魔法科高校と"調整者"   作:ヤーンスポナー

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書いていると第一章と第二章の切れ目がはっきりしている為話の流れがスムーズに行けてるか不安。なので少し状況整理を多めに。


第二章四話~異物~

【Friday ,July 6 2096

 Person:operator4 】

 

 

 

 

 

 今回の件では、主に二つの目的がある。

 

 まず一つに、"P兵器"(パラサイドール)の確保と製造手段の破壊。

 既に前回の一件で必要分のパラサイトは回収してあり、何よりも何度か調査に行った限りではあの兵器に使われているパラサイトは元の物と比べると劣化が著しい。

 しかし、そも人がこの様な物を使う事さえ本来は許容出来ない。今までは四葉の"白烏"シリーズの事も有り黙認していたが、これを実際に投入するつもりであるならばとても許容出来ない。

 

 

 尤も、どちらが人道的に考えてえげつないかと言えば四葉になってしまうのだが、それに関しては考えない事にする。

 

 

 そして、もう一つが"彼"の動向を知る事。

 この実質的な冷戦状態の中で、ある一つの動きが予測される。

 四葉の力をよく思わない七草と九島、そして四葉分家の"彼"に対する敵愾心と、四葉真夜が未だ此方にも明かさぬ、"彼を制御する為の腹案"。

 

 それらを四葉から得られる情報と自前の情報で照らし合せた時、恐らくは今まででも最も面倒かつ危険な状態が発生すると思われる。しかも、"彼"の精神状態にダイレクトに影響を与えるとなると尚更だ。

 この予測を元に動くと、どちらに転んでも全く美味しくない展開しか待っていない。つまり、起こった時に"彼"がどちら寄りになるかに全てが左右される。

 

 だからこそ、この一件で"彼"の行き先を見定めようとする事にしたのだ。

 

 

 

 そして、この二つの内一つ目に関しては重大な問題がある。

 

 此方は一切の影響力、諜報能力を魔法師社会に対して所有出来ていないのだ。

 その成り立ちから、"国家"の枠組での争いならば此方が圧倒的に有利だ。しかし、魔法師社会内部での内輪揉めとなると金、公的機関、監視機器の三つからでしか伺い知る事が出来ないのだ。

 今まで一定の情報が得られているのは、一つに"軍"が関わっていたから。そしてもう一つは、"四葉"がいたからだ。

 

 "四葉"のみが魔法師社会内部で突出した力を持ち、そして"我々"の傘下にいる。つまり、魔法師社会内部での事象に関してはどうしても"四葉"の思い通りに動いてしまう事になり、更に言えば確実に後手に回る事になってしまう。

 

 

 つまり、今回も出遅れたのだ。

 

「周公瑾が九島に接触しただと?!」

 

 四葉真夜からの連絡の内容に、思わず声を荒げてしまう。

 

『えぇ。何を目的としたかはまだ分かっていないわ。おそらく近い内にもう一度あるでしょうね』

 

 周公瑾。今現在最も聞きたくない名前だった。寧ろ、彼が関わる可能性を考慮出来なかったのは此方の手落ちだ。

 奴は、"我々"の存在を知っている。直接敵対している訳ではないが、厄介さで言えば二月の時の九島を超える。それが、今回の一番の厄種と関わろうとしている。

 

「奴らの目的は日本と言う国そのものの力を削ぐ事だ。最低でも、それだけははっきりしている・・・」

 

 尤も、横浜の件で彼が修正に動いた節がない点、もっと広い範囲で物事を捉えている節もあるが、その中に日本が入っている事は間違いない。

 

『とすると、件の兵器の破壊、もしくは技術奪取が目的と言いたいのかしら?』

 

「今の時点では不明だな。兵器に対して何かしらの工作をするのは間違いなさそうだが、手段が推測できない。破壊か、奪取か、それとも暴走でもさせるのか・・・」

 

 どの道、九島に対して監視を強化する必要が出てきた。

 場合によっては、九校戦より前に行動を起こす必要もあるだろう。

 

 しかし、奴らを十分に監視出来るほど"我々"単体での魔法師社会内部における諜報能力はない。

 余り頼りたくは無いが、致し方が無い。

 

「周公瑾の動向を可能な限り速やかに把握しろ。手段は任せる。また、九島家と何を話していたのかも調べてくれ。情報を入手次第、直ぐに報告しろ」

 

『分かったわ。大事な"スポンサー"様のご意向だものね』

 

 そう笑って、真夜が通信を切った。

 

 

 これで、情報は幾らか手に入る。

 後は、即応体制を整えるのみ。

 

 凡そ五ヶ月振りに、事前連絡以外の要件でコマンドを開く。

 パスは、直ぐに繋がった。

 

 〔moderator4:どうかなさいましたか?〕

 〔operator4:あぁ。九島家に対して、今から即応体制を整えなくてはならなくなった。非正規戦になる可能性が高い。九島家近辺と第九研近辺の監視カメラなどの掌握、またヘリの飛行計画などを用意しておけ。十師族に悟られる事のない様にな〕

 〔moderator4:畏まりました。特戦群は此方で管理しても大丈夫でしょうか〕

 〔operator4:頼む。場合によってはこちらも現地で合流する為、そう伝えておいてくれ〕

 

 そう言って、パスを切る。準備が終われば、任意のタイミングで行動を開始出来るだろう。

 

 

 やることは、人間社会を管理し始めてから今までやってきた、武力を伴う暗躍。

 今回は、魔法師を対象にする点だけが何時もと違うのみ。

 

 

「隠れながら動き続ける事ができるとは思うなよ・・・"物の怪"」

 

 




と言う事で早速非正規戦の構え。何処かが賑やかになるかも。
とは言え周さんとオリ主が戦う状況って余り想像出来ない。お兄様やワンチャン深雪様のコキュートス以外の魔法がオリ主に効かない以上逃げの一手しか打たない気もしなくはない。

さて、今回から活性化する冷戦の肝と言うのはやはり各勢力で思惑が違う一種のパラノイア状態になる事でしょう。

例を挙げると今回はオリ主が四葉を顎で動かしましたが、同時に四葉はある事に対する言質を得ています。これは次回詳しく。
また今回はlog形式の話もそこそこ入るかも。悪しからず。

と言う事で次回、log。葉山と真夜。

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