魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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アニメ見返して少々思ったこと。

横浜編で大亜連合の兵士が構えてた携行対空ミサイル、どう見たってアレRPG-7ですよね。

イグラとかそこらへんの装備さえないのかと。それともアレはRPG-7の形をした対空ミサイルなのだろうか。いやなぜRPG-7の外見にこだわったのかと、いろいろ考えました。


まさか大亜連合の兵士は対戦車ロケット弾を高速飛翔体に遠距離から命中させることが一般兵にも可能なほど訓練されてるのだろうか。・・・そんな訳はないはず。


第六十六話~確保~

【Sunday,October 30 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 

「総員進め!攻撃ヘリの制圧射撃が続いている間に展開を完了させろ!」

 

 汎用ヘリから飛び降り、手持ちの短機関銃を構えながら進む。

 

 大亜連合の"核"を護衛する兵士達とはいえ、それらが全て魔法師という訳ではない。その相対的な数の少なさからも、精々一分隊に一つが限界だ。

 

 

 そして、一人の魔法で守ることが出来るのは凄腕の魔法師でようやく複数が限度。"並"の魔法師では自らの身を守ることしか出来ない。

 

 それならば、例えハイパワーライフルでなくても問題はない。

 

 

 こちらに銃口を向けた兵士に対して短連射で撃ち殺し、擲弾銃で隠れている敵を爆風で吹き飛ばす。

 

 

 後ろからは攻撃ヘリのロケットポットが敵陣をなぎ払い、機銃が相手に頭を出させない。

 

 

「目標まで二百メートル!敵側の直立戦車もこちらに向かってきてます!」

 

「対戦車ミサイルをぶち込め!」

 

 そう命令すると、部隊の中でも重装備をしていた兵士が携行ミサイルを構える。

 

 時代の進歩により戦車・ヘリの防御システムは限りなく上昇した。自動迎撃システムとフレアなどによる二重の防御により、並みのミサイルでは軍用は落ちない。

 

 しかし、直立戦車となると話は別だ。

 確かに、装甲の厚さから対空ミサイルで落ちることは無い。しかし、市街地での火力を求めたこの兵器は、対戦車ミサイルの速度でも容易に命中させることも出来る。

 

 

 何せこの直立戦車と言うのは限りなく無理をしている代物だ。

 何せ百五十ミリクラスの榴弾砲にガトリング、その他武装の重量を"二足"で支えている。しかも、市街地用にコンパクト化されたこの有人兵器には自動防御システムどころかスモークでさえ二十一世紀初頭の物でしか積むことがギリギリな状態だ。

 

 はっきり言ってしまえば"やられる前にやる"をコンセプトにしているとしか言い様がない。

 市街地内で戦車以上の機動性と機銃は防げる程度の装甲を持って敵陣に切り込む。言わば元々はこれは攻撃用の兵器と言ってもいい。

 

 

 つまり、防御用として使うとすればとことん相性が悪い。自陣を自身の機動で掻き回す訳にもいかないからだ。

 

 

 発射された対戦車ミサイルは急上昇した後、直立戦車へ向かって急降下し、直撃。

 対戦車ミサイルのトップアタックをまともに食らった直立戦車は自身の榴弾砲に装填された弾薬と共に爆発し、スクラップになる。

 

 

 しかし、こちらも無傷とは行かない。

 

 距離が百五十メートルまで縮まったところで、防弾ガラスを突き破る音と衝撃音が響く。

 

『こちら攻撃ヘリ!敵の携行レールガンによる攻撃を受けた!ガンナーがやられた!繰り返す、ガンナーが!』

 

『落ち着け!速やかに離脱しろ!そいつは徹甲誘導補助弾だ!次に来るのはEMP弾だぞ!』

 

 直ぐに無線で指示を飛ばす。流石に攻撃ヘリを落とされるわけにも行かない。

 

 

 相手が撃ってきたのは第三次世界大戦の際に近距離における汎用武器として使用された単発式携行レールガンだ。

 

 本来は市街地戦において比較的近距離で交戦せざるを得ない攻撃ヘリなどの時速三百キロメートル~五百キロメートルの飛翔体を撃墜する目的で開発された代物だ。口径は携行火器としては大きく二十ミリになる。そして、数発で撃墜する為に弾頭は徹甲誘導補助弾と誘導型EMP弾が使用される。

 

 しかし、この武装は第三次世界大戦に置いては主力火器の一つとして使用されることになる。

 その貫通力の高さから対戦車ライフルとほぼ同様に扱われ、またハイパワーライフルが登場するまでは魔法師に対する有効な攻撃手段として扱われたのだ。

 

 

「攻撃ヘリ、及び汎用ヘリの離脱を確認!敵陣からの攻撃、増しました!」

 

「敵魔法師からの攻撃!」

 

 攻撃ヘリが下がり、相手側の指揮も上がっている。

 また、大亜連合の魔法師も防衛に加わっているようだ。

 

 

 しかし、問題はない。

 

 今は戦時下だ。そして、態々"見られることを気にしなければいけない"ほど、この部隊に信頼が置けていない訳ではない。

 

 

 コマンドを開き、敵の魔法師を"消去"する。

 

 突然の事態に一瞬動きが止まる大亜連合の頭上に、閃光手榴弾を放り投げる。

 

 炸裂と同時に、前進。

 

「進め!目標まであと少しだ!敵を磨り潰せ!」

 

 相手が怯んでいる今こそ距離を縮めるチャンスだ。

 素早く防御陣に切り込み、崩壊させる。

 瓦解した大亜連合の兵士達を更にこちらの兵士達が仕留めていく。

 

「目標まで後百メートル!」

 

 近場の兵士が叫ぶ。

 もはや相手も先ほどまでの攻撃の勢いは無い。防衛陣は切り崩され、後手後手になっている。

 そして、それらを跳ね返せないのならそもそも彼らは"特殊作戦群"にさえなれてはいない。

 

 固定機銃に対して最後の一発になった擲弾を撃ち込み、無力化する。

 

「突貫するぞ!続け!」

 

 短機関銃を構えながら道路を駆け、目標の位置にまでたどり着く。

 目の前の敵を素早く撃ち殺す。当然全員ではないが、後は後続の兵士達が処理してくれる。

 

 

 

 今なお"核"を積んでいる先ほどの車両に張り付き、携行爆薬をセットし退避する。

 

「車両から離れろ!ドアを吹き飛ばす!」

 

 そう叫んでから数秒後、轟音。

 車両の片側は半壊し、炎も上がっている。

 

 しかしそれらを気にすることなく、後部座席に手を突っ込み、"もう一つの筒"を引っ張り出す。

 

 

 

「目標を確保!各員は周辺の制圧後防御陣を構築しろ!」

 

 

 

 そう命令を出し、車両から離れた後中身を確認する。

 

「閣下、核は?!」

 

「大丈夫だ!まだタイマーもセットされてない!」

 

 その言葉に安堵する兵士に対して、笑いながら注意する。

 

「まだ終わってないぞ。これからこの"核"をきちんと運び出さなけりゃならん。一回退避したヘリが再度戻るまでこの場を保持しないと歩いて帰ることになるぞ」

 

「ハッ!全力を尽くします」

 

「ならよし。期待してるぞ」

 

 そう言った後、時刻を確認する。

 十六時十五分。汎用ヘリから降り、戦闘が開始されてから十五分が経過していた。

 

 

「連絡来ました。回収用のヘリは後三十分で到着予定との事です」

 

「分かった。周辺警戒は厳にしろ。相手からの反攻の可能性もある」

 

「了解!」

 

 

 三十分の防衛。

 戦闘に置ける三十分はとてつもなく長い。むしろ五分でさえその場の保持というのは長いのだ。

 しかし、相手側の戦力も多いわけではない。そう考え直すことで、まだマシと思い込むことにした。

 

 

 既に"一つ目の核"は退避した汎用ヘリによってNo3が管理している着陸地点に到着した後、No3が直接受け取る手はずになっている。

 そしてそれらの核は、こちらの手から内閣へと移り、大亜連合との交渉の際のカードとして使用される。

 

 

 しかし、"一つ"では意味がないのだ。"二つ"有るからこそ、"大亜連合側に明確な核の使用意図があったということにする事"ができる。実際は強硬派による組織的暴走なのだが、そんなものは外交では考慮されない。大亜連合はその事態を確実に隠すためにも、大幅な譲歩を迫られることだろう。

 

 

 これにより、大亜連合の強硬派の動きは消極化するはずだ。一定の問題はこれさえ遂行できれば解決する。

 

 

 

 確保したこの"核"も、確実に回収しなければならない。

 その為にも、今はただ待つことしか出来なかった。




ってことでオリジナル兵器を少々描写してみました。
今回新たに出してみた「携行レールガン」なる物は劇中でも言ったとおり元々は対空用の携行火器として開発された、という設定です。
アクティブ防御に対する一種の対抗手段ですね。近距離で初速を通常弾頭より稼げるレールガンを用いて遠距離ではなく近距離で敵機を落とすと言うコンセプト。かつ一撃で撃破するための二種の弾薬を使用するわけです。
EMP弾に関しては無誘導でも撃てます。が、確実に仕留める為には徹甲誘導補助弾を撃ち込み、弾頭内部の発信機からの誘導を使った方がいいと言うわけです。これを命中させればフレアなどに影響されずに20mmレベルの弾頭に搭載できる誘導装置でも潰せるわけですから、重宝したわけです。


・・・・んでも、いろいろと無理もある気がする。何かしら疑問点あれば言ってくだされば幸いです。

次回、ヘリ到着。残念ながら本作では一番乗りはオリ主勢のヘリです。

【追記】ナンバリングがミスってました。正確には六十六話です。時系列は被ってないので・・・

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