魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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達也大変だなー入学二日目からほんとねー by借哉

なお日和見できる訳ではない模様。



第十一話~傍観~

【Tuesday,April 5 2095

  Person:operator4  】

 

 

 

 

 とりあえずは一定の釘刺しを昨日行い、最初の報告を整理し終わった。

 これからは基本打開策が見つかるまでは情報を待ちつつ高校生を演じる必要があるだろう。

 

 駅で昨日のメンバーとも合流し、いざ登校しようとして、

 

「達也くーん」

 

 "彼"の足が止まった。

 

「達也さん・・・会長さんとお知り合いだったのですか?」

 

「一昨日の入学式が初対面・・・のはずだ」

 

「そうは見えねえけどなぁ」

 

「わざわざ走ってくるくらいだもんね」

 

「どう考えてもつい先日知り合ったばかりですって感じには見えないな」

 

 生徒会長がわざわざ新入生、それも二科生相手に小走りで近寄る理由というのが見当たらない。

 確か彼女は"七草家"の一員だったはず。魔法師社会の頂点の一角である家の、息女。

 もしかして"彼"は、"十師族"に関係する人物か・・・?

 

 

 いや、"彼"は正真正銘何がなんだかわからないといった表情を出している。きっと無関係だろう。

 

 

「達也くん、オハヨ~。深雪さんも、おはようございます」

 

 この落差である。例え知り合いだったとしてもこの扱いは心にくるものがあるだろう。

 

「おはようございます、会長。お一人ですか?」

 

「うん。朝は特に待ち合わせはしないんだよ」

 

 流石に分からなくなってきた。魔法師の社会というのはこれが普通なのか?何で誰も突っ込み入れないのだろうか。当たり前なのかこれは。

 

「深雪さんと少しお話したいこともあるし・・・ご一緒しても構わないかしら?」

 

「はい、それは構いませんが・・・」

 

「あっ、別に内緒話をするわけじゃないから。それとも、また後にしましょうか?」

 

 今度は俺含む四人に向けられた言葉。

 やはり、疑問は吐き出すべきだろう。

 

「あの・・・・これが"普通"なんです?」

 

「そんな訳ないだろ・・・今回は"異常"なだけだ」

 

 答えは、達也から。

 気持ちは分かる。俺自身、何が正常で何が異常なのか分からなくなってきた。

 

「それで・・・お話というのは、生徒会のことでしょうか?」

 

 妹さんが空気を察し、話を自分の方へ引き寄せたようだ。

 本当にありがたい。今のやり取りは生徒会長の言葉遣い以上に失礼にあたる。

 

「ええ。一度、ゆっくりご説明したいと思って。お昼はどうするご予定かしら?」

 

「食堂でいただくことになると思います」

 

「達也くんと一緒に?」

 

「いえ、兄とはクラスも違いますし・・・」

 

 恐らく彼女が気にすることは、昨日の出来事だろう。

 彼女はやけに兄・・・達也のことを優先させる性質がある。ソレは達也にも言えたことのようにも見えるが・・・。恐らくは達也に遠慮しているのだろう。

 

「変なことを気にする生徒が多いですものね」

 

「今のところは落ち着きそうな気がしなくもありませんがね」

 

 何せ主犯格の腹に一発食らわせただけある。最低でも飯時にちょっかいを出す輩はいないだろう。

 ・・・そうでありたい。

 

「じゃあ、生徒会室でお昼をご一緒しない?ランチボックスでよければ、自配機があるし」

 

 時代は変わった。まさか生徒会室にダイニングサーバーがあるとは。

 最低でも昔は生徒会室はそこまで贅沢じゃなかったはずだ。

 

「生徒会室なら、達也くんが一緒でも問題ありませんし」

 

「・・・問題なら有るでしょう。副会長と揉め事なんてごめんですよ、俺は」

 

「はんぞーくんのことなら、気にしなくても大丈夫」

 

 はんぞーくんとはまたどこぞのアニメにありそうなあだ名を・・・。しかも彼の本名は確か・・・。

 

「・・・それはもしかして、服部副会長のことですか?」

 

 やはり合っていたか。本名とはいえ、服部副会長の心情は理解するべきだろう。

 

「そうだけど?

 はんぞーくんは、お昼は何時も部室だから」

 

 ほぼ予想通りだった。

 今期の生徒会は副会長を除き全員が女子で構成されている。

 そんな中で昼飯を食べようものなら食べるより先に胃に穴が開く。

 

「なんだったら、皆さんで来ていただいてもいいんですよ。生徒会の活動を知っていただくのも、役員の務めですから」

 

「お断りします。流石に食事の時ぐらいはゆっくりしたいです」

 

「せっかくですけど、あたし達もご遠慮します」

 

 飯の味も分からなくなりそうな部屋での食事など御免被る。

 同じ意見なのだろう。エリカ達も遠慮していた。

 達也には悪いが、彼には犠牲になってもらおう。

 

 

 

 後で、ついていけばよかったと後悔するなんて微塵も思ったりはしなかった。

 

 




出来れば一話でまとめたかったんですが、雰囲気的に区切れが悪いので分割したっていう。
書きたい話があるので今日も連投気味になるかも。

後、今まで暇だったのですが5月から忙しくなるので投稿ペースがかなり落ちると思います。一応ある程度スタックさせる予定ですがそこは勘弁を。

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