ハイスクールD×D§転生魔法使いの非日常§(仮)   作:ヘタレ権三郎

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今回は、前回の後書きに書いた番外編です。

それと、遅いかもしれませんが、ここ最近、ずっと三人称で書いてきました。
今までほぼ影幸君視点だったんですが、それじゃぁつまらないと思い三人称で書いてきました。読みづらかったら感想欄で意見を受け付けています。


Extra STORY:狐と堕天使、そして月夜のおでん

 ミッテルトを預かって数日。最初のころに比べて表情も明るくなってきた。

最初のころはレイナーレに捨てられ、悪魔になったアーシアに対して罪悪感があったのか、始終顔を下げたままでいた。

それも、今では少しぎこちないながらも笑顔を見せるようになった。

 

これは、そんなある日の出来事だ。

 

     ~     ~

 

「ただいま」

 

「あ、お帰りっす」

 

影幸が家に帰ると、ミッテルトが出迎えた。今の彼女の服装は白のシャツに紺のカーディガンを着ている。

流石に家の中でも四六時中ゴスロリはどうかということで影幸が買い与えたものだ。

 

          閑話休題

 

「ただいま、ミッテルト。今日なんかあったか?」

 

「なんも無かったっすよ。にしても、広い家っすね」

 

「まぁ、魔法使い、或はそれに類するものの住処ってのは、こんなもんだよ。

それに、そういう者たちの家ってのは防衛用の術式が仕組まれてたりするんだ」

 

「え?ってことはこの家にも?」

 

「ああ、というより、撃退用かな?研究成果とか、研究資料とか盗られたらたまんないからな。

術式の内容としては〈自主規制〉とか〈閲覧禁止〉とかがあるから、下手に入ろうものなら、即○○だな」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

あまりの内容にミッテルトは硬直してしまった。

 

「まぁ、ミッテルトは登録しといたから大丈夫だよ。心配すんな」

 

(いや、むしろ侵入者を心配するっすよ!!)

 

それから、影幸は自室に荷物を置き、縁側でくつろぎ始めた。

そこに、ミッテルトが近付き、

 

「今日の夕飯どうするっすか?」

 

「そうだな、まだ少し寒いから、温かいもんにしようかね」

 

「温かいものっすか?う~ん・・・鍋とか?」

 

「さすがに、鍋は熱いかな。

・・・ん~・・・確か今日は満月だったよな・・・」

 

「え?確かそうだった筈っすけど・・・それがどうしたんすか?」

 

ミッテルトが月カレンダーを見ながら答える。

 

「とっときの店を知ってるんだ。夜はそこに食いに行こう。

よし、そうと決まれば少し準備をしないとな」

 

そう言って影幸は立ち上がり台所に向かう。

 

            ~      ~

 

そして、その日の夜の10時頃、影幸とミッテルトは夜道を歩いていた。例のとっときの店を探して。

 

「あの~、その店ってどこにあるんすか?」

 

「う~ん、たぶんこの先?」

 

「いや、疑問形で聞かれても・・・ってか知らないんすか!?」

 

「知ってるけどどこにあるかわからないんだよな・・・ま、そのうち見つかるだろ」

 

「そんな、呑気な・・・ッ・・・スンスン・・・何かいい匂いが・・・」

 

「お、噂をすればなんとやらだ、あそこだぞ、ミッテルト」

 

そう言って影幸が指差した方向には屋台が一つあった。

影幸がその屋台に近付きミッテルトもそれに続く。

 

近付くと屋台の周りでちょこちょこ動く後姿が見えた。ミッテルトはもっとよく見ようとそれに近付くとミッテルトに気づいたのか、それはこちらを振り向く。

すると、ミッテルトと目が合う。黄金色の毛に三角耳、背中で同じ色の尻尾が揺れている。しかも二足歩行で、和服を着て三日月にススキの模様の前掛けをしている。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「キ、狐ーーーーーーーーーー!!!!!」

 

「わぁっ!!」

 

互いに驚きあい奇声を上げる。

 

「おや、お客様ですか。いらっしゃい」

 

「ま、また出た!しかも今度はおっきいの!!!」

 

屋台の暖簾を退けて顔を出したのはミッテルトの言った通り大きい狐だった。

こちらも二足歩行で子狐と同じ前掛けを付けている。

 

「よ、ダンナ久しぶり」

 

「おや、ジンさん。お久しぶりですね。ささ、こちらへどうぞ」

 

「おう、取りあえずおすすめ二人前よろしく」

 

「はい、かしこまりました」

 

そう言って親狐は屋台に戻る。

 

「ミッテルトも座れよ。ここのおでんは美味いぞ~♪」

 

ミッテルトは少し困惑しながらも席に着く。

すると目の前に大根、餅巾着、こんにゃくなどのおでんのネタの入った皿が出される。

 

「よし、いただきま~す」

 

「い、いただきます・・・ッ・・・うまい!!」

 

「それは、よござんした」

 

「だろ、ミッテルト。ここのおでんは美味いだろ?」

 

「スンゲェ美味いっす!!特にこの油揚げ煮たやつ」

 

「ははは、そりゃ狐ですから。油揚げにはより一層こだわってますよ。

・・・ところでジンさん。こちらの方は?人間ではないのは確かですけど・・・」

 

「ああ、ミッテルトは堕天使だよ。わけあって今預かってるんだ。害は与えないから心配すんな」

 

「そうですかそうですか。・・・おや」

 

ダンナが顔を向けたところには子狐が影幸たちを、正確にはミッテルトを見ていた。

ミッテルトもその視線に気づいたようで顔を向ける。

 

「ああ、さっきは驚かせてごめんス」

 

「ううん、いいの。・・・お父さんのおでん、おいしい?」

 

「おいしいっすよ♪」

 

「えへへ、ありがとう///」

 

そんな二人の様子を見て影幸たちは顔を合わせ笑いあう。

 

「よし、ダンナ。熱燗よろしくー!その後は焼酎で、後、泡盛!!」

 

「ハハハ、御体壊しますよ。飲みすぎには気を付けてくださいね」

 

「そんなん、平気平気♪」

 

そうして、楽しい夜の食事の時間が過ぎていった。




番外編、いかがでしたか?
次は原作二巻のお話となります。
お楽しみに。

お気に入りが60人以上になっていてとてもうれしいです。激励の感想をいただくとめっさうれしいです!!!

これからもお付き合いのほどよろしくお願いします。



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