魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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ということで九月から始まります。

十月初頭に工作隊の本隊が密入国と考えると九月のころから軍のデータを奪取に入り、九月後半あたりに奪取完了。工作隊本隊の派遣が決定と考えることにしました。

では、本編です。


第四十六話~不穏~

【Thursday,September 1 2095

  Person:operator4   】

 

 

 

 

 九校戦も終わり、第一高校では夏休みの話題や、これからの生徒会選挙のことで賑やかになってきている。

 

 

 しかし、生憎と"我々"に届いたのは余りうれしい話題ではなかった。

 

〔operator4:大亜連合軍が暴走してる?〕

〔operator3:正確には大亜連合軍の強硬派が政府のコントロールから外れてる〕

 

 昼休み、レオ達との昼食を済ませた後、何故かいきなり調整者No3からの連絡が入ったのだ。

 時間を考慮せずに来たあたり、よほどのことだろうと思ってレオ達と一旦別れ、人影のない場所でパスを開いたがある意味正解だったかもしれない。

 

〔operator4:内乱か?だがそれならこっちに知らせることでもないだろう〕

〔operator3:まぁ話は最後まで聞け。あくまでコントロールから外れているのは"裏では"と言う意味でしかない〕

〔operator4:・・・わかった。とりあえずは分かるように説明してくれ〕

 

 詳細な説明を彼に求めると、彼は事の次第を話し始めた。

 

 

〔operator3:"赤旗計画"のことは前にも話したよな?〕

〔operator4:あぁ。一連した対日工作群。そろそろ締めに入るということだが〕

〔operator3:その通りだ。十月末には揚陸艦を使った強襲作戦を行う。目標は魔法協会関東支部のデータバンク。しっちゃかめっちゃか掻き回した後お宝を頂くって算段だな〕

〔operator4:そこら辺は別に態々介入するほどのことでもないが、それに問題が出てきたのか?〕

 

 元々大亜連合の強襲作戦が"赤旗計画"の最終段階だというのは既に聞かされていることだ。では何故、態々連絡を取って来たのか。

 そこに関する疑問の答えは、直ぐに出てきた。

 

〔operator3:問題はその肝心の強襲作戦だ。大亜連合軍の中で強襲作戦を担当している部署がどうもキナ臭い。本来の強襲作戦に何か別の工程を加えるつもりらしい〕

〔operator4:何かは分からんのか?お前のとこの管理体制だってザルと言うわけではないのだろう?〕

〔operator3:それが名前さえ伏せられていてな。こちらには何があるのかさっぱりわからない状態だ〕

〔operator4:分からんものはとりあえず潰せばいいじゃないか。わざわざ探る手間も省ける〕

〔operator3:現段階ではまだ早い。潰す価値があるかどうかを見極める必要がある〕

 

 ずいぶんきな臭くなっているが、新たに疑問が浮かぶ。

 確かに、"赤旗計画"の最終段階である強襲作戦は日本を標的とするものだ。しかし、まず"態々なぜこちらに知らせようと思ったのか"。

 特に軍事に関しては作戦にほかの作戦の一過程が紛れ込むなどということは珍しいことではない。いちいち気にする必要性がないのだ。それをどうして態々伝える必要があるのか。

 

 その疑問を解決する言葉は、あまり嬉しいものではなかった。

 

〔operator3:何かは確かに現段階ではわからない。しかし、どうも日本に重度のダメージを与えうる行為のようだ〕

〔operator4:重度、だと?〕

〔operator3:あぁ。現在別管轄で進んでる大亜連合の工作隊との連携になるようだが、どうもそれにより一時的なコントロール麻痺を起こし、その間に上陸を果たすという算段らしい〕

〔operator4:態々伝えに来た理由はそれか。そうなると少々考えなきゃならんな・・・〕

 

 話を聞く限り強襲作戦を単なるデータ奪取戦ではなく、戦争に決定打を与えるためのものにするつもりらしい。大亜連合の用意できる上陸兵力の規模を考えると、まず成功したら日本は負ける。

 

 その先のシナリオはどうなるだろうか。まず間違いなくUSNAと大亜連合は戦争状態になる。日本が負けるということはUSNAの防波堤が消える形になる。それをUSNAが看過するはずがない。

 東南アジア同盟も恐らくはUSNAに味方することになる。では、その間新ソ連は?USNAの手が空いていないうちにヨーロッパへ侵攻するか、もしくはUSNAにアラスカからの侵攻作戦を開始するか。大亜連合に攻め込む可能性も出てくる。

 

 確かに、もしNo3の言うことが事実だった場合、無視できるものではない。

 

〔operator4:現在進行中の別工作の部隊が"それ"に関わるんだな?〕

〔operator3:あぁ。内容は"聖遺物"(レリック)の奪取だとか。今はまだ下調べの段階のようだがな〕

〔operator4:USNAとの裏交渉は上手く纏まったのか?〕

〔operator3:大亜連合側ではとりあえず問題なく交渉は終了したようだ。詳しいことは"あっち"に聞いてみないと分からん〕

 

 となると、現段階で出来ることは工作隊の一部を捕虜として確保、尋問で情報を得る形にしたら恐らくは問題ないだろう。

 もし介入するだけの価値があった場合でも、計画を寸前で潰すことなど一か月もあれば十分だ。

 必要なのは、毎度ながら情報。しかも今回は、連携が必要になる。

 その為にも、"こちら側の方針"を、彼に伝えることにした。

 

 

 

〔operator4:"USNA"(あっち)の奴にも情報がないかどうか聞いてみる。そっちは可及的速やかに"何か"を調べてくれ。場合によっては強制的に潰してくれ。労力は惜しむなよ〕

 




ってことでオリ主勢が行動開始です。
オリ主勢は余計なことには関わらないという方針で動いてはいます。ですから情報を最も重要とするわけです。ですが、逆にオリ主達でも掴めないようにされているものは問答無用で潰すだけの行動力を持っていますし、事実その方針です。なぜこれをやらないかというと、あくまで"赤旗計画"そのものには関わる必要性をオリ主達は感じていないからですね。"何か"を潰す必要はあっても"赤旗計画"は成功しても失敗してもさほど影響はないし、潰してしまうと日本に肩入れする形になるという考えですね。ですから今はまだ下調べの段階です。

そして今更ながら番外編見て思ったけどこれ分かる人には"何か"が何なのか分かっちゃうんじゃないかな。そんな人はまさかと思いつつ胸の内に閉まっておいてください。お願いします。

次回、大きく日を跨ぐかも。日常を描く必要性を感じない。

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