魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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ここから大きく物語は動いていきます。


第七十七話~転換点~

【Sunday,January 1 2096

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 

 新年最初の一日ももう直ぐ終わりを迎える頃、こちらは更なる厄介事に直面していた。

 

 

〔operator4:・・・で、要するにはだ。そちらで取りこぼしたものが日本にまで逃げてたから、対処をお願いしたいってことで合ってるのか?〕

〔operator1:あぁ、概ね合っている。こちらは現在"寄生"し直した輩を洗い出すのに手一杯なんだ。申し訳ない〕

〔operator4:そこは仕方ない。ただ、一体何が入り込んだ?あのダラスの実験による影響なんだろう?〕

 

 

 彼が言うには、ダラスでの実験で"何か"が入り込み、それは十二個に分裂してそれぞれが人間に寄生。それらを"確保"する為にデルタを動かしてまで行動していたようだが、スターズの"自分のことは自分で責任をとる"という方針と対立し、戦闘を繰り返した結果頼らざるを得なくなった、と言う事らしい。

 

 しかし、そもそも"何か"が入り込んだのなら"確保"する必要はないように思われる。手っ取り早く始末してしまえばそれでいい。

 No1が手間取るくらいだから強力ではあるのだろうし、物理的な攻撃はむしろ危ういとさえ見える。

 とは言え、だからこそ"確保"は更に難しいのではないか。

 

 その疑問に対して、No1が返す。

 

〔operator1:こちらから言ってもいいんだが・・・、恐らくは説明があるだろう。伝言ゲームの様になってしまうのも怖い。しばらくしたら来るはずだ。その時は頼む〕

〔operator4:・・・?まぁ、とりあえずは連絡を待つ。"眼"で見分けられるのか?〕

〔operator1:あぁ、問題ない。"あれ"は誤魔化せるほど小さいものではない〕

〔operator4:了解した。出来るだけ確保できるように努力はするが、情報を先に集めたい。何回か物理的に殺してみるかもしれん。その時は勘弁してくれ〕

〔operator1:殺しすぎると"力が弱まる"。せめて数回にしてくれ〕

〔operator4:弱くなるならそれはそれで構わんだろうに〕

〔operator1:そこも、説明されたら分かるはずだ。では、申し訳ない。頼んだ〕

 

 その言葉と共に、パスが切れる。

 

 

「・・・説明が来る?一体、誰から?」

 

 実に簡単な答えである気がするのだが、思いつかない。

 しかし、そのもどかしさを理由に立ち往生している訳にも行かない。取るべき行動を取る為に、新たにコマンドでパスを通した。

 

〔operator4:No1、No5、済まないが頼まれてほしいことがある〕

〔moderator1:新年早々、ですか。別に問題はありませんが、何がありました?〕

〔operator4:USNAの方から頼まれてな。No1は十一月後半から今日までの間に来日した外国人をチェックし、その中からUSNAの国籍を持つ人間をマークしてくれ〕

〔moderator5:私はどうすれば?〕

〔operator4:No5はNo1が割り出した人物が現在何処にいるかを探し出し、マークしてくれ。何かしら異常があったら直ぐに報告しろ。どうも一筋縄では行かない相手との事だ。抜かりなく頼むぞ〕

〔moderator5:畏まりました〕

〔operator4:こちらも現在詳しい情報を得ることは出来てない。もしも情報が手に入った場合は必要に応じて情報を共有するし、場合によっては全員で事に当てる用意もしておく。しかし、まだ規模が分からん。とりあえず現状は俺含めた三人で事に当たる。慎重に、確実にやってくれ〕

〔moderator1:了解しました。

〔moderator5:それでは行動に移ります〕

〔operator1:頼んだ。それではな〕

 

 

 その言葉の後にパスを切断し、現在の武装をチェックする。

 相も変わらず懐にある拳銃に、各種のグレネード。

 

 何時も使っている拳銃は九ミリ。いざと言う時は警察などの場所から"補給"出来る為これを選んでいるが、"静かに動く"時などは二十二口径や、四十五口径の物の方が向いている。

 横浜の時は弾薬を統一する為に四十五口径の物を使ったが、事が収束した後はやはり九ミリの物に変えている。

 

「・・・いや、変えるか」

 

 今回はほぼフォックスハントに近い。自衛用としてなら九ミリの方が都合もよいし、使いやすいのだが隠密性を考えるとやはり変えたほうがいいだろう。

 

「音のことを考えると二十二口径の物の方がいいな。一応遠距離武器も用意しておくとして、持ち運びを考えると小型になるな・・・。組み立てられるように分解しておくか」

 

 今回の武装を整理しながら、武器庫へ向かう。

 

 

 

 武器庫のドアを開けたところで、コマンドから呼び出しが掛かった。

 

「さっきNo1が言ってた"説明"の為の連絡か」

 

 そう認識し、呼び出してきた相手を確認し

 

 

 

 

 しばし、思考が止まった。

 

 

 

 

「なっ・・・・・」

 

 

 

 まさか、そんな。態々、こんなことの為に。

 しかし待たせる訳にも行かない。待たせることそれそのものが"あのお方"にとって致命的となり得る。

 

 慌ててパスを繋ぐ。

 

〔operator4:いきなりどうなされたのですか?!態々、"貴方"が説明しなければいけない事なのですか?〕

 

 焦った様子で聞いてしまうのも仕方のない事だろう。

 何故なら、"最も手を煩わせてはいけないお方"からの呼び出しだったのだから。

 

 

 

〔creator:済まないね、緊急の要件だ。No1からある程度のことは聞いていると思う。だからこそ、詳しく説明させてほしい〕

 

 

 

 

〔creator:君にやってもらいたいのは、あの実験で"切り取られてしまった私の一部"の回収だ〕




詳しくは次回にて。


【重大な追記】八十一話にて告知した通り、パラサイトの数を変更しました。投稿後時間が経ったものを変更することになってしまい、申し訳ありません。


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