コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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『喪失』してしまった『モノ』

ツキトside

 

 

 

やぁ、女装ツキトだ。

 

現在騎士団の拠点内で会議に参加中だ。

 

ゼロが説明する中、私は椅子に座ってメロンパン(3個目)を頬張りながら足をプラプラさせて幼さを出しながらC.C.と話していた。

 

「(私たちは大人気だな)」

 

「(こんな姿(女装)で人気になっても嬉しくない)」

 

「(そんな不機嫌な声で言われても、見た目がそれだから怖くないぞ)」

 

「(自覚してる、やっぱりミステリアス系美女がよかったか?)」

 

「(残念、その役は私で埋まってる)」

 

「(確かにな)」

 

「(いや、肯定されても困るんだが…………)」

 

「(まあミステリアス系美女なんて役は私には似合わんしな)」

 

「(ツキトはどちらかというとミニスカートを履いてアイドルでもやってたほうが似合うかもな)」

 

「(おいやめろ、ルルーシュ様もそうだがここ最近身近な人間の予測がよくあたるんだ)」

 

「(ほう?じゃあ私が予測してやろう、近い将来お前は女装してテレビに映ることになる)」

 

「(やめろおおおおおおおおおおおおお!!!!!)」

 

この鬼!悪魔!美女!!

 

「…………というわけで、8日後に行われる式典には私とC.C.が参加する、なにか質問はあるか?」

 

会議がひと段落ついたところか。

 

「KMFに乗って行くんですか?」

 

カレンがゼロの身を案じたのかKMFでの移動かどうかを聞いてきた。

 

「そのつもりだ、C.C.が操縦するサザーランドに乗って行く」

 

「サザーランドでは危なくないですか?性能も低いですし…………私の紅蓮のほうが…………」

 

「ふむ……………カレン、我々はそうやすやすと主力部隊を出すわけにもいかん、主力部隊は有事のときに動けなくてはならんからな」

 

「わかりました」

 

カレンは納得しきれてはいない顔で着席した。

 

「では次に、藤堂の救出の件だが…………………明後日、襲撃を行う」

 

「明後日!?」

 

明後日に?時期尚早では………………ああ、そういうことか。

 

明後日はユーフェミアが会場で式典の下見とリハーサルを行う日だったか、そのためエリア11の戦力のおよそ1/4ほどがそこに警備として組み込まれる。

 

その戦力はどこからくるのか?それはエリア11のいろいろなところからだ。

 

北はホッカイドウ南はオキナワ、キュウシュウから人員が割かれる。

 

もちろん、藤堂が捕まっている施設からもある程度割かれる。

 

会場から牢獄まではランスロットのフルスロットルでも直線距離で20分はかかる、最低でも20分以内でやらなければいけないわけだ。

 

この時間を少しでも伸ばす方法があればいいんだが………………無理だろうな。

 

とりあえず伝えておくか。

 

「ゼロ〜」

 

「どうした?」

 

「ランスロット……あの白兜が騒ぎを聞きつけてこっちに来るまでだいたい20分くらいなんだけど〜」

 

「うむ」

 

「これ以上伸ばすのは厳しいと思う〜」

 

「いや、20分もあれば充分だ…………タイムリミットがわかったところで作戦を説明する、今作戦は四聖剣を先頭に立て、敵KMFの相手をしてもらう、その隙に私を含む少数部隊が藤堂を救出、その後藤堂を戦力に加え、敵を掃討しつつ退却、大まかにはこんな感じだ」

 

「シンプルだね〜」

 

「まあな、そのほうがいいだろう」

 

「まあね〜」

 

「(ずいぶんと役に身が入ってるじゃないか?)」

 

「(羞恥心で死にそうだ)」

 

「(死なない体で何を言う)」

 

「(例えさ、死にたくなるほど恥ずかしいって意味だよ)」

 

私じゃなかったら死んでた。

 

「………………以上だ、何か質問はあるか?」

 

「特にありません」

 

「そうか…………では今日は解散とする、全員、明後日に備えよ」

 

「わかりました!」

 

カレンは嬉しそうに返事をする、他のメンバーや四聖剣が椅子から立ち上がって会議室を後にする。

 

その様子を注意深く見る。

 

裏切りを企んでいる者はいないか?ブリタニアのスパイはいないか?私の正体に感づいた者はいないか?…………など、幼い少女の濁りの無い瞳で探る。

 

幸いにも、そういう人間がいなかったのはラッキーだった。

 

死体の処理はできればしたくない、いや埋めるだけなんだがな、スコップ一本で掘るのは結構キツイんだよ、あれ。

 

「ゼロ〜、もういい〜?」

 

「ああ、いいぞ」

 

「…………ふぅ、この喋り方は疲れます」

 

「もし見つかったら大変ですから」

 

声はそのままに口調だけ戻す、声を変えるくらいは造作もないこと、息をするように変えられるし、やろうと思えば最大5人の声で同時に話せる。

 

ただし、口調は意識しなければ難しい、もっと練習が必要だな。

 

「では、帰るとしよう………………そういえば、どう呼べばよかったんだ?」

 

私のことを終始「あいつ」とかしか呼んでないしな。

 

「本名以外ならば、どのようにでも」

 

「ふむ、では、お前は今日から【エリー】だ」

 

「仰せのままに、我らが指導者、ゼロ様」

 

エリー………………特に原作の人物と名前がかぶるわけでもないか。

 

騎士団の拠点を出て、咲世子の待つ車へと乗り込む。

 

「出してくれ」

 

「はい」

 

咲世子が車を発進させる。

 

…………今回の接触が、予定通りにことを運ぶ布石になってくれるといいんだが…………。

 

あの接触は、ルルーシュの考えとは別に、私の考えも含まれている。

 

ルルーシュの考えは、ゼロに優秀な直属の部下がいるということ、その部下が美少女&美女であることをアピールするのが大まかな狙い。

 

まあ、さっき行ったこととほとんど一緒だ。

 

そして、私の考え、今回バレてしまう危険を犯してまで変装して接触した狙い、それは私自身が騎士団の幹部の立ち位置としていることで、ある程度の命令権を持つことができるからだ。

 

この命令権を、【ガウェイン】を運び出すのに使う。

 

計画はこうだ、第6世代KMF【ガウェイン】は、メンテナンスのため各パーツごとにオーバーホールされる。

 

これを整備班に化けた騎士団がトラックに積み込み、施設に向かうと見せかけてそのまま逃走、藤堂を救出した騎士団本隊と合流し、ラクシャータが組み立てる。

 

目的は、まあ、わかると思うが、戦力の強化、及び、ルルーシュの生存率の強化だ。

 

純国産KMF【ブライ】は、性能は高いが、所詮は第5世代、これから増えていくであろう、飛行タイプのKMFに対応するために、ガウェインのフロートユニットの解析は急務、最悪、フロートユニットだけでも持ち帰ることができれば、騎士団の戦力は大幅に強化できる。

 

たとえフロートユニット単体であったとしても、その価値は、サクラダイト何10トンより、重い。

 

そのためにも、藤堂救出作戦の開始までに、暇な騎士団員を集めなければ…………。

 

「ツキト、ついたぞ」

 

「え?あ、はい」

 

考え事をしていたら、すでにクラブハウスの目の前だった。

 

集中のしすぎだな。

 

車を降りる、咲世子は車を隠すために1人乗ったまま発進させた。

 

クラブハウスに入る、ナナリーは起きていないようだな。

 

「C.C.は部屋に戻って咲世子を待て、ルルーシュ様は…………」

 

「俺は自分で着替えられる、ツキトも早く着替えたほうがいい、音に気がついてナナリーが起きるかもしれない」

 

「わかりました」

 

部屋に戻り鍵を閉め、着ていた服を脱ぎ捨てると、部屋についたトイレの洗面台で化粧を落とし、眼帯をつける、パジャマを着て部屋を出る、さっきまで着ていた服を洗濯機に放り込む、これでよし。

 

さて、今日はもう寝るか。

 

そう思い、部屋に戻ろうとしたところ、何者かに腕を掴まれる。

 

「っ!?」

 

「お許しください」

 

振り払おうとした瞬間、いきなり目の前に現れた咲世子によって、意識を刈り取られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………っ!」

 

朝か?

 

ここは…………私の部屋、にしては少々、少女趣味すぎる、いったい誰の部屋だ?

 

咲世子…………はないだろうな、もし、そうだとしたら………………すっごく萌える。

 

というか、何処と無く既視感が…………あ、この部屋はナナリーの部屋だな。

 

最近すっかり立ち入ることがなかったから、忘れていた。

 

この視点にも既視感があると思ったら、また私は拘束されているのか、この結び方、咲世子だな。

 

今度はいったいなんなんだ?さっさと起きたいn……あっ。

 

「すぅー…………すぅー…………」

 

ふと視線を横に動かすと、そこには寝息を立て、安らかに眠るナナリーの姿が。

 

え?まさかの朝チュン?いやいやないない。

 

おおかた昨日の夜、添い寝したいとか思って咲世子に私を拘束させたのだろう、私が断るのを知っての計画的犯行か。

 

「すぅー…………ん……ちゅきと、しゃん…………」ギュ

 

噛んだ、抱きつかれた、可愛い。

 

しかし………………2度目ともなると逆に冷静になるな、頭がおそろしく覚めている。

 

ナナリーのおかげで、体は温かい。

 

体は温かい、たしかに温かい、が、冷静すぎて逆に頭が寒い。

 

「んぅ………………ツキトさん?」

 

ん、起きたか。

 

「おはようございます、ナナリー様、さっそくでわr」

 

「ちゅ〜〜♫」じゅるるるる

 

「んーー!!んーーーー!!!」じゅるるるるるる

 

寝起きでディープキスはやめろ!朝っぱらから心筋梗塞にでもする気か!!

 

「ん……ふっ…………」ぢゅるるるるるるる!

 

なんか音変わった!?まずい!このままじゃナナリーに呑まれ…………

 

「はっ………ん……ぷは…………はむ…………ふっ……は…………」ぢゅるるるるるるる!

 

あ、これもう無理だ、キスしてるだけで頭が真っ白になってきた。

 

今日は休もうそうしよう………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとしきりナナリーに絞られ、咲世子に解放され、その後10分でなんとか鬱状態から持ち直した。

 

これで私も非童貞の仲間入りか…………一生童貞でいるつもりだったんだがなぁ。

 

まあそれも、今となってはすでに過去。

 

私の注意力不足と度重なる『お預け』が招いた結果だ、ナナリーを責めるのはお門違いだ。

 

無理やりの拘束も怒ろうとは思ったんだが、理由を聞かされては怒る気にはなれんかった。

 

『夜中に目が覚めて、お兄様やツキトさんがいなくなってて…………私、怖くて…………』

 

それで、添い寝したかったが、どうせ頼んでも断られると思い、咲世子に頼んで拘束したのだそうだ。

 

これでもなお怒れるやつがいるならそいつを消しとばしてやる。

 

っと、そんなことを考えていたらもう教室か。

 

「おはよう、ルルーシュ、スザク」

 

「おはようツキト」

 

「おはよう、なんか疲れてない?」

 

「気にするな、ベッドから落ちただけだ」

 

「怪我とかはない?」

 

「少し腰が痛いくらいでなんともない、それより、ナナリーを見なかったか?」

 

「いや、まだ見てないけd「お兄様!」

 

スザクと話していると、ナナリーが教室に来た。

 

ぎこちない足取りでルルーシュの前まで進むと、ルルーシュの手をつかんで。

 

「やりました!ついにやりましたよお兄様!」

 

と言った、おい、朝っぱらから何を言っているんだ、この変態。

 

「んな!?ほ、本当かナナリー!?」

 

「はい!今朝、4時くらいにツキトさんに……」

 

「チェスト!!!!」

 

それ以上が言わせねえ!!

 

ナナリーの頭にチョップを叩き込む。

 

「痛っ!」

 

ナナリーは頭を抑える。

 

「朝っぱらから大声を出すな、はしたない」

 

大声を出したナナリーを咎める、できればこれで帰ってくれ。

 

「…………ごめんなさい、でも、痛かったです」

 

「痛くなるようにやったから当然だ、そろそろ授業の5分前だ、授業準備をしておけ」

 

「はーい……」

 

「ああそれと、忘れ物だ」

 

そう言って鞄から弁当箱を取り出す。

 

「あ!私クラブハウスに…………」

 

「テーブルの上に忘れるとは思わなくて一瞬唖然としたぞ、次は気をつけるように」

 

「はい、ありがとうございますね、ツキトさん」

 

頭を下げて教室から出て行くナナリー、と思ったら戻ってきて。

 

「ご飯一緒に食べましょうね!」

 

と言って去っていった、いや、どこ集合だよ。

 

それよりも。

 

「なあ、ルルーシュ」

 

「どうした?」

 

「…………私のチョップって、そんなに痛いのか?」

 

「…………結構痛い」

 

「そうか…………(次からは気をつけます)」

 

「(頼むぞ、ナナリーにタンコブでもできたら………)」

 

「(いっそデコピンにしましょうか?)」

 

「(いや、ナナリーのおでこが腫れてしまう)」

 

「(ナナリー様のキュートで可憐なおでこを腫れさせるわけにはいきませんね、では、どういたしましょう?)」

 

「(…………弱い力でほっぺたを引っ張るのはどうだ?)」

 

「(その手がありましたか、ではその方向でいきます)」

 

「(頼む)」

 

ルルーシュと小声での会話を終えて席に着く、久しぶりの授業だな、どこまでやったんだったか…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業なんてテキトーにノートとってりゃいいんだよ。

 

というわけで授業も終わり無事放課後だ、さて、作戦内容はメールで伝えてあるし、生徒会室に行って暇つぶしでも…………。

 

「ツキトさん!」

 

「ナナリーか、どうしたんだそんな格好で」

 

ナナリーがフェンシングの防具をつけた状態で目の前に来た、部活中だったのかポニーテールだ。

 

「実は、ツキトさんに稽古をお願いしたくて!」

 

「稽古か、いいぞ」

 

「本当ですか!?やった!じゃあ行きましょう!」

 

ぴょんと小さく跳ねると私の腕を掴んで歩き出す、本当かわいいな。

 

あ、うなじが……………………まてまて興奮するんじゃない私。

 

しばらく歩くとフェンシング部の部員たちが見えた、二人一組でローテーションを組んで突きあっているようだ。

 

ナナリーは部長と思わしき高等部の男子と話しに行った。

 

レイピアを振る少年少女たちを眺める、高等部の生徒もいるようだ。

 

高等部の生徒は高等部の生徒同士で組んでいるようだ、まあ、高等部と中等部がやりあっても高等部の圧勝で終わるだろうし、何より、楽しくないだろうしな。

 

「ツキトさん!部長の許可が出ましたよ!」

 

「お、そうか」

 

走り寄るなり笑顔で防具を差し出すナナリー。

 

防具を受け取り更衣室に入ろうと…………。

 

「ナナリー」

 

「なんですか?」

 

「…………ついてこなくてもいいんだぞ?」

 

「………………はっ!?////ご、ごめんなさいツキトさん!む、無意識で…………」

 

無意識だったのか(恐怖)

 

「それじゃあ着替えてくる」

 

「は、はぃ//////」

 

おーおーゆでダコのように真っ赤だな。

 

………………………………………………。

 

着替え終えた、ぴったりだなこれ、私のサイズを知ってたのか、まあ変わらないしな。

 

「あ、着替え終わったんですね、じゃあさっそく始めましょう!」

 

「お手柔らかに頼む、最近はデスクワークばかりで運動をしていないんだ」

 

「ふふっ、残念ですけど、手加減はしません!」

 

「ナナリーはいじわるだな」

 

互いに微笑みながらレイピアを構える、まずは様子見だな。

 


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