魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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世界観の詳しい説明回、みたいな?


第一話~世界の成り立ち~

【**** ***** ** ******

 Person:operator4   】

 

 

 この世界は、"創造主"が"創造主"の為に作られた。

 "創造主"は概念体で、膨大な力や能力、そして知識を持っていた。

 だが、そんな"創造主"には欠点が一つあった。

 

 "自我"がないのだ。

 

 本来活動できる者には程度の差は有れど確実にあってしかるはずの"自我"がないのだ。

 "自我"を"無理矢理"作り出すことは出来るものの、それは"創造主"にとって大量の力を消費する行為だった。

 

 そんな"創造主"が力を維持しつつ、最低限の自我を保つ方法。

 今考えても"創造主"の卓越した思想と能力には疑問しかない。

 

 "創造主"は"世界"を作り出し、その中に"自分と比べて限りなく能力が低い代わりに、自動で自我を持つことが可能な生物"を生み出し、その自我を"借りる"ことで自らの自我を補完したのだ。

 

 ・・・といっても、"人間"のような、高等な自我を持つ生物が生まれていったのは偶然の産物に過ぎないのだが。

 

 世界が作られた時に、"創造主"は世界を自分で調整しなくても維持できるように、最初に4人の"管理者"を作り出した。

 

 その時はoperator1とかoperator4みたいな、型番にしか見えない名前が本当の名前だった。もちろん、今でも変わりはない。

 

 人間が生まれ、人間社会が生まれ、それが大きくなってきた時、わざわざ"創造主"が自ら自我を作り出して世界の管理方式を変えてきた。

 その時の言葉はよく覚えている。まるで見通してたかのように、彼は言った。

 

『いずれ、人間はこの世界を支配するだけの力を持つ。だから、"最も影響力を持ちそうな文明に一人ずつ付き、それを維持・発展させてやれ』

 

 あの言葉の正しさを知ることになったのはそれから数百年後だったか、それとも数千年か。

 4人のオペレーターは結果的に1がアフリカ大陸の文明を、2がヨーロッパ大陸の文明を、3がアジア大陸の中央~西部の文明を、そして、4である俺がアジア大陸東部の文明を管理していった。

 そのうち文化が増え、手が足りなくなってくると"創造主"から新たに管理者が追加され、さらに高度化していく人間社会を完全にコントロールするために"調整者"を作り出し、それぞれに10人以上の数を付かせた。

 

 そのおかげで、数々の苦難を乗り越えて人間の歴史が、文明が"終わりを迎えないように"コントロールしてきた。

 なにせ高度に発展した人間の自我は"創造主"にとって最も有益な自我だ。それが潰えることは"創造主"が衰退することを意味するのだから。

 

 今思えば、そういった人間への"過保護さ"がアレを引き起こしたのだろう。

 

 

 元から超能力を持つ人間というのは確認していた。

 元々"管理者"の本来の仕事は"世界の維持"、つまり世界にとって致命的になりうる"バグ"を処理すること。そのために極めて高い能力を持ちえた"管理者"が気づかないはずがない。

 ではなぜ放置したか。単純だ。"創造主"にとっては彼らは優秀な自我だったからだ。

 強力な力を持ちながら、ソレを日陰に隠し生きていく。それは"創造主"にとっては新鮮な行動パターンであったらしく、実際に"創造主"が借りた自我はそういったものが多かった。

 "管理者"としても"バグ"の原因は突き止めなければならないものの、致命的なまでに有害ではないし、むしろ"創造主"にとっては有益であると認識し、監視だけに留めていた。

 

 皮肉なことで、超能力者なる"バグ"の原因を見つけた時には、超能力者は日なたに出てきてしまっていた。

 阻止できなかったのか。そう言われても無理だろう。なにせ人間がまだ生まれてさえいない段階から世界を見てきて、ゆっくりとすすむ世界でありとあらゆる経験を培ってきた。その経験が、早く進みすぎた世界への対応を遅らせてしまったことに誰が文句を言えようか。

 

 

 超能力者が使う、"魔法"の正体は、自分達"管理者"が使っている"管理者権限"の亜種だったのだ。

 今までとは違い、いきなり表にでて来た彼らに対して、全く経験のなかった"管理者"達は混乱し、その混乱の結果一時世界がコントロールから解き放たれた。

 

 その結果がどういうものかは、現在の世界情勢が示してくれている。

 

 多くの国が潰れ、世界は狭くなってしまった。

 しかも、"管理者"が数千年を費やして作り上げた"人間社会に対する裏の権力"を全く受け付けない、新たな強力な集団が出来てしまった。

 それが"魔法師"。それと"魔法協会"をはじめとする数々のコミュニティだ。

 

 これ以上の失敗は避ける為にも、"管理者"と"調整者"の間で一致した認識。それが

 

 "危険と判断したら、例えどのような人間であったとしても、何を犠牲にしても処理する"

 

 世界を穿ちかねない、人間社会を崩しかねない人物は例外なく処理する。そうやって動いていったことにより、西暦2095年までは、何とか人間社会は維持できて"いた"。

 

 

 ある"バグ"を見つけるまでは。

 

 

 

 




独自設定のタグつけといた方がいいのかな・・・後でつけておこ。

世界観をより分かりやすく説明した回。タダの蛇足に近い。

不定期と書きました。今回みたいにテンションが持っているときはいくらでも投稿できます。テンションが下がると下手したら1年間放置なんてこともあります。悪しからず。

"創造主"自身に自我がないから生物から借りる、という表現を使いましたが感覚的には「見ている」が近いかもしれません。
生活してるとどうしても何かしら猫を被ったり仮面を被ったりしないといけませんよね?あの時に感じる「俺なにやってんだろなー」みたいな、そんな感覚に近いかもしれません。自我を見ることで自分自身の自我を最低限の範囲で定着させている、といったところでしょうか。説明が難しい・・・

さて、次回はいよいよ入学式(のはず)。河原借哉の苦難の日々はここから始まるでしょう。楽しみにしていただけると助かります。



あ、あと読んでくださった方は薄々気づいてるとは思いますが"バグ"は思いっきり彼です。ベンチに座ってる彼。

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