魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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戦闘描写がだんだん単調になりつつある気がする。
まぁ、仕方ないと割り切る他ないけど・・・。


第六十三話~屋内戦~

【Sunday,October 30 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 

「ぐぅ・・・死なんけども痛いもんは痛い」

 

 地面に打ち付けられ、体の節々が痛む。

 加えて元々の重装備だ。怪我がなかったのは単純に"人間じゃなかったから"という事と、"再成"の賜物という二点に尽きる。

 

 

 周りからスーツを着た警備員がやって来ている。やはり高校生よりは行動が早い。

 しかし、今回はそれが仇となったと言ってもいいかもしれない。

 

 素早く柱に隠れると同時に、正面玄関に工作員達が入り込み銃撃を開始する。

 使ってる弾はよりにもよって対魔法師用の物だ。こちらに駆けつけて露骨に姿を晒していた警備員の一部が被弾し、同僚によって物陰にまで引きずられている。

 

「対応が遅い・・・っ!」

 

 奇襲を受けた形とはいえ、この状態では烏合の衆に等しい。愚痴をこぼしながら四十五口径の短機関銃で攻撃を加える。

 しかし工作員側もプロだ。"目的"のために無理はせず、制圧射撃に留めている為迂闊に体を晒してこない。

 

 おそらく、目的は二つ。

 一つ目の集団がメインホールになだれ込んでいく。同時に、悲鳴がいくつも上がる。

 そして、もう一つの集団は別方向へ。

 集団の真ん中の人物が"本命"を抱えていた。

 

「逃がすか!」

 

 そう言って飛び出すと同時に、現在も制圧射撃を加えている正面玄関側の工作員とこちらの真ん中のところに発煙手榴弾を投げつける。

 素早く煙が広がり、こちらの姿を一時的に隠す。

 まだ銃撃は続いているが、狙われて足止めされるよりはマシだろう。

 

 

 全力で走りながら"核"を追いかける。

 あちら側も追撃に気付いたのか、何人も足止めのために立ち止まる。

 しかし、

 

「その程度でぇ!」

 

 姿を晒した工作員を短機関銃で穴だらけにして、素早く角に隠れた奴に対しては手榴弾を投げつけ吹き飛ばす。

 

 "核"を追いかけ、右に曲がったところで伏兵が襲い掛かる。

 しかし、これでやられるようなら今までの工作だって成功していない。

 ナイフを振りかぶる敵に対して左手で相手のナイフを持つ右手を受け止め、そのまま右手に保持していた短機関銃で頭を撃つ。

 

 素早く残り少なくなった弾倉を換え、"核"を追いかける。

 

 

 その最終地点は、非常用の物資などを保管する地下倉庫だった。

 隠し物には、一番良い。恐らくは避難船が来るまではここで高校生たちを人質に取り、避難船が来たら高校生とともに民間人に紛れて核を運ぶつもりだったのだろう。

 

 しかし、ここまできたらもう袋の鼠だ。

 ドアには鍵が掛けられ、誰も入れないようにはなっている。

 しかし、そもそも律儀に開けるつもりもない。

 

 

 携行爆薬をドアに設置して、すぐ横に退避する。

 数秒もせずに爆薬は炸裂し、ドアを内側へ吹き飛ばした。

 その一瞬の間に突入し、短機関銃を構える。

 合計五人。核は、彼らの足元にある。

 核のそばにいる二人をまず最初に撃ち殺し、物陰に隠れながら閃光手榴弾を放る。

 一拍置いて、炸裂。

 素早く物陰から出て、目と耳をつぶされた残りの敵を潰していく。

 

 

 倉庫の中が、静かになる。

 こちらに銃を向けてくるものは、もはや誰一人中にはいなかった。

 

「なんとか、なったか」

 

 トラップなどの類に注意しながら、"核"のそばまで近寄る。

 そこまで大きくはない。小脇に抱えられる程の小ささにまでされた、俗に言う"使ってはならない兵器"。

 

 京都に向けて運ばれるはずであったであろう其れを、何とか確保することには成功した。

 

 端末を取出し、部隊に連絡を掛ける。

 

『俺だ。後何分ほどで到着する?』

 

『あと五分ほどで到着予定です』

 

『燃料は持ちそうか?』

 

『わかりません。国際会議場から作戦地域内の指定箇所に一回移動したら、一回補給に戻る必要があるかと思われます』

 

『分かった。それまで待つことにする。出来る限り早く来いよ』

 

 そう言って、通話を切る。

 メインホールでも悲鳴はもう上がっていなかった。それは決して、"上げる者がいなくなった"訳ではない。

 

「計画が甘い。"彼"がいる以上、元々確保なんて出来る訳がないだろうに」

 

 "眼"では既に正面玄関にいた工作員も大半が死亡し、他は既に逃走しているのが見える。彼らの作戦は完全に失敗している。

 そして、それらを行ったのはよく知る人物たち。

 

「"彼"の周りは本当に腕の立つやつばかりが揃うな。類は友を呼ぶ、とでも言うのか」

 

 彼らがいる限り、この場は間違いなく持つだろう。

 となると、逆に現在確保した"核"をあまり見られるわけにもいかない。

 

「取りあえずは一服できるかな」

 

 そう独り言をこぼしながら煙草を取り出し、火をつける。

 本来なら火災警報が鳴り響くだろうが、あいにくと既にあちらこちらで火薬が炸裂していた以上鳴っているのは別の警報だ。

 

 

 とりあえずは、一つ目。

 部隊が来たら、二つ目を確保しに行かなければならない。

 その間に生まれた、わずかな休憩時間の間、死体が転がる地下倉庫の中でその僅かな時間を噛み締めていた。

 

 




ということで一つ目の核を確保。ヘリを待つことになります。
この時点で達也グループはVIP会議室へ向かう途中になります。国際会議場が一時的に、静かになりました。
さて、この後賑やかになるかどうかは想像にお任せします。

次回、展開によっては達也回になるかも

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