魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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日付が変わりませんでした。
理由はいくつかありますが、一番はですね。



モノリス・コード新人戦までのつなぎが全く考え付かない。とりあえず一話ぐらい挟む予定なんですがね・・・


第三十九話~利益~

【Friday,August 5 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

『まさか"ここ"(富士演習場)にお前が来ているとはな』

 

『言うほど不思議か?俺だってどのような精霊魔法を使うのかは分からんのだ。見てみたいと思うのは当然だろう?』

 

 

 恐らくは幹比古経由でばれたのだろうが、"彼"がこちらの居場所をつかみ連絡を掛けて来たのは夜も暮れた頃だった。

 連絡をかけるには異様に間が空いていたが、恐らく彼自身の仕事などで忙しかったのだろう。特に害も無い以上放って置くことにした。

 

『だからといって"無頭龍"を野放しにする理由になるのか?』

 

 とはいえこのような非難を真に受けるつもりもないのだが。

 

『自惚れるなよ。俺は九校戦がどうなろうと知ったことではない。俺はお前に"必要だと思った情報を提供するだけ"だ。こんなふざけた茶番に態々介入する筋合いはないな』

 

『ならなぜ情報を態々渡してくる?俺に恩を売りたいだけじゃあるまい』

 

『さあな。それにお互い根の深いところまで掘り下げる必要はない。お互いの利益に基づき、好きなように利用し利用される。今回はそれで十分だろう?』

 

『相変わらず食えないやつだ』

 

 

 彼自身が言ったとおり、確かに彼に恩を着せていざと言う時の"カード"にすることだけが目的と言う訳ではない。他にも、管理者No.3からちょくちょく送られる"赤旗計画"に対する妙な不穏さに備えてある程度の鬼札は例え元々が敵であっても用意したいという意図はある。

 

 だが、本音を言ってしまえば早いうちにブランシュの息の掛かった組織を日本から消し去りたいのがメインだ。今回自ら動くほどの価値は"無頭龍"にはない。しかし、大本が厄介な存在でもあるだけに出来るだけ行動を抑制させたいのだ。

 

 そして、その場合"彼"とは一時的に利害が一致する。お互い、"無頭龍"の存在を快く思っているわけではない。そしてこちらにとっては放って置いてもいい存在だが"彼"にとっては可能ならば今すぐにでも潰したい存在。

 

 となると、こちらは特に積極的に動く必要もない。"彼"に"無頭龍"を潰しやすいように情報を与えてさえやれば後は勝手に彼自身が処理してくれる。

 

 

 わざわざ自らが仕事着にカービンライフルを持って殴りこみをしたり、存在そのものを"消し"にいったりする必要もない。昔は何時もやっていた、何の変哲もない裏工作だ。

 

 

 しかし、連絡をつけるまでに間が開いたということは、やはり何かあったか。

 もちろん、見当は付いているのだが。

 

『で、結局委員長の変わりは誰になったんだ?』

 

『分かってていってるだろ』

 

『推測の範囲でならな。九十パーセント当たると思ってるが』

 

 本戦のミラージ・バットは一高は補欠さえ用意していない。その状態で、委員長の穴を埋めることが可能であろう存在など、一人しかいない。

 

『深雪が出ることになった。ミラージ・バッドの本戦にな』

 

『やっぱりな。さすがお前の妹さんってだけあるな』

 

 恐らくはだからこそこんな時間に連絡をつけてきたのだろう。"一高を敗北させる"事が目的である以上新人戦のミラージ・バットと本戦のそれとでは"無頭龍"にとって重要度が違ってくる。

 かなりの確立で、妹さんに被害が及ぶ。

 だからこそ、探りと共に"結論"を求めてきたのだろう。生憎、"電子金蚕"に関するある程度の実地成果も見て見たい為、そうやすやすと味方するつもりも無いのだが。

 

『まぁ、頑張れよ。先は長いからな。俺がある程度の情報は渡してやったんだ。"いつもよりは"絶対に進歩は早くなる。その時に得をするのは俺じゃなくてお前なんだ。俺は"視る"だけさ』

 

『・・・まぁ、とりあえずは納得しておこう。ただ、もしこちらの利益にならないと見たら"それなりの用意はある"事を覚えておくんだな』

 

『おぉ、怖い。だが、関係ないな。精々足掻いて見せろ』

 

 

 それを最後に、通話が切れる。

 

「はてさて、この調子だとあいつが本当に切羽詰った時はこっちに厄介ごとが来るかもしれんなぁ」

 

 そう呟きながら、煙草に火をつける。

 

「実際"電子金蚕"のスペックの限界さえ見られれば問題はないんだ。となると、少々"無頭龍"に餌をちらつかせる必要があるかね」

 

 必要なのは、バトル・ボードの工作がほとんど影響を及ぼしていないと思わせること。

 つまり、今の時点では一高をリードさせた方が相手は焦って動きやすい。

 

「工作と疑われない為のクール期間を考えると、三日ほどは空くか・・・」

 

 その間に、一高のリードを広げる必要がある。

 

 そう、考えてみたところで。

 

「・・・なんか無意味な気がしてきた」

 

 "彼"がエンジニアについてることを思い出し、今更ながら馬鹿なことを考えていたと思い直す。

 放って置くだけでいいのだ。彼に好きにやらせることで、勝手に一高は勝ってくれる。

 何せ本職である可能性が否定できないのだ。現在も調査を進めてるが、今回のエンジニアとしての手腕からして一つの疑惑さえ浮かんでいる。

 

「いっか。あいつに対する妨害だけ気をつけておけば後は俺の好きなようにやってしまおう」

 

 とりあえずは、二回目の妨害が起こるとする競技の場所を揃えてやることが一番いい。

 

 

「恐らく次に来るのは新人戦モノリス・コード。決定的でないうちに縮めておきたいはず・・・」

 

 恐らくは、焦りから初戦にやらかすだろう。そこで、一番"電子金蚕"の性能を把握しやすそうな環境を整えればこちらの意図は達成できる。

 どのような環境が一番、"電子金蚕"について見れるか。

 結論は、直ぐに出た。

 

 

 

「そうだな。市街地マップにするよう働きかけるか」

 

 

 

 あそこほど入り組んだ場所であれば"個人的に使うにしても有用かどうか"がきちんと見える。何時もいる場所が都市部でもあるし、条件としたら市街地が一番満たしている。

 

 残念だが第一高校のモノリス・コードに参加する一年生には涙を流してもらうことになるが、別にこちらから守る義理もないのだ。

 

 

 そう思いなおし、大会委員に働きかける準備を開始した。

 




ってことでオリ主の介入が入ります。大会委員に。

これによって大会委員が故意に市街地フィールドに設定する→一高の事故→大会委員の罪悪感が増える→そこに克人の提案が入り、大会委員がつい許可してしまう。

って流れにする予定。なおオリ主には微塵もそのつもりは無い模様。
もちろん達也の戦闘能力を一部でも見れる分棚ぼたなんですけどね。

次回、未定。今回も遅れるかも

【追記】投稿したばかりであれだけど一つ誤字を修正。国語力の無さが露骨に出る・・・

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