魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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始めてのお互いのきちんとした会話回。めちゃむずい


第六話~邂逅~

【Monday,April 4 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 一年E組の教室は、既に何人も人がいた。

 

「席もそこまで遠くはないし、改めて、これから1年よろしくな」

 

 駅で合流したレオと一緒に席を確認したが、一列違いでさほど離れてはいなかった為、こうして話をする仲にはなった。

 本来は不必要な行為ではあるものの、滞在期間が長期に及ぶ可能性がある以上こういった関係は必要だし、ないと味気ない。

 

「あぁ。よろしく頼む」

 

「にしても余り遅れてきたつもりはないんだが、結構人がいるな」

 

「それはそうさ。一応は皆始めての高校生活だからな。早めに来ておくに越したことはないだろう」

 

「それもそうだな。とは言うものの、そこまでやることもないんだけどなー」

 

 確かに、現状やることがないように見える。

 だが、一応今の段階でも一通りの書類を見ることはできるようだし、受講登録も問題なく進むことが出来る。

 レオの、後ろに座る生徒のように。

 

 "彼"も同じE組だったのか。

 

 この偶然には笑わざるを得ない。消す時には便利かもしれないが、消した後は面倒極まりない状態だ。消せるのかどうかという問題は置いておいて。

 

 彼を見ていると、まず最初にキーボードオンリーの入力方法、その次にその速度に目が行く。

 だが、ソレよりも注目すべきは流れるように画面の情報を把握していることだ。

 私事で端末を使うぐらいではここまでのスキルは身に付かない。まだ"彼"の身辺調査の結果は届いてないが、この様子だとエンジニア関連か、それとも軍のオペレーターの仕事についているか、もしくはそういう職の人から教わったのか・・・。

 

「・・・別に見られても困りはしないが」

 

「あっ?ああ、すまん。珍しいもんで、つい見入っちまった」

 

 どうやらレオも"彼"のことを見ていたらしく、彼の言葉に反応していた。

 

「珍しいか?」

 

「珍しいだろうさ。"昔のキーボード"ならタイピングオンリーも別に分からんでもないが、"この端末のタイプ"でのキーボードオンリーってのは今はほとんどいないからな」

 

 これは事実。キーボードオンリーで入力する輩は昔ながらのキーボードの"タイプしている"感覚に囚われすぎ、今のキーボードのような昔よりは柔らか目の感触ではいまいちしっくり来ないという者が多い。

 個人的にも、キーボードオンリーで入力するなら21世紀初頭にあったようなキーボードの方が好きだ。

 

「慣れれば今のキーボードでもこっちの方が速いさ。視線ポインタも脳波アシストも、いまいち正確性に欠ける」

 

「それよ。すげースピードだよな。それで十分食っていけるんじゃないか?」

 

「いや、アルバイトが精々だろう」

 

「そぉかぁ・・・?おっと、自己紹介がまだだったな。西条レオンハルトだ。親父がハーフ、お袋がクォーターで外見は純日本風だが名前は洋風、得意な術式は収束系の効果魔法だ。志望コースは体を動かす系、警察の警備隊とか、山岳警備隊とかだな。レオでいいぜ」

 

 "彼"や、レオの視線がこちらに向く。

 これが、"彼"との始めての邂逅か。

 そう思いながら、自己紹介を始めた。

 

 

「俺は河原借哉。魔法が得意ではないからエンジニア系が志望コースになるんじゃないかな。借哉、で構わない」

 

「司波達也だ。俺のことも達也でいい」

 

 

 お互い、初見って訳でもないのだけれど。

 

 

 




やっぱり絡ませるなら入学式の次の日だよね。ソレが一番いいかんじ。
もうレオもエリかも柴田さんにも気づかせずに二人の中では腹黒いやり取りが続くんでしょうねこれ。そんでもって密談の回数もきっと増える。

次は恐らく達也回。まだまだ事態は静かなままだと思う。

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