魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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どうも前回の時系列設定について原作の読み込みが甘く、違和感を感じさせる代物となっております。具体的には16日の一週間前に学期が始まると考えた場合、達也が言っていた「一週間リーナを観察した結果」のところで推測される時間の流れと矛盾してしまうといったところです。今回はそのまま進めますが、違和感を感じる方には申し訳ありません。

そして、なんか詰め込み感が酷い気がする。出来るだけ不自然にならないよう努力はしますが、そこに関しても出来れば寛大に見て下さるとありがたいです。

さて、本編です。


第八十話~狐狩~

【Monday,January 16 2096

  Person:operator4    】

 

 

 

 

 

 深夜の渋谷にて、影の中を動く者達がいる。

 スターズ、七草・十文字連合等がそれに該当するが、もう一つ。

 それが、目標の"確保"を目的として動く、"我々"だった。

 

〔moderator1:全員の準備、完了しました。特殊作戦群の指揮はそちらへ移行。"狩り"はいつでも開始できます〕

〔operator4:"周り"の様子は?〕

〔moderator1:好ましくありません。"目標"のニュースが世間でも出てきました。スターズも情報を把握、追跡を開始。また七草は十文字との連携に入りました。その他には警察の側にも何かしらの動きがあります。遭遇戦の可能性は充分にあるでしょう〕

〔operator4:了解した。"狩り"を開始する。邪魔になるなら二つとも"潰す"つもりでいろ〕

〔moderator1:了解〕

 

 その言葉と共に、パスが切れる。

 

 

 設定していた期限が過ぎ、情報もある程度は集まった。

 しかし、"目標"が誰なのか、どこを根城にしているのかに関しては完全に把握は出来なかった。

 その点を加味し修正を加え、"今日"から本格的に"狩り"を始める。

 もちろん直ぐに目標の"確保"を達成できるとは思っていない。最初は、"頚木"を打ち込む事さえ出来ればよい。

 

 

『各員、作戦を開始する。目標とは別の勢力が二つ、介入する可能性がある。そのいずれに対しても交戦を許可する。全力を尽くせ』

 

 無線にて作戦開始の指示を出し、"目標"を狙える狙撃ポイントまで移動する。

 七・六二ミリ弾を使用する競技用ライフルを抱え、屋上へとたどり着いた時、"一人目の目標"の姿を確認した。

 

「"目標1"を視認。現在は他勢力と交戦中。あれは・・・スターズか」

 

 そう無線越しで言うと、無線から別の報告が入る。

 

『こちらではアルファが"目標2"を視認。逃走中と思われます。撃ちますか?』

 

 その質問に対して、条件付の肯定を返す。

 

「足は駄目だ。機動力を損なわせる。相手に手負いのまま、根城としている場所まで逃げさせるんだ。胴体か、腕を狙え。その後に"目標2"が逃げ切れるように"追っ手"を足止めしろ」

 

『了解。"目標2"に狙撃の命中を確認後、スターズを足止めします』

 

 その言葉に了解の意を返し、一旦切る。

 アルファの狙撃の成否に関しては疑うことは無い。後は、こちらの持ち分をしっかりこなせば問題はない。

 

 

 目標一は仮面を被った魔法師・・・恐らくは「アンジー・シリウス」に追いかけられている。

 

 ここで下手な手段を取ってシリウスに目標を"殺されてしまう"事は避けたい。

 となると、この時点での正解は"目標の意図を大きく妨げることはしないこと"。

 

 

 競技用ライフルを構え、目標の"左肩"を狙う。

 ここならば撃たれてもさほど戦闘力、及び機動力に支障はないだろう。

 

 

 肺の中から空気を押し出し、狙いが定まったところで、一撃。

 

 

 今回使用する弾頭には発信機が埋め込まれている。貫通力で言えば下がるが、その分体内に残りやすい。恐らく"根城"で一旦弾丸は摘出されるだろうが、逆に言えば"根城"に着くまでは埋め込まれたままの可能性が高い。今回は、それを狙っている。

 

 

 目標の左肩を狙った一撃は、寸分違わずに狙ったところへ直撃する。

 目標は不意に自分を襲った一撃に驚愕した様子を見せ、そして自分を正確に貫いた狙撃手が自分の位置を把握しているのを"シリウス"の追跡によるものと"誤認"した。

 

 目標がシリウスに対してキャスト・ジャミングを掛け、その間に姿をくらます。

 

 それを確認してから、無線機を取り出した。

 

「各員、どうだ?」

 

『"目標2"に対して弾を撃ち込みました。下腹部に着弾。スターズに対する足止めも成功した為、無事に"目標2"は"根城"に帰ることができるでしょう』

 

「後の監視はこちらで請け負う。少々戦闘跡から情報を得たい。七草、及びスターズを一時押さえろ」

 

『了解。アルファはスターズの足止めを続行。ブラボーとチャーリーで七草、及び十文字勢力に対して牽制を掛けます』

 

「頼んだ」

 

 そう返し、屋上から非常用の梯子を使って降り、"目標1"が出てきた場所へと向かう。

 人気が異常に無いのは、恐らくは"目標"による結界の仕業だろう。しかしこちらとしては、態々武装を隠したり、ライフルを分解してスーツケースに収める手間が掛からなくて助かっている。

 

 サプレッサー付の二十二口径拳銃を片手に、周りを警戒しながら進む。

 四つ巴の格好となっているが、こちらの存在を誤認させやすいという意味ではある意味助かっていた。スターズは恐らく七草勢によって妨害されていると認識し、七草勢はその逆として認識してくれるだろう。そして、そのように動けるのがこちらの強みでもある。

 

 

 辺りにはまだ誰もいない。そのことを確認し、現場を確認する。

 そこには、若い男女が倒れているのが見えた。

 女性は恐らくは一度介抱されかけたのだろう。まだまともな体勢で地面に転がっている。一方男性の方は介抱している途中で襲撃を受け、そのまま目標にやられたのか突っ伏したままだ。

 

 

「・・・もしかして、あいつか?」

 

 倒れている男の背中に何故か見覚えを感じ、顔を確認する。

 

 

 やはり、見覚えのある人物だった。否、つい数ヶ月前までは身近な人物だったと言ってもいい。

 

「当たりか。しかし、レオがこの騒動に足を突っ込んでるとはな・・・」

 

 つい先日警察との接触があったのは確認できていたが、事態に介入してくるかどうかは半々に捉えていた。しかし、トラブルを好むのはやはり"彼"の友人であるが故か。だからといって今回の事に関わるのは如何なものかと思いながら、様子を見る。

 

 命に別状は無い。彼のスペックから推測するに、意識もいずれ回復するだろう。

 しかし、このまま放って置くのも妙に素っ気無く思えた。

 

 端末を取り出し、彼を病院へ搬送させる為救急車両を呼び出す。

 おそらくこれで七草参加の場所に確保されること無く彼は"まともな"病院へ運び込まれるだろう。

 

「虚構の関係だったとはいえ、迷惑は掛けたからな。これくらいの事をしても罰は当たらんだろう」

 

 しかし、今回も"彼と愉快な仲間達"は問題に絡んでくるのか。

 奇妙な運命とも取れる成り行きに苦笑しながら、その場を後にした。

 

 

 

 




恐らく七草、及びスターズに関しては最後までオリ主勢力を認識することはありません。彼らは最後まで共闘しないからね。オリ主による妨害を互いによる対立と考えるでしょう。

それでもって、多分達也達は自然と気づきそうなんですよね。そこらへん、上手く纏められるかなぁ、と思っていたり。

オリ主がレオを発見→救急車両を呼び出し"中立的"な病院へ運び出させたのは何気ない成り行きでその方がいいかなと思ってそのように。だって、警察が病院に盗聴器その他を多数仕掛けることが出来る病院が七草勢力下にあるわけないでしょう?


ところで、少々疑問が。肝心の室内の盗聴器は全部真由美さんに破壊されてるわけですが、まさか全部ドライ・ブリザードで破壊した訳じゃないですよね?そうだとすると病室が弾痕まみれになってて大変だと思うのですが・・・。

何回も原作を読み返し、そこそこストーリーを把握している自信はあったのですが、いざ形に出してみるとどうも矛盾ばかり起こる。後でもう一回読み直した方がいいのかもしれませんね。

さて、次回。オリ主が唸る。主に事態の悪化に。限りなく泥沼になります。

【追記】少々ナンバリングを漢数字→英数字へ改定。

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