魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

56 / 123
唐突なバトル回。
多分察している方がいると思いますし公言したかもしれませんが原作よりかなり火薬の気配を多めにしてます。
ただの趣味です。理解してくれる人がいるかどうかは知らないけど・・・

そんで予定よりはやくあのモブの登場。名前も一応付けます。だって原作での本名あの人分からないんだもの・・・

さて、本編です。


第四十九話~斥候~

【Sunday,October 2 2095

  Person:operator4   】

 

 

 

 

 

「さて、"ネズミ達"は今日来るのだったな・・・」

 

 そう言いながら、吸い終えた煙草を携帯灰皿の中へ入れる。

 

 

 結局三十日には大亜連合は軍の経理データの奪取に成功したらしく、その日の夜に工作隊の本隊が船に乗り出航。そして、この日曜日の夜、横浜に到着するらしい。

 それに合わせ、工作隊に接触する為にこうして"武装"して港に待機していた。

 

 

 ある意味、"最初の"接触の機会と取って差し支えないだろう。

 といっても決して友好的な接触ではない。ただ、構成員の一人か二人を拉致して"お話"を聞かせてもらうだけだ。

 とはいえ、上手くいくとも思っていない。その時の為に、"保険"は用意してある。

 

 

 

『五号物揚場に接岸した小型貨物船より不法入国者が上陸しました。総員、五号物揚場へ急行してください』

 

 

 盗聴していた無線と共に、実際に小型貨物船から武装した工作員が出てくる。

 恐らくは、足止め。その間に"本隊"は潜入を果たすつもりだ。

 

「さて、時間との勝負だ」

 

 その言葉と共に、隠れていた"コンテナの陰"から飛び出し、"先制攻撃"を加える。

 と言っても、大したものではない。今はもう旧式になっている擲弾銃で発煙弾を集団の真ん中に撃ち込んだだけだ。

 

 いくら旧式の擲弾銃とは言っても、効果が期待できないわけではない。

 赤リンを使用したものを使った為、赤外線カメラの視界さえ遮ることができる。

 

 

 煙が"不法入国者達"の視界を奪ってる内に、船内に侵入した。

 

 

 船の中に入るとすぐに"眼"を使う。

 

 やはり、さっきの武装集団は囮。

 錬度こそはそこそこあるものの、"本隊"に比べればまだまだ。

 もちろん一般的に考えれば使い捨てるには惜しいのだが、そこは人的資源が有り余ってる大亜連合の成せる業と言うべきか。

 工作隊の本隊は船底にあるハッチから海にもぐり、恐らくは協力者のところまで逃げる算段のようだ。

 

 

「だが、"一体何処にいるか"ぐらいは把握させてもらう」

 

 

 船の構造を把握し、その場所まで可能な限り早く向かう。

 ドアは案の定、鍵が掛かっている。しかし、元から期待していたつもりもない。

 

 

 固形爆薬を取り出し、ドアノブにセット。爆風がこちらに被害を与えないよう物影に隠れ、起爆。

 炸薬量が少なかった為か、ドアそのものが吹き飛ぶことこそ無かったものの、鍵を破壊することには成功する。

 

 素早く持っていた拳銃を構えながら、部屋に押し入る。

 ちょうどと言うべきか、最後の一人が海に潜ろうとしていたところだった。

 

 

「動くな。動けば撃つ」

 

 その言葉と共に、拳銃をその男の頭に向ける。

 ぎりぎり間に合ったと言うべきだが、男にとっては予想外だっただろう。

 そして、今のところは指示に従い、ゆっくりと両手を上げている。

 

「いい子だ。ちょっとお前さん達に用があってな。話を聞かせてもらいたいんだ。一緒に来てもらえるか?」

 

 そう言って、一歩歩み寄った途端。

 急に、船に揺れが襲う。

 

 恐らくは脱出しようとした船に対して、何かしらの攻撃が加わったのだろう。

 

 そして、その隙を見計らって男は再度脱出しようとした。

 

「くそっ!」

 

 そう叫ぶと共に、三発ほど彼に向けて撃つ。

 船が揺れた、たった一瞬の出来事であったため狙いは甘かったが、確実に"一発は"当たった。

 

 くぐもった声を上げながら、男は海に飛び込んだ。

 

 別に追うことも出来るが、この様子だと直ぐにでも警察が乗り込んでくるだろう。

 別に捕まっても問題はないのだが、手間だけは馬鹿みたいに増える。

 それに、"弾が当たったなら、もう位置は割れる"。

 

 

 "保険"として、弾には発信機を仕込んでおいていた。

 全ての拳銃弾にだから実に手を込ませたものだが、今はそこまでやってよかったと思う。

 これで、最低でも何処に逃げるつもりかは分かるはずだ。

 日本は狭い。例え位置がばれるとしても、隠し通してくれるだけの力を持つ協力者さえいればそこから動くことなどない。

 

 

「これで後は"ネズミの巣"を覗きに行くだけで済むな」

 

 と言っても、おそらくはきちんとした身柄を一人か二人は欲しいところだが。

 何せこちらの監視網、情報網でさえも引っかからないように伏せ名を使って隠すほどだ。"盗み聞き"程度で知りたいことが知れると思っているわけではない。

 

 

 問題は、どう脱出するか。しかしこれにも、準備はしてあった。

 端末を取り出し、ある人物を呼び出す。

 相手は、ワンコールで電話に出た。

 

『もしもし?いきなりどうした?』

 

『予備科とはいえ港湾警備隊の椅子はどのように感じるかね?』

 

 そう皮肉を言った相手は、九校戦の際は"無頭龍"の内通者で"あって"、今はこちらの手足として港湾警備隊に飛び入りで配属"させられた"大会委員の男だ。確か入沢と言ったはずだ。

 

『結局この椅子についたきり何もしてないんだが・・・ようやく"仕事"なのか?』

 

『そうだ。今からちょっと泳いで二番物揚場まで向かう。そこからの足を用意してくれ』

 

『分かりましたよ。どこまで運べば?』

 

『そこまで期待してはいないさ。警察の包囲網さえ抜ければそれでいい』

 

『分かりました。では、二番物揚場で』

 

『頼んだぞ』

 

 そう言って通信を切る。

 確かに、彼に"居場所"を提供してから碌に仕事をさせてなかった。いきなり素人に任せている感じがしなくもないが、彼とて"そういう類の事"はからっきしと言う訳でもないはずだ。そうでなかったら達也はもっと早い段階で彼を捉えられていただろう。

 

 

「さて、さっさと逃げるかね」

 

 もう、船の中に人が入り込んでいる。

 恐らく直ぐにでもここまでたどり着くだろう。

 

 

 姿を見られないうちに、逃げた方がいい。

 

 

 

 

 そう思いながら、先ほどの工作隊と同じように、ハッチから海に飛び込んだ。




書いてて微妙かなと思った今回でした。
船に関しては余り所要時間は現代と変わらんだろうと思いつつフェリーを検索してみるとおおよそ二日で中国から日本に到着するんですね。案外長いような短いような。

そしてあのモブが登場。とりあえず入沢と名づけました。主に横浜編では彼にちょっとした便利屋になってもらいます。といっても、荒事の中で使うつもりは最初しかありませんが。


で、何故唐突に戦闘シーンを入れたか。
単純です。どう考えてもオリ主が工作隊の日本国内侵入の場面に居合わせようとしないとは思えなかったからです。
だって情報は得られて、かつ横浜中華街とかに逃げられたら下手したら位置を把握できなくなるじゃないですか。絶対に首突っ込むんじゃないかなと思い直し、物語の流れとしてはきついかもとは思いましたが入れることにしました。つまり本来はここでオリ主の介入はなかった。

次回、多分十日まで日が飛ぶかなと。達也にとっても最初の工作隊の存在を把握する日ですね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。