その方が書きやすいから。
【Sunday,April 5 2095
Person:operator4 】
「・・・どうあっても彼らを風紀委員に入れるつもりですか?」
「どうやったら納得するつもりだ?」
達也達が入ってきて、十分ほど経っただろうか。
妹さんは既に生徒会の業務に案内され、ほぼ風紀委員入りが決まっているらしい二人でただ黙って口論を聞いていた。
服部副会長が二科生の風紀入りを認めたくないのは、実力の問題。
もちろん二科生ごときが、というのもある。しかし、本質は"二科生は弱いのだから矢面に出ては行けない"という、どちらかというとまだ差別的でない考え方だ。
その点で認めたくないのは、恐らく達也だろう。
何せ、彼はまだ"達也の実力を知らない"のだから。
では俺はいいのか。答えは否である。
ほぼ正当防衛とはいえ食堂で乱闘する輩を入れるのはやはり抵抗があるのだろう。
しかし、渡辺委員長の言い草も筋が通っている。
何しろ、二人とも風紀委員に入ったら確実に有能なメンバーになるであろうから。
服部副会長は、言い合いに疲れていたのだろう。"最も自分が納得し得る方法"を選択した。
「・・・河原借哉に関しては、そう呼びたくはありませんが"実績"はあります。ですから、彼の管理を徹底するなら、まだ理解できます。しかし、自分は司波達也に関してはどのような力を持っているのか知らない。その分析能力とやらが、どれほどのものなのか。そのためにも、」
一拍置いて、彼は切り出した。
「彼と模擬戦をさせてください」
いきなり言っても演習室に空きなどないだろうとは思ったが、どうやら杞憂だったようだ。
第三演習室。そこには何故か先ほど生徒会室にいた"全てのメンバー"が揃っていた。
「会長・・・仕事はいいんですか?」
「別に仕事はいつでも終わるわ。それより、頑張ってね。達也くん」
「人気でいいことだなぁ。後で服部副会長のご機嫌取り頑張ってくれ」
「勘弁してくれ・・・」
傍から見ているだけでは完全に喜劇だ。個人的にはこの模擬戦より気になったりしている。
「よし、それではルールを説明するぞ。相手をしに至らしめる、又は回復不能な障害を与える術式、及び攻撃は禁止。相手の肉体を直接損壊する術式も禁止する。ただし。捻挫以上の負傷を与えない場合は許可する。武器の使用は禁止。素手による攻撃は許可する。蹴り技を使う場合は今ここで靴を脱ぎ、ソフトシューズに履き替えること。勝敗は一方が負けを認めるか、審判が続行不能と判断した場合に決する」
渡辺委員長がルールの説明を終え、達也と服部副会長の二人が開始線で向かい合う。
「果たしてどこまでいけますかね」
「どうだろうね~。リンちゃんはどっちが勝つと思う?」
「一見するとどう考えても服部副会長でしょう。ですが、"彼"のことを考えると、一概には言えません」
そう言って市原先輩がこちらの方へ目を向ける。
恐らくは、魔法を使わずに魔法師を鎮圧したという実例を見せ付けられている為だろう。尤も、正確に言えば満足には使えないというだけなのだが。
恐らく、さほど目を見張るものはないだろう。本当に服部副会長の機嫌をどう直すかの方が気になる。
どちらが勝つのか、分かりきっているのだから。
「始め!」
渡辺委員長の合図と共に、服部副会長はCADを起動させる。
展開したのは、基礎単一系統の移動魔法。
恐らく俺の食堂での戦いから、避けられる可能性があるものよりは大雑把でも当たるものを選んだのだろう。
愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ。
確かに、彼は優秀な魔法師のようだ。
だが、それは相手が普通の高校生だった場合の話だったが。
達也はまさしく目にも留まらぬ速さで副会長の後ろに回りこみ、想子波の合成によって衝撃を増強させたものを、背中から食らわせた。
服部副会長が、崩れ落ちる。
「・・・勝者、司波達也」
結果は、俺にとっては予想したとおり、周りの者にとっては予想外だっただろう。
限りなく、あっさりと終わった。
ってことで模擬戦の回。
オリ主が食堂で一科生を蹴散らしたので服部副会長は原作よりもちょっとだけ前向きな検討をしていたっていう。だから彼から模擬戦を切り出しました。
え?なんで達也が勝とうとしたかって?そりゃおまえさん深雪の前で負けるわけにはいかんでしょう。
ついでに、何故オリ主の視点が増えるかというと単純に原作に沿った書き方をしなきゃいけない達也よりは書きやすいってだけです。悪しからず。細かく混ぜなきゃ面白くないんだけどねたぶん。
次回、そろそろ日常が戻ってくるか?