ハイスクールD×D§転生魔法使いの非日常§(仮)   作:ヘタレ権三郎

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2ヶ月ちかく間を空けてしまい申し訳ありません。大変お待たせしました。
ちょこちょこ書いていたので別に失踪していたわけではありません。
これからも不定期更新が続くかもしれませんが気長にお待ちください。



ⅩⅣ:魔法使いとゲーム、そして主役へ

イッセーたちと別れ影幸は校庭に向かった。

そこには軽装鎧を身に纏い剣を持った女騎士がいた。

 

 「まさか、貴様がここに来るとは。私としては騎士同士の戦いを望んでいたんだがな」

 

「そいつは悪かったな。だけどこっち《グレモリー側》も負けるわけにゃいかんからな。勝てるように動いたらこうなったんだわ」

 

そう言って影幸は自身の持つ杖を構える

 

「まぁ、そんじゃやるとしますか」

 

「あぁ。私はライザーさまの『騎士』カーラマイン!

覚悟しろ魔法使い」

 

「・・・俺は魔法使い神野 影幸。存分にやらせてもらうぜ!」

 

カーラマインからの口上に影幸も乗り名乗りを上げる。

互いに名乗り終えカーラマインが先手を取ろうと影幸に向かって駆け出した。

 

そして影幸の首を刈り取らんとその剣を振るう。

しかしその刃は影幸がその手に持つ杖に阻まれ弾かれる。

 

「クッ、まさかこの私の初撃を防ぐとは、驚いたぞ魔法使い」

 

「ハッ、生憎と、今どきの魔法使いにとって近接戦闘術は必須なんだよ!」

 

カーラマインから繰り出される剣線を影幸は杖を使いすべて防ぐ。

そしてひときわ大きく弾いたところで互いに距離をとる。

すると、カーラマインの持っていた剣は弾いた時の衝撃に耐えられなかったのか中ほどで折れてしまった。

 

「まさか、ここまで全ての攻撃を防ぐとは・・・だが、我ら誇り高きフェニックス眷属、貴様に負けるわけにはいかない!受けよ!炎の旋風を!」

 

そう言ってカーラマインは腰の短剣を抜き炎を纏わせ振るった。

カーラマインを中心として巨大な炎の渦が巻き起こり強烈な熱風が影幸に襲い掛かる。

しかし、影幸は逃げる素振りを見せず、杖を掲げた。

 

「流石に、こいつはな・・・障壁最大!!」

 

影幸の前に何枚もの魔力障壁が現れた。その障壁に当たった炎の渦は障壁を破らんとするが障壁はビクともせず次第に炎の勢いが衰えていき、遂には消えてしまった。

後に残ったのは数枚の無傷の障壁、その奥に影幸はいなかった。

 

「なっ!?ど、何処だ!どこに行った!」

 

カーラマインが短剣を構え辺りを探す。

 

「ここだよ」

 

「!?」

 

影幸はカーラマインの真上にいた。

先ほどの炎が障壁に当たった瞬間障壁を維持させるための魔力を瞬時に注ぎ込み瞬動でその場を離れ、虚空瞬動でカーラマインの真上に陣取った。

影幸は杖を構えておりその杖からは電流が迸っていた。

 

「雷の斧!!」

 

ドガアアァァァン!

 

『ライザーさまの「騎士」一名、戦闘不能』

 

「あら、まさかたった一人でカーラマインを倒すとは思いませんでしたわ」

 

影幸がカーラマインを倒した瞬間、声の下方向を見ると茂みから出てきたのか金髪縦ロールのドレス姿の少女と顔の半分にだけ仮面をつけた女性がいた。

 

「お宅も、仲間がやられたってのに、動揺も見せないんだな」

 

「あら、そうでもありませんことよ。まさかあなた一人でカーラマインを倒すとは思いもよらなかったものですから。ですが、その快進撃もここまでですわよ」

 

縦ロールがそう言った瞬間隣に立っていた仮面の女性が一歩前に出て構えをとる。

そして影幸を囲うように数人現れる。

猫耳がついている赤髪、青髪のセーラー服少女。十二単の着物を纏う女性。背中に大剣を背負ったヤシの木ヘアの女。

それぞれライザーの『戦車』イザベラ、『兵士』ニィ、リィ、『僧侶』美南風、『騎士』シーリス。

それぞれが影幸に攻撃の体勢をとっている。

 

「随分と熱烈な歓迎だな」

 

「さすがのあなたでも、この数相手にするのは苦しいのでは?」

 

「確かに。でも、それが何だってんだ?それが諦める理由だってのか?

んなわけねぇだろうが。あいつらは諦めちゃいないんだよ。だったら俺だってここで止まらねぇよ」

 

そう言って影幸は杖を構える。

 

「そうですの。では全員でやりなさい!」

 

「「「「「ハッ!」」」」」

 

そう言って、金髪縦ロールの『僧侶』レイヴェル・フェニックスが手を振り下ろすと同時に影幸を囲んでいた敵がそれぞれ攻撃する。

 

先陣を切ったのは猫耳姉妹のニィとリィ。素早い動きで影幸の周りを走り時折打撃を放つが、影幸は手に持った杖を使いいなしていく。

そして、一瞬の隙を撃ち二人の首に杖を振り下ろす。

その一撃で二人は意識を失い光に包まれる。

 

『ライザーさまの「兵士」2名リタイア』

 

「ハァッ!」

 

大剣を振りかぶりシーリスが影幸に向かって駆けてくる。影幸は瞬動で近づき蹴りを放つ。

しかし、シーリスはこれに反応し大剣を盾代わりに使用し影幸の一撃を防ぐ。

バックステップで距離をとり影幸は杖に炎を纏わせシーリスに向かって駆け振りぬく。

シーリスも応戦し大剣を振るう。

同じ騎士でもカーラマインとは違い一撃一撃が重く強い。

カーラマインが振るった大剣の一撃を影幸は杖をかざして受け止める。

受け止め互いの力が拮抗した一瞬、影幸は力を抜き半歩下がる。拮抗していた力が崩れたことでシーリスは姿勢が前のめりとなりバランスを崩した。

その瞬間影幸は人体の急所である水月を杖で突きあげた。

それによってシーリスは一瞬呼吸ができなくなり動きが止まる。

影幸はその隙を逃すまいと杖を使い肩口、脇の下、膝を連続で殴打し、最後に顎に向かって掌底を繰り出した。

 

『ライザーさまの「騎士」戦闘不能』

 

掌底により倒れたシーリスは一言も発することなく光に包まれ戦闘不能となる。

 

「ハァッ!!」

 

影幸がシーリスを倒した瞬間、死角から敵『戦車』イザベラが迫り、拳を振りぬいた。

影幸が敵を一人倒し一瞬呼吸を整えた瞬間を狙った拳は寸前に気が付き直撃はしなかったが、防御のためにとっさに使った杖は遠くに弾き飛ばされてしまった。

がら空きになったボディーにイザベラが拳を打ち込む。

影幸はそのまま後ろに飛ばされる。

 

「けほっ・・・まさか、ここまでやられるとは。ハハハ、少し鈍ったかな」

 

腹部に手を当て、何事もないように立ち上がった。

 

「まさか、今の一撃を防ぐとは。なかなかやるようだな魔法使い」

 

先ほどの一撃、影幸は瞬時に腹筋に力を入れ、拳が当たる直前に自ら後ろに飛んでダメージを最小限にしたのだ。

 

「戦いの戦慄」

 

身体強化の呪文を唱え影幸もファイティングポーズをとる。

そして、瞬動で影幸が迫る。

接近状態で互いに激しく拳を振るう。

 

「まさか、魔法使いがここまでやるとはな。魔法使いというのは嘘じゃないのか。

格闘家と名乗った方がいいぞ」

 

「おほめに預かりどーも。でも、俺はこれでも魔法使いなんだわな。

別にいてもいいだろ、接近戦の得意な魔法使いとか」

 

「気を悪くしたなら謝る。何分、お前のような手練れとの戦いはなかなか無いからな。

だが、いつまでも楽しんでいる分けにはいかん」

 

そう言うと、イザベラはその場から飛び退く。

どういう事かと影幸が辺りを見回すと、敵の『僧侶』美南風が札で五芒星を作り魔力をためていた。そして、そこから巨大な炎を繰り出した。

 

「(おそらく今までの戦闘はこの炎を繰り出すための時間稼ぎだったのだろうな。)

だが、俺をなめてもらっちゃぁ困るな!!」

 

そう言って影幸は腕を突き出し、

 

「杖よ」

 

離れた場所にあった杖を手元に呼び寄せた。

そして影幸はその杖を地面に突き刺した。

 

「解放 術式展開」

 

そう一言放つと杖に付いていた龍の咥えていた緑色の玉が砕け、その欠片が影幸の周りを漂い、魔方陣を描いていく。そして魔方陣が出来上がり、影幸が迫り来る炎に手をかざす。

すると、炎は見る見るうちに小さくなっていく。

 

「「!!??」」

 

その光景にイザベラと美南風は驚愕の表情を浮かべる。

そして、終には炎が無くなり、残ったのは拳を突き出した姿の影幸と燐光ろ放ち崩れていく魔方陣。

 

「パス・アン・ビリカル

契約に従い、我に従え 炎の覇王

来れ浄化の炎 燃え盛る大剣

ほとばしれよ ソドムを焼きし 火と硫黄

罪ありし者を 死の塵に

     燃える天空!!」

 

炎系の広範囲焚焼殲滅魔法が放たれる。先ほどの炎や、カーラマインの放った炎とは比べ物にならない熱量が二人を襲う。

 

見るからに動きづらい服装の美南風は逃れる事ができず声を上げる間もなく倒された。

だがイザベラはとっさに回避行動をとり逃れる事が出来たが、完全に避けることができず、大きな火傷を負った。

 

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

 

肩で息をしており、片膝をついていた。

 

「終わりだ。俺を倒そうとするのは止めな」

 

「だからと言って、止めるわけにはいかない。私は誇り高きフェニックス眷属だ。

この身が果てようともキサマを道ずれにしてやる」

 

そう言ってイザベラは影幸を睨む。

 

暫らく互いににらみ合っていたが、

 

「別に、もうやらんよ」

 

そう言って影幸はその場に座り込んだ。

 

「何?」

 

「ここから先はあいつらの戦いだ。俺はそのためのステージで前座をやってただけさ。

流石に脇役が主役の出番を奪うわけにはいかないからな。それに、アンタはその状態じゃまともに動けないだろ」

 

「だが、レイヴェル様が貴様に攻撃するかもしれんぞ」

 

「ああ。あの『僧侶』ね。あの子結構賢そうな感じしてるから、実力差は理解してると思うからわざわざ自分から突っかかることは無いと思うけど、そこんとこどうなんだい?」

 

「ええ、さすがの私もあなたに手を出して無事に済むとは思えませんわ。

それに、たとえ私がお兄様の援護に向かっても役に立つとは思えませんわ」

 

「ほらな。賢明な判断だ」

 

「ええ、ですので私は〈監視〉をしますわ。あなたがここにいる、それがほんとかどうかをイザベラと共に監視しますわ」

 

「そうすれば俺も動くに動けないわな。成程、悪くない考えだ。

俺としてはこの場で無傷のアンタが向こうに言って主役の邪魔をしないように見張らなきゃならんし、こりゃ互いに動けんな」

 

そして、校庭にイザベラ、レイヴェル、影幸の三人の膠着状態が発生した。

 

(さーて、イッセー。前座は出来上がった。あとは主役のアンタの仕事だぞ)

 




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では、次回をお楽しみに。

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