魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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借哉、学校やめるってよ。

んで、初の接触。何が起こるか。


とりあえず本編を。


第六十九話~烏~

【Friday,November 4 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 

 "対日魔法師対策行動群"

 

 これは第三次大戦の沈静化の後、既に確立していた日本の魔法師社会がどのレベルまで"我々にとって危険か"によって起こすべき行動として五年間全ての管理者や調整者と協議を重ねた末に結論を出した代物だ。

 

 

 その中でも、コードナンバー666はまさに"最悪の想定"に基づいている。

 

 

 日本の魔法師社会が完全にコントロールを外れる、もしくはその可能性がある際に最終的な解決を図る為に"ありとあらゆる手段"を行使する。

 

 しかし、それにも四つの危険度によって行動が分かれている。

 

 

 まず、"α"(アルファ)について。

 

 これは十師族のみを対象とし、魔法師社会の頭脳を潰し、それに成り代わることによって"支配権"を完全な物にすると言う物だ。

 

 とは言えども、手段は決して穏やかではない。

 USNAが今だUSAだった頃に開発されていた衛星兵器"神の杖"の使用、及び直接もう一つの目標に向かって"広域消滅処理"を行うことによって魔法師社会のトップと言われている七草、及び四葉を物理的に消滅させる。

 その後は他の危険な十師族を牽制、もしくは消滅させ、魔法師社会内のコントロールをこちらに渡るように手を回す。

 限りなく物騒で、騒ぎにこそなるがまだ"大人しい"部類だ。

 

 

 次に、"β"(ブラボー)

 こちらは前述の手段ではまず十師族を潰せないと判断した場合のオプションだ。

 "α"(アルファ)はまだ直接は兵士を動かさなかったが、"β"(ブラボー)では特殊作戦群や爆撃機師団などを用い、より直接的に潰しに掛かる。

 確実に国防軍と魔法師の間のいざこざがあったと取られかねないが、そこまで行っても仕方ないと思われる場合のものであるし、これもまだ"マシ"である。

 

 

 これが"γ"(チャーリー)からになると更に物騒になる。

 "γ"(チャーリー)からはもはや魔法師を手中に収めることを放棄し、完全な消滅を狙う行動になってくる。

 具体的には魔法師全体に対して国家反逆罪の容疑をでっち上げ、抵抗する人物が居たら殺し、抵抗しなくても監禁して二度と魔法師社会そのものが構築されないように国家そのものを動かすのだ。

 日本の軍事力などは大きく下がり、正しく二十一世紀初頭のような状態にまで逆戻りするが、その状態に戻してしまうのも致し方なしと判断されるのが"γ"(チャーリー)だ。

 

 

 最後の"δ"(デルタ)はどうなのか。

 これは日本を主観としてみた場合は、最悪の事態になり得る。

 具体的には、各国に日本に対して核攻撃を仕掛けさせ、日本もろとも魔法師を消し炭にする物だ。

 軍事バランスは確実に崩されかかる。日本そのものも消えてしまう。しかし、そうでもしなければまず"日本の魔法師にこちらの管理体制そのものが無力化される"という状況になってしまった際に行われる。

 

 

 今回は、幸いなことに行う範囲は"α"(アルファ)で済んでこそいるが、それでも後始末は膨大なことになる。

 

 しかし、これを行わなければいずれ段階は進んでいく。

 "最悪の想定"の中でも、対処できるうちに対処しないと、余計に取り返しが着かなくなる。

 その事は既に弁えていた。

 

 

 後は、"成すべき事"を成せばいい。

 

 

〔operator4:退学準備は進んでるか?〕

〔moderator10:はい。しかし、よろしいのですか?〕

〔operator4:騒ぎを起こしてから辞めるくらいなら騒ぎが起こってた今の内に辞めるのが目立ちにくい。その方が動きやすいのは分かるだろ?七草のホームグラウンドで七草を潰す為に動くことの困難さは分かるはずだ〕

〔moderator10:難儀な物ですね。四葉に関しては"神の杖"で一発なのですが〕

〔operator4:油断するなよ。蟻の巣にいる女王蟻を潰したところで、巣全体が潰れたわけじゃない。女王蜂を潰した後、ガスを入れて全てを麻痺させなければならんのだ。その指揮はNo1が担当するんだがな〕

〔moderator10:この先、苦労しそうですね〕

〔operator4:そうだな。しかし、この時を逃したら何が起こるか分からん。ミスをしたらもう一週間待たなければならん。そんなのは御免被る〕

〔moderator10:そうですね・・・。御武運を〕

〔operator4:死にはしないさ。ではな〕

 

 そう言ってパスを切る。

 "事前の準備"は全て済ませた。

 既に俺は"魔法科高校の生徒"でさえなく、正真正銘つい半年ほど前までの"裏の世界の住人"としてまたこの国を管理していくことになるだろう。

 

 

 "学校用"の端末から、"彼"を呼び出す。

 恐らくこれが、この端末を最後に使用する時になるだろう。

 

 

『・・・借哉か。どうした』

 

『派手にやったらしいな』

 

 電話に出た"彼"に対して、行き成り本題を切り出す。

 何時もとは違うその雰囲気に、"彼"も気づいただろうか。

 しかし返答を待つことは無く、話を続ける。

 

『今回の連絡は、言わばお別れだ。お前達に対するな』

 

『別れ、だと?』

 

『あぁ。お前が一体"何者なのか"に関しては既に把握しつつある。だからこそ、お前には俺の"警告"を無視した代償だと理解する必要があると思ってな』

 

『・・・敢えてお前がハッタリの類を言っていないと仮定するとして、本気か?"四葉"を、潰すつもりか』

 

『不可能ではないわけだしな、不本意では有るが。まぁ、俺はただやるだけだ。それではな』

 

 

 そう言って通話を切った後、コードを発信する。

 内容は、"神の杖の最終調整"。

 これにより、"神の杖"の照準は完全に四葉邸へ向けられるはずだ。

 後は、発射時までに七草邸にたどり着き、コマンドを発動させれば後の仕事はデスクワークになる。

 

 

 

 そこで、視線を感じ、振り返る。

 

 

 そこには、

 

 

 

 黒い、少女がいた。




黒い少女が誰かなんて分かりきってるでしょう?

なお、この話も結局は最後まで暗躍で終わります。
一応ある程度の体裁は"裏話"に近い物語にしたいので。

次回、お話。なお楽しい意味ではない。

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