思い付いたから急ぎ投稿
【Friday,April 27 2096
Person:@;g>.=er[ "Tatsuya,S" 】
"烏"が鳴くと人が死ぬ。
それが必要だから烏は死を呼び寄せ、その存在を知らしめる為に鳴く。
そして鳴いた後は、不気味な迄に静かに消えてしまう。
七宝琢磨を尾行しながら、ふと二月ほど前の事を思い出す。
"彼"が現れたのは、丁度去年の四月始めの頃だった。
"河原借哉"が八雲の示していた"烏"だとすると、あの時に彼は鳴いていたと表現出来るのだろう。
恐らくは、必要な死を呼び寄せる為に。それも、自分自身かその周りを狙って。
今こうして全てが過ぎた後ならば分かる。少なくとも、"彼"はあの時姿を現さなければならなかったのだろう。この先起こる、全ての事柄を予期して。それは、去年に起こった出来事の全てが雄弁に語っている。
そして今、周りにそれらしき姿はいない。
まるで、こうやって自身が動いている事件等態々関わる価値などないと言わんばかりに。
もう、全てが終わった後なのか。
それとも、唯こちらから見る事が出来ないだけなのか。
無論、別に物事の主導権が欲しい訳では無い。唯状況に流されるだけであっても、厄介ごとに首を突っ込まないに越した事はないのだ。
そう考えると、本来なら"烏"を見る事が出来ない所に立てるのは喜ばしい筈だ。
だが、そうでは無いはず。
"彼"と一時期でも一緒に居たからこそ分かる。まだ、何かが起こる。寧ろこれからが時代の節目と言って良いほどに。
"彼"は、見えない。
しかしその存在は薄暗い影の中に、確かに存在する筈だ。
"彼"が動いた形跡は、未だ見つかって居ない。
独立魔装大隊や四葉の情報網を持ってしても、河原借哉の存在は何処にも確認出来ていない。
しかし、彼は動いている筈だ。
何かを追っているのか、それとも見定めているのか。
七宝琢磨が高級マンション街の中層ビルに姿を消したのを見て駅へと向かい、藤林達と合流する。
「どうやら七宝家のご当主はご子息に余り軍事的な訓練を貸していないようね」
素人の様だ、と評価する藤林に頷きながらセダンに同乗する真田に目配せをする。
カメラなどの目は藤林が掌握している。もし、"彼"がこの場を見ているならば、この近くに居る筈だ。
それに対して真田は意図を理解し、しかし首を振った。
「やはり確認出来ないね。少なくとも今の所はこの件に首を突っ込んでいるのは僕たちだけみたいだ」
「つまり"彼"は・・・」
「恐らくは、まだ居ない。関わる気が無いのか、それとも僕たちがこうしている件でさえ水面下の些末な出来事に過ぎないのか」
恐らくは、後者なのだろう。
だからこそ、"彼"が見えないからこそ知る人間はその影を気にする。
彼がいれば、それは厄介事だった。彼が姿を消した時は、裏で必ず何かが起きていた。
しかし、"彼"はパラサイトの一件以降、姿を消し続けている。
「・・・居ないのなら、気にすべきでは無いのでしょう。俺は今の所は彼の様なやんちゃ者がこれ以上出るのを防ぎたいだけですから」
そう、気持ちを切り替える。
「妨害勢力の可能性は?」
それに対する藤林の答えは肯定だった。
「少し遠いけど、ビルの方に飛行船が確認できるわ。今は断定する事は出来ないけど、可能性は考慮した方がいいかも」
「分かりました」
そう頷き、大型セダンから降りる。
部屋内部の音声から察するに、目的はスキャンダルか。
しかし、そうでなかったら。
そう予感にも似た確信を抱きながら、小和村真紀の部屋へと向かう。
そして、"仕事"を済ませた後、恐らくはハイジャックされていたのであろう飛行船を制圧し、"分解"する事になった事ではっきりした。
もう、影に隠れる段階は過ぎた。
静かに物事が加速する詐欺。
とは言えやはりこの作品、個人的にはお兄様とオリ主は絡ませたいと思っております。お兄様は知らないとは言え、お兄様だけが唯一オリ主と絡めるメインキャラですから。
それにしても繋ぎ回の為だけにダブルセブンが消えてしまいましたが後悔はしていない。オリ主は退学したから高校生イベントにはもう混ざれないしね。
さて、問題はどのタイミングで再開を果たすか。是非、ご期待ください。