魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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大きく日を跨ぎました。
結果より成果のほうが書きやすいと思って。

そんで結局生徒会選挙の一部を描写。一応は入れたほうが息抜きにもなりますしね。


第四十八話~意図~

【Friday,September 30 2095

  Person:operator4     】

 

 

 

 

 合計二十日を超える調査の末、分かったことがいくつかあった。

 

 まず一つ目。"何"かはわからないが、"何をしたいか"が分かった。

 "赤旗計画"において大亜連合が画策していたはいくつかあるものの、その一つに"魔法教会が保管しているデータバンク"の内容の奪取があった。これにより現状の日本と大亜連合の間の魔法技術の格差を埋めようとする魂胆があった。

 これを、さらに発展させ、奪取すると同時に"日本が保管するデータを破壊"し、魔法技術の格差の逆転を狙っているようだ。

 

 

 個人的には限りなくグレーに近いものの、干渉する必要性を現段階では感じない。ハッキングプログラムでデータを破壊したところで、そもそもいくら魔法大国と言われている日本と言えども国防軍の戦力を魔法師に依存しているわけでもない。現状優位性がなくなるだけで十分にバランスは保てる。

 

 しかし、これを逆手に魔法教会のデータバンクのバックアップを"こちら"に取り、それを餌に魔法教会を釣ってやったらどうなるか。

 現状悩みの種の一つである日本魔法師社会のコントロール不可能性に関して一定の解決の目途が立つ。

 そう考えると今のうちに魔法教会のデータを"頂いておく"方がいいだろうか。

 

 

 しかし、二つ目の情報がその意図を慎重にさせる。

 

 どうも"聖遺物"(レリック)の奪取を行う部隊の本格的な編成が決まったようなのだ。これは、No3からの情報。しかし、その構成が明らかにおかしい。

 陳祥山を隊長とし、呂剛虎を始めとして第一陣は十六人規模の部隊となる。

 どう考えても、"裏でこっそり工作をやる部隊"ではない。"多少強引でも押し入って短期間で目的を済ませる"部隊だ。

 データの奪取から始まり、残されたデータを復元不可能なレベルまでクラッシュさせる。そこまでやれるほどの長丁場を任せられそうな部隊ではない。

 どう考えても"横やり"によりメンバーの変更があったとしか思えない。

 

 もし既存の工作部隊が協力する任務が魔法教会を目的としたものでない場合、むしろ魔法教会のデータバンクの中身を取ることは魔法教会と敵対することになり得る。その場合、本格的にこちらのコントロールから外れる可能性がある為迂闊には行動できない。

 

 

 とりあえずはNSAからの使いは十月あたりに来るとの連絡は入っている。

 恐らくはこちらがある程度の情報を流す形になるだろうが、最低でも単独でやるよりは効率が上がるだろう。

 

 

 No3の話によれば秘密裏にだが大亜連合では既に上陸戦力、および艦隊の集結を始めているらしい。もちろんばれないようにだが、"赤旗計画"に対する本気度が伺える。

 

 これを日本が切り抜けられるかどうか。それは、"彼ら"(日本人)が決めること。"我々"が決めることではない。

 

 

「しかしまぁ、何とかなるか」

 

 現状で悩んでも仕方はない。やることがないのにどうしようと悩んでも馬鹿らしいだけだ。

 今はただ、進展を待つ。ただ待っているだけでも、情報はいずれ来る。

 

 

 

 そう思うことで一旦抱えてる問題から思考を外し、手元の"投票用紙"を見る。

 第一高校生徒会長の信任を決める投票用紙だ。別に好んで反対する理由もない。

 

 しかし、周りの様子を見ると、どうも"本来の立候補者"に信任している人は1/3がせいぜいだ。

 確かに、中条あずさは頼りなさそうには見える。しかし、信任用紙に書いているであろう名前はどう見ても・・・。

 

「妹さんなんだよなぁ」

 

「なんだ借哉、結局周りみたいに"深雪女王陛下"とか"スノウクイーン深雪様"とか書くのか?」

 

「俺はまだ死にたくない」

 

 周りの様子に疑問を覚えてる中、レオが茶々を入れてくる。

 冗談ではない。そんなものを書こうものならいざばれたときに大変な目に合うことは確実だ。自ら望んで藪蛇を起こしたりするつもりはない。

 

「素直に中条先輩を信任するさ。それが一番無難そうだ」

 

「達也に投票するっていう選択肢もあるぜ?」

 

「やればいいんじゃないか?どうなっても知らないぞ」

 

「まぁ、それもそうだな。素直に信任しておくか」

 

 そう言ってお互いに笑う。

 確かに悩むのもおかしな話だ。たかが高校の生徒会長。特に問題が出てくるわけでもない。素直に信任してやれば八方丸く収まる。

 わざわざ"無効票"を書いている輩だって恐らくはネタでやっているのだろう。

 ・・・そうであると信じたいのもあるが。

 

「達也たちは開票するんだったか?」

 

「いんや、それは学校で雇った奴らでやる。開票は明日だな」

 

「ふむ。じゃあ一応はあいつも一息つけるってところか」

 

「そうなるな」

 

 恐らくはまたすぐに大亜連合絡みで忙しくなるだろうが。そんなことを心の中で付け足しつつ、既に投票を済ませ待っている幹比古やエリカ達のところへ向かうことにした。

 

 

 




ってことで一気に9月末まで進めました。どうせ本格的に事態が動き出すのは十月からですし勘弁していただきたい。学内でもどう足掻いたところでオリ主は生徒会選挙に関しては外野ですし。

なおオリ主はたとえネタで深雪女王陛下とか書いてばれたとしても氷漬けになったりはしません。後々詳しく言うかもしれませんし既に言ったかもしれませんがそもそもオリ主達"管理者"と"調整者"には魔法が通用しません。なお達也の"分解"に関しては例外ですが。たぶん詳しくは描写してないはずだからそのうち書きます。

次回。十月入ります。具体的な日にちは未定ですが。

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