舞台は洋上です。
【log:Sunday,August 14 2095
point:14N134E 】
「・・・首尾はどのように?」
「要求された通りには。日本軍の主力艦隊はこちらの艦隊との合同演習ということで、十月末には日本からは離れることになる」
「では、奇襲戦ぐらいなら容易にできると?」
「お前達の軍がこけおどしでなければな」
「今回の作戦には精鋭を揃える。失敗などありえん」
「ならよいのだがな。忘れるなよ、
「分かっているとも。では、くれぐれも日本に悟られないように」
「それではな」
「・・・行ったか?」
「はい。盗聴器の心配もありません」
「ふん。まんまと騙されおって。USNAの思い通りに我々が動くと思っているのか。今頃暢気に日本人共の主力を引き付けようとしているのだろうな」
「ありがたいことです。これにより我々は太平洋へと勢力を拡大させることができる。しかし、横浜への陽動に使う兵力が揚陸艦一隻分だけで問題ないのですか?」
「奇襲にまさか本格的な上陸戦力を用意するわけにもいかないだろう」
「しかし、いくら足掻いても国家的に見れば"小火騒ぎ"にしかならないかと」
「その為の"アレ"だよ。"アレ"を決めることさえ出来れば、十分に日本に混乱を与えさせることができる」
「・・・よろしいので?」
「政治屋共は随分と反対していたがな。というか、あいつらは我々が"諦めた"と思っているのだがな」
「政府の意向を無視したのですか?」
「しかしこれ以上に確実な戦略はない。たとえこの作戦の結果国家反逆罪で処刑されることになったとしても、いずれその行いが評価される時が来る。我々に必要なのは自らの保身ではない。未来の大亜連合へ向けた、尊い犠牲なのだ」
「しかし、それをやることは・・・」
「あぁ。悪魔に魂を売ることになる。しかし、それで結果が得られるのだ。我々を主導とした、アジア全体の平和が」
「アメリカも馬鹿ではありません。流れはそのうち察するかと思われますが」
「確証がない以上、アメリカも表立って何かしらを出来るはずはない。そして、表立って行えない以上我々の思惑通りに動かすことが出来る」
「それだけではありません。我々の上陸地点は"横浜"だけです。"京都"には、どうするつもりです?」
「大丈夫だ。"別件"で現在日本に工作をかけている部隊がある。そこの指揮官はいろいろ融通が利く奴だ。そいつに渡りをつければ、"京都"にも運べる」
「・・・魔法協会からの制裁は?」
「来ると思うかね?」
「・・・いえ。現状、日本が弱体化した方がいいと思ってる国の中で魔法師を出せる国は、いないに等しい」
「だからこそだ。所詮魔法協会なんぞ"建前"を作るためだけの組織。君が制裁を恐れるのは分からなくはない。しかし、物事は理解することが重要なのだよ」
「はぁ・・・」
「とにかく、まずは準備からだ。政府にはまだばれることの内容にな」
ということで伏線から。
今回の横浜騒乱編からがこのSSを作った目的っていう。何度もいってますが第七巻からなんですけどね。
ですが、何事も伏線ってのは重要なもんです。まずは物語を肥やすことから始めるつもり。
これを読んでた皆様は生徒会選挙どうしたと思われるでしょうが、今回からほとんどオリ主回が続きます。達也回が一体いくつ出てくるのかというレベルです。
舞台裏、がイメージです。もちろん完全な原作の舞台裏にはできませんが、本当に影ではこのようことがあったかもしれないみたいなイメージで書く予定です。ぜひ、お楽しみに。
次回、物語の時間は九月からになります。