、しかし幼少期からとなるとどうすればいいかわからない。
「だがそれ故に思い出が強すぎるんだ、昔の私を今の私に重ねて見ている、ナナリー様が好きなのは思い出の中の強くてかっこいい私だ、私はそんなものじゃない、かっこ悪くて卑怯で臆病でKMFの操縦もスザク以下で身長もスザク以下で顔面偏差値もギリギリ男と判定するほど中性的、CC、お前ならどう考えても私よりスザクを選ぶだろう?」
「いや、私はお前を選ぶぞ」
「はぁ?お前聞いてたのか今の話」
「失敬な、私はちゃんと話を聞いた上でお前を選んだんだよ、だいたいなツキト、私がスザクを選んだところでその後100年200年ずっと一緒で居られるか?」
「スザクならいけるんじゃないか?」
あいつ長生きしそうだし、300年くらいは生きるだろう、まあ200年くらいはベッドの上かもしれんが。
「ちゃかすな、コードを持つ私の横に立てる人間は、同じくコードを持つ者しかいない」
「じゃあ私がお前のコードを奪えば別にスザクでもいいわけだな?寿命は同じくらいになるだろうし」
「そういう問題じゃない、はっきり言うが、現状で考えられるパートナーはお前くらいだよツキト」
「………羞恥心はないのか?」
恥ずかしいことを堂々と、よく言えるものだ。
「お前の前で初心な乙女ぶってもしょうがあるまい?私は自分を偽らないんだ、なにせ………」
「『CCだから』、だろう?」
「そうだ」
「はぁ、この話は止めだ、全てが成った時に私がコードを持っていたら考えよう…………とりあえずは、今の状況の整理だ」
「今の話題とまったく関係ない方向に振ったな」
「最初からやるつもりだったのにお前がなにか焦ってるから聞いてみたら面倒なことに巻き込まれつつあるというじゃないか、つまりCC、お前が悪い」
「…………そういうことにしといてやる、それでツキト、状況の整理と言ったが具体的には?」
渋々といった感じで喋るCC。
「今現在の騎士団のKMFの総数を教えてくれ」
「ふむ、少し待ってくれ」
CCがパソコンを操作し、騎士団の武器総数一覧と書かれた題目をクリックし、KMFの欄を見ている。
「……全部で57機だそうだ、ゼロやカレンや四聖剣たちのぶんを除けば50機だな」
「………………少ないな」
「そりゃあブリタニア軍と比べれば…………」
「そうじゃない、次の作戦で使えそうなKMFが少ないということだ」
「そういうことか、で、どれくらい必要なんだ?」
「40から45あればいける作戦だ」
「ん?足りてるじゃないか」
「ばか、騎士団の拠点の防衛はどうする」
拠点の防衛には最低30機は欲しい、そうなれば攻撃する側は最低でも90機必要な計算になる、たとえ防衛にカレンや四聖剣を置いたとしても合計で最高17機、足りなすぎる、ブルタニア軍はこれの3倍の60機くらいすぐに用意できるだろう、安全策を取るなら30機が限度、それ以下での防衛は不可能、捨てるほかなくなる。
「ああ、なるほどな、で、あとどれくらい必要なんだ?」
「欲を言えば倍欲しい、しかしKMFが道端に小石のように落ちているわけでは決してない、最低でも20機いる」
「20機か…………どうするつもりだ?」
「一応教導用とかでKMFをブリタニアから騎士団によこしてもいいんだが、それだと私と騎士団の繋がりが明るみに出てしまう、それではまずいんだ、だから別の方法を考えている」
「別の方法といったって、お前が言ったその方法以外ないだろう、騎士団は日本人部隊の教育に全面協力の姿勢なんだ、KMFを盗むなんて手は通じんし、亀裂を生むぞ」
「当たり前だ、だからそうならない方法を考えて…………いや待て」
そうか、そもそも騎士団の戦力だけで考えるからいけないんのか、騎士団とエリア11のブリタニア軍は協力関係にある、有事の際はブリタニア軍は戦力を大量投入するだろう、騎士団はそこに便乗する形でいけばいいだけ、最初から戦力を投入する必要はない、ブリタニア軍を援護する形で動けばいいんだ。
つまり………………高みの見物決めていればいいのか。
「おい、なにか思いついたなら話せ」
「ああすまない…………私の考えでは、特に動かずともどうにかなると踏んでいる、つまるところ現状維持だ」
「……お前がそういうならそれでいくが、たまにはお前も騎士団に顔を出せ」
「用事がない」
「私だけだと気まずいんだよ、特にカレンの前とか、あいつの目怖いぞ」
ああ、今のあいつってゼロのカリスマに惹かれているしな、側近扱いのCCを見るのは気分が良くないだろうな。
イケメンのやり手上司♂(ゼロ)と幼馴染(CC)の会話を聞いてたイライラする後輩(カレン)みたいな構図だ。
修羅場になると非常に面倒くさいタイプだと思う。
「それで私も一緒に来いと?」
「そうだ」
「アホ、そんなもの気にするな」
「いやだ、お前も来い、道連れだ」
「…………はあ、わかった、騎士団の会議の日に一緒に行ってやる」
「ふふん、それでいいんだよそれで」
「まったく…………おっと、もうこんな時間だ、私は寝る、おやすみCC」
「おやすみ…………ツキト」
「ん?」
「…………いや、なんでもない、おやすみ」
「おやすみ……」
CCの部屋を出て自分の部屋に入る、疲れ切って動くのも億劫なので、体を揺らしてベッドに放り投げる。
もぞもぞと布団をかけて眠りについた、さて、明日は久しぶりの登校だな、早起きしなければな。