達也さんは一応原作主人公だから、彼の心情も描写してあげないとね。
【Sunday,January 1 2096
Person:@;g>.=er[ "Tatsuya,S" 】
初詣が終わり、家についてから初詣の時の"少女"について考える。
この時期に、こちらをマークする外国人。年頃からすると最悪彼女が"本丸"の可能性も有るが、現段階では探りを入れてくるUSNAの一員の"疑い"があるレベルだ。それにしては、妙にこういった任務には向かないとは思ったが。
しかし、例えそれが当たりであろうとも外れであろうとも、"四葉"の当主から直接情報が齎されたのだ。その情報に恐らくは偽りも無いだろう。
(そういえば・・・)
その肝心の四葉に、何も起こっていないというのは余りにも不自然だ。否、今までの情報からでいえばむしろ何も起こっていないのは不思議がる事ではない。
しかし、"彼"が絡んでくると話は別になってくる。
"灼熱のハロウィン"以後、"彼"は魔法科高校を退学。この事は彼に関わった者は皆意外に思っていたのだが、こちらは少々複雑な事情があることを把握している。
"彼"自身が、"派手なことはするな"というこちらに対する警告を無視した為、何かしらの行動を起こさなくてはならなくなった。彼の言い振りからそうこちらは推測していた。
そのために、恐らくは十師族そのものを潰そうとしていたことも。
しかし、それにはまず最初にターゲットになっていたはずの四葉、もしくは七草に何かしらの被害が出たと言う話は聞かない。彼が動く以上四葉なり七草なり何かしらの被害を被るはずなのだが、あの日から二ヶ月経っても何も起こっていない。
水面下で進行させるほど"彼"に余裕があるようには見えなかった。彼だったら数日で済む手段をリスクは度外視して実行するはずだ。
それでも何も起こっていない。何か更に重要な問題が起きたのか、それとも"対処"が済んだのか。
思えば、あの一件以来分からなくなったことが多すぎる。
"彼"の行方、"彼ら"の現状、突然のUSNAからの交換留学、四葉の情報源、当主・・・四葉真夜の意図。
何かしら、裏で繋がっているのではないか。
特に"彼ら"については今だ独立魔装大隊や師匠、四葉などにより調査は続けられているはずだ。しかし、情報を得ることは出来ていない。
今までは何かしら動いている、という欠片だけは掴めていた。しかし、今はそれさえも掴めてはいない。
当たり前だ。今までは、恐らく"こちら"を見張る為にあえて"表に出ていた"のだ。それでいて"何かしら動いている"しか掴めていなかったのだ。むしろ、今現在掴めないのは当たり前とも言っていい。
机においてある、携帯端末に目を向ける。
"彼"の携帯端末はどうも既に処分されているようで、現在誰が掛けても繋がる事はなかった。
「借哉・・・。お前は、一体何を企んでいる・・・?」
しかし、その言葉に答えは帰ってくることは無い。
何も知りえない事が、これ程怖かったことは無かった。
「お兄様、コーヒーを淹れて来ました。入ってもよろしいですか?」
「あぁ、構わないよ」
その言葉と共に、二人分のコーヒーを持った深雪が部屋に入って来る。
入ってきて、こちらの雰囲気に気づいたのだろう。こちらのことを心配するように、訊ねてきた。
「お兄様?大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。今はさほど気にすることでもないと思ってな」
深雪に悟られては余計な不安を与えかねない。それに、何も無ければそれに越したことはないのだ。元より、何も知ることが出来ない以上何も出来ないのだから、悩むだけ損であるのは変わらない。
そう気持ちを切り替え、深雪の持って来たコーヒーに口をつける。
もう冬も中ごろで、充分寒いはずなのに、外は更に寒くなっていくような気がした。
物語的には完全に置いてけぼりになっているお兄様。まぁ現在水面下でオリ主が暗躍してる中オリ主が絡める要素など、あんまりないから・・・。
さて、次話。新年の夜、オリ主は凶報を受け取る。