んでもって今回は短め
【Thursday,August 4 2095
Person:operator4 】
ここに来た日の夜、九島烈が残していった言葉の意味は、未だ分からず。
そのまま、九校戦が始まってから一日が過ぎていた。
「本戦のスピードシューティングは特に何の妨害もなく終了、バトルボードも目立った物は何もなし。クラウドボールは男子の結果が悪かったがあれに妨害の痕跡は見当たらず、アイス・ピラーズ・ブレイクも今のところ問題なし・・・か。」
一応"眼"も使って見てはいたが、精霊魔法とされる物の気配は微塵も感じなかった。もしくは一度電子機器に侵入したら発見できないのかもしれないが、今のところ大きな事故は何一つ起こってない。
「さすがにすぐ動くつもりはないんかねー・・・。まぁある意味当たり前だが、こっちにとっては暇で仕方が無いんだよなー」
五杯目のコーヒーを空にして、机の上に置く。
おそらく"彼"は、今も技術スタッフとしてよく働いているのだろう。事実女子クラウドボールでは"彼"の姿が確認できた。
しかし、"彼"が情報のことを気にしているのかどうかといわれると、微妙な雰囲気だった。選手に心配をかけぬよう見せないだけなのか、それとも最初から"身の回り"しか興味がないのか。
「一体お前は"何が目的"なんだ?それとも単純に"空っぽ"なだけなのか・・・」
答えは、出るわけがない。俺は、"彼"ではないのだから。
「・・・考えるのも飽きたな。それよかコーヒーの替えを買ってきたほうがいいか。どうせホテルにいるんだし缶コーヒーよりはインスタントでもきちんと淹れたほうがいいだろうな」
確かフロントに行けば買えただろうか。そんなことを思いつつ、下へ降りて行った。
結局一階には売店があった為、適当なインスタントコーヒーを購入して戻ろうとする。
しかし、そこで今"ここでは"あまり会いたくない相手と会ってしまった。
「あれ、借哉じゃないか。九校戦にはてっきり来ないのかと思ってたよ」
夜に外に風にでも当たっていたのだろうか。そう声を掛けてきたのは同じく部屋へ戻ろうとしていたのであろう、幹比古だった。
「幹比古こそよくこのホテルの部屋を取れたな?応援の奴らは大体別のホテルだろうに」
「まぁ、ちょっとね」
あまり彼自身なぜここに泊まれた、否、泊まっているかはあまり突っ込んでほしくはないのだろう。返事は切れが良いとは言えなかった。
「で、なんで借哉はここに?」
「まぁ家業ってやつかな。競技が始まった日に来て試合の詳細を纏めなきゃいかん。おかげでさっきまでずっとパソコンの前だったよ」
「記者の手伝いでもやっているのかい?」
「まぁそんなもんだと思っておいてくれ。説明するのも疲れた」
もちろん内容はほとんど嘘だ。せいぜい"家業"がぎりぎり合っている程度でしかないだろう。しかし、だからといって本当のことを言っても困るだけだ。何せ今の俺は"スーツ姿"なのだ。レオやエリカが見た場合"四月のこと"で疑われる可能性がある。その為にも尤もらしい理由をつけなくてはならなかった。
「達也は頑張ってるのか?」
「まぁ本番は明後日からみたいだけどね。けど評判は悪くないみたいだ。試合を見ていたならわかると思うけど、この調子だったら一高が優勝すると思うよ」
そう語る幹比古は、どこか素直に喜べないような様子だった。
「まだ分からんぞ。目の前の事象に拘るとその先に何があるかを見失いがちになるからな」
「確かにね。こっちもきちんと応援しなきゃね」
「応援だけとは限らんかもしれんがな?」
「勘弁してよ。僕は選手じゃないんだ。せいぜい応援しかできないよ」
「まぁ、成るように成るもんさ。俺は見守るだけだしな」
そういって手を振りつつエレベーターに乗る。
「達也によろしく言っておいてくれ」
「わかったよ。借哉も頑張ってね」
それを最後に、エレベータが閉まり、部屋のある階へと向かう。
「本当に、応援だけで済むとは限らんけどな・・・」
何故かは、わからない。
ただ、無性に、幹比古はここで見ているだけの立場には回れないように思えた。
それが本当かどうかは、今のところは分かるはずもない。
今はただ、見守るだけだろう。
ってことで借哉が九校戦を見に来ていることが幹比古経由でばれる。なお、だからといって独立魔装大隊の殴り込みが起こったり彼が九校戦に出たりなんてことはない。決してない。だって出して何の意味があるのってことですし・・・。
まぁ、実力はあるんですけどね。ただ、九校戦にはすでに人は間に合ってます。
次回、達也回。そろそろバトルボードだね。
【追記】またサブタイトル付け忘れたので付け直しました