ツキトside
リハーサルの全日程を終了し、式典の準備も最終段階に入った、式典の周りは業者の人間たちが屋台の準備をしている、あのラーメン屋の店主もいる。
「ようやくここまで来ましたね」
「そうだね」
談笑するのはユーフェミアとスザク、ここ数日以前より仲が良いようでとても微笑ましい、早く結婚しろ、かわりに私がナナリーとの婚約破棄するから、皇帝陛下の権限でやってもらうから。
そして私はと言うと。
「おい、予定より作業が遅れているぞ………ああ、急がせろ……そうだ………………それでいい、じゃあな………………こちら本部、どうした?………………屋台に使う機材が足りない?…………そうか、追加注文しておく、足りないものをリストアップしておいてくれ、ああ…………頼むぞ……………………こちら本部…………は?酔っ払い?……………逮捕しろ、処分は私が決める、被害は?………………ないなら作業を続行しろ………………こちら本……CC?どうした?………………式典の屋台にピザがあるかだと?少し待て…………えーと、ピザピザピザ………………全部で3軒あるぞ、なんだ来るのか?………………この前の予言が当たりそうな予感がするからだって?…………あー女装云々のあれか、まあパフォーマンスとしてやるかもしれんな…………ユーフェミア様はイタズラが好きだったからなぁ、懐かしい………………ああ、別に笑ってくれて構わない、どうせそういう感じでやるだろうしな……………ガウェインの解析が始まったのか、仕事が早いな………………ルルーシュ様はなんと?特にない?ならいい………………仕事?暇だって?式典の時ゼロと一緒に行くんだからそれまで待ってろ………………最後に、何かあったら相談しろよ………………口説いてないさ、口説いてるのがばれたらナナリー様に殺される…………特にないんだな?じゃあきるぞ…………ああ、じゃあな」
本部(1人)で対応中だ、完全にオペレーターか何かだな、わーデスクワーク楽しいなあ。
1人なのは私の希望だ、こっちの方が総督府と同じように仕事ができると思ったからだ、あとさっきみたいな予期せぬ電話とか、というか番号調べたのかCC、やっぱりやればできるやつなんだなあ。
しかし、そろそろCC用の拠点を作らねばな、騎士団の拠点でもいいが、今のような会話が聞かれてはいけない、だがいつまでもナナリーと同じセーフハウスでは見つかった時のリスクが…………。
おっと電話だ。
「こちら本部」
『あ、ツキト?今大丈夫?』
「大丈夫だと思うならこっちに来て私のデスクに積みあがった書類の枚数を数えてみろスザク」
微妙にキレながら返す、お前はユーフェミアといちゃついていやがれ!
『ご、ごめんツキト』
「はあ、お前はそこでユーフェミア様と話し相手をしていてくれと言ったろう」
『それがさ、ユフィがツキトと話したいって……』
「はっ?私?なぜ?」
『えっと……あ!ちょっ『ツキト!ツキト!!』キーン!
「ぐあぁぁ!!??」
み、耳が…………。
『聞いているのですかツキト!?』
ええいこのお転婆お姫様め!
「な、なんでしょうか……」
『聞きたいことがあります!すぐに来なさい!!』
なんかキレてる……怖い。
「すぐに参ります!」
『待っていますからね!!』ピッ
…………行きたくない。
憂鬱な気分で廊下に出る、さっきまでいた部屋は会場に元からあった倉庫を綺麗に掃除してデスクと電話を置いただけのシンプルな部屋だ。
会場の一角、パラソルのある場所に向かう。
「お呼びでしょうかユーフェミア様」
跪いて内容を聞く。
「ツキト…………婚約しているというのは本当なのですか!?」
はああああああ!?ナゼバレテルンディスカァ!?
「い、いえ、そ、しれは……」
「本当のことを言ってください!ナナリーと婚約しているのでしょう!?」
バレテーラ!!
「お、お静かに、その名前は機密事項です」
「あ、すみません…………では理由は教えてくださるんですよね?」
「うっ…………わ、わかりました……」
いったいどこからバレ…………ああスザクか(悟り)。
周りに誰もいないことを確認してから話し始める。
「ナナリー様との婚約ですが、あれは半分遊びのようなものです」
「遊び?遊びでナナリーと結婚の約束をっ!?」
「スザク!まだ話は途中です!」
「ご、ごめんユフィ」
「…………誤解せぬよう言い直しますと、ナナリー様が素敵な男性を見つけるまでの間、ナナリー様の願いで婚約しているだけです」
「えっと……つまりどういう……」
「私のような名前も知られていなかったような小貴族が、ナナリー様のようなお方と婚姻など恐れ多くてとてもできません、ですが何度説得してもナナリー様は納得してはくださらなかったのでナナリー様が期限になるまで婚約という状態にしたのです、いずれナナリー様にふさわしい男性が現れるまで、それが期限です」
「(永遠に現れないと思うわ)」
「(ユフィもそう思う?)」
「(スザクもですか?)」
「(うん、ツキト以上にナナリーにふさわしい男の人なんて…………ルルーシュくらいしかいないし)」
「(そうですわね…………でもなんとか見つけて欲しいです)」
「(どうして?)」
「(そうなれば、私がツキトと結婚できます!)」
「(あ、あはは……モテモテだねツキト…………)」
「ご理解いただけましたか?ユーフェミア様」
「はい、ツキトの考えはよくわかりました…………」
「では、私はこれd」
「ですが、それではナナリーがあまりに可哀想です」
「し、しかし、ナナリー様にはもっとふさわしい男性が現れるはず!私との婚姻でその可能性を潰してほしくはないのです!」
「ツキト!あなたの忠義はよく知っています、それならなぜナナリーの気持ちを考えてあげないのですか!?」
「ナナリー様には私はふさわしくないのです!血に汚れた私では!ナナリー様には触れられないのです!!」
「では私と婚姻を…………」
「申し訳ありませんユーフェミア様、お気持ちは嬉しいのですがユーフェミア様にはもっとふさわしい男性が……」
「ツキトの無責任!もう知りません!」
席を立って去っていくユーフェミア。
「ユーフェミア様!?」
「知りません!話しかけないでください!」
そのまま個室に帰って行ってしまった。
「ツキト…………」
困った顔で私を見るスザク。
「そんな顔するな、いい方向に進んだのだから」
「いい方向って……」
「今の言い争いでユーフェミア様は完全に私への思いをなくしただろう、ユーフェミア様は美しい、いつか私を花で笑うほどのイケメン男が現れる、可能性を潰してはいけないのだ」
「ツキト、それは間違って……」
「ああそうさ!間違っているよ私は!純粋な乙女2人の気持ちを無視して!あるかどうかもわからない希望的観測をベラベラとまくし立てる!まるでどっかの小物悪役だよ!だが皇族に仕える私が皇族と婚姻すればどうなる?今までのように前線には立てなくなる、勇ましい兵士が死ぬ中、私は本国の宮殿にいなければならんのだぞ!?耐えられるかそんなもの!私は皇族のため戦うことこそが生きがいなんだ!皇族との婚姻でそれができなくなるくらいなら、嫌われた方がマシだ!」
「……ツキト」
「………………部屋に戻る、何かあったら呼んでくれ」
部屋に戻り鍵をかけ椅子に座る。
……………………ナイス演技!私ナイス演技!スザクの同情したいがユーフェミアとナナリーの気持ちを考えると……って顔は傑作だった!
ああ、後半1、2行は本心だ、皇族のため…………おもに陛下のために命を課して、課す命なんてないが、戦うことこそ私の生きがいでありラウンズとしての使命だ、そうやすやすとこの座を譲りはせん。
しっかしなあ、こんなのバレたら信用云々の前に私刺されるかもな、たぶんナナリーに、皇族3人惚れさせといて『いつかふさわしい人が……』なーんて言ってるんだから、刺されても文句言えないようなことやってるから仕方ないけど。
いつ背中刺されるかわからない生活は正直ごめんなんだが、しかしなあ、どう考えてもユーフェミアにはスザクが一番似合ってるんだよなあ、他に候補と言ったら…………ジェレミア?いやでも、うーんジェレミアかあ…………。
ジェレミアならアーニャとの方がいいだろう、あーでも原作だとアーニャがマリアンヌのギアス受けて、って流れで最終的にオレンジ農園で同棲ってなるんだが、マリアンヌ死んでないし目潰ししたし、だいぶ原作から離れてるから可能性薄いかもしれないな。
コーネリアは…………忠義のギルフォードかな、あいつ自覚してないけど中・高生に人気なんだよ、インテリメガネのイケメンであの忠誠心、あそこまで芯が通った、というか一途なやつに惚れないやつはいないだろ、もしくはダールトン、ダンディーで渋い見た目、生々しい傷跡、優しくてよく通る安心する声色、これで落ちない女がいるか?いないだろ、軍内部の女性兵士の間でファンクラブが創られてるくらいだからな、人気だけで言ったらギルフォードよりダールトンのほうが人気だしモテる。
(ダールトンのファンクラブには及ばないが、ツキトのファンクラブも存在するぞ! by作者)
ナナリーは…………ロロでいいんじゃないか?マリアンヌの娘のナナリーとマリアンヌの遺伝子が混じったロロ…………超シリアスゥ、そこにルルーシュを加えると…………うわ、ルルーシュ裏山。
このようにもうすでに配偶者になりそうな人間はいくらでもいるんだ、だから私と結婚なんて考えないでほしい、そのほうが幸せだと思う、おもに私が。
ま、考えるのはこれくらいにして、仕事するか。
カレンside
ゼロの協力者、あの銀髪のちっこい女の子が計画したらしいブリタニアの最新鋭KMF奪取計画、ゼロが藤堂さんを助けに行っている間にいつの間にか成功していた。
「おい、これはなんなんだ?」
ゼロが騎士団のアジトでトレイラーに乗せられたKMFを指差して言った。
「それが、ゼロの協力者であるあの銀髪の……」
「ああ、エリーか、エリーが言ったのか?」
あのちっこいのエリーって言うんだ、ってか名前呼びって…………私も名前呼びだけど、なんか違う、あっちの方が親しい感じがする。
「ええはい、今後ゼロの、騎士団の役に必ず立つと言われて……」
「ふむ…………エリーが言うならそうなんだろう」
「ゼロ、エリーって娘が勝手に動いたことについてはないんですか?」
ちょっとイラっときてゼロにそう言い放った。
「…………特にないな、あいつは自由奔放な性格だからな、だが仕事は指示通り以上のことをやるからな、あの白兜が遅れたのも、なんらかの工作をやったんだろう」
…………なんか、私以上に信頼されてるエリーって娘にイラついてきた、でもゼロが言うように白兜の到着を遅らせたのは事実らしい、退却するときに着いたっていうから、5分は遅らせたことになる。
「それにしてもよく思いついたものだな、藤堂の救出作戦を陽動に、KMFを奪取する計画…………だがそれを実行するにはそうとうな勇気が必要だ、エリーの指示に従ってKMFを奪取した諸君、君たちの勇気は素晴らしいものだ、これからもいっそうの努力を期待する!」
「「「「ありがとうございます!ゼロ!」」」」
…………私もそっちの計画に行けばよかったかな、でもゼロは待機だって言ってたし、私っていらないのかな…………。
「カレン、そう落ち込むな」
「すみませんゼロ、でも、私じゃエリーのように役には立てないですし……」
「何を言っているんだ?」
「え?」
「カレン、お前は騎士団の最高戦力なんだぞ?切り札は温存するのが普通だ、そしてここぞというときに使えば相手に大打撃を与えることができる、ジョーカーをポンポン使うような作戦は愚策だ、温存し、相手の意表を突く方法でカードを切る、今回の救出作戦は切るべきではないと判断したから待機にしたまでだ、それに、ここが狙われる可能性がないわけじゃない、現にカレンの強さは抑止力としてよく働いている、ブリタニア軍内部では赤いKMFとの交戦は控えたほうがいいという話も広まっている、お前は十分役に立っているじゃないか」
「ぜ、ゼロ……」うるうる
そこまで考えても…………やだ泣きそう、でも泣き顔なんて見せられない!
「だが、温存するからといって怠けていていいわけではない、訓練に励み、万全を期すように!」
「はい!肝に銘じます!」
私は必要とされているんだ!悩むことなんてないんだ!頑張ってゼロの隣に、エリーに並んでやる!待っていなさいエリー!
ツキトside
「くちゅん!…………夏風邪か?」
スザクside
ユフィはツキトが好き、ナナリーもツキトが好き…………でもツキトは皇族のために戦うのが生きがい、だから2人の気持ちには応えられない…………。
「どうすれば…………」
「珍しいね、君が悩み事なんて」
特派のトレイラーで考え込んでいたら、ロイドさんがやってきた。
「ロイドさん!」
そうだ、ロイドさんに聞いてみよう。
「ロイドさん、僕の悩みを聞いてくれませんか?」
「ん〜?別にいいよ〜聞くだけだしぃ」
「実は、ツキトとユフィのことで相談が」
「ラウンズの彼とユーフェミア様のことで?」
「はい……ユーフェミア様はツキトのことが好きなんです」
「あっら〜、それはよかっ」
「でも、ツキトには幼いころ本国で将来を誓い合った女の子がいるんです」
「うわぁドロドロだねぇ」
「でもツキトは、2人には自分はふさわしくないって、ユフィとその女の子の気持ちを受け取ろうとしないんです」
「ふさわしくないって、嫌味に聞こえるんだけどぉ?」
「そうですよね、あんなモテるのに………」
「それで?スザク君はどーしたいの?」
「僕は…………どちらかの思いに応えてあげてほしいと思ってます、でも、ツキトは皇族に仕えて戦うのが生きがいだって言ってましたから」
「皇族がダメなら、女の子を取ればいいんじゃないのぉ?」
「それが、その女の子も皇族みたいで…………」
ナナリー…………。
「あちゃー、これは無理かなあ」
「無理、ですか?」
「無理無理〜、残念でしたぁ、もう詰んでるみたいだね」
「詰んでるってどういう……」
「だぁってさぁ、これって二股ってことだよねぇ」
「え?まあ、そうなるんじゃ、ないですかね?」
「思いが募ったユーフェミア様か、本国の女の子に、背中刺されちゃうかもねぇ」
「なっ!?」
ツキトが背中を刺される!?
「どうして!?」
「うーん、スザク君はヤンデレって知ってる?」
「ヤンデレ?」
なんだろう?あまりいい意味の単語じゃなさそうだ。
「一度調べてみるといいよぉ〜」
「わかりました、それでは失礼します」
ヤンデレ、ヤンデレ………いったいなんなんだ?
僕はトレイラーにあるパソコンを起動して検索欄に【ヤンデレ】と打ち込んで検索した。
ツキトside
「ッ〜〜〜〜!………………ふぅ」
ひと段落したな…………仕事が。
久しぶりに肩が凝った、はあ、さっさと寝たい、コードを持っていたとしても疲れまでは取れないからな、さて、さっさとトレイラーにいって、寝袋入って寝よう。
部屋から出て廊下を歩く、窓を見るとすっかり夜だ、時間が経つの早いものだ。
すれ違う警備兵と挨拶しながら会場の外に出る、ユーフェミアの個室が見える、篭ってしまっているようだな、別にどうでもいいが。
死ななければユーフェミアの利用価値はある、嫌われたとてスザクを使えばいい、気にすることはない。
特派のトレイラーに行くと、ロイドがいた。
「せいがでるな」
「あはぁ、まぁねぇ、こうしてないと落ち着かないしぃ」
「そうか、ところで、例の武器は式典までに間に合うか?」
「もう出来てるよぉ」
「早いな、でどこにある?」
「奥の方だよぉ」
ロイドに言われた通りトレイラーの奥に行く、お、スザクがパソコンで勉強しているな、邪魔しちゃ悪いから声はかけないほうがいいな。
奥の方に着くとカプセルで覆われた円形の土台に巨大な剣が突き刺さっていた。
カプセルを開き剣を土台から引き抜く。
スラァン………
刀身は170cmあり、どこまでも黒く飾り気のない両刃、柄は長く50cmある、両手用だが、どう考えても私以外には扱える代物じゃない、明らかに重すぎる。
これこそが、私のための剣!
MVS:C!(メーサーヴァイブレーションソード:コンパクト)。
ロイドに頼んでおいた私専用の対KMF用近接兵器、全長220cm、170cmの振動する刀身がKMFを容易く切断することだろう、敵KMFの攻撃が効かない不死身の私にはもってこいの武器だ。
ロイドは使いこなすのは無理だと言っていたが、なるほど、確かに並大抵の人間では無理だろう、重さもそうだが、こんなもの担いで最前線に突っ込めるやつなんてジェレミアくらいだ。
鞘も作ってあるのか、しかも充電機能付き、ありがたいことこの上ない。
鞘にMVS:Cを納刀、バンドで背中に担ぐ、これでは緑色の服を着た勇者か何かだな。
夜も更けてきた、寝袋を敷いて寝よう、今日は、いや今日も疲れた、式典まであと10時間ほど…………お休みだな。
おはよう、MVS:Cを背負ったまま寝たら背中を少し痛めた、すぐ治ったけどな。
式典まであと20分を切った、ユーフェミアは不機嫌だしスザクはなぜか険しい顔つきだ、ユーフェミアは昨日の件だろう、スザクは緊張だな。
「ユーフェミア様、時間が近くなりました、準備のほうを」
「……わかりました」ムスッ
不機嫌だなあ、まあいい。
「スザクも行くぞ、制服は着たか?」
「うん……ちゃんと着たよ」
こっちはなんか怖いな。
不気味に思いながら控室を出る、会場に出るとそこはたくさんの日本人でごった返していた、ゼロの情報では工作員を数名紛れ込ませてあるらしい。
何かあった時の避難誘導のためだそうだ、確か式典に参加するのはCCとゼロのみ、招待されていないから相当派手に登場するはず、すぐ動けるようにしておくか。
ユーフェミアがマイクの前に立ち、自己紹介と政策の発表を行った。
日本人のあいだに動揺が広がる、騎士団員は……動揺していない様子だ、ゼロが教えておいたのか。
式は順調に進み、スザクがユーフェミアの騎士に就任した、そしてユーフェミアによってスザクはブリタニア人(兼日本人)となった。
…………騒ぎが起こっているようだな、騎士団が起こしたものじゃないようだが、武力鎮圧はダメだろう。
「警備部隊、騒いでいる連中を外に出せ」
『イエス、マイロード!』
威勢の良い返事を聞いてインカムから手を離す、連れて行かれたか。
スザクの決意表明…………うん、ちゃんと言えてるな、あとは私の日本人部隊設立宣言か。
アナウンスに従い、マイクの前に進みでる。
「《会場にいる日本人諸君!私は、ナイトオブラウンズが1人、ナイトオブサーティーンのツキト・アールストレイムせある!》」
日本語で話したことで動揺が広まる。
「《ユーフェミア様は憂いていた!日本人諸君が、何の罪もない諸君が、日々悪虐なるブリタニア人にいたぶられていた現状を!ユーフェミア様はそんな諸君を救いたい一心で今回の政策を打ち出した!》」
「(つ、ツキト、これは予定には……)」
「(ええい黙ってろスザク!)」
「(だ、大丈夫なのですか?ツキト)」
「(ご安心ください)」
「《だが!それでもユーフェミア様の意思に背き、悪虐の限りをつくすブリタニア人が必ず出てくる!今までそうであったように!》」
『『『『うおおおおおおおおお!』』』』
日本人たちの雄叫びが聞こえる。
「《諸君は見てきたはずだ!同胞がブリタニア人によって理不尽に傷つけられる様を!諸君は聞いてきたはずだ!自らをイレブンと呼び蔑むブリタニア人を!諸君は言ったはずだ!【自由】が欲しい!【明日】が欲しいと!違うか!?》」
『そうだ!俺たちは自由が欲しい!』
『明日が欲しい!』
『『『自由だ!明日だ!』』』
日本人の心が集約していく、今ならば!
「《諸君の願い、しかと聞き留めた!そして喜ぶが良い!ここにおられるユーフェミア様は諸君を自由へと、明日へと導いてくれるお方だ!!》」
『本当なのか!?』
『嘘じゃねえだろうな!?』
「《嘘ではない!ユーフェミア様は必ずや諸君に自由と明日を取り戻すことを!ここに誓おう!》……ユーフェミア様、こちらへ」
「(は、はい)」
マイクの前をユーフェミアに譲り、改めて書いておいた日本語(ひらがな)のメモを渡す。
「(読み上げてください)」
「(はい……えっと)…………《私、ユーフェミア・リ・ブリタニアは、日本人の自由と明日を取り戻すことを誓います!》」
『『『『うおおおおおお!!!』』』』
ふっ、扱いやすい。
マイクを掴んで歩き出す。
「《諸君!ブリタニアが憎いか!!!》」
問題発言だが…………知ったことか!
『『『『憎い!!!』』』』
会場の言葉が重なる。
「《私もブリタニアが憎い!私の主はブリタニアによって黙殺された!私を本当の家族のように扱ってくれた心優しきお方だった………………なのに!なのに!!本国で暗殺されかけ!逃げ延びてきた日本でブリタニア軍によって殺された!!諸君もわかるはずだ!親を!兄弟を!姉妹を!恋人を!親友を!財産を!大切なものを失う気持ちが!諸君にもわかるはずだ!!》」
『『『『わかるぞ!!!』』』』
「《悪虐なるブリタニア人に…………クズのブリタニア人貴族どもに、これ以上大切なものを奪わせるわけにはいかない!そうだろう!?》」
『『『『そうだ!そうだ!』』』』
「《大切なものを奪わせないために、大切なものを守るために、日本人諸君の誇りを守るために!今ここに宣言する!本日!本時刻を以って!ここに日本人のみで構成された【粛清部隊】を設立する!!租界で暴力を受ける日本人を見捨てる必要はもうなくなった!日本人を殺したブリタニア人が無罪放免になることなど、もはや過去のこととなった!今日この瞬間!日本人の自由と明日を取り戻すための第一歩が踏み出されたのだ!!》」
言い切ると同時に会場の日本人の興奮はフルスロットル、最高最大のボルテージに達し、雄叫びをあげる者が続出した。
そう、まさにこの瞬間を狙い、一機のサザーランドが飛び出してきた、やはりこのタイミングでくるか!
『な、なんだあのKMFは!?』
「落ち着け!まだ撃つな!!」
急いでインカムで指示を飛ばす、さあ、今度は一体どんなショーを見せてくれるんだ?
サザーランドから出てきたのは…………ゼロ!
「ゼロ!お前!」
「待てスザク!お前はユーフェミア様の側に!」
「だけど!」「落ち着け!貴様は誰の騎士だ!?」
「!?……わかった」
スザクを押しとどめる、スザクは苦虫をすり潰したような顔でユーフェミアのそばに行った。
ん?ゼロの様子が…………マイクでも忘れたか?
手元にあるマイクを見る………………。
「………………そぉい!!」
投げた、ゼロめがけて山なりに。
『《おっと、っと………………ありがとう、アールストレイム卿》』
ゼロは日本語でやるつもりか。
『『『『ゼローー!!』』』』
『ゼロも参加していたのか!?』
『ゼロ様ー!』
『救世主の登場だ!』
振り切れたメーターの針が折れるように、会場の熱気はゼロの登場によって振り切れた。
確か替えのマイクは…………あった、床の中に置いておいたのか。
「《気にするな、それで?ゼロが式典に何の用だ?》」
『《私は戦いに来たわけではない、信じてくれ》』
「《そんなもの見ればわかる…………ここで戦闘になれば、ここにいる日本人を巻き込むことになる、私も、ユーフェミア様もそれは本意ではない》」
『《信じてくれてありがとう、私がここに来たのは、ユーフェミア副総督の政策への明確な答えを表明しに来たに過ぎない》』
『ゼロはなんて言うんだ?』
『反対するのかな?』
『でもアールストレイムって人は嘘つきには見えないし』
『ツキトさん…………』
会場がどよめく、そう、私たちがいくら言ったところで結局は日本人の総意であるゼロが答えを出さねばならないのだ、そうでなければ、納得はしない。
日本人はとても謙虚な人種だ、電車やバスでお年寄りがいれば席を譲り、道を聞けば教えてくれる、まとめて物を買えば値引きもしてくれる、優しい人種なんだ。
それゆえに自分ではものを決められない、決断能力がない、だから多数決に頼りたがる、『みんなそっちを選ぶから私もこっちに』そういう人種だ、みんながそうだから、あいつがこうだから、主体性がない、だからこそ必要だ、強い指導者が、ゼロが、日本人には必要なんだ。
「スザク」
「なんだい?」
「ゼロの話す内容をユーフェミア様にわかりやすく伝えてくれないか?」
「わかった」
スザクに翻訳を頼んでゼロに向き直る、距離はおよそ200mほど、太陽光が仮面に反射しているのがかろうじて見える距離だ
「《聞こう、その答えを》」
『《では言わせてもらおう…………》』
会場が静まり返る、演出が好きだなルルーシュは。
『《我々黒の騎士団は、ユーフェミア副総督の日本人を救いたいという気持ちを信じ、その政策を見守るとともに、アールストレイム卿の設立した【粛清部隊】の運用に全面的に協力することを約束しよう!》』
会場が湧く、さすがだよルルーシュ、いやゼロ。
後ろを向く、スザクがわかりやすくユーフェミアにブリタニア語に翻訳して伝えている、聴き終えたユーフェミアは私に向かい歩いてきた。
「ツキト」
「はっ!」
マイクをユーフェミアに差し出す、ユーフェミアがマイクを取ると私は後ろに下がった。
「ゼロ!」
『……なんですかな?ユーフェミア副総督』
「政策に賛同してくれたこと、感謝します」
『こちらこそ、私を信じ、攻撃しなかったこと、感謝する』
ユーフェミアとゼロが会話する、エリア11ブリタニア人代表と日本人代表の会話、ある意味対話が成ったと言えるな。
『では、私はこれで帰らせてもらおう、さらばだ!』
ゼロがサザーランドに乗り込む、サザーランドはランドスピナーで地面を滑りつつ会場を抜け、瓦礫の山に消えていった。
…………あ、マイク返してもらってない。
式典も終わり、スザクとユーフェミアと私で屋台めぐりを、と思ったがユーフェミアの機嫌が悪いままだったので1人で来た、スザクは騎士なのでユーフェミアと一緒だ。
おっと、ナナリーに連絡しなくては、メールでいいか、場所は会場の倉庫(本部)と、送信。
送信完了の文字を見て倉庫に行く、途中誰も人がいないことを確認し、扉を開ける。
「ツキトさん!」
扉を閉め鍵をかけた瞬間にナナリーが抱きついてきた。
「ツキトさん……ツキトさん……」
「お久しぶりですナナリー様」
ナナリーを優しく抱き返す、私の胸に顔を埋めるナナリーの頭を撫でつつ、正面に立つ咲世子を見る。
「咲世子、お前も久しぶりだな」
「お久しぶりです、ツキトさん」
咲世子が頭をさげる。
「式典の時はどこに……」
「観客に紛れ込んでおりました」
「無事だったか?」
ナナリーはブリタニア人だ、何もされていなければいいが。
「変装しておりましたので大丈夫でした」
「そうか、ご苦労」
「…………ツキトさん、咲世子さんと楽しそう」
頭を埋めていたナナリーが顔を上げて睨んできた、距離近いなキスできるぞ。
「そうでしょうか?」
「ツキトさんの無自覚…………んーー」
何か小声で言ってから顔を近づけてくるナナリー。
「いけません、ハレンチです」
「いいじゃないですかちょっとくらい……」むすー
ムスッとした顔をするが…………ユーフェミアと違ってかわいい、うーん…………うん、やはりナナリーはかわいい!しかしアーニャと比べてどうかと言われると困る。
「ナナリー様も皇族なのです、少しは自覚を持った行動を…………」
「むーー…………えいっ」チュッ
「んっ!?…………………」
「ぷはっ…………ふふふっ、ツキトさん♡」
「…………はぁ」
説教途中でのキスは卑怯だ……でも嬉しく思う私もいる……はぁ…………。
「もう一度……」
「ダメです」
「1回じゃ満足できません!」
「我慢してください」
「…………ツキトさんのばか」
「なんと言われようとダメです」
きっぱり断るとナナリーがうつむいてしまった……いや、さっきみたいに私の胸に頭を埋めてきた。
「…………クンクン」
「匂いを嗅がない、はしたないですよ」
私の匂いなんて嗅いで楽しいのか?
「今はツキトさんの匂いで我慢します……」
「…………まあ、そういうことでしたら」
これでキスされないならいいか、減るもんじゃないし………………なにか大事なものが削られてる気がする。
(それはきっと羞恥心だよ! by作者)
だがこの体勢はきつい…………そうだ。
「ナナリー様、屋台めぐりしませんか?」
「クンクン…………屋台めぐり、ですか?」
ひとしきり匂いを嗅いだナナリーは私の声に反応したのか顔を上げた。
「ええ、会場の外の屋台はご覧になられたと思います、よろしければご一緒に」
「はい!一緒に回りましょう!咲世子さんも」
「わかりました」
決まりだな。
「では行きましょうか」
「はい、あ、腕を組んでもいいですか?」
「少々お待ちください…………咲世子」
このままの格好ではばれる、一般人にならなければ。
「変装セットは持ってきております」
「貸してくれ…………ナナリー様、変装に時間がかかりますので、少しの間ここでお待ちください」
咲世子から変装セットの入ったカバンを受け取りつつナナリーに言う。
「はい、待っています」
ニコッと笑って答えるナナリー、健気さが伝わってくる、かわいいなあ。
倉庫から出て一番近いトイレでパパッと変装する、髪は染めずにそのまま、眼帯外して両目にカラコン、ラウンズの服を脱いで高校生風のファッションの服を着る。
(流行など知らん by作者)
トイレから出て倉庫に戻る。
「お待たせいたしました、それでは行きましょうか」
「はい!」
笑って私の腕に抱きついてくるナナリー、とても愛らしい。
……咲世子が一瞬微笑んだ気がする。
倉庫から出て会場の外に出る、見渡す限りの屋台は見てるだけで楽しくなる。
「ツキトさん!たこ焼き食べましょう!」
「ああちょっと引っ張らないでください…………」
「…………ふふっ」
3人での屋台めぐりは楽しいものだった、たこ焼きやお好み焼きなど美味しいものを食べれて満足だった。
途中射的で咲世子が商品を全て落とした時は唖然とした、輪投げで商品全てに輪っかをかけたのは逆に笑った、屋台めぐりのおかげで改めて咲世子のスペックの高さに気づけた。
ナナリーは終始楽しそうに食べたり飲んだりゲームをしたりしていた、金魚掬いで取った金魚の入った水袋の紐を手首に通し、私の腕に抱きついて歩いている、楽しそうだ、おっと、ペン型カメラでの撮影は欠かせないな。
私の格好がほとんど式典の時と変わらないため、怪しまれるとまずいので会話はいつもの偉そうな感じでやった、ナナリーも察してくれたようで特に危険はなかった。
「楽しかったですね!ツキトさん、咲世子さん」
「そうだな」
「そうでございますね」
時計を見る、もう午後7時だ、早いものだな。
「ナナリー様、私は仕事がありますのでこの辺で」
「行ってしまうのですか?」
「申し訳ございませんが」
「そう、ですか…………あの、いつ帰ってきてくれるのですか?」
ナナリーが泣きそうな顔で聞いてきた。
「早ければ明日までには」
「わかりました、待ってますね」
「できるだけ早く帰ります」
「ナナリー様、こちらへ」
咲世子がナナリーを誘導する。
「はい…………ツキトさん!」
振り返ろうとした足を止め、ナナリーの声の方に振り返る。
「どうし………………」
「んっ…………」チュゥゥゥ
振り返った瞬間、ナナリーの唇が私の唇と正面衝突し、首のはナナリーの腕が回されてホールドされる。
「んっ………ふっ…………んん…………」チュゥゥゥゥゥ……
逃げ場はないか…………だんだん頭が真っ白になっていく………………あぁ^〜。
「ぷはっ…………ナナリー様、これ以上は……」
なんとかナナリーと距離をとる、ふう、危なかった。
「……ツキトさん」ポー
ナナリーが顔を真っ赤にして放心してる、自分からやっといて放心するのか…………。
…………あっ!?冷静になって考えてみたら私なにナナリーを帰そうとしてるんだ?ユーフェミアに会わせて他皇族に気づかれないよう目をそらしてもらうんだった。
危ない危ない…………。
「すみませんナナリー様、実はナナリー様に会っていただきたい方がいるのです」
「そう、ですか……」ポー
「今から向かいます、はぐれないように注意してください」
「……はい…………」ポー
まだ顔が真っ赤だ、それに少しふらついている、大丈夫だろうか。
「えへへ……ツキトさん」
かわいい。
ナナリーの腕を組み支えながらユーフェミアのいるところを目指す。
屋台を抜けるとユーフェミアの個室が見えてきた。
「アールストレイムだ、通してくれないか?」
「はっ……すみませんが、お連れの方は…………」
門番がナナリーと咲世子を交互に見る。
「私の婚約者と、そのメイドだ、ユーフェミア様に紹介しておこうと思ってな」
「そうでしたか、ではどうぞ」
門番が扉のロックを解除して開ける、私、ナナリー、咲世子と続いて入ると門番は扉を閉めた、オートロックもカチャンという音が聞こえる。
ナナリーと組んでいた腕を離す、さすがにユーフェミアの前でああいうのはな。
「あ、ツキト…………ナナリー!?」
ユーフェミアがこちらに気づいてテーブルを蹴って立ち上がった。
「ユフィ姉様!」
ユーフェミアはナナリーを抱きしめる、ナナリーはとっさのことに驚きつつ抱きしめ返した。
「やはり生きていたのねナナリー!」
「はい!お兄様も一緒です!」
「ルルーシュも、よかった、2人とも無事で……」
ナナリーとユーフェミアが抱きしめ合う様子を見て、テーブルのそばで硬直してしまっているスザクに近づき声をかける。
「どうしたスザク?美女と美少女の美しい抱擁に感動して声も出ないか?」
「つ、ツキト、ナナリーが生きてることがばれたら!!」
予想以上の慌てっぷりだな、ルルーシュだったらもっと面白いことになってるだろう。
「案ずるな、そのためにユーフェミア様に会ってもらったのだ」
「どういうことだい?」
「ユーフェミア様は本当にお優しい方だ、スザクもそれは知っているだろう?メイド喫茶の時、誰よりも早く助けようとしていたしな」
「うん、ユフィが優しいのは知っているよ」
「そこでだ、その……なんだ……悪い言い方をすれば、今回はユーフェミア様の優しさを利用する」
「……というと?」
スザクの顔が少し険しくなる、自分の姫様を利用されていい気分になる騎士なんていないしな、いやそれ以前にゆとスザクは互いに良き理解者であり友達感覚の間だしな、不機嫌にもなるか。
「かわいい妹であるナナリー様を他の皇族や貴族に見つからないようにと頼めばなんとかしてくれるだろうと思ってな、ユーフェミア様の加護の下に入れればナナリー様を見つけるのは容易ではなくなる、仮になにかしら情報を得ようとするならば……警備が厳重な総督府に突っ込まなければならんがな」
そしてさらにスザクという優秀な騎士を倒さなきゃユーフェミアから情報は得られないがな、なんというハーデストモード、いやインセインか。
「ユフィの持つ力でナナリーを見つからないようにするってわけだね」
「そうだ、スザク頭いいな、こんなこと話してすんなり理解できるのはルルーシュ様と咲世子ぐらいなものだ」
「あはは、ルルーシュにいろいろ教えてもらったからね」
はにかんで笑うスザク、イケメーン。
「相変わらずルルーシュ様と仲がいいな」
「親友だからね」
「親友、か…………本国ではルルーシュ様にそういう間柄の人物はいなかった」
「そうなのかい?」
「ああ、ルルーシュ様は見ての通り頭が良く顔も良い、同世代の男子からは嫉妬されるし、女子は恥ずかしがって近寄らない、皇族だから一般人は寄りつかない………………ルルーシュ様は完璧に近いがために、友人ができなくて塞ぎこんでしまった」
「…………そっか」
「だが、日本に来てから、スザクにあってから明るくなられた、ランペルージとして生活するなかで友人も増えた…………スザク、これからも、なにがあろうとルルーシュ様の親友でいてくれ」
「うん、僕でよければ」
「お前しかいないさ、ルルーシュ様もそう言うはずだ」
「そうかな?」
「ああ、本当に…………良き友人をもった……」
「て、照れるなあ////」
照れたようにほおをかくスザク。
…………ふむ、このままユーフェミアが死なない未来を続ければ、最終的なゼロ=ルルーシュへの憎悪も少なくなるかもしれない、そうなれば親友ENDも期待できる。
そうなるために、ルルーシュとスザクの敵にならなければいけないのは精神的にくるな、特にナナリーを裏切るのはな、私が純潔を奪ってしまったわけだからな………………完全に嫌悪されれば大丈夫だ、しかし外道の真似して鬼畜の所業を積み重ねても、きっとナナリーは悲しそうな目で見てくるだろうな…………はぁ。
………だがそれ以外に道はない、ルルーシュがシャルルに代わって皇帝となり、スザクと共に私とシュナイゼルに立ち向かう、フレイヤの力を振りかざす悪虐非道な宰相シュナイゼルと、最愛の妹の純潔を奪い、婚約までした鬼畜外道屑のラウンズの私を倒し、世界をフレイヤという脅威から救い、ブリタニアを帝国から合衆国にし、ルルーシュとナナリーは国民から愛され未来永劫にわたって語り継がれるのでした、めでたしめでたし。
というのが現段階での計画だ、私はスザクより若干劣る、しかしシュナイゼルの頭をもってすればルルーシュ軍を劣勢にすることは十分可能だ。
フレイヤを手に世界征服を狙うシュナイゼル軍、劣勢に立たされるルルーシュたちブリタニア軍、劣勢から繰り出されるルルーシュの奇策によって戦線は崩壊、シュナイゼル軍のエースである私をスザクが倒して優勢に立ち、ルルーシュ自ら一気にダモクレスに突っ込んで制圧、シュナイゼルをその場で処刑し全世界に生中継を行う、ルルーシュはそこで世界からフレイヤを消し去ったことを伝え、世界を平和であり続けるために、エリアすべてを自治区とし、ブリタニア帝国を合衆国にする。
世界はひとつになる、ブリタニア合衆国の登場で平和が完成する。
「ツキト!」
ユーフェミアの呼ぶ声が響く。
「なんでしょうか?」
「私は諦めません!」
「は?」
「いつかツキトを絶対に振り向かせてみせます!」
「は、はあ」
「自分を磨いて、必ずツキトを惚れさせます!」
ま、まあ、自分を磨くのはいいことだと思うぞ……うん。
「ツキトさん!」
「な、なんでしょう?」
「私もツキトさんにもっと好きになってもらえるよう頑張ります!」
「は、はい……」
「例えユフィ姉様であっても、ツキトさんは絶対に渡しませんから!」
「そ、そうですか」
「はい!ですから今ここでキスを……」
「させないわナナリー!」
「ユフィ姉様!邪魔しないでください!」
「ツキトは私と結婚するの!ツキトの子を産むの!」
「ツキトさんは私と結婚して、ツキトさんに似た男の子を育てるんです!」
…………聞いてられなくてスザクと一緒に部屋の端の方に仕切りを立ててソファに座る。
私は頭を抱える、きっと顔は真っ青だな、スザクは話の内容を聞いて顔が真っ赤だ。
『私なんて、ツキトさんと【Pi〜〜】もしたんですからね!!』
『うっ、で、でもそれだからってツキトが惚れるとは限らないわ!私のほうが胸が大きいし、誘惑すれば私のほうに来るわよ!』
『そんなことでツキトさんはユフィ姉様にはなびくはずないです!それに、私はツキトさんの髪を乾かしたこともあるんですよ!羨ましいですか?』
『つ、ツキトの、髪を…………う、羨ましい!私もしたい!ツキトの綺麗な髪触りたい!』
………………皇族って髪フェチなのか?そういえばマリアンヌの髪も綺麗だったな、あれ?もしかして皇帝って………………あっ(察し)
「なんてはしたないことを、あんな大声で…………はあ、従者失格だ…………死にたい」
「な、ナナリーが大声であんな言葉を……////……それにユフィも、む、胸なんて……//////」
スザクにはちと刺激が強すぎたか、すまんなスザク、耳栓は持ってないんだ。
「…………咲世子」
「はい」
「スザクを外に連れていってくれ」
「大丈夫ですか?」
「ストレスで禿げ上がりそうだ……」
顔が真っ赤になって動けないスザクを咲世子に任せて脱出する、出るときに門番にユーフェミアとナナリーの言い争いを聞かれたが、ニヤニヤされただけだった、給料2割カットしてやる。
「ツキトさん」
「ん、どうした咲世子?」
「スザクさんはどのように」
「あー…………近くのベンチに寝かせておいてくれ、私はここでナナリーさ……ナナリーを待つ」
「わかりました」
咲世子はスザクを抱えるとベンチを探し始めた。
女に悩ませられるなんてな、生まれ変わった時はそうなるとは微塵も思わなかったのに。
…………電話だ、ルルーシュか。
「ことらツキト」
『ああツキト、ナナリーがどこにいるか知らないか?』
門番に聞こえないように距離をあける。
「ナナリー様ならユーフェミア様専用の個室にいますが」
『ほぁ!?おおおおお前バラしたのか!?』
「えぇ、その方が好都合だと判断しました」
『好都合?…………ああ、ユーフェミアの好意に付け入る気か』
「その通りです、ユーフェミア様のナナリー様への庇護欲その他を利用させてもらう気です」
『なるほどな、しかしツキト、お前今ナナリーとユーフェミアを合わせて後悔してるんじゃないのか?』
「…………わかりますか?」
『ああ、お前が好きなユーフェミアと婚約してるナナリーを合わせれば口喧嘩にはなるんじゃないか?』
ご名答だよルルーシュ。
「はい、その、私のことで言い争いを…………」
『まあ納得するまでやらしておけ、下手に止めると逆効果だ』
「わかりました」
『帰ったら今後について…………なんだCC?………………むっ、そうか…………ツキト、しばらく休暇を取らないか?』
CC?いったいルルーシュになにを言ったんだ?休暇なんて…………。
「休暇ですか?」
『ああ、ここ数日働き詰めだっただろう、1週間ほど休暇をとって休んだほうがいい』
「よろしいのですか?」
『疲労が溜まると次の作戦に支障が出る、無理してでも休め』
休むために無理しなきゃいけないのは違う気が…………。
「イエス、ユアハイネス」
『では、きるぞ』
電話が切れてツーツーという機械音が聞こえる。
ま、コーネリアにでも言えばいけるだろう。