だって、なんかその、派手さがオリ主主観のみだとちょっと・・・。
描写したいことの半分しかできないし・・・。
今回2.5話分ほど書いてしまいました。勘弁願います。
【Sunday,February 19 2096
Person:operator4 】
『各員、配置完了しました。狙撃用意、問題ないです』
「了解した。必要に応じて行動せよ。こちらはフィールドに潜入した」
『了解。御武運を』
狙撃班からの通信を完了した後、現状を確認する。
「状況は?」
「一番乗りは我々ではなく、"目標"です。次いで我々、また"アンジー・シリウス"が此方に接近中です。また、第一高校生徒、及び"抜刀隊"、"四葉の回収部隊"が次いで向かってきてます」
「分かった。"ブラボー"は"アンジー・シリウス"の足止めに向かえ。仕留めることは主目的としなくていい。きつい仕事だが、頑張ってくれ。チャーリーはブラボーとは反対方向に展開。これ以上の勢力の乱入に備えろ」
その指示と共に、それぞれの分隊が移動を開始する。
「さて、アルファ。お前達は、俺と一緒に来てくれ。"目標"を"確保"する」
「了解」
その返事を聞くと共に、"目標"の傍まで見つからないように進む。
ちょうど目標の傍の茂みまでたどり着いたところで、派手な爆発音が聞こえた。
ソレと同時に、無線から連絡が入る。
『こちら"ブラボー"!"アンジー・シリウス"と交戦!指向性地雷で牽制を掛けました。もうちょっと時間があれば仕留められたんですがね』
「気にするな。目的は唯の足止めに過ぎない。散発的攻撃を続けろ。相手の集中力を削げ」
『了解』
そう応答を返す。
"ブラボー"は初動はよい出だしを得る事が出来た。
ならば、此方は此方の仕事を果たすまで。
「アルファ、行くぞ。目標を仕留める」
その言葉と共に、茂みから飛び出す。
爆音に気をとられ、ほぼ背面を向けていた"目標"の内、男性の宿主の一人を居合いの構えから斬り伏せる。
相手を斬ると同時に、その"刀"に仕込まれていた"逆再成"と呼べるものが発動。一瞬で、"封印された宿主"が出来上がる。
一拍も置かず、今度は女性の宿主に、向かい、上段から一気に叩き斬る。
残りの一人がこちらに対応をしようと構えを見せるが、遅い。
柄頭を相手の顎に当て、一瞬の隙が出来た所で斜めに斬り伏せる。
一気に、"目標"十二体の内、三体を無力化。
真に驚くべきは、やはりこの"日本刀"の完成度と言ったところだ。
もし、これが最初からあったら今まで苦戦することもなかったと思えるほどだ。
返り血の一切無いその"日本刀"を、鞘に収める。
残り、九つ。
そうカウントしたところで、"アルファ"から声が掛かった。
『閣下、三時方向から"高校生"が来てます』
その声に従い、振り向く。
「・・・最初にかち合うのは別かと思っていたが、まさか"お前達"とはな」
「・・・やはり、借哉か」
そこには、"彼"や妹さん、レオとエリカに"ピクシー"がいた。
"彼"や妹さんを除いた"二人"は、此方の格好と、その武装に困惑している様子だった。
「借哉くん、まさか・・・」
「借哉、どういうことだよ」
今現在の格好は正に"四月"の時のスーツ姿だ。この二人にとっては、高校生活で始めて出し抜かれた相手とも言っていい。
前回はまともに顔を見ることは出来なかっただろうが、今は違う。
はっきりと認識した上で、それが彼だと言うことを認めざるを得ないだろう。
しかし、そんな彼らの困惑に一々付き合っている暇も無い。
「達也、それとレオにエリカ。一つ、警告しておく」
はっきりと、聞こえるように。
「今回のことから今すぐ手を引け。
しかし、その言葉は感情を逆撫でするような効果しかなかったようだ。
今回の場合、耐え切れなかったのはエリカの方だ。
「何をっ!」
そう叫ぶと共に、エリカが武装一体型CADの刃を抜き、八相の構えの状態で突っ込んでくる。
もちろん、迎撃しなければならない。恐らくはエリカが"魔法"を行使している限り肌を撫でるだけで終わるとは思うが、だからと言って"力の差"を見せないつもりではない。
"封印用"では無い方の日本刀の柄に手を掛け、また居合いから一撃。
狙いは彼女の胴、では無い。彼女がまさにこちらに向けて、当てる寸前まで言っていたその刀を、根元から切断する。
一撃を加えようとしたその瞬間に、その為の刀が無力化されたのを気付けたのは、エリカが類稀なる天才であるが故か。
直ぐに彼女は跳躍を選択。此方の背後に回りこもうとした。
しかし、彼女には才能はどうかは分からないが、経験では明らかに此方の方が上回っている。
彼女が此方の背後に立った時には既に、彼女の目前に切っ先を突きつけていた。
何の飾り気も無い、中段からの構え。
しかし、そこには一切の無駄も無い。日本刀が生まれたちょうどその時から使い続けたのだ。恐らくは、現存する全ての剣士よりその剣術は磨かれている。
そして、エリカが剣の腕で勝てないと察したのか、素早く引いて此方の間合いから離れる。
そのような行動が出来たのも、彼女が手馴れた剣士で、かつ才能があるが故だろう。
「腕は良し。鍛え方によっては、最高の剣士になれるだろうな。だが、"俺"を相手にするには早い。経験の差、というもんだ」
そう言うと同時に、後ろから殺気を感じた。
「エリカ!」
そう叫び、レオが硬化魔法を行使し、此方に突っ込んでくる。
ソレに対して、あえて彼の方を向かず、そのままの体勢で彼の鳩尾に肘打ちを食らわせる。
その衝撃に、レオが一瞬の隙を生む。これで気絶しなかっただけ他の戦士と比べても数段レベルが違うが、それでも"隙"には変わらない。
速やかに組み付き、地面に叩き伏せる。
しかし、まだ気は抜かない。レオはまさに今地面に叩きつけられても意識を保ち続けているし、何よりエリカもこちらに殺気を放っている。
そして何より、封印した"宿主"を殺害し、"パラサイト"を解放する為に他の"目標"まで集まってきているし、またそれを目的にアンジー・シリウスや、"抜刀隊"まで直ぐ傍まで来ていた。
「邪魔なんだよ。これは、高校生が首を突っ込める問題じゃない。分かるな?」
「だからと言って、易々と手を引く訳にも行かないな」
そう言って、"彼"もCADを引き抜く。
しかし、次に此方を襲ったのは彼による"分解"でも、または別の魔法でもなく、全く別の角度からの"雷撃"だった。
恐らくは、遠くにいる幹比古からの古式魔法か何かだろう。
しかし、"魔法"である時点で、こちらにダメージは一切与えることは無かった。
その事に対しても、"彼"以外の全員が驚愕の表情を見せている。
"防いだ"でも"避けた"でもない。そもそも"効いていない"のだ。"彼"にとっては今更驚くまでもないだろうが、今までの常識に縛られていた他の者達からすればありえない光景だっただろう。
「だったら!」
半ば投げやりとも言っていい様子で、予備の武器を構えるエリカ。
しかし、此方に向かう前に別の"人影"が間に割り込む。
「駄目だ、エリカ!」
そう叫び、刀を抜きながら割り込んだのは、他でもない彼女の兄だった。
千葉修次。日本では最有力の剣士であり、"千葉の麒麟児"とも呼ばれる彼。
その彼自身が、刀を抜き、今まさに此方に飛びかかろうと"していた"。
その瞬間を狙ったかのように、彼の両足に穴が開き、
一拍遅れて、銃声が響く。
「ぐっ?!」
全く予想外の銃撃に、彼は苦痛の声と共に前へ倒れこむ。
『予定外の目標を無力化。引き続き監視を続行します』
「よくやった。次厄介なのが現れたらその時も頼む」
『一発で撃ち抜いてやりますよ。それでは、一旦切ります』
そう軽口を叩く狙撃班の一人に苦笑を浮かべつつ、通信を切る。
この射撃はまぎれもなく、特戦の狙撃班によるもの。どのような手練であっても悟らせずに一撃を加えるその腕は間違いなく一流と言っていい。
千葉修次の傍に寄り、肩を貸しつつ一旦"彼"の方へ引いていくエリカ。
そして、それを庇うかのようにレオが間に立ち、その後ろには"彼"が構えている。
「借哉、お前、一体何者なんだ」
最早完全に敵を見る視線になったレオに対し、"四月の時の言葉"を言う。
「其れは"蛇"とも呼び、"猫"とも呼ぶ。"牛"とも呼ぶし、"狐"とも呼ぶ。"烏"と呼ぶものもいれば、"兎"と呼ぶものもいる」
「・・・!」
「お前は、なんと呼ぶ?他の奴らのように、"烏"とでも呼ぶか?」
その直後、爆音が森を包む。
同時に無線から各隊の連絡が入る。
『こちら"チャーリー"、現在"抜刀隊"の一隊を指向性地雷四個により無力化!現在はほぼ壊滅状態!しかし、その他の足止めが効きません!』
『こちら"ブラボー"、アンジー・シリウスが他の"目標"に向けて、こちらの包囲網を突破します!押さえ切れません!』
『こちら"アルファ"、"目標"の数、十時方向から六、八時方向から三!』
此方がその報告を聞くと同時に、"彼ら"の側でも"目標"を把握したようだ。
「・・・ここはどうしようもない。レオは修次さんを連れて一旦引いてくれ。エリカは左の三体の方を頼む。幹比古が後は何とかしてくれる。こっちは深雪と一緒に右の方を片付ける」
「・・・でも」
「今ここで時間を浪費する方が惜しい。恐らくは、この場の誰も"彼"に勝てない」
そう"彼"に窘められ、苦い顔をしつつもエリカは納得したようだ。
そして、同時に此方がこれ以上"彼ら"を追えない事も把握しているのだろう。だからこそ、"彼"はこんな指示を出したと見える。
「"こちら"がお前達を見逃すと思うか?」
「"お前達"は今三体の"パラサイト"を抱えている。ここで奪われたくない以上、戦力の規模的に言っても"高校生ごとき"に構ってる暇は無い。"シリウス"からも守らなければいけない以上、それは尚更だ。」
「・・・全く、これだからお前の相手は苦労する」
そう、現状の問題は今現在此方で"確保"した"三体"の"目標"だ。
これの"殺害"を目的にする"アンジー・シリウス"、回収を目的とする"抜刀隊"も確認できている。これらを一度に相手にすると仮定した場合、戦力を防御に集中させなければいけなくなる。
そして、そうなる以上態々"彼ら"に構う暇は無い。十二体全てを確保することはこの先もほぼ不可能になる可能性が高いが、最悪"回収分"は"培養"で補填してしまえばいい。どこまで"培養"を進めると力が弱まるかにも寄るが、三体もいれば元の分までは培養でも問題ないレベルだろう。
はっきり言って、これ以上の敵対の必要はない。だからこそ、"彼"はソレを選択したし、此方もその選択肢しかなかった。
「・・・後片付けはどうせ"我々"がするんだ。せめて、全部仕留めろよ」
「言われるまでもないな」
そう言って、皮肉げに笑いながら"彼"が返す。
「まぁ、結局"動けなかった"ような組織にはソレが精一杯なのかも知れないがな」
「お前は気楽でいいよな・・・。こっちは"あれ"を潰そうと思ったら最大級の地雷を踏み抜いたような状態なのに」
「お前達が動けなくなるほどか。それは気になるな」
「本当にそれこそ"知らない方がいい事"だ。お前も弁えるんだな・・・全く。嫌なこと思い出させやがって」
そう愚痴りながら、無線を取り出し、各隊へ連絡を取る。
『各員へ告ぐ。現在確保した"目標"三体の回収へと移行する。"アルファ"から"チャーリー"はこちらに集結。狙撃班は掩護を頼む。回収用のヘリが三分後に隠しておいた場所からこっちに来る。そのヘリで現地部隊を回収し、一旦作戦区域を離脱するぞ』
その言葉に各隊からの了解の意を聞いた後、通信を切る。
「さて、これ以上欲を出しても碌な結果にはなりそうにもない。"我々"は早々に離脱の準備に掛かるとしよう。じゃあ、くれぐれも"此方の手を煩わせることの無いように"、な」
「出来る限りの事はやるさ」
そう返した"彼"に背を向け、"目標"の傍まで近寄る。
既に"アルファ"は到着していて、着陸場所を示す発炎筒の周りで輪形陣を組んでいる。
及第点とも行かない。最悪だけは免れたとしか言いようの無い結果だ。
しかし、それでもこの予想外の事態が続いた中では上出来な結末だった。
素直にそう思いながら、煙草に火をつけた。
題名に再会と書きました。二つの意味で確かに再会。ただし決して友好的な意味ではなかったっていう。
とりあえずこの後急いで番外編という名の多角的視点からの戦闘シーンを書き上げます。まぁ、見ない方もいると思うのですがね。
ということでここで次回予告を行います。次回はヘリで撤収します。大型輸送ヘリと表記すると思うけど、イメージではチヌークっていう。
【追記】誤変換を一部訂正。