魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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ちょっと横浜騒乱編は展開早いです。勘弁を。


それで、実は魔法科の設定の簡易的な確認にはwikiを使っています。特に時系列とかを見るのにはかなり簡単です。

・・・しかし、杜撰なところも多いのは事実。八尺瓊勾玉は魔法式を保存する機能があるとされた訳ではないっての。あくまで"瓊勾玉系のレリック"にその機能があるのであってですな・・・。危うく騙され掛けておかしいな思いながら六巻見てみればこの様だよ。


第五十話~宝玉~

【Monday,October 10 2095

  Person:operator4   】

 

 

 

 

 

 "聖遺物"(レリック)が日本にある、といっても別に驚く人はいない。

 どうしてもインドやヨーロッパと比べると陰が薄くなりがちだが、日本だってそう短くはない歴史を誇っている。可能性として考えられないということはない。

 

 

 しかし、その"聖遺物"(レリック)に魔法式保存の機能があると言われれば話は別になってくる。

 魔法式保存が可能ということは、魔法師のいない部隊に魔法兵器を配備することが可能になるということだ。これは、魔法師の現在の立場さえ大きく変え得る。

 

 今の魔法師は、火力を押し上げる為に常に前線へ送られる。現状魔法による火力を出せるのは魔法師しかいないからだ。

 しかし、魔法式保存装置により魔法火力を魔法師なしで使用できるとしたら、その希少性から魔法師は"優劣関係なく"後方に回されるだろう。

 それも、代替魔法兵器に想子を補充する為に、だ。

 

 これをどう捉えるかは人に寄るだろう。

 恐らくは、魔法師として優秀なものほど反発し、魔法師として劣るものほど歓迎する。

 魔法式保存が実用化すると、優劣よりも"魔法師"そのもののみが評価される。

 その場合、優秀な魔法師ほど見合った対価を得にくくなる。

 "格差"の是正は、場合によっては"能力に合った評価"を妨げるのだ。

 

 

 それを"彼"は分かっているのだろうか?

 まさしくその"聖遺物"(レリック)を渡されている様子を遠巻きに"眼"で視ながら、ビルの屋上で見ていた。

 

「その"お宝"、お前は一体どう使う?」

 

 誰にも聞かれない独り言を言う。

 "その聖遺物"(瓊勾玉)には、まさに魔法式保存の機能があった。

 とはいえ、別に"昔の感覚"からしたら別段珍しいものでもなかった。

 昔の日本には"文字"さえなかった。そして、昔のつたない日本の文明ではまさに"魔法師"が神の使いのように崇められていた。

 そして、それら魔法師が後世に術式を伝える為には、口頭だけではなく、"記録したもの"が必要だった。

 "その聖遺物"(瓊勾玉)は、その為に苦労して作られた内の一つで、それが"唯一成功した物"であった。

 

 ・・・尤も、時代と共にその価値は宝玉としてしか見做されなくなってしまったが。

 

 

「にしても"彼"も大変なもんだな。無理難題を押し付けられて失敗は許されない立場。まったく持って不思議なくらいだ」

 

 加えて"その聖遺物"(瓊勾玉)を狙って大亜連合の工作隊が仕掛けてくる始末。本来ならば直ぐにでも押し返すはずの厄介種だ。

 しかし、彼は返すことはしなかった。恐らくは返そうとすることができないほど先方が切羽詰っていたのもあるのかもしれないが、恐らくは"彼の目的"の為。

 

 

 常駐型重力制御魔法式熱核融合炉の開発、実用化。

 "魔法師を兵器としての宿命から真に解放するための手段"、らしいが微妙なところである。

 例え魔法師が経済的にも価値が出てきたとしても、恐らくは結局兵器としての宿命からは逃げられない。

 何せ、人間は戦争が好きだ。例えどんなに傷を負ったとしても、その惨状を目の当たりにしてもなお、人間は戦争を止めることができない。

 そして、魔法師もまた"人間"だ。どう足掻いても、結局は魔法師は"兵器"という宿命からは、逃げられない。

 それくらいのことは、"彼"も理解しているつもりではあるのだろう。だからこその腹案があるのかどうかは、まだ分からない。

 

 しかし、難題に挑戦する人の姿を見るのは、案外悪くはない。

 どう"魔法師としての宿命"から逃げ切るか。

 例え"彼"に答えがなかったとしても、挑む姿を肴に楽しませてもらうとしよう。

 

 

「さて、それじゃあこっちの用を果たすかね」

 

 目的は、大亜連合工作隊の乗っているバンの確保。

 独立魔装大隊に先を越されては、手出しが難しくなる。

 態々余計な手続きをして、圧力をかけてなんてやってる暇が惜しい。

 

 それなら、初めから"こちらで手に入れた"方がいくらかマシだ。

 

 端末を取り出し、"用意させてある部隊"に連絡をかける。

 

『こちら"コマンダー"、用意はいいか』

 

『こちら"スカル"、現在潜伏地点にてアンブッシュ中。指示を』

 

『ブリーフィングで示した"目標"(白い自走車)を視認次第確保しろ。"生死を問わず"(デット・オア・アライブ)でだ。確保後は生存者がいた場合は確保。そして車両内の資料は残さず回収し、終了後は自走車を爆破しろ。目標らしき物を視認したら再度連絡を掛けろ』

 

『了解』

 

 その言葉で通信が切れる。

 今回の工作員の逃走経路は既に把握している。後は彼らが回収される地点より少し前で待ち伏せさせていればそれで済む。

 

 そして、この手の作戦において"自分の最高の持ち駒"が失敗するはずがない。ある意味では"調整者"達を除けば最大の信頼を寄せることが出来る。

 

 

「さて、最初のネズミ捕りで何処まで大物が釣れるかな。まぁ、ゆっくりいくか」

 

 

 そう言いながら、屋上から静かに立ち去っていった。

 

 




っていうことで急展開ながら出だしまで来ました。

彼が今回動かした部隊は前にも言ったかもしれませんがオリ主勢が直接の影響力を持つ部隊です。もちろん国防軍。何処の部隊かはお任せしますが、個人的な好みとそれに後付された理由により結構皆さん知っている部隊です。

で、結構原作みてて小百合さんの物言いとかああいう場面にはイライラするタイプっていう。出来ることなら出来る限りごねて譲歩を引き出してしまいたいと見てて思うぐらいには。まぁ、オリ主はまずそこらへんには首を突っ込みませんが。

あと、一応瓊勾玉のレリックについては独自に設定を作り、あることを確定させましたが、ある事情により複製はできません。出来る機会がなければ。そこらへんはちょっとまたある程度物語が進んでから描写するかも。


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