魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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やっとまともな会話が混じるところまでいけた!
・・・んでもって何かしらのアイデアが欲しい。もう本当に綱渡りで仕方ない。


第三十四話~鬼札~

【Monday,August 1 2095

  Person:@;g>.=er[ "Tatsuya,S" 】

 

 

 

 

 三日前、"何者か"がこちら・・・特に独立魔装大隊周辺に対する探りが増加したという知らせを受け取り、また公安などの組織が犯罪シンジケートに関しての活動を不自然に活発化させたことから、第三者の介入が予想された。

 

 結局、現状まず最初に候補に挙がりそうな対象、つまり借哉に対してカマを掛けたわけだが、意外と特に隠そうとすることもなくあっさり白状した。

 

 だが、やはり協力的というわけではなく、相手がどこまで知っているかに関してはごくわずかな規模しか把握することではできなかった。

 おそらくは、彼がおおよその情報は把握しているであろうこと。特に"無頭龍"に関して言えば今までのどの組織より大規模な情報を得ているはず。

 

 

 彼は、確かに言った。"始まりは、移動中から"と。

 

 そして、現実としてそれが起こった。

 移動中に、対向車線にいた車両が事故に見せかけた特攻。

 "彼"はおそらく確実にこれが起こることを知っていたようだ。

 

 連絡を取る必要がある。深雪と事故の経緯を話しながら密かにそう思考を巡らせた。

 

 

 事故に対する説明の区切りがつき、数歩歩いたところで見知った少女がソファーから手を振っていた。

 

「一週間ぶり。元気してた?」

 

「ええ、まあ・・・それよりエリカ、貴方、何故ここに?」

 

「もちろん、応援だけど」

 

「でも、競技は明後日からよ?何故二日も早く来たの?」

 

 そう質問した深雪に対して、エリカは確かに答えはした。

 

「今晩、懇親会でしょ?」

 

 ただし、言葉がいくつか足りていなかったが。

 

「・・・念のために言っておくけど、関係者以外は、生徒であってもパーティーには参加できないわよ」

 

「あっ、それは大丈夫。あたしたち関係者だから」

 

「"あたしたち"・・・ってことは他に誰か来てるのか?」

 

 そう質問すると、エリカは頷いた。

 

「うん。美月でしょ、あとはレオとミキも来てるよ~」

 

「借哉は明後日に来るのか?」

 

 その質問に対してエリカは首を振った。

 

「わかんないみたい。どうも忙しいらしいけど」

 

「・・・そうか。さて、先輩方が待ってる。エリカ、また後でな」

 

「あっ、うん。またね~」

 

 それを最後に、機材を載せた台車と一緒に部屋へと移動する。

 深雪はおそらく、もうしばらくエリカ達と話をしていくのだろう。

 そして、その方が助かる。

 

 

 部屋に着き、機材を降ろし終えたタイミングで電話が掛かってくる。

 着信は、"彼"から。

 盗聴の心配がない事を確認してから、電話に出た。

 

『達也、今は問題ないよな?そのタイミングを"狙った"訳だし』

 

『本当に都合がいいタイミングでしか掛けて来ないなお前は・・・。直接見張っているのか?』

 

『何、たいしたことじゃないさ。お前の部屋の鍵が開けられて、かつお前の部屋に同居人がいないことを加味すれば今の時間が連絡にはちょうどいいってことが決まるってわけさ』

 

 なんとも出鱈目な話だ。つまり"彼"はホテルの部屋の使用具合まで指先一つで把握できるほどの幅を利かせられるだけの力を持っているということだ。

 もし、"彼"に社会的に抹殺されそうになった場合、抵抗できるのか。そんなことを思いつつ、話を続けた。

 

『まぁいい。それで、お前は"あの特攻が誰がやったのかも知っている"んだな?』

 

『もちろん。優秀な魔法師工作員による特攻攻撃だ』

 

『確かに正解だ。で、その背後にいるのは?』

 

『俺はお前に"情報を売ったんだ"。その時点で分かれよ』

 

 つまり、敵ではないと言いたいのだろう。また、同時にこれは"味方でもない"ということになるが。

 

『まぁいい。で、次は何が起こる』

 

『俺だってお前に好き好んで情報を流してるわけじゃないんだ。自分で頑張ってみたらどうだ?独立魔装大隊だったらそこそこの情報は得られるだろ』

 

『お前達の持つ"力の規模"はそれを超えている。可能ならば出来るだけ大隊に借りを作りたくないのもあるが、情報の質が違いすぎる』

 

『結局借りる相手が"俺"か"大隊"かになるだけだぞ?それでもいいならまぁある程度は教えるさ』

 

『・・・条件はなんだ』

 

 無駄にもったいぶる"彼"に対して、条件を聞く。

 その答えは、ある種予想外のものだった。

 

『簡単だよ。近々"何か"が起こる。それも派手な類の物がな。その時にお前の力を必要な時に借りれるようにしたい」

 

『・・・手駒は足りているんじゃないのか?』

 

 その質問に対して彼は笑いながら答えた。

 

『もちろん。腐るほどいる。お前より使い勝手のいい奴がたくさんな。ただ、お前の力そのものは世界中のどこを見渡しても存在し得ない。いざと言う時の"ジョーカー"にしたいんだよ。もちろん、今回はきちんとした"取引"だ。お前の損になる行動はさせないつもりではあるよ』

 

『・・・いいだろう。今は口約束しかできないが、約束しよう』

 

 "彼"をして警戒する物事が何なのかは予想も付かないが、最低でも知りうる機会があるだけ乗る価値はある。それに、最悪情報だけ頂けばいいのだ。

 

 そう割り切った後、彼から提供された情報は、最初よりも詳細な物だった。

 

 

 

 

『"精霊魔法"に気をつけておけ。特に道具には細心の注意を払っておけ。相手の狙いは怪我による有力選手の棄権だ』

 




ってことで始まる前までに精霊魔法による妨害を知ることになる達也。
これが何の影響を及ぼすかって?・・・それはお楽しみです。

今現在頭の中では横浜騒乱編でのストーリーの構成で埋まっています。九校戦はソレの前座にできればいいなぁと思っていたり。と言ってもここから前座につなげるのはきついところがある気もするけど。まぁ、頑張れるだけ頑張ってみます。

次回、未定。懇親会書かなきゃいかんのかなこれ。一条書くのきつい気がしてならない

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