魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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ちょっと洒落てみました。

ところでHellsingの演説は皆さん好きですか?私は好きです。
あれほど狂気じみてはいません。そうとだけ言っておきます。

続きは本編で。


第六十五話~特戦~

【Sunday,October 30 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 

 まずは、特殊作戦群予備分遣隊について説明しておこう。

 国防軍の前身である自衛隊の頃から特殊作戦群は一種の軍内部の特殊部隊としての位置づけに居た。隊員はそれぞれ並外れた戦闘能力を有し、おおよそ不可能と思える任務を遂行できるプロの集まりであった。

 

 

 魔法師が、戦力化されるまでは。

 

 

 敵対する部隊に魔法師がいただけで難易度は"唯の鍛えた人"の範囲では限りなく上昇し、また"唯の鍛えた人間"より"魔法師"の方が作戦の自由度が限りなく上昇した。

 加えて、この部隊が"特殊部隊"という性質を持っていたことも、ある意味災いしたのか。

 

 

 また、別に政府は"十師族"に最初から戦力を依存するつもりは無かった。独立魔装大隊とはまた別のアプローチで、"政府"の意向で動かせる部隊を所持するつもりだった。

 その為に、十師族以外の"優秀な"魔法師に特殊作戦群の隊員になり得るだけの"一般戦闘力"を持たせ、既存の隊員より強力かつ自由な行動が可能な兵士に仕立て上げる。

 

 そういう方向性に、特殊作戦群は舵を切られていく。

 

 幸か不幸かは分からないが、魔法師はその生い立ちからか国防軍へ志願する者が一般人より多い傾向にある。その状況では才能ある兵士を引き抜くには充分な供給が満たされている。

 

 

 では、ここで問題が出てくる。"誰を強力な兵士かつ魔法師の代わりに隊から抜くのか"だ。

 生憎と特殊作戦群の部隊はそうそう替えが効かない。その分、予備の確保は重要だ。また、元の隊員達は外部へ漏らしてはいけないような機密さえ知っている。しかし、部隊の定員は限られている為そう易々と増やすわけにも行かず、溢れた隊員の行き場が必要な状態に陥った。

 

 

 そこで、特殊作戦群の中に"予備分遣隊"が作られたのだ。

 "魔法師"に置き換えられた兵力を、そこに送り軟禁する為だけの分遣隊。

 今だ本隊にいる者にとっては恐怖の送り先であり、送られた者にとっては活躍の機会が二度と訪れない、正真正銘の"墓場"。

 

 ある意味、魔法師が作り出した闇の一つとも言っても良かったのかも知れない。

 

 

 だから、"我々"が引き抜いたのだ。

 "我々"が"彼ら"を拾い、魔法師に対する戦闘法を伝え、"非魔法師による魔法師殲滅部隊"に仕立て上げた。

 自由度は限りなく低くなった。しかし、その分彼らは化けた。

 

 闇に、影に隠れ、相手を殺すその瞬間までこちらの存在を露ほども匂わせず、そして存在が知れた頃にはまた直ぐに姿を晦ます。

 魔法師を相手にした場合、非魔法師部隊の中では最強と言っても過言ではない。

 彼らは、数少ない"我々の右腕"にまで成長した。

 

 

「着陸地点は現在攻撃ヘリによる制圧攻撃中です。最低でも五分ほど掛かるかと」

 

「よろしい。では全員聞け。これより簡易的なブリーフィングを行う」

 

 インカムを通して、別の汎用ヘリに搭乗する隊員達にも声ははっきりと聞こえる。

 

「今回大亜連合の侵攻の中、"我々"は大亜連合がスーツケース核爆弾を用いた破壊工作を行う計画があることを把握した。現在こちらの手により"一つ目"の核は何とか確保した。問題は、この場で起爆される可能性がある"二つ目"の核だ」

 

 誰もが、黙ってこちらの言葉を聞いている。

 驚きは、しない。彼らはただ、"やるべき事"をやる為にこの話を聞いているのだ。

 

「現在"核"を保有中の大亜連合は石川町の大規模道路交差点にて陣取り、起爆準備中と思われる。これらを起爆前に確保するのが諸君の任務だ。予定着陸ポイントは目標から三百メートルほど離れている。目標地点は針の山に近いからな。攻撃ヘリで制圧できるのはそこまでが精一杯だ。正面からの突破戦になる。気を抜くなよ」

 

 これにも、無言。しかし、決して不可能ではないかという疑問の念を抱く者は、この隊にはいない。

 彼らは曲がりなりにも"特殊作戦群"の一員なのだ。

 不可能を可能とする。その為に彼らは自らを鍛え上げてきた。そして、それらを生かせる、望めなかったチャンスが今、手元にある。

 ならば、任務を遂行するだけ。彼らには、その能力がある。

 

「攻撃ヘリからおおよその制圧完了の通信、来ました!いつでも行けます!」

 

「諸君、聴け!"俺"から諸君らに、言って置きたいことがある!」

 

 

 

「諸君、この戦いで、数々の国防軍は名誉や誇り、名声を得る事が出来るだろう。

 

 鎮圧しに向かった部隊は英雄として。特殊部隊はそれぞれの任務の為の、忠実な兵士として。

 

 確実に、彼らは何かしらの記録に残り、誰かしらからの賞賛の言葉を得る。

 

 しかし、諸君らには何も無い。

 

 名誉も、名声も、何一つ得る事は無い。

 

 そうだ。この作戦は、決して誰にも知られることが無い。

 

 諸君らの活躍は、誰にも知られることも無く、誰からも褒められることなど無い。

 

 この作戦では死ぬ者も出てくるかもしれない。しかし、そんな者達ですら、国の為に死んでいったという事実さえ、残ることは無い。

 

 

 だから、"俺"が見ていてやる。

 

 諸君らが何のために戦い、何のために命を賭け、何のために死んでいったのか。

 

 その一つ一つを、"俺"が記憶してやる。

 

 "俺"が、その"真実"を、最後まで記録してやる。

 

 だから諸君。存分に戦い、存分に自分に尽くし、そして自分の死に場所を探しにいけ」

 

 

「諸君、"俺"からの命令を伝える」

 

 

「さあ諸君」

 

 

 

 

 「世界を救うぞ!」(save the world!)

 

 

 

 

 




最後だけ英語で文字を振りましたが、きちんと日本語で言ってます。洒落っ気を追加した次第です。

この特殊作戦群予備分遣隊がオリ主達の持つ最強の手足と言ってもよいでしょう。
そして、この部隊はオリ主達の正体を知っています。前にも言ったとおり、案外各国上層部よりもオリ主勢が信頼している手足の方がオリ主達の事を知っているのです。
そして、彼らは絶対に裏切りません。今までの経験からオリ主達もその事を察しているからこそ正体を晒せますし、だからこそオリ主達のその部隊はオリ主達の為に全力を尽くします。

今回の演説?はそれだからこそ彼らの士気を上げるだけの効力があるのです。


・・・え?演説と言うには余りにも出来が悪い?
・・・勘弁してください。これが自分の精一杯なのです。

次回、戦闘。オリ主と共に、究極の人間達が戦います。

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