魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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やっぱり九校戦編は書くのが難しい。

あと、本来追記で書くべきなんだけど、改めて。
実を言うと最初の日付のところ、毎回書くのめんどくさくてコピーしてるんですよ。
で、今更ながら曜日もつけてたなと気づいて・・・・修正祭りです。一応原作どおりに直したんでほんとすんません・・・。


第二十八話~空蝉~

【Wednesday,July 13 2095

  Person:@;g>.=er[ "Tatsuya,S" 】

 

 

 

 

 突然だが、魔法科高校にも当然魔法以外の一般科目の授業があり、その中には少年が必要以上に熱い闘志を燃やす体育もある。

 今日の授業であるレッグボールでは、一年E組と一年F組によるゲームが行われていた。

 

 結果は、E組の勝利。現在は休憩時間がてらに良い動きをしていた吉田幹比古との交流を進めていたのだが。

 

 

「にしても借哉。やっぱり元気ねぇな。そこまで"仕事が"きつかったのか?」

 

「察しがよくて助かる。ある程度疲労は抜けてるけどまず動きたくない」

 

 

 意外と言うべきかなんというべきか、借哉が風紀委員の仕事とテスト勉強を並行で進めた為に時期は遅いが五月病に入っていた。

 

「でも実際君はまだ体力はあると思うけど?」

 

 そう訊ねる幹比古に対して、借哉は形だけではあるが一応は頷いた。

 尤も、意味は柔らかな否定であるが。

 

「動けない事はないさ。ただ、動きたくない。もう何もしたくない。布団に転がって何も考えずに寝れたらどれだけ幸せなことか」

 

「そこまで言うか・・・」

 

 彼自身も実際にレッグボールのゲーム内ではきちんと動いていた。相手の動きを制限する場所に立ち、こちらに有利な状況を作り出す。その点どちらかと言えば頭脳派とはいえ、動きはするのだ。

 

 ただ、休憩時間になった彼はもはや大の字とまでは行かないまでも今すぐにでも寝てしまいそうな勢いだった。

 

 

「で、話はどこまでいったっけ。俺の話じゃなくて・・・えっと」

 

「幹比古とエリカが知り合いなのかってところあたりか?」

 

「あぁそうだそれそれ。結局どうなのさ」

 

 そう言って、先ほどまで切れていた会話の続きを促す借哉に対して、幹比古は余り突っ込んで欲しくなさそうな顔をした。

 

「あー・・・腐れ縁なら余り話さんでも」

 

「まぁね。いわゆる、幼馴染って奴?」

 

「エリカちゃん、何で疑問形なの?」

 

 流石に拙いと思ったのか借哉も話題の転換を図ろうとはした。が、結局一足遅かった。

 

「知り合ったのが十歳だからね。幼馴染って呼べるかどうか、微妙なトコだと思うのよ。それにここ半年くらい、学校の外では全く顔を合わせてなかったし。教室じゃずっと避けられていたしね」

 

 いきなり会話に乱入してきたエリカは、そのまま美月の質問に答え、

 

「ねっ、達也くんはどう思う?」

 

 いきなりこちらに話を振ってきた。彼女は今日もマイペースだ。

 

「幼馴染で良いんじゃないか」

 

「同級生って言った方がいいんじゃないかとは思うがな~」

 

 そう気だるげにに借哉も話す。が、他の二人は何も言うことはなかった。

 否、言えなかったというべきか。

 まぁ、彼女の格好からしたら有る意味無理もないのかもしれないが。

 

「エリカ、何て格好をしているんだ!」

 

 ようやく再起動した幹比古の声が少し裏返っていたのも無理はない。

 何しろ足の付け根から先がむき出しといっていい。確かこれはなんて服だったか。

 そんなことを考えているとおもむろに借哉が目線だけエリカに向けた後答えを導き出した。

 

「えーっと・・・ブルマ、だっけ?よくそんな懐かしいもん持ってんな~」

 

「ブルマー?箒みたいな名前だな。ただそれが体操服になるのか?」

 

 疑問を素直に吐き出してみると、まるで昔を思い出す老人のように借哉は頷いた。

 

「あ~、気持ちは分かるわぁ。でも、実は二十世紀末あたり・・・だっけな。

 あの頃まではきちんと使われてたんよ~。ちょーっと曰くつき・・・なのかもしれんけどさー」

 

 もはやはっきり物を言うのもだるいとばかりの借哉の言葉による物なのか、レオが再起動と共に"曰くつき"と借哉が表現した内容を口に出した。

 

「ブルマーっていうと、あれか。昔のモラル崩壊時代に女子高生が小遣い稼ぎに中年親父に売ったっていう・・・」

 

「黙れバカっ!」

 

 結局、フリーズしたままの方が彼にとってもエリカにとっても良かったのだろう。

 脛を蹴飛ばし、その固さに片足でピョンピョン跳ね回るエリカと、脛を押さえて悶絶するレオ。

 今回は痛み分けに終わったようだ。

 

 

 

 その後、エリカ達が自分達の授業に戻ったところで男同士の会話が再開された。

 

「それにしても、達也は落ち着いているね」

 

「いきなり何のことだ?」

 

「何って・・・。えーっと、ほら、エリカのあの格好を見ても少しも動じている様子がなかったし」

 

「いきなりで驚いたことは驚いたが、動揺するほどの露出度でもなかっただろ?現に借哉は少しも動じなかったぞ」

 

「心外だな~。俺だって一応は驚いたぞ。あ~んな骨董品を見ることになるなんてさ~」

 

「どっちかっていうと動じなかったって言うより動じる気も起きなかったって感じだと思うんだけどこれは・・・」

 

 話題は、先ほどのエリカの格好に対する反応になっていた。

 エリカにいじられた仲間意識からか、レオも達也を標的とする。

 

「達也のは枯れてるんじゃなくて、採点が辛すぎるんだよな。あんだけ美少女な妹がいれば、大抵の女にゃ興味が湧かないだろ」

 

「ああ・・・確かに。深雪さんだっけ?入学式で彼女を始めて見たときには、見とれるよりビックリしたよ。あんなに綺麗な女の子が実在するなんて信じられなかった」

 

「おっ?達也、かわいい妹が狙われてるぜ、兄貴としてはどうよ?」

 

「よしてよ。話をするだけならともかく、それ以上の関係になろう何て、考えただけで怖気づいちゃうって。彼女にするなら、もっと気楽に付き合える相手がいいな」

 

「兄貴にベタベタな妹さんに妹が判断基準の兄貴、何処から見ても勝ち目なんてないしなぁ」

 

「借哉。お前とは一度とことん話し合う必要があるようだな」

 

「いいけどこの調子だと一日掛かるぞ~。それでもいいならコーヒー用意しろぃ」

 

「やっぱりぶれねえなぁ借哉は。ただそろそろ体くらい起こした方がいいぜ?」

 

「んだねぇ~。そうすっか~」

 

 そういいながら気だるげに立ち上がると、いきなり幹比古の方へ顔を向けた。

 

「幹比古さ、もうちょっと"抑えて"くれ。案外分かっちまうもんだぞ」

 

「えっ?」

 

 急に声を掛けられた幹比古は、ほとんど臨戦態勢で身構えてしまう。

 

「おいおい、物騒だな」

 

「まぁいきなり訳の分からないことを聞かれたらそうなるのも無理もないとは思うがな」

 

 そうフォローを掛けるが、結局空気が微妙な物になってしまう。

 そのまま、結局ある程度のジョークも飛ばしたものの、空気が変わることはなかった。

 

 

 

 "彼"は一体幹比古から"何"を感じ取ったのだろう。

 

 答えは、今は知る由がない。

 

 




てことで一日開けの投稿でした。
本来は曜日を修正した時に投稿する予定だったんですよ。
ただね?半分ぐらいやったところで眠くなってそのまま朝まで直通コースいっちゃいまして。しかも1日も開けておいて結局繋ぎ回でしかないっていうね。

次回、オリ主視点。オリ主が巻き込まれる発端を書く。予定。確定ではない。

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