魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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感想に関しては目を通していたんですが、感想の一言に関してはチェックを忘れていました。

なんか放置していた感じで申し訳ない。そして応援ありがとうございます。とりあえず個人的には九校戦が一番の正念場な気がするので(ネタ的に)どうしても投稿が遅れる可能性が常にあるのですが、出来るだけ見苦しくない展開に出来ればなぁと思っています。これからも温かい目で見守っていただければ幸いです。

さて、本編です。


第三十三話~初動~

【Friday,July 29 2095

  Person:operator4    】

 

 

 

 

 

 十八日の発足式以来、徹底的な情報収集の元得られたものはいくつかあった。

 

 一つ目は、無頭龍日本支部の場所。これはさほど目立ったものでもないが、官僚組織に対しては切り札となり得る。何せ国内同士で縄張り争いをするような構造になっている。公安あたりで得た情報だが、上手く軍あたりに売ることが出来れば価値が出てくる。

 

 二つ目は、無頭龍の背後にいる組織。これは意外と言えばいいのかある意味予想通りといえばいいのかは分からないが、背後にいたのはブランシュだった。

 こちらは、管理者No3に要請した結果得られた情報。しかし、出てきた名前はまた予想外な人物だった。

 

 

 ジード・ヘイグ。フリズスキャルヴのアクセス権を持つ七人の内の一人で、"日本の魔法師"に対して恨みを抱いている人物。彼がブランシュの総帥と聞いたとき、ため息を吐かずにはいられなかった。何せ人間社会で"人間が"得られる情報収集能力の中では最大のものを持っている人物が日本に対して過度な干渉をしてくるということだからだ。

 今はまだ無視できる範囲ではある。しかし、これ以上の行動を起こさないとは限らない。何せ、彼自身の目的が"魔法師の根絶及び大亜連合による世界の主導権の確保"だ。魔法師の根絶は別にこちらにもメリットが無いわけではないのだが、その次の目的が限りなく厄介極まりない。

 

 我々が望んでいるのは、一国の元の安定ではなく、各国によるバランスの確保なのだから。

 

 

 とにかく、味方になり得る要素が無い以上これも売れるだけの価値が出てくる。むしろ、こちらの方がメインの情報になるだろう。

 

 

 そして、最後が肝心の"無頭龍"の工作手段。

 彼らとしては一撃で決めるつもりらしく、優秀な魔法師工作員による特攻により過半数を無力化する予定のようだ。しかし、保険として精霊魔法による妨害工作、及びその為の役員買収があるようだ。こちらは買収された役員、精霊魔法の詳細も手に入れている。こちらに関しては得られたすべての情報を複合して得られた結果だ。

 

 これは、恐らくは九校戦に関係する人物。九島家あたりに売れば恐らくは効果が見込める。何せ九校戦の運営に一番よく関わっている十師族であるため、九校戦にケチが付くのはできる限り避けたいはずだ。

 

 

 

 もちろん、これだけの情報を揃えても問題はある。

 肝心の"情報を欲しがりそうな組織"そのものが少ないことだ。

 現在も洗い出しこそ行っているが、どこも自前の情報収集手段を持っているため余計に売り込む余地がない。もちろんどこもここまでの情報はつかんでおらず、精々"何かがある"ぐらいしか把握はしていないのだが、少なくとも借りを作られるよりは自分で調べた方がいいと思うことは間違いない。

 

 

 やはり、買い手がいれば儲け物と考えて事態の把握だけしておいた方がよいのだろう。

 結局金曜日にもなって真夜中までよさげな取引先を捜してみたが見つからず、方針の変更を伝えて各員にこの事案での作業を切り上げるよう連絡しようとした時、連絡が入った。

 

 

 ただし、連絡をつけようとしていた"調整者"からの呼び出しではなく、"私用",

 つまり学校用に使っていた携帯端末からの着信だった。

 

 誰かと思いつつ、通話に出る。

 相手は、"彼"だった。

 

『もしもし?・・・といっても、相手はわかりきっているんだがな』

 

『借哉、今は問題ないな?』

 

『どうした?お前から電話を掛けてくるなんて。明日雪でも振るんじゃないのか?』

 

 そうジョークを交えつつも内容を聞く。

 結果は、ある意味想定内のものだった。

 

『随分"嗅ぎまわっている"ようだな?』

 

『・・・それはどういう意味でだ?』

 

『どういう意味だと思う?』

 

『はぐらかすのは止せ。こっちだってお前だけが"仕事"じゃないんだ。いろいろ有りすぎて困る』

 

『もちろん、"俺"のことと"無頭龍"のことでだ』

 

 この言葉に対しては素直に感嘆を覚えた。"彼"自身のことについて嗅ぎまわっているのはむしろばれて当たり前だと思っていた。何せ一〇一の情報からも調べていたのだ。ばれていないのは可笑しい。しかし、"無頭龍"に関してのみ言えば彼らが知れる余地などない。彼に見える範囲では公安しか動かしていない。それについて知り得ることは難しいはずだ。

 

 しかし、彼は把握してみせた。流石と言うべきだろう。

 

 

『まぁ、確かに嗅ぎまわってはいるな。で、それがどうした?』

 

『"何処まで知っている?"』

 

『"知りうる限り何もかも"』

 

『・・・それは冗談の類ではないんだな?』

 

 疑問を返す彼に対して、とりあえず少しサービスすることにした。

 

 規模としては弱いかもしれないが、"彼"の個人の能力は強い。元々は敵であるのには間違いが無いのだが、一時的に"恩"を売っておくことで通常の仕事に関しては助力になり得るかもしれない。

 

 

 そんなことを期待して、とりあえずは目先のことを教えることにした。

 

 

 

 

「信じるか信じないかはお前次第だ。ただ、"後者に関しては"ヒントをやろう」

 

 

 

 

『始まりは、移動中からだ。せいぜい目立たないように頑張れよ』

 

 

 




ってことで情報の売り先はやっぱり達也になりそうです。

・・・っといっても、最初は実を言うと四葉or一〇一を想定してました。ですがよくよく考えると四葉に関してはほぼノータッチを貫くでしょうし、一〇一は軍の組織である関係上逆にオリ主側が売るだけの価値を持っていないんですよね。軍の上位機関からいろいろ引っ張りだせばいいだけですし。

で、散々考えた挙句達也が一番かなあぁと。彼が一番情報を欲しているじゃないですか。何せ今回情報を提供する側に達也が立てれば一〇一に対しての借りも少なく済み、また彼自身も先手を打てると。

ただし、今の段階では達也はさほど当てにしてないって言う。何が目的なのかという遠まわしの探りですね今回の電話は。で、情報を提供されたことによりそれが合ってれば今回は敵ではないだろうというような感じです。なんか動いてるんだろうなとは思いつつわざわざ電話した・・・はず。

次回、恐らく達也回。やっと八月になるよ!・・・やっと。

【追記】サブタイトル付け忘れたんで修正しました

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