魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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タイトルに久しぶりに平仮名を使いました。これ以外に今回の話を表現する手段を自分は知らないので。

後、一応時系列整理です。

16日(月)目標1及び目標2に発信機つきの銃弾を撃ちこむ。同時に目標2に戦闘不能状態にされたレオを発見。病院へ搬送させる手続きを整える

20日(金)目標2の宿主(チャールズ・サリバン)死亡。オリ主は近辺を危険地帯と認識。オリ主勢力は一時撤退。千葉エリカ及び吉田幹比古がそれぞれシリウス、目標1と交戦。司波達也による介入発生。

21日(土)司波達也と七草真由美、十文字克人が会合。情報共有の約定

28日(土)目標1とスターズ、及び司波達也が交戦。目標1は離脱。その後、スターズと司波達也とその他が交戦する。

29日(日)千葉エリカ、吉田幹比古、七草真由美、十文字克人、司波達也が会合。この会合により千葉・吉田連合と七草・十文字連合は協調路線を取る事が確定。

30日(月)目標1が第一高校に侵入、及び撃退される。


そして、31日(火)。事態は、舞台裏で急展開を迎える。


第八十二話~未知の恐怖~

【Tuesday,January 31 2096

  Person:operator4    】

 

 

 

 

 前回の撤退から一週間と少しが過ぎていた。

 そして、その後の推移は悪化していく一方だった。

 

〔moderator1:二十八日深夜にて"目標1"と"スターズ"、及び九重寺の僧兵と"彼"が交戦。発信機を取り付けた銃弾を"目標1"に撃ち込み、三十日正午あたりに"殺害"。以上が監視カメラによる映像の分析によって判明した結果です〕

〔operator4:資料を見る限り、"目標1"は宿主から離脱した後、"彼ら"と戦闘行動に入ったように見える。一応"彼ら"が寄生されてないかチェックする必要があるだろう。もし寄生されていない場合は、"目標1"は生身の人間に寄生できるほどの力はないはずだ。しばらく危険性はないかも知れないが、これは怒られるな〕

〔moderator1:問題は今だ行方が分からない"目標2"です。カメラに映った全人物の解析を進めていますが、それらしき対象はいません〕

 

 しばし唸る。危険性はだいぶ収まったのかもしれないが、既に目標は分かっていた宿主から離脱している。

 

〔operator4:USNAのパラサイトはどうなってる?〕

 

 この質問に対しても、帰ってきたのは聞きたくない答えだった。

 

〔moderator1:連絡がありました。スターズ、及びスターダストによりUSNAに残っていた残りの二個体も"殺害"されたとのことです〕

〔operator4:・・・数が違うとは言え、No1は失敗したのか。最悪と言っていいかもしれないな。他勢力の動きは?〕

〔moderator1:七草・十文字連合、及び千葉・吉田連合は活動が沈静化。対して独立魔装大隊は前述の通り活性化。また、九重寺にて異常な活動の活発化が確認。横浜の中華系勢力も不穏な動きを見せています。"彼"が介入した影響か、四葉にもそれなりの動きが〕

 

 事態は此方にとっては泥沼以上の物にまで悪化している。もはや、"最善"を求める時期は過ぎていた。

 

〔operator4:・・・他のパラサイトの所在は?〕

〔moderator1:対象は確認できましたが、根城の特定には至っていません。動いた方がよいでしょうか?〕

〔operator4:・・・確保するには時間が足りない。七草・十文字連合と千葉・吉田連合が協調路線をとった以上、楽に進むとも思えない。となると、方法は一つしかないな〕

〔moderator1:と、言いますと?〕

〔operator4:他勢力に"目標"を確保されるわけには行かない。今現在我々はどうせ動けない。ならば、いっそのこと"リセット"するしかない〕

 

 嫌な物が貯まるような気持ちを抑えながら、続ける。

 

〔operator4:四葉に連絡をこちらで掛けておく。現存する全ての目標のデータを整理した後、此方に送れ。他勢力に万が一でも"確保"される訳にはいかない。遺憾ながら、一旦現存する全ての"目標"を"殺害"する〕

 

 普通ならばこの言葉には異議が出てくるだろう。しかし、最早此方の状況は日刻みで悪化していっている。今現在の手段はこれしかなかった。

 

 そして、その事を理解しているのだろう。実際異議が来ることはなかった。

 

〔moderator1:・・・了解。対象をカメラにて監視、殺害が確認された後は特定作業に入ります。並行して、各勢力の監視を厳にして続行します〕

〔operator4:任せた〕

 

 

 そこで、一旦パスを切る。

 

 

 使いたくない勢力を使う。決断としては今でもどうかとは思う。

 しかし、これ以外に方法が無いのも事実だった。寄生される危険性の中、貴重な手駒を使うわけにも行かない。"四葉"ならいくら消耗しようが此方にとって問題はない。また、要求されたことを実行可能に出来る能力も持っている。

 

 

 "家"に備え付けられた、衛星電話を取る。

 本来は盗聴の心配が無いように"信頼できる手駒達"の間のみで使用している通信衛星を、"四葉"にも使えるようにしたのだ。

 

 勿論、宛先は四葉真夜へ直通になっている。こちらとしてもそのつもりであったし、彼女自身がそれを望んだのでもあるのだが。

 

 

 その彼女へ、手に取っていた衛星電話で通話を掛ける。

 

 一分ほど後、通話が繋がった。

 

 

『珍しいものね。貴方から直接連絡を掛けるなんて。何時もの"御遣い"は使いを寄越していたというのに』

 

「緊急の要件だからな。別に盗聴される心配は無いのだからいいだろう」

 

『まぁ、それもそうね』

 

 何かしらを察していそうで余計なストレスが掛かりそうだったが、重要なのは今の自分の精神衛生などではなく、目先の事態への対処だ。

 そう思い直し、話を続ける。

 

 

「さっきも言ったとおり緊急の用件だ。二日以内に対処を完了させろ。やることは」

 

『"切り取られた一部"に寄生された、日本にいる全ての"宿主"の殺害、でしょう?"確保"ではなくて』

 

 

 

 

「・・・は?」

 

 

 

 いきなり言葉を割り込まれ、しかもその内容に頭の理解が着いていかなかった。

 同時にコマンドから緊急での呼び出しが掛かり、パスが繋がらないまま内容だけが出てくる。

 

〔moderator1:緊急の連絡です!先ほど、四葉の分家、黒羽が一斉に活性化。また、四葉勢力化の情報収集部隊も同時期に活動を開始しました!数分前、四葉当主から黒羽当主に向けた通信が行われた形跡を発見!どうみても異常です!指示を!〕

 

 しかしそれに対して返答を返すことが出来るほど、まだ理解が追いついていなかった。

 今だこちらを呼び出すコマンドを無視したまま、心から何も無くなったような気分のまま、彼女へ疑問をぶつける。

 

 

「どういうことだ。何故、知ってる。何故、"お前達"が、"あのパラサイト"の正体を知っている。何で、此方が要求しようとしたことを知っている。何故、"お前達"が"あれを無力化ではなく、確保しなければならない"と知っている?!」

 

 

 もはや、"四葉"を、"四葉真夜"を、信用できないが使える手駒と見ることは出来なかった。

 一年ほど前から様々な未知を経験したが、今目の前にある"未知"には、耐え難い恐怖があった。

 

 

 今更、ここまで恐怖を感じることが出来たのか。そう思いながら、しかしまだ恐怖の渦の中に自らの心を置いたまま、答えを待った。

 

 

『あら、まさか貴方がそんな反応をするとはね。中々に面白い物ね、この世界も。

 

 "私"が、貴方達の意図を知っているなんて、当たり前でしょう?』

 

 

 

『だって、"あのお方"(創造主)の知り合いって言うのは、"私"の事なのですから』




最大級の伏線を回収。
詳しい事は物語の中で。

ただ、一つだけ言うと、この物語、オリ主勢、及び"創造主"のモチーフの元は、原作で伏線としてあった"あのお方"です。今だ連載しているなかやるべきではないとは分かっていましたが。


後、来訪者編を日が昇ってから落ちるまで読んだ結果、とりあえずある程度の整理は出来ました。原作片手にゆっくりと更新していこうと思います。

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