ハイスクールD×D§転生魔法使いの非日常§(仮) 作:ヘタレ権三郎
待たせた割には大した文量でもなければクオリティでもありません。
それでも楽しみにしていた方々、ありがとうございます。
「小猫ちゃん!!」
イッセーの目の前で小猫が倒れる。イッセーをかばってライザーの炎をまともに受けたからだ。
イッセーを守るために。
制服はボロボロで所々焦げている。破れた制服から覗く肌は火傷の痕が目立つ。
「小猫ちゃん!」
イッセーが駆け寄り小猫を抱き上げる。
「イッセー・・・先輩・・・よかったです無事で・・・」
「何で、なんで俺なんかをかばって・・・」
「神野先輩が言ってました・・・このゲームに勝つための大切なピースはイッセー先輩だと」
「俺?」
「私より勝率が高いだろう先輩を守る・・・それが私がこのゲームで自分で決めた役割です・・・勝ってください・・・イッセー先輩」
そう言い残して小猫は光に包まれた。
『リアス様の戦車、戦闘不能』
「うおおおおおおおおおお!!!」
戦闘不能のアナウンスを聞きイッセーは無謀にもライザーに向かって拳を握り殴りかかる。
それを木場が肩を掴み止める。
「イッセーくん、小猫ちゃんの思いを無駄にする気かい?」
「・・・!!でも、だったらどうすればいいんだ!?
小猫ちゃんは俺ならあいつを倒せるって言ってたんだ!だったら俺がやらなきゃならねえだろうが!」
「それは君一人でやることじゃない!!」
「!」
「僕たちの力で勝つんだよ!」
「・・・ごめん木場。頭冷えたわ」
「分かってくれてありがとうイッセーくん」
「話は終わったか?リアスの兵士と騎士」
イッセーと木場の話の途中で攻撃せず余裕をもって待っていたライザーは話し合いが終わったのを見計らって声をかけた。
「ああ、おかげでゆっくり休めたぜ」
「これから僕たちがあなたを倒します」
そう言ってイッセーは籠手を、木場は剣をライザーに向けて宣言した。
そして同時に構えをとる。
「木場、俺が合図したら神器を思いっきり解放してくれ」
「何かあるんだね。わかったよ」
そう言って木場はライザーに向かって駆けだした。
瞬動で一気に近付き近距離で剣を振るう。それはライザーに反撃の隙を与えないためのもの。イッセーからの合図を待つため、そして疲弊した主の回復の時間を作るため。多くの覚悟を背負い自身が持てる全てを使い剣を振るう。
side木場
何分、何十分、あるいは何秒剣を振り続けただろうか。
僕はイッセーくんからの合図を待つ。
この剣は仲間のために。 この剣は主のために。 この剣は勝利のために。
そう思いを込めて剣を振り、眼前の敵を切り裂く。
仲間を信じて。 友を信じて。
『剣に芯を込めよ』
天目一個さんの言葉が浮かんでくる。
そうだ、『勝つ』この気持ちを芯として剣を創れ。
僕は、僕たちは、勝つんだ!!
「ハアアアアアアアアアア!!!!」
僕の思いを込めて手元に新たに剣を創り出し、眼前の敵に向かって振るう。
そして
「木場ァ!」
僕の待っていた
「今だああああ!」
友の声だった
「魔剣創造!!」
『Transfer!!』
side out
イッセーが修行中に発現した『赤龍帝の籠手』のもう一つの能力。
『譲渡』
その力を使い木場の神器『魔剣創造』に力を与えた。それによってライザーの足元から大量の剣が、その刃が出現した。
その刃は主の願いどうり敵を貫いた。
足から腰、腕と、全身余すことなく貫いていた。
「や、やったのか・・・」
「解らない。けどやるだけのことはやったはずだ」
そう言い合うイッセーと木場は互いに構えを崩すことなく、魔剣によって串刺しにされたライザーを見据えている。
まだライザーの戦闘不能のコールは鳴ってない。ということは、敵はまだ戦えるということだ。
ライザーは刺された個所から炎を出しながら再生しようとしている。
「クッ・・・この、程度で・・・俺が、倒れる・・・ものか―――!」
そう言ってライザーは自身を貫いていた剣を無理やり引き抜いた。
引き抜いた瞬間ライザーの体から大量の血が流れたが、その傷口も炎に包まれ治っていく。
「成程な、刃に返しがついているから抜きにくかったのか。よく考えたなリアスの騎士。
だが、この程度では俺は倒せん!」
そう言ってライザーは抜き取った剣を捨てた。
「クッ、まだ駄目なのか・・・」
「諦めるな木場。あいつはまだぴんぴんしてるかもしれねーが、どーせやせ我慢だ!」
そう言ってイッセーは駆け出しライザーに肉薄する。
「そいつはどうかな!」
そう言ってライザーは炎を纏わせた拳を振るってイッセーを殴り飛ばす。
「ぐあぁ!!」
「イッセーくん!」
木場は振り返りイッセーを見るがイッセーは屋根の陰になるところに飛ばされていて木場の位置から見ることはできなかった。
木場はすぐさま剣を構えライザーに迫る。友を信じて。すぐに戻ってくる頼りがいのある仲間を信じて。
~ ~
殴り飛ばされたイッセーは屋根の陰で倒れていた。
(くそっ、ここまでなのか・・・やっぱり俺は弱いな・・・)
自身の体が動かなくなってきているのを自覚し始め諦めと悔しさに体中を支配され始める。
「で、お前はここで倒れることを選ぶのか?」
そう言って倒れたイッセーを除きこんだのは影幸だった。
「か・・・影、幸・・・」
「んで、お前はいつまでそこで寝てるつもりだ?早く戦線に戻れよ」
「出来る分けねぇだろ・・・俺はもうこんなにボロボロなんだ」
「そうか、それじゃぁグレモリーがあの焼き鳥のものになってもいいってことだな」
そう言った瞬間イッセーの顔つきが変わる。
「んなわけねぇだろ。部長をあんな奴に渡したくねぇよ。・・・でも、もう体が動かねぇんだ。どうしろってんだよ!」
「フフーフ。俺がその願いを叶えてやろうか?」
「え?」
「俺が今すぐお前を戦える状態にしてやるって言ってるんだよ」
「そんなこと、できんのか?」
あまりにも突拍子もないこと。そんな都合のいいことがあるのかとイッセーは影幸に問う。
「ああ、だが対価は払ってもらうぞ、イッセー」
「・・・俺に払えるもんならなんだって出してやる!」
そう言ってイッセーは影幸を見る。
「いい表情だ。それじゃ、頑張れよ」
そう言って影幸は行動する。
~ ~
「ぐあぁ!」
木場がライザーに吹き飛ばされる。
「裕斗!」
「リアス、もう終わりにしようじゃないか。君の下僕達もよくやったと思うよ。でもこの俺には敵わないさ。諦めて投了しなよ」
ライザーは優しくそう言う。実際、今のリアスの戦力は乏しい。連戦で傷つき疲弊している木場、ライザーの女王に勝ったもののダメージが回復しきっていない朱乃、戦闘魔法はほとんど使えず防御魔法しか持ち合わせのないアーシア。
確かに壊滅的に危険な状況だ。だがリアスは諦めていなかった。自分を信じてついて来た眷属たちがいるから。そして、
「部長は、お前に渡さねぇー‼‼」
「イッセー・・・」
自分を第一に思ってくれるかわいい下僕がいるから。
おそらくこれからも更新は不定期になると思います。
それでもいいという方たち気長にお待ちください。