魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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なんかほぼサブタイトル的なものを二文字で済ますので通してますけど、案外これ何を出そうか苦労してたりする。もうほぼやり続けちゃってるから何かない限りやめたくないし、けどそれっぽい熟語とか探すのも苦労すると。いろいろ難儀な物です。

あと、最近運の無さを感じる。二週間前に冷やして食べようと思ってた牛乳プリンが今になって"冷凍庫"から見つかる始末。これどーしよ。

さて、本編です。


第三十話~疑問~

【Thursday,July 14 2095

  Person:@;g>.=er[ "Tatsuya,S" 】

 

 

 

 

 深雪が食事の後片付けをしている時に、電話が鳴る。

 電話の相手は、不得要領な顔をした旧知の知人だった。

 

「お久しぶりです。・・・狙ったんですか?」

 

『・・・いや、何のことだか分からんが・・・久しぶりだな、特尉』

 

「リアルタイムで話をするのは二ヶ月ぶりです。しかし・・・その呼び方を使うと言うことは、秘匿回線ですか、これは。よくもまあ、毎回毎回一般家庭用のラインに割り込めるものですね」

 

『簡単ではなかったがな。特尉、君の家はセキュリティが厳しすぎるのではないか?』

 

「最近のハッカーは見境がないですから。家のサーバーには、色々と見られてはまずいものもありますので」

 

 今のように少々の雑談から始まったが、本来は彼・・・陸軍一〇一旅団独立魔装大隊隊長風間玄信少佐に対しては余計な時間の浪費は好ましくない相手だということを今更思い出し、用件を聞くことにした。

 

「少佐、本日はどのようなご用件なのですか?」

 

『そうだな、前置きはこのくらいにしておこう。まずは事務連絡だ』

 

 まず最初に述べられた内容は、"サード・アイ"のオーバーホール及びソフトウェアのアップデートを実施。そしてそれに伴う性能テストの要請。

 それに対しては明朝出頭し行う旨を伝えた。"サード・アイ"のテストそれそのものは差し迫ってはいないものの、休日にはFLTに行く予定になっている。この場合学校を一回休んだ方が早く済む。

 

『では明朝、何時ものところへ出頭してくれ。真田に話を通しておく』

 

「了解しました」

 

 事務的に敬礼をした後、話は九校戦のことへ移っていった。

 と言っても、事務連絡の後に出てくる話だ。恐らく穏やかなものではないだろうが。

 

『聞くところによると特尉、今夏の九校戦には君も参加するそうだな』

 

「はい」

 

 何とか簡潔には答えられたものの、実際たった"三時間前の出来事"を把握しているのは驚くべきことだろう。

 今日の昼に不幸・・・というべきなのかどうかは分からないが、九校戦の技術スタッフとしての技量を持っていることが発覚してしまい、本当にいきなりの話だが新人戦の女子の技術スタッフとして参加することになったのだ。

 どうやってその情報をそこまで早く得ることが出来るのかは疑問だが、一応は飲み込むことにした。

 

『会場は富士演習場南東エリア。これはまあ、例年のことだが・・・気をつけろよ、達也(``)。外灯エリアに不審な動きがある。不正な侵入者の痕跡も発見された」

 

「軍の演習場に侵入者ですか?」

 

『実に嘆かわしいことだがな。また、国際犯罪シンジケートの構成員らしき東アジア人の姿が近隣で何度も目撃されている。去年までは無かったことだ。時期的に見て、九校戦が狙いだと思われる』

 

 たかが高校の対抗戦にとは思ったものの、魔法科高校の集まりと言うことに意味があることを思い直した。

 そもそも九校戦はその年代でトップクラスの魔法の才の持ち主が集まる場所。魔法技術に関しては進んでいると見られている日本がソレを失うことはダメージになり得る。

 だが、それにしては分からない点があり、風間に聞きなおした。

 

「"国際犯罪シンジケート"と仰いましたが?」

 

 まず一つ目の疑問点は、外国政府の工作員と思われる者であるならまだしも、対象の所属が国際犯罪シンジケート、つまりはマフィアに近い集団に属する者達ということだ。魔法師の無力化を目的とした集団ならば、少々小さすぎる。

 二つ目の疑問点は、まず国際犯罪組織に関しては軍部にとっては門外漢のはず。どうやって小隊を特定したのか。

 その質問に対する答えは、第二の疑問の物だった。

 

『壬生に調べさせた。既に面識があると思うが』

 

「第一高校二年生、壬生紗耶香の御父君ですか?』

 

『ああ、壬生は退役後、内情に転籍して、現在の身分は外事課長だ。外国犯罪組織を担当している』

 

 この言葉に対してはほぼ本気で驚いていた。内閣府の情報機関があっさりと軍に情報をリークすることに対してもそうだが、何よりも壬生紗耶香は四月の騒ぎの際に下請けとはいえテロ組織に所属していて、しかもそれに関して父親が認識していなかったということに対して最も驚かされていた。

 

『犯罪シンジケートとテロ工作組織は担当が別だからな。だが、自分が掌握している分野の情報は信頼できる。壬生の話では、香港系の犯罪シンジケート「無頭龍」の下部構成員らしい。目的は不明だが、追加情報が入り次第、連絡しよう』

 

「ありがとうございます」

 

 もし、本来何もなければここでお互いに二、三個言葉を交わした後通話は切れるのだろう。しかし、四月にはブランシュの件とは別に、"彼"のことで報告したのもある。

 風間もこちらが何の情報が今最も欲しかったのかも理解していたらしく、話を切り出してきた。

 

『最後に、特尉(``)が話していた、"河原借哉"に関してだ。』

 

「何か、分かりましたか?」

 

 しかし、これに対する答えは最悪に近いものだった。

 

『何も分からなかった。いや、違うな。"調べようとしたが、圧力がかかって止められた"』

 

「・・・と、いうと?」

 

『そのままの意味だ。河原借哉に対する情報を調べようとしたが、彼に対するあらゆる行動をしないよう"圧力"がかかった』

 

「一〇一旅団が身動きできなくなるほどのものですか」

 

 意外感と共に圧力をかけてきた対象について聞く。

 その相手は、まさにありえないとしか言いようのない相手だった。

 

『国防軍最高司令官からだ。別の言い方をすれば、"内閣総理大臣から"と言った方がいいだろう』

 

「・・・首脳部がストップをかけるほどの相手と?しかし、今まで"河原借哉"と思しき人物は我々が触れられる情報の中では"存在しなかった"はずでは?」

 

『そうだ。恐らくは限りない確立で国家機密に関係する者、それもかなり上部の物の可能性が高い。今回は"圧力"でしかなかったが、今回の場合深入りできそうにはない』

 

 その風間の答えを聞きながら、思案する。

 "彼"は国家でも最高レベルの機密に関わっていると思われる人間ということになる。つまり、政府は既に"彼のような魔法師"を作り出す術を持っていると考えそうになる。しかし、それなら余計に軍部、ましてや内閣府に所属する情報機関にさえそれと同種の魔法師が"一人もいない"のが不自然だ。

 

 

 "彼"は、一体何者なのか。

 国のトップが動かざるを得ないほどの物。"彼"は、何を知っているのか。あるいは、持っているのか。

 

 

 

 結局いくら考えても分かることはなく、これを最後に通話が切れた。

 

 

 

 

 




ということでオリ主の謎がすこーしずつ深まっていく・・・のかな?
やっぱり謎って何かあると分かっているから謎なんですよね。何かあるのは分かるけど何があるのかが分からないって雰囲気、嫌いじゃない。

さてここで達也とオリ主が持ち得た情報を整理。

達也:相手が国際犯罪シンジケート 目標は恐らく九校戦
借哉:1億ドルが動く規模の何かが起こるということ

現状どちらがより多く知っているかなんて分かりきってますね。完全に達也側有利です。まぁ、オリ主が敏感に反応しているのは国防軍よりこの先何が起こるかをある程度知っているが故の焦り様なんですがね。
だけどこれの二つを統合して考えれば案外答えが直ぐまとまりかけるという。果たしてこの後どうなっていくのか。

最後に、なぜ総理大臣が借哉に関する調査に圧力をかけたのか。答えは簡単です。流石に国のトップに立った人間は普通に"借哉たち"のことを知っています。あくまで限りなく前の段階から国より高次の地位にいて、外交バランスを崩さないもしくは彼らの行為の邪魔をしない限りはほぼ無干渉だということとかそんくらいですけど、一応はある程度知っています。それで恐ろしさも分かっている為ほぼ言いなりな訳です。
しかしそんな国のトップであっても"借哉が日本にいるその集団の中ではトップ"ということは知らなかったりする。何時もの彼らの連絡相手は通信で"調整者"とですから。借哉の事は調整者の直接の部下であろうと思ってたりする。もちろん話したことさえない。
借哉のことをより正しく知っているのは、実は国のトップなどではないのですが、それに関してはとりあえずその時になったらというときで。

後、もう原作とほぼ何も描写が変わらないところは必要がない限りすっ飛ばしてます。昼の出来事すっ飛ばしていきなり風間との通信に入ったのはそのせい。だってオリ主絡ませる余地さえないところなんて原作のコピペにしかならないので・・・。

次回、恐らくオリ主視点。一応軍に関してはほぼオリ主の勢力圏内だからねぇ・・・。

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