魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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繋ぎ回という名のオリ主のストーリーin横浜の切れ目です。



第六十七話~回収~

【Sunday,October 30 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 

「やっと来たか」

 

 そう呟きながら、空を見つめる。

 その向こうには汎用ヘリが二機がこちらに向かっているのが見える。

 

「各員撤収準備に入れ!速やかに離脱するぞ!」

 

 その命令に了解を返す兵士達。

 しかし、特に苦労している様子も無い。

 石川町の交差点を確保してから十五分後には既に援軍が到着、防衛に加わり現在は既にこのあたりは沈静化しつつある。今だ桜木町方面は戦闘は続いているようだが、既にこの騒ぎそのものが収まりつつある。

 

 

 ヘリが上空に到達し、着陸態勢に入る。

 その間にロケットやミサイルの類の攻撃も無ければ、携行レールガンによる攻撃も無く、何事も無く着陸した。

 

 

「よし、撤収するぞ!」

 

 そう言い、先にヘリに"筒"を入れ、奥に座る。

 それと同時に、コマンドから呼び出しが掛かった。

 パスを開くと、現在全体の指揮をとっているNo9からだった。

 

 〔moderator9:お疲れ様です。核は確保したと言う認識で間違いありませんか?〕

 〔operator4:あぁ、間違いない。事態も沈静化しつつあるようだ。これならこれ以上の介入は必要ないな〕

 〔moderator9:了解です。各交通制限や警戒態勢を緩めますか?〕

 

 その言葉に対して、否を返す。

 

 〔operator4:それは露骨過ぎるな。命令を出した側は既に目的を達成したと取られかねない。取りあえずはあと三時間は続けておけ〕

 〔moderator9:了解です〕

 〔operator4:それと国防海軍及び空軍の様子はどうなってる?〕

 

 その質問に対して、返答はまずまずのものだった。

 

 〔moderator9:国防海軍は潜水艦隊の展開は完了した模様ですが、海域をカバーしきれてません。本隊がグアムから戻ってくるまでは押し切られるレベルでしょう。空軍での領空防衛体制は完全に整いましたが、大亜連合の輸送手段は陸路でしょうから・・・〕

 〔operator4:"切り札"を使った交渉次第、ということか〕

 〔moderator9:そう言うことになりますね。内閣では既に交渉の用意も進め、近日中にでも講和交渉が開始されるとの事です〕

 〔operator4:朝っぱらから呼び出してそのまま待機させた甲斐があったという物だな〕

 〔moderator9:とにかく、これで目下の問題は解決するでしょう。帰還をお待ちしています〕

 〔operator4:分かった。まだ仕事は残ってる。抜かるなよ〕

 〔moderator9:はい。それでは、これで〕

 

 それを最後に、パスが切れる。

 

 

 既にヘリは離陸し、着陸地点に向かって横浜から離れつつある。

 

 

 ヘリの小窓から町を覗いてみても、先ほどよりは随分落ち着いたと思えた。

 何せ、つい数十分前まで激しい戦闘を行っていたのだ。そう思うのが自然かもしれない。

 既に横浜市内では戦線は押し返しつつあり、態々避難させる必要性も薄れてきている。

 石川町もそれらの町と比べたらまだ最前線と言えた場所だが、それでも落ち着けるほどの余裕はあったのだ。

 

 

 この騒動は、およそあと一時間ほどで終わるか。

 後の事は、"彼ら"が後始末をつけてくれるだろう。

 

 そして、その後の戦場は机の上へと移る。

 

 

 日本は机の上に"大亜連合の核"を置き、

 

 大亜連合はそれを隠すべく譲歩を迫られる。

 

 何せ軍部の暴走を抑えられなかったという大国にしてはあるまじき状態が起こした結果なのだ。

 外交問題だけでなく、これらが露呈すると軍の統制さえ完璧に成されていないと看做されかねない。

 それは大亜連合にとっても大きなマイナスとなり得る。素の為にも一定の譲歩はしてくるだろう。

 

 

 問題は、"こちら側"の一部の人間が欲を出しすぎなければいいが。

 この状態で更に大亜連合に追い討ちなど掛けた場合、確かに日本は大亜連合に対してより優位に進めるが、後の事を考えるとむしろ"強い日本"を維持しなければならなくなる。

 

 

 "強い日本であること"と"強い日本を維持すること"では大きな違いがあるのだ。

 ただそうある事というのは、特に固執する訳でもないから負担が掛からない。意地を張る必要もないから、自分の身丈に合った強さを"自然と維持する"事になる。

 それに対して、"強い日本を維持すること"というのは例えそれが日本にとって背伸びをすることになったとしても重要課題になってしまうのだ。しかも"強い日本"がほかならぬ日本の為に必要となると、更に負担は跳ね上がる。

 それが良い事かどうかを判断するのはあくまで政府の考えだろう。しかし、こちらとしては出来ればこれ以上外交バランスを崩したくない。

 そうなると、控えて欲しいと思うのが本心だった。

 

 

(まぁ、何とかなるか)

 

 

 そう根拠の無い考えを思い浮かべながら、ヘリは横浜から完全に離脱した。

 

 




最近妙に投稿が遅くなっています。理由には特に訳はありません。ベットに寝転がるといつの間にか朝になってるんです。それをループさせただけです。


とりあえずこれで核の回収は終了です。そして、横浜事変の収束後から大波乱が始まる、はず。

次回、三十一日になる予定。何のことかは、分かるはず。

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