魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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創造主様の降臨です、はい。
なおここら辺から当初の、というか独自設定が色濃くなっていきます。出来ることなら悪しからずお願いいたします。


さて、本編です。


第七十八話~杭~

【Sunday,January 1 2096

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 

〔operator4:"切り取られた創造主様の一部"・・・?それは、一体どういうことですか?〕

〔creator:あぁ。今からそこについて説明するよ〕

 

 てっきりダラスの実験で入り込んでいたものは精々"異物"だと思っていた。だからこそ、"創造主"様の発言を直ぐに飲み込むことは出来なかった。

 

 

〔creator:ここでは十一月二十五日がその時間帯であっていたかな。あの時に、私は"自我"をある研究者から借りていてね?そして、その研究者がダラスの実験に参加していたんだ。あぁ、彼自身は私の力に"取り込まれてはいない"から注意する必要はないよ〕

〔operator4:・・・つまり、ダラスでの実験の際に貴方はその影響を受けやすい場所にいらっしゃった、ということですか?〕

〔creator:理解が早くて助かるよ。流石僕が作ったこの世界の管理人なだけあるね〕

 

 素で言っているのかお世辞なのか、住んでいる次元からして違うこちらには理解さえ出来なかったが、話は続いていく。

 

〔creator:あのマイクロ・ブラックホールで出来る次元への"穴"は案外大きいものなんだね。始めて見た、という訳でもないんだけど、人間がそこまで出来るとは思ってなかったんだ。お陰で穴が閉じるまでに完全に逃げ切ることは出来ずにね、"一部"がそっちに取り残されてしまったんだ〕

〔operator4:しかし、この世界そのものは貴方の中にあるようなものです。最終的にはそちらに戻っていくのではありませんか?〕

〔creator:それが唯の僕の力の一部だったら、ね〕

〔operator4:と、申しますと?〕

〔creator:僕がそっちの世界に落としてしまった力はね、"生存欲"が強い概念体なんだ〕

 

 その言葉で、大体を理解することが出来た。

 

〔operator4:なるほど。そのまま放っておくとこの世界の人間に寄生して周り、"創造主"様が欲している"自我"を消滅させかねない。戻ってきた頃には折角精魂こめて貴方が作り上げたこの世界の価値そのものがなくなってしまう可能性がある〕

〔creator:切り取られた分より多く戻ってくるのは確かなんだけど、肝心の"そっちの世界を造った目的"が達成できなくなってしまうんだ。だからと言って消去させようとすると僕の"生存欲"そのものが消えてしまうからね。出来れば余り消耗させないように"確保"して欲しいんだ〕

〔operator4:しかし、どのように?とてもではありませんが我々の"コマンド"では太刀打ちできない可能性が〕

〔creator:君達のコマンドは管理し安いようにそれより上位の代物に対しては一切効かないからね。だからこそ、手段を用意してあるよ〕

 

 その言葉と共に、頭上から"何か"が生成され、落ちてきた。

 落ちてきたソレを拾い上げると、形は"杭"に似ているが、幾何学的模様が施されるように見える。

 

〔creator:それは君達が使うコマンドの亜種。バグとも言えるけど、あえて分かりやすい表現をすると"魔法"だよ。それを利用して作り上げた代物だ。それを対象に打ち込むと僕の力を強制的に封印、圧縮して、二十四時間後にはこちらへ向けて時限の穴を開け、僕に還元されるように仕込んである。人間達が使う魔法は"封印"しか出来ないけど、これならその後の事までカバーできるよ〕

〔operator4:これを対象に打ち込み、二十四時間保持することが目的ですか〕

〔creator:そう。それ自身は、"魔法"としての干渉力と言えばいいのかな?それは多分現存の魔法の中では最大クラスだよ。だから一回人間の魔法師の力を借りて対象を"封印"した後、それを打ち込んでも効果は出るよ。実を言うと、"似たような物を作った前例"があるからね。結構短時間で用意できたんだ〕

〔operator4:は、はぁ・・・〕

 

 "前例"、というのが気になる所ではあるが、"創造主"様の気まぐれが何かしら起こしたのだろう。面倒ごとになるかもしれないが、そもそも"創造主"様の造った世界なのだから、その使い道に口出しするのも間違いだと思い直し、無視することにした。

 

 

〔creator:それと、一つ注意〕

 

 そう、"創造主"様が注意を促す。

 

〔creator:さっきも言ったけど、その"杭"は"魔法"の概念を適用してるんだ。だからかなり物理的な条件に縛られる。一度宿主から脱出されるとその"杭"はそれが再度別の宿主に寄生するまではその"杭"を僕の一部に打ち込むことは出来なくなっちゃうんだ。だから、出来るだけ一気にその"杭"を打ち込める状況を作るように頑張って欲しい。眠らせるのはいい一例かな。宿主が眠ると寄生してる側も動きは鈍るから、その内に"杭"を打ち込むのもいい。さっき言った通り、魔法師の力を借りて一度"封印"した後に"杭"を打ち込むのもいいかもしれない。とにかく、確実に"杭"を打ち込める状況にまで持っていくことが重要だと言うことを理解してね〕

〔operator4:分かりました。動かせるところは全て動かしましょう。直ぐに出来るとは言えませんが、必ず成功させます〕

〔creator:お願いね。こっちでも出来ることはやってみるよ。"知り合い"もいない訳ではないし、そっちにもお願いしてみる〕

 

 その言葉に更に疑問が湧き、聞き返す。

 

〔operator4:"知り合い"、ですか?〕

〔creator:うん。話してなかったけど、前にこの世界でちょっとミスをしちゃってね。その時に助けてくれたんだ。色々手土産も渡したし、多分あっちも覚えてると思うんだよね。だからちょっとこれ以上自前で"自我"を保つのも厳しいんだけど、お願いしに行ってみるよ〕

〔operator4:は、はぁ・・・〕

 

 本当は"知り合い"とは何なのかを尋ねたかったのだが、これ以上"創造主"様自身に負担を強いるのも気が引け、結局胸の内に押し込むことにした。

 

〔creator:それじゃあ、お願いね。是非、僕の生きるための欲を取り戻してくれ〕

 

 その言葉と共に、パスが切れる。

 率直な所、話に着いていけないとしか言い様がなかった。

 此処までの話の中で、どうも唖然としたまま聞いていたような気がする。

 

 

 しかし、やるべき事は、はっきりしている。

 態々用意して下さった"杭"を見詰めながら、自分の調整者達に"事"に当たらせる為に連絡をつけることにした。




さて、ここでこのSS内での"魔法"の扱いについて少々解説を。

前にも書いたのですが、一応このSSは"魔法科高校の劣等生の世界をシュミレーテッド・リアリティとした場合"をモチーフとしています。そして、これも前に書いたのですが、このSS内では"魔法"とは"コマンド"の亜種です。

つまり、オリ主のように元は完全なエネルギー体、かつ"管理者"、"調整者"が使う物の劣化版であり、またその"魔法"はオリ主達には効きません。

それでは何故、"創造主の一部"に魔法の概念を用いて作った"杭"が通用するのか、と言う話になります。

これは少々難しい、と言うか自分でもかなり無理をしたなと思っているのですが解説を。


魔法と言うのはオリ主達が使うコマンドのように物理的影響を無視できるものではなく、むしろ物理的影響に大きく作用されます。もちろん魔法を使う人の"感じ方"も大きな要素ではあるのですがね。
つまり、物理的なものと物理的なもの同士での魔法での行使は物理的要素に大きく左右される、ということです。
オリ主達はそもそも物と言っていいのかどうかも微妙です。世界の管理者としてそもそも生まれてきているので、強いて言うならエネルギー体を無理矢理"物"に仕立て上げただけで、厳密には物とは言えません。だから"魔法"は通用しないのです。

一方、物と物とでの間には物理的影響が大きく作用するわけで、それに作用される魔法を適用させるには何かしら物理的なものを間に挟む必要があるのです。だからこそ"宿主から出してはいけない"訳です。また、この"杭"はこの理由によりオリ主達に刺しても効きません。


となると創造主の一部が寄生したものに対しては効くのかというと、答えは「はい」です。そもそも創造主の一部がこの世界の人間に寄生するという事態そのものがこの世界にとって想定外です。つまり、"バグ"と似た状態にあります。だからこそ、"コマンドは効かないのに魔法が効く"という一見摩訶不思議な状態が発生しているのです。魔法とコマンドが混在している状態、と言っていいでしょう。

さて、となるとどこぞやで説明しましたがお兄様の分解魔法はオリ主達に通用する、と書きました。これがどうしてかと言うと、これもバグの概念が適用されますが、これの場合"コマンドであって、同時に魔法である"という状態になっているのがお兄様が元から持っていた魔法なのです。もちろん、オリ主達の"眼"と比べるとお兄様の"精霊の眼"は劣化していますが、それはバグ故の弊害と言う物です。
簡単に言えば魔法に対しては魔法の概念が適用され、オリ主達と言った魔法より"コマンド"に近い代物に対しては"コマンド"の概念が適用される訳です。そしてその"コマンド"としての概念を適用した際の権限の高さはオリ主以上創造主以下の権限となっています。だからこそ、オリ主は殺せる訳で、かつお兄様が分解魔法を行使する際に干渉力によるごり押しなどという非効率な代物を魔法師相手にする必要が出てくるわけです。お兄様が把握してるわけではないんですがね。


自分でも言ってて訳が分からなく思えるんですが、とりあえずはこういうものだと思っていただければ問題ないかと思います。

さて、次回。時系列は次の週に渡る可能性が。自分の発想と物語を繋ぐのに少し苦労してる故、更新が遅れるかもしれません。悪しからずお願いいたします。


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