魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

45 / 123
考えるに考えて、結局すっ飛ばすことにしました。
それでも繋ぎ回にしかならないのは申し訳ないとしかいえませんが。


第四十話~魔法~

【Tuesday,August 9 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 結局三日ほどを裏工作に費やすことになった。

 市街地マップを入れるように働きかけ、さらに"無頭龍"が市街地マップでの試合で妨害を仕掛けてくるように様々な状況をさりげなくお膳立てしてやり、更には対戦校に対して余計な対抗心を煽らせる状況を作り出す、というよりは見せてやり、工作に対して一高などからの干渉を一時的にしにくくさせるような行動をさせる。

 

「今更ながら・・・疲れた。ここまでする価値がなかったら切れるぞ」

 

 自分の言っていることが理不尽極まりないことは分かっているが、どうせここまできたのだからという心理が働いた結果がこの労働なのだ。少しぐらいは愚痴りたくもなるだろう。

 

 

 今のモニターには、モノリス・コードの試合中継が流されている。

 第一高校対第四高校。一高にとっては二戦目になる。

 

 念のために会場そのものを"眼"で視える範囲は視つつ様子を見守る。

 

 今回、無頭龍が工作をするのはこの試合だ。

 フィールドも、きちんと市街地が選択されている。

 

 

 試合はまだ、開始されていない。

 しかし、四高は負けるかもしれないという焦りからか、魔法式を既に用意している。

 そして、"お互いに電子金蚕が仕掛けられている"。

 

「本気だな。さて、どのような手で潰してくる?」

 

 

 そして試合が開始された。

 

 四高が、フライングした分先手を取った移動魔法を行使した瞬間、"四高の電子金蚕"が活性化し、"一高の電子金蚕"から瞬時的に魔法式が構築され、一高選手の頭上に投影された。

 

 発動された魔法は"破城槌"。廃ビルの中では、一たまりもない。

 一高選手が、崩壊した天井の瓦礫の下敷きになる。

 

 それから一拍おいて、試合中断のブザーが鳴った。

 

 

 その一部始終を見て、その結果に笑いをこらえることが出来なかった。

 

「すごいな、ここまでか。魔法と言うのは、ここまでのことが出来るのか!」

 

 想像以上だった。たかが小手先の技術ぐらいにしか思っていながったが、これは十分に有用だった。

 電子金蚕同士でのリンクが可能で、しかも犯人を一見するだけでは第三者に擦り付けることが可能な上、魔法式まで電子金蚕内に記録できている。もちろん、賢者の石だとか勾玉だとかよりは効力も低く、二時間程度しか存在することが出来ない為魔法師の中で問題とされている議題の解決策にこそならない物の、工作用として見たら十分すぎるほどの価値がある。

 たとえるならばパソコンとネットワークでリンクされた高度なブービートラップを安く作れるようになったようなものだ。手間も費用も効果もあらゆる面で通常の物より性能が向上している。

 

 最低でも、使える魔法師は確保したい。それが無理なら、術式だけでも手に入れたい。

 買収されている人間から横流ししてもらおう。少なくともそこまでするだけの価値はあった。

 

「一番いいのは買収されてる奴が工作員と接触した後だな。ああいう人間ほどチョッと強請ってやれば直ぐ落ちるからな。まぁ、つけられることは心配ではあるが・・・別に構わないか。勝手にしろとしか言いようが無いしな」

 

 

 そうと決まれば買収された奴に対する監視を光らせ、いつでも動ける用意だけでもしなければ。

 しかし、流石に直ぐに動けるわけでもないであろうから、待つことしかできないのだが。

 

 

「まぁ、しばらくは"彼"の仕事ぶりでも眺めるしかないか・・・」

 

 

 思考に出てくるのは"彼"のこと。

 九校戦で明らかになってきたエンジニアとしての腕前は、その仕事ぶりから一つの可能性が出てきつつある。

 

 FLTのお抱えエンジニアとして有名な、あの"トーラス・シルバー"。彼の仕事ぶりの、達也の仕事ぶりが奇妙な一致を見せるのだ。

 そして、こちらの調査でもともとFLT専属のエンジニアだったのではないかという憶測まで出ている。

 これが偶然の一致か。恐らくは、否。まず間違いなく"当たり"と見ていいだろう。

 もちろん、疑問も発生するのだが。

 

「なんであいつは"FLT"にも"軍"にも所属してるんだ・・・?」

 

 そこだけが、今だ分からない。

 今でも糸口がぎりぎり見つかりそうではあるものの、結果は推測さえ出来ない状況だ。

 しかし、軍関係者が民間企業にも在籍しているというのは普通不可解だ。

 つまり、何かしらのパイプがあるということだ。FLTと、軍をつなぐ、何かが。

 

「なーんだか長い問題になりそうだな」

 

 本来真っ先に疑うのは十師族関連なのだが、彼らと十師族が関係しているという確証は今だ何一つ出てこない。もしこれが狙った行動だとすれば完璧な隠蔽工作と言えるだろう。

 そんなことに、笑えはしないのだが。

 

 

「まぁ、なるようになるか。今悩んでも仕方ない」

 

 そう思いなおし、当初の思考の続きへと戻っていった。

 




ってことで見苦しいレベルのつなぎ回が終わったと言うかなんというか・・・。
本当に楽しみにしてくださってる方々には申し訳ない気がします。

しかもこの先恐らくミラージ・バッド本戦前あたりまでほとんどオリ主が絡む要素が無い。これが二科生の弊害か・・・っ。

まぁ、始まる前と終わったところぐらいは挟めればいいなと思ってます。時系列的な意味での急展開って本来余り好まない性質なので・・・

次回、また未定。四巻見直しながら考えてる途中です。勘弁を。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。