魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

87 / 123
自分ではいくら最善を尽くして仕上げた文章の構成でも、やはりなんと言うか、想像通りに行かないんです。

もうちょっと、暗躍してる雰囲気を出せる時に出したい。文才が欲しいです。


第七十九話~暗視~

【Monday,January 9 2096

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 ビルとビルの間の裏路地で、二人の人物が"死体"を挟みながら話し合っている。

 いや、"話し合う"という表現は適切ではないのかも知れない。彼らは何の声も発していないのだから。

 しかし、彼らは身振りも手振りもしてはいないが、やっていることがどうも上手く行っていないと言うことは雰囲気から理解できる。

 

 

 一人が、死体の傍にしゃがみ込み死体の頭を触る。

 その後、しばらく動かなかったが、何を思い至ったのか立ち上がり、もう一人の顔を見てから、ビルの屋上まで"一足"で跳び、その場を去って行く。

 

 

 

『謎の人物が屋上へ飛び上がるのを確認。その後三十秒後に目標をロストしました』

 

「機材を用いた遠距離からの監視だからな。恐らくは魔法を使われたのだろう。方向は分かるな?」

 

『はい。今までの行動パターンと確認できた"服装"から幾通りかは既に』

 

「分かった。アルファからチャーリーはそれぞれの行動パターンに沿った監視場所に移動しろ。追尾するな、待ち構えるんだ」

 

『了解』

 

「デルタは七草勢力の監視を続行しろ。動きがあった場合は報告するように」

 

『了解です』

 

「各員、"目標"を捉えても手出しはするな。意識も向けるんじゃない。"追っ手"の存在を悟られたくない」

 

 その言葉を最後に通信を切り、隠れていた"死体の傍の物陰"から出る。

 

「もしもあいつら同士の交信が"コマンド"に近かったら盗聴も可能なんだろうが、確実に存在を気づかれる可能性のある物をおいそれと使うわけにもいかん。難儀なもんだな・・・」

 

 そうぼやきながら死体に近づく。

 パッと見は今までの"十二体"と同じ。特に目立った外傷もなく、一見は唯の衰弱死に見える。

 

 しかし、それが"アレ"による寄生行為の失敗の結果だということは、"眼"で分かっていた。

 

「生存欲、というか自己保存欲に近いのだろうな。生存と繁殖のみを目的としているようにも見える」

 

 そして、それを十二回繰り返し十二回とも失敗している。"知識"そのものは"本体"からはあまり受け継いではいないのだろう。

 

 無為に増える死体を見ながら、そう結論付けた。

 

 

 

 "創造主"様から話を聞いた後、"調整者"達全員に状況を説明し、事を進めるために動き始めた。

 しかし、恐らくここで悪戯に"目標"を追うだけでは恐らくNo1の二の舞になるだろう。それに、何より我々は"目標"の事を何も知らなかったのだ。

 何が目的で、どのように動く傾向があるか。どこを根城としているのか。そもそも元の宿主は"誰"なのか。

 

 それをまず把握することから始め、必要なものが揃った段階で一度に"決める"。それがこちらで決めた方針だった。

 その為に、こちらで持てる最大戦力、つまり"特殊作戦群予備分遣隊"まで使い、監視任務に当たらせていた。

 

 その結果は上々。たった一週間足らずだが行動パターンをある程度まで絞り込むことに成功。あと少しで"確保"に動いてもいいところまで来た。

 

 

 しかし、ここで問題も発生してくる。

 "目標"が宿主に選ぼうとした相手の約半数以上が東京を地盤に持つ"七草"の関係者だったのだ。

 これに"七草"は反応し、"七草"自身で被害者の隠匿、及び"目標"の追跡、討伐を目的として動いてきている。

 

 つまり、"目標"を"確保"すると同時に、七草に対する足止めまで行わなければいけなくなる、ということだ。

 "七草"は流石にUSNAの"スターズ"と比べると物分りはいいかも知れない。しかし、そもそも"創造主様の一部"を魔法師に奪われることそれそのものが一番拙い。何に悪用されるか、分かったことではない。

 

 

 現状"スターズ"はまだ"目標"を把握できていない為手出しはしてきてはいない。しかし、いずれ露呈するのも時間の問題だ。つまり、"スターズ"と"七草"、そして"我々"の三つ巴になる前に行動に移す必要がある。別に三つ巴でも不可能ではないのだが、不確定要素が増える羽目になる。それを座視するような愚は冒したくは無かった。

 

 

 ともかく、残り時間は精々あと"一週間"だろう。

 "スターズ"が情報を察知し、動くまでにはそれぐらいは掛かる。逆に言えば、ソレしか掛からないとも言える。

 

 

 

 コマンドを通して、"調整者"達にパスを繋ぐ。

 "期限"の設定をする為だ。

 

〔moderator1:どうしましたか?現在総員で対象の監視、調査、考察などを行い一定のデータは取れています〕

〔operator4:だが、まだ確定的とは言えないな〕

〔moderator1:えぇ。どれほど時間はありますかね?〕

〔operator4:"小虫"が騒がしくなる前に事を始めたい。期限はあと一週間だ。結果がどうあれそこで情報収集を終了し、"確保"の為に動く。その様に他の奴らにも伝えておいてくれ〕

〔moderator1:了解。ところで、一つお聞きしたいことが〕

〔operator4:何だ?〕

〔moderator1:"四葉"は使わなくていいのですか?こういった作戦には向いていると思いますが〕

 

 その言葉を、前向きに捉えることは出来なかった。

 

〔operator4:いや、むしろ今"四葉"に頼る事の方が怖い。今までの"御遣い"とは規模が違いすぎるからな。痛い腹を知られる可能性も出てくる。とりあえずあいつらには何も知らせず、今までどおり"御遣い"だけやらせておけ〕

 

 現状最も何を考えているのか分からず、怖いのが四葉だ。それを今回の案件に好き好んで投入したいとは思えなかった。

 "創造主"様が言っていた"知り合い"がどのような物かは分からないが、いるかどうかもわからないそちらを当てにする方がまだ"リスクが小さい"。

 

〔moderator1:分かりました。それでは、これで〕

〔operator4:あぁ、頼む〕

 

 その言葉で、パスが切れる。

 "目標"がこちらの"コマンド"による交信を盗聴できる"かもしれない"為、最低でも一対一の交信に抑えてはいる。だが、不便だと感じるのは仕方のない事だろう。

 

 

「"目標"は余り"野生の勘"に優れているわけでもないようだし、恐らくは上手く行くはずだ。後は、時間が来たら"目標"が"監視の網"に引っかかるのを待つだけだ」

 

 傍の"死体"を見ながら、そう独り言を零す。

 もしもこれが"七草とは無関係の人物"であるならば、警察にとって五人目の被害者になるだろう。

 

 警察の動きにも気をつけた方がいいだろうか。そう思いながら、また暗闇へと姿を消した。

 

 

 




ってことでまでオリ主は"目標"に手を出しません。狩りは銃を持って目標を狙いに行く前から始まると考えて動くスタイル。

今回あえて1月9日を警察が五人目の被害者を捕らえる日としました。理由としては、一月の二週目であること。そして、どうも雰囲気的に魔法科高校での冬休み明けの日と被っているだろうと言うこと。そして最後に、一月の第二月曜日に成人の日が来るなどと言う腑抜けた制度は恐らく廃止されているだろうという事からです。流石にゆとりの雰囲気が見え隠れする第二月曜日の成人の日は消えてなくなってるはず。多分昔の日付に戻るんじゃないでしょうかね。十五日でしたっけ?そう記憶してます。

さて、次回。これの一週間後になります。あくまで慎重に、オリ主は進めます。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。